伊勢原ささら先生「ハッピーエンドを教えて」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
国内最大手コンビニチェーン店のエリート社員×田舎の小さなコンビニ若店長 のお話。
<あらすじ>
歩夢は、若くして家族の世話や新規のライバル店との競争に奮闘するコンビニ店長。
ある日、元彼にからまれているところを謎の男に助けられる。
強引で軽薄そうなその男に歩夢は最初は悪印象を抱くが、何度か会ううちに、彼の中に優しさを感じ、次第に意識し始めるが、そんな時、彼の正体を知ってしまい…!?
こんな人におすすめ
- 恋愛下手な主人公のお話が好き💕
- 人に迷惑をかけたくなくて、なかなか甘えたり頼ったりできない💦
- 快活で社交的なしごでき男にリードされたい💪
ネタバレ感想
1巻
恋愛下手なコンビニチェーン店店長の朝比奈歩夢は、元カレの坂巻に復縁を迫られ続けて困っていたところをライバルコンビニチェーン店店長の大島和明に助けられます。
小学生の頃に母を亡くし、祖父の代から続く酒屋を畳みコンビニを開業して4年目に父は脳梗塞で右半身に麻痺が残ってしまうという災難が続くも、歩夢は誰にも弱音を吐くことなく、コンビニ経営のいろはを一人で試行錯誤してきました。
頑張り屋な歩夢ですが、逆に言えば人を頼るのが下手で、恋人にさえも本音を話せずにいました。そのせいで付き合っても半年も経たずに別れるということが4人連続で起こっていたのです。
歩夢が人を頼れないのは、早くにお母さんを亡くしていたので、仕事に忙しいお父さんに甘えたり頼ったりできなかったからではないかと思いました。それに一人で頑張っていれば「しっかり者」と褒められるし、余計に歳をとるほど他人への頼り方が分からなくなったのではないでしょうか。
歩夢は大手コンビニチェーン店であるオールタイムズ(大島が東中原駅前店の店長を務めている)に勝つぞと意気込んでいたりと、割と無謀にも感じられる夢や目標を持つし、そうすべきだと自分を追い込んでいるように見えます。それもまた、優等生的というか…「ライバル店に圧倒的に負けても仕方ないと思ってはいけない」「頑張らなくてはいけない」と自分を無意識のうちにどんどん追い込んでいるように見えるんですよね。歩夢がもっと人に頼れるようになって、あまり自分で自分のハードルを上げないで、無理せず、でも前向きに生きられたらいいなと、少しハラハラしてしまいます。
2巻
歩夢の父は息子に迷惑をかけるまいとリハビリを過剰に頑張りすぎるあまり、転んで左手を骨折してしまいます。歩夢は父がそれほど必死なのは自分が信用されていないからだと思い、より一層、仕事も父のケアも頑張らなくてはと背負い込みます。
そんな中、和明が「バレンタインデーの店頭ワゴンセールの来客数で勝負しよう」と持ちかけてきて、歩夢は束の間、悩みから解放されたような心地になるのでした。
和明は「ゲイって初めて見たけど意外と普通なんだな」などと無神経な発言をするものの、歩夢にそれを指摘されれば素直に謝るなど、無邪気な男なのだと分かります。
それに、なんでも背負いすぎてしまう歩夢の性格を早くに見抜き、自分があえて悪役になることで、歩夢のストレスを軽減させようともしてくれます。いい奴だなあ…。
歩夢の父はもともと人の手を借りるのが苦手な人のようなので、余計に歩夢の世話になっているのが辛いのでしょう。歩夢の父の気持ちも、歩夢の気持ちも分かるだけに、自分も悲しい気持ちになります。
歩夢はほぼ他人である和明にさえも父の相談はできず、むしろ「父は自分に店を任せて世界一周をしている」と嘘をついてしまいます。それは、歩夢が和明の前では、まるで恋人に対している時のように、何も問題がなく、相手に相談や心配をする必要がない自分、完璧な自分でいたいと思ったから不意に出てきた嘘なのかもしれないと思いました。
無意識に和明を失いたくないと思うからこそ、重い相談はできない、弱い人間だと思われたくない、と自己防衛の考えが働いたのかもしれません。
4巻までの間に、歩夢が和明に父の本当の容態や、辛いことを打ち明けられるようになりますように…。
3巻
