KJ・チャールズ、待望の新シリーズ開幕!KJ・チャールズ「カササギの魔法」シリーズを読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
20年ぶりに英国に帰った貿易商×超常能力の濫用者を取り締まる審犯機構の能力者 のお話。
<あらすじ>
父と兄の原因不明の死のせいで伯爵位を継承するため、戻りたくもなかった故郷のイギリスへ帰ってきたクレーンは、強烈な自殺願望に襲われる。
追いつめられた彼は超常的な力に救いを求め、能力者(プラクティショナー)のスティーブン・デイを頼るが、デイにはクレーンの家族を憎む十分な理由があった。
彼の家族は暴君であったクレーンの父親によって破滅させられていたのだ――。
こんな人におすすめ
- ヒストリカル・ロマンスを求めてる!⚔️
- 超能力など科学で説明できない不思議な力にワクワクする🧠
- イギリスを舞台にした物語が読みたい🇬🇧
ネタバレ感想
カササギの王 カササギの魔法シリーズ (1)
悪逆非道の父 クエンティン・ヴォードリー と、兄 ヘクター・ヴォードリーが2年前に自殺したことをきっかけに、クレーン伯爵ルシアン・ヴォードリーは20年ぶり4ヶ月前に中国から英国へと帰国しました。遺産整理のためにクレーンの領地の屋敷(パイパー)に行ってから、ルシアンは何度も望まない自殺衝動に駆られます。彼を案じた従者のフランク・メリックは、英国のシャーマンこと「超常能力の濫用者を取り締まる審犯機構の能力者」であるスティーヴン・デイを呼び出し、ルシアンの自殺衝動を止めてほしいと頼みますが…。
本作の魅力はなんといっても、ルシアンの身に降りかかる奇妙な「呪い」のような出来事たち。
最初はルシアンが猛烈な自殺衝動に駆られることに始まり、次に、死んだはずのヘクターの幽霊が侍女やルシアンを襲い、さらにはルシアンが使う馬たちがひどい苦痛を与えて死に至らしめられたり…と、ルシアンの身の回りに不可解な出来事が次々に起こります。
それを華麗に解決するのが、能力者のスティーヴン!見た目はちびでがりがりの貧相で、口も決して良くはない男ですが、その手腕は天下一品。事件を前にすると、なぜそんなことが起こるのかを丁寧に調査し、確実にその「呪い」の元を取り除いていき、その「呪い」を植え付け操っている元凶へとひたひたと近づいていきます。
その過程の心高鳴ること!!一つの呪いを解決しても、次から次へと起こる呪いはさらに危険度を増していくようで、まるで「私に近づくな」と呪いの主人に警告されているようでした。しかしその警告を振り切って進む、スティーヴンの勇敢さには惚れ惚れします。そして、そんなスティーヴンに負けじと、呪いの対象とされながらも決して怯まないルシアンの心の強さ、しぶとさにもメロメロです。
そして、「能力者」たちの鬼気迫る死闘も本作の魅力の一つでしょう。
悪逆非道のクエンティンとヘクターへの恨みを持ち、さらにルシアンを自分たちの「能力」による呪いで脅して傀儡にし国家転覆を図ろうとする、悪の「能力者」たち。
ルシアンの先祖であるフォーチュンゲート卿は、英国にかつて存在した中で最も強力な魔法遣い(能力者)の一人であり、通称「カササギ王」と呼ばれていました。ルシアンもカササギ王の力(能力を使うためのエネルギーのようなもの)は引き継いでいるようですが、彼は能力者ではないため、力を使うことはできません。
悪の「能力者」たちはルシアンをただの放蕩息子だと侮り、自分たちの思い通りにならないルシアンに苛立ち、スティーヴンもろとも痛めつけて殺そうとします。しかし、スティーヴンはルシアンの力を土壇場で引き出すことに成功し、何人もの強力な「能力者」たちを、ルシアンの力×スティーヴンの技術で、ばったばったと薙ぎ倒していくんです!!
ここの爽快感ときたら!!たまりません!!
