タイBLドラマ「愛の香り~I Feel You Linger In The Air~」(2023)の全話ネタバレ感想・あらすじ・評価・動画配信|時を越えたロマンスを描く時代劇BLドラマ!

ドラマ

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タイの世界的な俳優×監督、最強コンビが紡ぎ出す初のBL×時代劇!「愛の香り~I Feel You Linger In The Air~」

全話のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ

引用:愛の香り~I Feel You Linger In The Air~|フジテレビの人気ドラマ・アニメ・TV番組の動画が見放題<FOD>

過去の世界で出会った名家の御曹司×タイムスリップした建築家 のお話。

<あらすじ>
チェンマイで古い屋敷の改修に携わる若き建築家のジョムは、海外留学中の恋人オームを待ち続けていたが捨てられ、不運にも事故を起こし川に落ちてしまう。
死を覚悟したジョムだが、突然現れた男性に助けられ水面まで浮上し、川岸まで泳いだ後気を失う。
目を覚ましたジョムは、目の前で起きる出来事に違和感を覚えていたが、この場所が1927年のチェンマイであり、自分がタイムスリップしたことを知るのだった。

 

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予告編・予告動画

 

こんな人におすすめ

  • タイムスリップもの、転生ものが好き♻️
  • 「運命」という言葉に弱い🥹💕
  • ドラマは短編より長編の方が好き📺✨

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

1.全話がXタイトレンドで1位!

本作は全12話すべてがX(旧Twitter)のタイトレンドで1位を獲得しており、その注目度と人気の高さを証明しました。原作は、タイの人気BL小説「I Feel You Linger in the Air」(VIOLET RAIN著)。

 

2.Nonkul&Brightが、BL作品に初挑戦!

本作は俳優Nonkul(ノンクン)を筆頭に、出演者の非常に高い演技力も注目されています。Nonkulは多くのオファーを受ける中、本作で初めて本格的なBL作品に出演、ジョムという役で新たな姿を披露。ジョムが経験する絶望や戸惑い、不条理、そしてヤイの好意を素直に喜べない複雑な心境など、見ているこちら側にも痛いほどに伝わってきます。
また、相手役のヤイを演じる俳優Bright(ブライト)も本格的なBL作品への出演は初でしたが、はまり役だと言わざるを得ないほどの熱演ぶり。1920年代という時代の中で先進的な考えを持ち、自身の置かれる状況に反発しながらも、ジョムを一途に愛する御曹司ヤイの姿を見事に演じ切りました。
特に、共に1996年生まれで同い年のNonkulとBrightは、劇中かつてないほどの息の合った演技で最上のケミストリーを生み、視線や呼吸、細やかな体の動きの1つ1つにまでジョムとヤイを感じさせてくれます。

 

3.演技、映像、脚本、美術、音楽まで大絶賛の嵐!

本作は助演陣の活躍も輝かしい!周りの誰もが優れた演技力で視聴者を魅了し物語に引き込んでいきます。
また、まるで映画を見ているような奥行きのある映像美、しっとりと丁寧に描かれていくストーリーライン、徹底した時代考証と細部までこだわった小道具やセット、そしてドラマを彩るタイの人気バンド「COCKTAIL」や、フュージョンバンド「ASIA7」の主題歌に至るまでとことんまで追求。
その時代を背景に起こる社会問題や生活する人々の生き様をも映し出し、見る人の心を打つ珠玉の一作となっています。

 

ネタバレ感想

第1話

<あらすじ>
チェンマイで古い屋敷の改修に携わる建築家・ジョム。
そこで古い数枚の絵を見つけたジョムは、なぜか屋敷に懐かしさを覚える。
そんなある日、恋人のオームが留学先から帰ってくるが、突然別れを告げられて…。

建築家のジョムは、ふと誰かに名前を呼ばれたような気がして、改修している古い屋敷の扉を開けます。2階から声がする気がして階段を上ると、「起きてください、ヤイ様。準備してきますね」という誰かの声が部屋から聞こえます。部屋の中でジョムと呼ばれた男とヤイという男がベッドの上で裸で抱き合っている光景を見た気がして、緊張しながら部屋のドアを開けますが、そこには誰もいません。部屋の鏡を見ると、そこには自分ではない男が映っており、こちらを見つめて近づいてきます。
「ジョム!」と大声で呼ばれた声でハッと目を覚まします。どうやら夢だったようです。目を覚ますと、ジョムは机に向かい、ろうそくに灯りを灯します。夢の中で見た部屋のデザインを忠実に図面に引いていきます。

チェンマイ、2023年(仏歴2566年)。街中を車で走り抜けると、改修中の古い屋敷の中に入っていきます。工事の業者たちに挨拶をしている途中で、古い家族の肖像画を見つけ、不思議と惹きつけられます。
その時、パラーティップ邸の設計を変えたことを上司のタネートに叱りつけられます。客の了承は得たし自分のデザインの方がいいとは主張したものの、上司はこんなやり方を続けるならクビにするぞと脅します。

