木原音瀬先生「灰の月」上・下を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
ノンケの暴力団若頭の側近・用心棒×ゲイの若頭 のお話。
<あらすじ>
本橋組組長の息子・惣一は5年前に敵に襲われたトラウマで、一時も1人きりでいることができなくなったと同時に、押し込めていた自分の性癖も暴かれてしまう。
性欲処理を寡黙なボディガードの嘉藤が見ている前で行っていたが、ある日道具の代わりに嘉藤自身をねだると彼は命令に従い惣一を抱いた。
感じたことのない強烈な快感にもう一度とねだるが、嘉藤に「抱くのであれば女の方がいい」と拒絶されてしまい…。
こんな人におすすめ
- 心をズタズタに引き裂かれるようなBLが読みたい💔
- 木原音瀬先生作品が好き📖✨️
- ヤクザもの、主従ものに萌える🔫💥
ネタバレ感想
灰の月 上
しおりをつけるのを忘れてしまうほど、夢中になって読み進めました。
嘉藤(攻め)が惣一(受け)の愚かな雌犬ぶりに呆れ果ている姿も、決して振り向かない嘉藤をヒステリックな妻のように詰り、縋る惣一の姿も辛い…。
濡れ場がこれでもかと描写されているのに、いやらしさと同じくらい虚しい。
心の通わないセックスがいかに虚脱か…情事が重ねられるほど2人の心が離れ、取り返しのつかない溝ができていくのが辛いです。
これ以上ないほど嘉藤に突き放された惣一が下巻でどうなるのか…。
灰の月 下
下巻で一番しんどいのが井内から助け出された惣一が「ちんぽ すきぃ」と言うシーン。これ書きながらも涙が止まりません。
字面だけ見れば冗談みたいだけど、このシーンの心抉られる度合いは尋常じゃないです。
井内の体を末端から毎日cm単位で切り刻んで殺したい。心の柔らかい部分を抉られたような読後感よ…。
惣一が心から求めていたものは、壊れてこそ手に入れられた(壊れなければ手に入れられなかった)のだと頭では理解できます。
でも、薬漬けにされて井内に犯され続けながらもずっと嘉藤を想って苦しんでいたと思うと辛くて…どうして2人はヤクザだったのか、どうして惣一がこんな目に遭わなくてはいかなかったのか、辛い。ただただ辛くて嗚咽が止まりません。
どこまで遡れば惣一は苦しまずに済んだのか。死とレイプ、ヤク漬けにされる恐怖に日々怯えないで済むには、もはや生まれなければよかったのではないか…そう思い至ってしまいます。苦しみも幸せも、それが何なのか私にはもう分からない…。
まとめ
簡潔な文章で表現される、大海のように広い極彩色の世界。凄まじい圧の作品でした。
なぜ生きるのか、どうして生きるのか。何が幸せで不幸なのか。いろんな思いが頭を駆け巡ります。
心をズダボロに引き裂かれて脱皮したいあなた、ぜひ本作を読んで木原ワールドに魅了されてください…!!🥺✨
追記:「灰の月」シリーズのみでも読めますが、前シリーズの「月に笑う」シリーズも要チェックです⬇️