父と帰宅中に横転してしまい、偶然通りかかった和明に嘘を弁明することに。歩夢の父に「歩夢と付き合っている」と嘘をついた和明に怒る歩夢ですが、和明は歩夢を「ポジティブに頑張っている強力なライバルだから構いたくなる」だけだと思っていましたが、なぜか泣きじゃくる歩夢にキスをしたくなったり、それ以上のことがしたくなる理由。考え始めます。
和真はあくまで歩夢を「予想外に強力なライバル」と思っていますが、和明自身がヘテロなため、自分がバイであるという可能性を全く考えていないようです。自分から歩夢にキスしたことについても、歩夢の外見が可愛らしいために「女みたい」だと思っているからした事故のようなものだ、と思っているのかもしれません。
歩夢のお父さんと和明の会話シーンは、正直めっちゃ泣いちゃいましたね…。
歩夢のお父さんが、痺れてうまく回らない舌で「歩夢と付き合っとる方ですか」「歩夢をよろしくお願いします」って頼むんですよ。こんなの泣かずにはいられないですよ。歩夢はお父さんにとって、男手ひとつで育て上げた大事な息子。歩夢は後継ぎの孫を産んでくれるお嫁さんを連れてくると思っていたら実はゲイで、しばらくはそれで悩んだけれど、息子の幸せが一番大事だからと理解を示してくれたお父さん。親世代なんて自分の性的指向を理解してくれないだろうと諦めずにカミングアウトした歩夢は勇気があるし、それに応えたお父さんもえらいです。
自分の置かれた状況は歯痒くてつらいだろうに、それでも息子の幸せを願ってやまないお父さん。お父さんの歩夢に対する愛を感じたからこそ、和明は自然と「歩夢と付き合っている」と、嘘をつきたかったのではなく、自然とその言葉が出たのかなと思います。お父さんの愛に当てられたというか、その愛のおかげでいろんな偏見をとっぱらって素直になれたというか。
次はいよいよ最終巻。自分はヘテロだと思い込んでいる和明がどんな答えを出すのか緊張します。
4巻
バレンタインデーの戦いは528人対353人で完敗したものの、和明にチョコレートを介して告白され、二人は両想いに。
コンビニ店長の職から解放されても、和明は恋人の歩夢に会うために足繁くユアマートに通うようになったのでした。
バレンタインデーの戦いは、ユアマートも結構奮闘していたので、もしかしたら勝てるか?と期待していましたが、さすがにオールタイムズは強かったですね。
和明の店長職解任・本社勤務復帰は栄転とはいえ寂しかったな。しばらく会えないのかと思いきや、歩夢に会うためだけに毎週末ユアマートに来て従業員にアドバイスを残して行ったりと、和明のマメさに感動しちゃいました。歩夢は自立心が強いからめったに恋人に会えないからといって寂しさを感じないのかもしれませんが、和明にも会いに行ったり甘えたり、もっとツンが取れていったらいいなと思いました。
まとめ
田舎のコンビニ「ユアマート」の若店長である朝比奈歩夢は、近くにできた大手コンビニ「オールタイムズ」の店長・大島和明に、粘着質な元彼との痴話喧嘩を助けてもらいます。大島はヘテロにも関わらず、ゲイである歩夢になぜか接近してきて…。
自立心が強くてなかなか他人に(相手が家族であっても)頼ったり甘えたりできない歩夢。そのせいで仕事や家庭の問題を抱え込み、たびたび倒れたりとパンクするまで動き続けてしまいます。「人に迷惑をかけてはいけない」と思うがあまり、周りに頼れないという悩みを持つ人は多いのではないでしょうか?仕事でもプライベートでも頑なに見える歩夢の苦しみは、個人的にかなり共感できるところが多かったです。
一方、歩夢に猛アプローチしてくる和明は、一見何を考えているか分からないのですが、とにかく面倒見がいい!歩夢のピンチにサッと現れては(そもそも歩夢を心配してこまめに見にきている)ヒーローのように救っていく姿がめちゃくちゃかっこいいです。まさにスーパーダーリンそのもの。
頑張り屋の不憫健気受けが、スパダリ攻めに溺愛されるという、ザ・王道ストーリー。
最後はきっとハッピーエンドだと確実に信じられるからこそ、安心してずっと幸せな気持ちで読み続けられます。
身近にありそうでない、最初から最後までずっとあったかい愛の物語。ぜひ楽しんでほしいです!