工事業者の取りまとめ役であるタンから2階に見てほしいものがあると言われ向かったジョムは、箱を見つけます。タンの部下のワオが見つけたようです。家主の妻から預かった鍵で箱を開けると、不思議と1発で開きます。箱の中には男が裸で寝そべっていたり、家の外観の描線が入っていました。箱は家の外に持ち出すことに。

ジョムは自室からオームに電話をしますが、一向に繋がりません。室内を写した画像を見ていると、なにやら人影のようなものが見えます。その時、部屋のドアがひとりでに開きます。部屋を見に行くと誰かがそこに立っていた…ように見えましたが、次の瞬間にはそこには誰もいません。
妹のソムジードから「彼から連絡はないの?あの人変よ。彼の地元で仕事して帰りを待つなんて尽くしすぎ」と小言の電話がかかってきて、ジョムはがっかりします。「あと数日で彼は戻ってくるから」と言いつつ、屋敷の改修を始めてから妙なことが立て続きに起こるため不安を隠せないジョム。自分と見知らぬ男性の姿を見たり、今改修している屋敷にとても見覚えがあるのだとソムジードに打ち明けますが、屋敷の守り神に好かれたのよと笑い飛ばされます。
タンから電話が入り、仕事の件かもと慌てて出るジョム。屋敷に行くと、あちこち雨漏りをしています。「昨晩は来てないですよね?あなたの声を聞いたような気がして」と言われ、訝しむジョム。「昨晩の暴風雨で木が折れて屋根に落ちたんです。それで雨漏りして水浸しに」と言うタンに、「瓦と木材の調達を迅速に。タネートには知られないように」と言いふくめます。
オームから「今夜会おう」と連絡が来たので、ジョムは「鍵はロビーに預けてあるよ」とウキウキで返事をします。

帰宅したジョムは、久々に恋人に会える喜びにウキウキしながら部屋のドアを開けます。

部屋にかけられた絵に自分たちの名前が書かれていることを不思議がるオーム。「ラウィット&トーサナーガーン」と署名が入れられています。ジョムは自分たちが住む家を描いてみたんだと言います。「できるなら僕自身の手で未来のために2人の家を設計したい。そうすれば本当の家族になれる」と言うジョムに、オームは「待っててくれるか?俺が留学から帰ってきたら一緒にその夢を実現させよう」と言います。悩むジョムですが、了承します。「帰ってくるまで絶対忘れないで」と約束するジョム。

ドアを開けるとオームに抱きつくジョム。オームは「会いたかった」と言いつつ表情が硬いままです。キスを仕掛けるジョムをオームは突き放します。そして突然「実は俺は結婚する。その人と会ったのは留学してすぐの頃で、すぐに付き合った。見知らぬ地で暮らすのかどんな気持ちか分かるだろ?誰かを必要としていた時に出会ったんだ。そして、いつの間にか愛に変わっていたんだ」と告白します。「僕のことは愛してないの?僕が何かした?」と泣きじゃくるジョムに、「気持ちは変わってないよ。すまない。こんなつもりじやなかった。きっと俺より良い人に出会えるよ」と言うなり、オームはジョムの引き止める手を振り払って荷物をまとめ、出ていきます。ジョムは「行かないで。話し合おう。納得するまで離さない」とオームに縋り付きますが、彼は「冷静になれ」と力任せにジョムを振り払います。「オームさんは2年間も僕が寂しくなかったと思う?ずっと待ってたんだよ!約束したじゃないか。どうして守れないの?僕の何が悪い?教えてよ」と泣きじゃくるジョムの前に、タバコを吸っている女性が現れます。「これが伝えたかったことだ。もう行かなくては」と涙するオーム。「吸うなと言っただろ」と女性をたしなめると、オームは彼女の乗っていた車に乗り込みます。呆然とするジョムは地面に突っ伏したまま動けません。

部屋に戻ったジョムは、2人のために描いた家の絵を破り捨て、彼との写真を飾っていた写真縦を泣きながら壊します。

クラブで酒を浴びるように飲むジョムは、「一緒に踊ってもいい?」と男に声をかけられます。ジョムの脳内では、オームがまだ優しい顔をして「愛してるよ」と語りかけます。その幻影を見たまま、ジョムは男に倒れ込むようにして意識を失います。
男はジョムを車に乗せると、彼に無理やりキスをします。思わず車内で嘔吐してしまい、男に「汚しやがって」と殴りつけられます。腹痛にのたうち回るジョム。

どうにか自分の車に乗り、夜の車道を走ります。やぶれかぶれな気持ちをどうすることもできず、めちゃくちゃな運転をしてしまいます。そんな時、ソムジードから電話が。電話に気を取られた瞬間、誤って対向車線に突っ込んでしまい、衝突を避けようとして道から放り出され、水没します。「来世は今世よりもいい人生が送れるように」と祈りながら沈んでいくジョム。
沈んでいくジョムの体を、水底から浮かんできた男が抱きしめます。男に口移しをされ、ハッとするジョム。水面に浮き上がると、必死の思いで岸まで泳ぎます。岸に辿り着くと、ジョムは寝転がって星空を見上げます。