これまで散々姿を隠してルシアンとスティーヴンをいたぶってきた悪の「能力者」たちが、因果応報とばかりに悲惨な傷を負っていく姿は快感でした。
そして、さらに言うならば、ルシアンとスティーヴンの情時のエロティックさも魅力の一つです。
普段は至って紳士的なルシアンですが、セックスの時は支配的な言動になりがち。対するスティーヴンは、普段はバッサバッサと切り捨てるような切り口鋭い物言いをするにも拘らず、セックスの時は被虐的。この二人のセックスの相性が良くないはずがありません!!
一番好きなセックス中のセリフは、「お前は私がそうしたいと思った時にはいつでも受け入れるんだ。ファックして欲しいと懇願してごらん」「お願いです 閣下 僕をファックして マイロード ファックして ファックして───」。
良すぎる。良すぎます。スティーヴンがえっちすぎる。普段は対等な関係の二人だからこそ、セックス中はあえての支配・被支配の関係なのが、すごく倒錯的で、めちゃめちゃすけべなプレイだな…と燃えてしまいます🔥
刺青に纏わる間奏曲
本編後のルシアンとスティーヴンの関係と、それに口を出すメリックの小話です。
ルシアンは数ヶ月後に中国に戻る予定のようで、スティーヴンはそれを寂しく思いながらも「女々しく引き留めはしない」と己に誓いながら、彼とのスリリングな情事に溺れます。一方、メリックはスティーヴンが視線一つで悪の「能力者」を殺したところを見たために、自分の主人も同じ末路を辿るのではと猛烈に心配します。
このお話で一番たぎったのは、「スティーヴンとセックスをする(絶頂の快感を得る)たびに、彼とのセックスの時だけ、ルシアンの体に入れられたカササギの刺青が1羽だけスティーヴンの体に移ってしまう」という珍事件。最初はルシアンにカササギを戻そうと躍起になっていたスティーヴンですが、途中からもう諦めかけているのがお互いにやりとりする書簡から垣間見えて、笑ってしまいました😂 カササギの刺青に振り回されるスティーヴンがかわいい!😂
セックス中、カササギの刺青が楽しそうに二人の体の間で羽ばたき合う描写もなんともロマンチックで素敵でしたし、「愛する人に自分の刺青が移ってしまう」って想像もしない展開でときめいちゃいました。
カササギの魔法シリーズ(2)捕らわれの心
20年振りに中国から帰国した貿易商 クレーン伯爵ルシアン・ヴォードリーは、自分および家族が次々と死に至らしめられる事件を解決してくれた、超常能力の濫用者を取り締まる審犯機構の能力者 スティーヴン・デイと4ヶ月前から付き合い始めました。
しかしルシアンにスティーヴンを紹介した知人 テオ・ラッカムは、ルシアンとスティーヴンが男色だと協議会(スティーヴンの所属する組織)に言いふらさない代わりに5000ポンド貸せとルシアンを脅迫します。
ルシアンはラッカムがなぜ急に自分を脅してきたのかを突き止めようと動き始めますが、その矢先に彼は巨大なネズミたちに食い殺されてしまい…。
1巻では「カササギの魔法」の世界観を理解するのに必死で、胸踊るストーリーもどうしても咀嚼するので精一杯だったのですが、本作は世界観の知識があったので、思う存分、ルシアンとスティーヴンの追う謎と二人の恋の行方を堪能できました。
まずはサスペンス部分について。最初にルシアンがラッカムに脅された時は、本巻は「ルシアンvsラッカム(同性愛者vs同性愛差別者)」というお話になるのだろうと想像していました。しかし、ラッカムは早々に死に、しかもラッカムと同じ殺され方をする人々が続出していきます。さらにはルシアンの中国滞在時代の親友であるレオノーラまでその毒牙にかかり、死にかけてしまいます。全員が巨大ネズミに襲われて死んでいるのですが、共通点が全く見えず、レオノーラの次は一体誰が被害者になるのか想像もつきませんでした。そこからの、まさかのメリック(ルシアンの従者)の大活躍!
