風見香帆先生「彼をさがして」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
受けを溺愛するスパダリ広告マン×中小企業に勤める平凡な営業マンのお話。
<あらすじ>
エリートサラリーマンの勝倉に拝み倒され、恋人となった容姿も性格も地味な相馬。
つきあい始めて一年、徹底的に甘やかされた相馬は、我が儘な女王様のようになっていたが、そんな中、下僕扱いしていた勝倉が事故に遭い、記憶を失ってしまう。
さらに優しくてヘタレだった勝倉は、傲慢で性格も最悪な本性を取り戻してしまい―!?
こんな人におすすめ
- スパダリ攻め×平凡受けが好き😘
- 女王様受け…と見せかけて下克上モノにときめく💘
- 「本当の愛って何だろう?」と立ち止まって考えてみたい💭
ネタバレ感想
冷酷無比な暴君受け・相馬の献身に涙
並んで歩こうとすれば自分がみすぼらしく見えるから恥ずかしいと安っぽい服を着せたら、ゲイのカップルだと思われたら嫌だからとツーショットを撮りたがる勝倉(攻め)に毒を吐いたり…
そんな残酷なことを平気でやっていた相馬は、記憶喪失になった勝倉からズバズバと正論を突きつけられ、見下され、自分がどれだけ酷いことを言っていたのか、していたのかを痛感します。
相馬が勝倉の愛を痛感するのは、勝倉が相馬に見つからぬよう大事にしまっていたものを見つけた時。
勝倉の部屋からは、2人のアルバム(相馬がしぶしぶ撮らせたツーショット写真を丁寧にしまっていた)や必死で強請られて嫌々渡したバレンタインチョコが出てくるんです。それをみて、相馬は「俺は一体何をしていたんだ」と打ちひしがれます。
暴君(相馬)が、勝倉の無償の愛の上でどれほど甘やかされ驕り高ぶっていたことに気づく…かけがえない大切なシーンです。
そして相馬は、自分を愛してくれる勝倉に戻ってくれるためなら何でもしよう!と、それまで一切やってこなかった家事を進んでやったり、一緒に食事をとろうと誘ったりと健気に尽くします。
記憶を無くした勝倉に冷たくあしらわれ、頑張って作った食事をけなされても、懸命に動く姿は痛々しくも胸を打ちました。
どんな勝倉も好きだと素直に言う相馬に感動
優しかった頃の勝倉に戻って欲しいと相馬が頑張るほど、記憶を失った勝倉は苛立ちを募らせます。なぜなら、相馬の行動は「優しかった頃の勝倉」だけが大事で、今の勝倉は少しも大事ではないように感じられたから。
勝倉が俺様な態度を必死でこらえて「俺がどうなれば、気持ちを向けてくれるんだ」と縋るように相馬に言うシーンは、胸が痛かったです。
そんな勝倉を見て、相馬はやっとどんな勝倉も自分が愛した勝倉なのだと気づきます。
「勝倉は勝倉だ。何も変わらない」と抱きしめ合うシーンでは思わず号泣しました…😭
傲慢な勝倉も、下僕の勝倉も、伝え方は違っても心の奥底では相馬を愛していたんですよね…ウッ…ウッ…。
「俺は相馬のためだけに生きる」に心が震えた
学業も仕事もそれなりにやれば抜群の成績を収めてきた勝倉。顔にも体格にも恵まれ、人生イージーモードすぎて傲慢になっていた彼がどん底の時、偶然助けてくれたのは相馬でした。
勝倉が「万が一お前が俺を忘れても、俺は相馬のためだけに生きる」と相馬と抱き合った後に誓うように言うラストシーンは感動的でした。
勝倉が相馬を忘れても相馬は勝倉にまた愛されたい、愛したいと願ったように、勝倉もまたそうなのだと…勝倉の相馬への愛の強さを改めて感じさせられました。
どんなお互いをも愛してやまない2人、最高のカップルです。
まとめ
人は誰しもいろんな顔を持っています。仕事の顔、恋人の顔、子供の顔…立場によって、少なからず性格や言動が変わることはよくあることです。
しかし勝倉はそれが極端なんですよね。仕事では超傲慢な俺様男で、家では相馬の下僕。それが家でも仕事モードのままだから相馬は面食らってしまった…。
でも、誰かを愛すること、誰かと生きていくことって、どんなその人もその人なんだと認めて受け入れて慈しむことなんだな、と本作を読んでしみじみと感じました。
物語はあくまで軽快なタッチで描かれていますが、愛の本質を鋭く描いていると感じました。
人を愛するって何だろう?どうしたらいいんだろう?と迷った時、悩んだ時、手に取りたい名作です。