本当の恋を知らない二人の、『胃袋掴んじゃう系♡』ほんわかラブストーリー、柚月美慧先生「狼国王の溺愛オメガ~異世界でお子様ランチを作ったら幸せ花嫁になりました!?~」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
他者を信じられない狼族の俺様国王×異世界転生した健気な洋食料理人 のお話。
<あらすじ>
助けた猫に連れられて、獣人ばかりが住む異世界に転生してしまった奏多。
そこで奏多は、自分がオメガという性別であること。
そして国王である狼族ランヴェルトの許嫁であることを知らされる。
こんな人におすすめ
- 飯テロ系BLが読みたい😋
- つらいことがなるべく起きない、ハッピーなBLが好き💐
- オメガバ設定に萌える♂♀
本作をもっとよく知るための小ネタ
・アスタリスク・ポミエ文庫のレーベルの第一作目の作品が本作。
妹・柚月美慧@gumaguma9が、こけら落としで「狼国王の溺愛オメガ」を書かせていただきました。
レーベルの第一作目ということで、王道のストーリーをめざし、情熱と緊張感を持って取り組んだ作品です。
大変お世話になり、ありがとうございました。 https://t.co/wIbULNIwGt— 有平宇佐🐱🐰🇬🇧 (@arihirausa) December 28, 2022
ネタバレ感想
①誰にも心を開かない、鉄壁の王・ランヴェルト
リンブラード王国国王であるランヴェルトは、兄のように慕っていた叔父に王位簒奪のために家族を皆殺しにされた経験があり、「運命の番」どころか、誰一人として信じられないまま時を過ごしていました。しかし、奏多が丹精込めて作ってくれた「お子様ランチ」の美味しさと温かさ、その優しい味わいに感激し、奏多に興味を示すようになっていきます。
本作のテーマは「胃袋掴んじゃう系ラブストーリー」ですが、まさに!という感じです。誰にも心を開かなかったランヴェルトを扉を叩いたのが、奏多の家族愛のこもったお子様ランチ。奏多にお子様ランチを作ってくれと何度もせがむランヴェルトはまるで無邪気な子どものようで、王位継承権がなければこうして無邪気に母や兄弟に甘えることもあったのかもしれないと、ランヴェルトの苦難に満ちた過去を思って泣きそうになりました。
「運命の番」という、自分の伴侶になる者が現れた時でさえも「信じない」と頑なだったランヴェルトが、奏多を喜ばせよう、一緒に幸せになろうと心を砕く姿を見ると、ようやく過去の傷を少し癒せたのかもしれないと安心します。
王である以上は、時に理不尽な恨みを買い、命を狙われることは多々あるでしょう。それでも、ランヴェルトが心を閉ざさずに奏多だけでもまずは受け入れたいと思えるようになったことは、彼がどんな苦難を乗り越えてでも愛をまた信じたいと思えた証だと思うので、どうか彼の努力を打ち砕かぬよう、辛いことが起こらないでほしいと願うばかりです。
②料理に家族の愛をこめる、奏多
奏多は3年前に両親を相次いで亡くし、借金まみれだった父の洋食店「キヅキ」の後を継いで、懸命に店を切り盛りしていました。
父に余計な重荷を背負わされたにも関わらず、奏多は決して両親のことを恨まず、むしろ父が料理に込めた愛や優しさを自分も受け継ぎたいと切磋琢磨します。
毎日毎日、馬車馬のように働く日々で、遊ぶ時間もない。そんな生活では、料理をするのも嫌になりそうですし、料理に愛を込めようと思ってはいても、実際に作る時には機械的な作業になってしまって、何も考えられない…ということはありそうですよね。
でも、奏多は、決して初心を忘れませんでした。
たとえ異世界に転生したとしても、愛していた両親のことを忘れず、二人の思いを受け継ごうと、ランヴェルトのために心のこもったお子様ランチを作り上げます。
「いつか人を幸せにする料理が作れたらと思っていた 父が作ってくれたお子様ランチのように美味しくて温かくて優しい味で誰かの心を和ませてあげられたらいいと」と語る奏多はあまりに眩しくて、なんて心根の美しい人だろうと感動してしまいます。
奏多が家族に愛されたこと、愛したことを決して忘れなかった、むしろ日々料理を作りながら二人への愛を何度も何度も確認していたからこそ、ランヴェルトの氷の心が溶かされたのだと思います。
③たとえ離れ離れでも、強く愛し続けていれば叶う
お子様ランチをきっかけに愛し合うようになったランヴェルトと奏多でしたが、異世界へと渡ることのできる鏡に奏多がうっかり手をついてしまったばかりに、彼は現実世界へと引き戻されてしまいます。
半年経ってもお迎えは来ず、もうあの世界に戻ることはないのかもしれないと諦めた時、店に老人が訪ねてきてお子様ランチを注文します。なんとその老人こそが、奏多を見つけるために異世界を渡ってきたランヴェルトその人でした。現実世界の半年は、リンブラード王国では50年も経っていましたが、ランヴェルトは奏多以外は愛さないと心に決めて、彼を探し続けていたのでした。
異世界に行って、アルファとオメガが出会い、運命の番になり、幸せな一生を送る…それだけでも幸せな物語ですが、ランヴェルトが50年もの歳月をかけて自分自身で奏多を探し出そうと決めて頑張っていたことはあまりにも途方もない努力の賜物で、ランヴェルトの情熱と愛に泣きそうになります。
最初はあれほど「運命の番など信じない」と言い張っていたランヴェルトが、そこまでするほどに奏多を愛するようになっていたなんて…と、より物語の深さに心動かされました。
よく考えると、奏多とランヴェルトってまるで「シンデレラ」みたいな構図ですよね。奏多はランヴェルトに「お子様ランチ」というガラスの靴を残して去ってしまい、ランヴェルトはそれを手掛かりに探し回り、異世界(シンデレラで言えば継母や姉たち)という障壁を乗り越え、やっと奏多を見つける…という。
多くの人に愛される物語のパッケージをなぞっているからこそ、すんなりと感動物語として受け入れられるのかなと思いました、
まとめ
両親を相次いで亡くし、父の洋食店を継いで料理人となった木月奏多は、一匹の猫が車道に飛び出したのを見てしまい、慌てて猫を救おうと車の前に飛び出します。光に目を焼かれた次の瞬間、奏多は異世界のリンブラード王国にテレポートしていました。なんと奏多はリンブラード王国国王・ランヴェルトの「運命の番」として選ばれたのだというのです。
人間不信に陥ったランヴェルトの鉄の心を溶かす、奏多の愛がこもった「お子様ランチ」。
お子様ランチを何度も奏多にリクエストしては、嬉しそうに食べるランヴェルトを見ていると、奏多や周りの従者たちだけでなく自分まで幸せな気持ちになります。
奏多が両親からもらった愛を注ぎ込んだお子様ランチ、私も食べてみたいです。
苦難を乗り越え、心身ともに番となる、国王×料理人のハッピーラブストーリー。
BL作品に胃袋を掴まれたいあなた、ぜひ読んでみてください!🍳✨