さらにシャーマンに己を乗っ取られかけるという瀕死のルシアンが「カササギの王」とスティーヴンとの愛の力で、シャーマンの霊を打ち破るのも素晴らしい展開でした。まさかここでも「カササギの王」の力が役立つなんて。
まさか!と思うような人物が犯人であったり、その犯行動機が同情すべきものだったりと、今回のサスペンスは辛い場面も多かったのですが、敵を打ち破るルシアンとスティーヴン、そしてスティーヴンの部下たちのチームワークは素晴らしく、鬼気迫る戦いの様子には興奮させられっぱなしでした。
次にラブロマンス部分について。1巻でルシアンとスティーヴンは両想いになり、次に二人が直面する問題があるとしたら「ルシアンは中国に戻りたいと思っているが、スティーヴンは英国を離れる気がない」という部分だろうなとは思っていました。
しかし、それをどうやって解決するのかは想像がつかず、現代のように携帯電話があるわけでもなし…と答えを出せずにいたんです。
実際に2巻を読んでみると、二人はまさに予想通りの危機に直面していましたが、その解決法は予想をはるかに超えて素晴らしいものでした。
富も名声も権力も容姿にも優れ、同性愛を恥だと思わない堂々としたルシアン。それに対し、富も名声も権力もなければ容姿に優れているともいえず、己の性的指向を暴かれて仕事を追われることを過度に恐れています。家族も友達もいないスティーヴンには、仕事しか拠り所がないのです。自分の今後の長い人生を考えるならば、ルシアンとの不確定な恋よりも、仕事を選ぶと断言するスティーヴン。
これは全くその通りだと思ったけれど、同時に、ルシアンとの恋はどうなるのだろうという不安でもいっぱいでした。
ルシアンはスティーヴンを喪失する不安に怯え悲しみながらも、富や権力でスティーヴンを自分の意のままに操ろうとせず、スティーヴンの意思をあくまで尊重し続けます。親友であるレオノーラがシャーマンの呪いで殺されかけている時でさえも、発狂しそうな心を鉄の意志で押さえつけ、スティーヴンが自分と「カササギの王」の力を共有していることを彼の仲間に知らせてはならないからと、力のことを自分の口からは決して言い出しはしませんでした。それは、スティーヴンの生き方に影響してしまうからと。
スティーヴンはルシアンのその行動に心を打たれ、自分が同性愛者であることを同業者に打ち明ける勇気を出すのです。
人を愛するということは、ただ愛しているからこうしてあげる、ああしてあげると何かを与えるだけではなく、大事な場面で一歩引くことでも示すことができるのだと改めて教えられました。愛しているからこそ、自分と相手のそれぞれの領域には口を出さない…それこそが、相手を一人の人間として尊重しているという愛の証明でもあるのだと、痛感しました。
酒を巡る事件
ラッカムの事件を終えてスティーヴンと甘い一夜を過ごしたルシアンは、帰宅したメリックから「ハンフリスが見える」「亡き妻ユアンユアンが見える」と訴えられ、彼の目が異常をきたしていることに気づきます。訪ねてきたエスターに話を聞くと、どうやらこの一帯で同じ症状の者が続出しているらしく、ルシアンはスティーヴンとともに問題を解決するために動き出します。
一難去ってまた一難!今度は、まさかのメリックが標的となってしまいました。ルシアンに恨みを持つ者が、彼の大事な右腕であるメリックに復讐したのか…?と思いましたが、どうやらメリックと同じ被害を受けた者たちは皆性別も職業もばらばら。唯一の共通点は、誰もが安い密造のジンを売る場所で酒を買ったということだけです。
意外にも結末はあっけなく訪れましたが、ルシアンとスティーヴンに関するお話は、こういったショートストーリーも面白いのかと嬉しい発見がありました。
このお話の中で一番好きだったのは、ルシアンが「スティーヴンに移った自分のカササギの刺青を見るのが嬉しい」「スティーヴンに自分の刻印を押したよう」と言っていたことです。何者にも縛られない強靭な心と能力を持つスティーヴンが、ルシアンにだけは屈服しているというか、体を預けているというのが、なんとも背徳的でエロティックだなあと思ったのでした。
カササギの魔法シリーズ(3)カササギの飛翔
レオノーラの事件にカタがつき、ルシアンはいよいよスティーヴンを連れて中国に戻りたいと考え始めていました。同性愛を犯罪とする英国では二人が愛し合うにはあまりに窮屈、かつ、多方面から「持つべき者」である義務を果たせとせっつかれるのが鬱陶しかったからです。
しかしそれと反比例するように、協議会からスティーヴンに割り振られる仕事はどんどん増えていき、二人は思うように会えなくなり…。
「好きでもない仕事に人生をすり減らすな、お前を養えるほどの財を持っている恋人に甘えろ」と主張するルシアンに対して、協議会からどれだけ冷遇され無茶な任務を与えられようと「与えられた仕事は全うしなくては」と他の能力者の問題まで抱え込んで限界以上の働きをしてしまうスティーヴン。
能力が高いだけに問題を押し付けられ、うまくこなしてしまうスティーヴンの器用貧乏さは理解できるところがあります。それに、12歳で両親を亡くしてから審犯機構で働き続けているスティーヴンにとっては、人生=仕事であり、仕事をこなしている時こそ人に必要とされ生きがいを感じられる時間なのだとも思え、一概に「ルシアンに甘えられないスティーヴンは頑固」と非難することはできませんでした。むしろ、スティーヴンにとって、仕事かルシアンかと選ばなくてはならなくなるほど、ルシアンが彼の中で強固な精神的支柱になっていることが嬉しかったです。
3巻はスティーヴンに「仕事か?恋か?」を選ばせる展開になるのかなと想像しながら読み始めたのですが、予想外の鬼気迫る展開に大興奮!!
まず最初に「透明人間の加害者に警官が惨殺される」という連続殺人事件が起こりますが、事件現場でエーテル(魔法の力)がまったく感じられないと判明し、一体犯人はどうやって被害者を殺したのかと謎に包まれます。
さらには、スティーヴンの部下であるセイントが連続窃盗事件を起こしている(しかもメリックの「カササギの王」の指輪を盗んだ!)という疑惑が持ち上がり、しかもメリックが自分の1/3ほどの年齢のセイントに結婚を申し込んでいるという事実も発覚し、ルシアンとスティーヴンの間に大きな亀裂が。
そして、実は1巻で取り逃していたブルートン夫人が警察官連続殺人事件も窃盗事件も裏で手を引いていたことが分かるものの、協議会委員のジョージ・フェアリーとジョン・スリーも彼女とグルだったことが明らかになり、巨大な悪にルシアンとスティーヴンは飲み込まれそうに…!!
最終巻だからと決して手を緩めない、この怒涛のスリルとサスペンスにドキドキが止まりませんでした。明らかにルシアンとスティーヴンは過去一で絶体絶命!!死はもう目の前!!どれだけルシアンの口がうまかろうと、金を持っていようと、スティーヴンに「カササギの王」の力が分け与えられていようと、一発逆転は絶対に無理だ…と思われたその時!!メリックとスティーヴンの部下が勢揃いしてブルートン夫人の部下たちを叩きのめし、ブルートン夫人自身は強大な魔力を持っていたにもかかわらず、ルシアンとスティーヴンが「カササギの王」の指輪の力を借りてフュージョンし、彼女を遥かに上回る魔力で彼女を葬り去るのです!!
しかもそのトドメの刺し方の美しいこと!!ルシアンの体に彫られたカササギたちがにわかに飛び立ち、ブルートン夫人を絞め殺すのです。まさにカササギの王の末裔に相応しい、劇的なトドメの刺し方でした。素晴らしかった…。
また、スティーヴンが今回の騒動を経て、ルシアンが(自分自身が思っていたよりもずっと)スティーヴンを愛していることを知り、それゆえにルシアンはスティーヴンが仕事に殺されるのではないか(協議会はスティーヴンを使い捨ての駒としか見ていないので)と心配しているからこそ「仕事を辞めてほしい」と願っていることを真に理解して、ルシアンとともに生きていく覚悟を決めるのです。
私がルシアンをかっこいいなと思ったのは、どんなにスティーヴンに仕事を辞めてほしくても、自らの富を必要以上に見せつけたり、言動で圧力をかけたりしなかったこと。とにかく、辛抱強く待つ。スティーヴンに自分の不安な気持ちや、二人でこんな未来を作りたいという展望は伝えても、それ以上の決定は必ずスティーヴンを信頼し、委ねているところに、真の愛を感じました。自分の考えややり方が正しいと思っていても、押し付けない。自分と違うからこそ愛しているのだと本人にも周囲にも伝えられるルシアンの率直さが素敵でした。
スティーヴンの祝祭
12/26聖スティーヴンの日、ロスウェルの別荘で過去の冒険譚を話す、ルシアン・スティーヴン・メリック・セイントのお話です。
暖かい暖炉のまわりで、中国で遭った大変な騒動について面白おかしく語るルシアン。ルシアンは大金持ちのいけすかない男だと思っていたふうのセイントが、話を聞いてから急に打ち解けた様子だったのが微笑ましかったです。
ただ、最後に数行だけ登場した、ジョナ・パスターンの様子…なんとも哀しかったですね。ルシアンたちが幸せいっぱいの様子だっただけに、対比が感じられました。
本編ではジョナには男の恋人がいたようでしたが、ニューハウスに殺されたのか、それとも愛想を尽かされたのか…ジョナは死ぬまで追われる身なのかもしれないし、ジョナ自身が孤独ゆえにそれを望んでいるのかもしれないとも思いました。
五つは天国のため
ルシアンとスティーヴンが英国を脱出して3年後のお話です。
なんとセイントがメリックの子・ルーシーを出産!しかも長崎で!!てっきりルシアンたちは中国に移住したものだと思っていたので、日本に来てくれたの!?と嬉しい驚きでした。ルシアンたちは長崎の出島に住み、そこでセイントは出産したようです。さらに、スティーヴンは日本の風光明媚さを気に入って、しばらく長崎で暮らしながら能力者として仕事をしたいともルシアンに申し出てくれて…。ルシアンも乗り気だったのがまた喜ばしかったです。
英国と日本という遠い二つの国が、こんな形で結びつくことがあるのだと幸せな気持ちになりました。ルシアン、スティーヴン、心ゆくまで日本での日々を堪能してね!
まとめ
悪逆非道の父 クエンティン・ヴォードリー と、兄 ヘクター・ヴォードリーが2年前に自殺したことをきっかけに、クレーン伯爵ルシアン・ヴォードリーは20年ぶり4ヶ月前に中国から英国へと帰国しました。遺産整理のためにクレーンの領地の屋敷(パイパー)に行ってから、ルシアンは何度も不可解な自殺衝動に駆られます。彼を案じた従者のフランク・メリックは、英国のシャーマンことスティーヴン・デイに、ルシアンの自殺衝動を止めてほしいと頼みます。
ルシアンに降りかかった突然の激しい自殺衝動…そこから、ヴォードリー家にかけられたおぞましい呪いの数々が明らかになっていきます。しかも犯人である能力者のグループを特定したものの、主犯のブルートン夫人だけは捕らえきれず…。
その後、ルシアンの上海時代の親友・レオノーラが巨大ネズミによる連続殺害事件に巻き込まれ、最後はなんと宿敵・ブルートン夫人による警官大量虐殺とルシアン&スティーヴンへの復讐劇が展開されます。
丁寧に張り巡らされた謎と罠に混乱させられながらも、テンポよく進む物語に胸がときめきます。予想もしない人物の思惑にいつもあっと驚かされ、結末は予想もつきません。
生まれながらの貴族で美しく傲慢なルシアンと、クエンティンにより両親を死に追いやられて貧しくみすぼらしく暮らしてきた痩せっぽちのスティーヴンという凸凹カップルがおりなす、濃密でエロティック(支配的な攻めvs被虐的な受け)な濡れ場も見どころです。
押しも押されもせぬ、ヒストリカル・サイキックロマンスBLの圧倒的名シリーズです。
英国を舞台にした作品が好き、歴史の香り漂う作品が好き、魔術などファンタジックな設定が好き、ミステリーやサスペンスが好き、軽いSMっぽいプレイが好き…そんなあなたにぜひともおすすめしたい作品です!!ぜひ読んでみてほしいです!!📚✨