そのまま大の字になっていると、明かりを持った男が近づいてきて、ジョムに声をかけます。「お前は誰だ?どこから来た?もしやロバート様を狙う悪人か?」と男に問い詰められるものの、ジョムは彼に汚物を吐きかけると、また卒倒してしまいます。

起床したジョムは服を着替えさせられて横たえられていることに気づきます。灯りを持っていた男はミンというようで、母親とジョムが何者なのかを相談しています。服装からして偉い人なのではと想像する2人。男と母は自分を養ってくれる「ロバート様」を尊敬しているようです。

自分の車や携帯はどこにあるのかと怯えながら尋ねるジョムですが、「何を言ってるんだ?北の言葉は分かるか?」と逆に尋ねられてしまいます。頭痛に苛まれるジョム。「あなたが僕を見つけた場所に連れて行ってほしい」と頼むと、そこは森のど真ん中の池でした。携帯を貸してほしいと言っても、ミンは携帯電話の意味が本気で分からないようです。
ミサンガが落ちていたからとミンはジョムに渡してくれ、警察にも連絡してくれるようです。

ミンの漕ぐ船で移動するジョム。車で行けばいいのにとジョムが言うと、ミンは俺なんかは船を持ってるだけで十分だと言います。ミンはカード・ルアンに連れてきてくれましたが、ジョムには見覚えがない街並みです。
屋台の女性に電話を貸してくれと言うと、電報なら知ってるけどと言われてしまいます。
みんなで民族衣装を着て携帯電話を知らないと言うけれど、一体何のイベントをしているのかと酒盛りをしている男たちに尋ねますが、男たちには何を言っているのかと逆上されてしまいます。
どこに行けばいいのかさっぱり分からないジョムは心細さのあまり、路地裏に逃げ込みます。

ジョムは屋台で男が読んでいる新聞を垣間見ます。そこには、「1927年10月7日」と書かれていました。そんな時、偶然泥棒とぶつかってしまい、落としたお金を払ったジョムが泥棒だと勘違いされてしまいます。そこにヨンが来てソムヨットという男がお金を入れたカゴを持って走って行ったと証言してくれて、ことなきを得ます。ミンはジョムがお金持ちではなく行くあてもない人間だと見抜き、警察署に行っても牢屋に入れられるだけだから生活していけるように取り計らってあげると言います。

今チェンマイを統治しているのは誰かと言うジョムの問いに、当然ケーオナラワット王だろと呆れるミン。ジョムは愕然とします。

空を舞う白い花。手元に落ちてきたその花を見たジョムは川辺で同じように白い花を見つめていた男と目が合います。
夢で自分自身と見知らぬ男を見たこと、裸体の男の素描が突然思い出されます。そこで急にミンが「船にヤモリがいる」と騒ぎ出し、ジョムは川に放りだれます。沈んでいくジョムを見て、男は川に飛び込みます。川の中で見つめ合う男とジョム。

 

第2話

<あらすじ>
舟から川に投げ出されたジョムは、ヤイに助けられる。
ヤイが夢の中で見た男性だった上、現代で改修をしていた屋敷の主人だと聞かされて驚くジョム。
そんななか、ジョムはヤイの計らいで庭師の助手として働くことに。

ジョムは抱きついて寝ていた男性をヤイ様と呼び、支度をせねばとベッドから起きようとします。まだ夜明け前だから寝ていようと頭を撫でられ、また寝入るジョム。しかし部屋の外から視線を感じ、さらには鏡の中からも男の視線を感じ…ヤイは「ジョム!」と叫びます。ベッドで息荒く目を覚ましたジョムは、呆然としています。

水辺で花輪を作っているヤイは、手を動かしながら、夢で乱れた心を落ち着かせようとしているとプリックに打ち明けます。夢は未来の予兆だそうですよと言われ、「夢の中で知らぬ男性と自分が親密そうにしていて、彼のことを昔から知っているような気がする」と言います。プリックは未来の予兆ではなく不満の現れではないか、旦那様の耳に入らないようにと注意します。

どこからか飛んできた花が、花輪の材料を盛った器に落ちてきます。その瞬間、ボートに乗っていたジョムとヤイの目が合います。ボートから落ちたジョムを助けに、すぐさま川に飛び込むヤイ。

ヤイがジョムにこの辺りに住んでいるのかと尋ねると、ジョムは慌てふためき逃げ出します。「僕は帰る!」と叫ぶジョムに、「帰れるのか?とりあえずヤイ様に感謝しろ。命を助けてくれたんだ」と呆れるミン。ヤイはテープニティタムとケーカイの子息で、パラーティップ邸の住人だそうです。美しいパラーティップ邸を見て呆然とするジョム。

追いかけてきたヤイに感謝するジョム。ミンが「迷い込んできたのですが記憶がないようで。お父様に会わせようかと…慈悲をかけてくださるかと」と言うと、ヤイは濡れた服を着替えたら母屋にいる母に一緒に会いに行こうと提案してくれます。

この時代の服が全く分からず女物を選んでしまうジョムを見かねたミンに服選びを助けてもらい、どうにか服を着替えます。
パラーティップ邸に入ったジョムは豪勢な内装に驚きます。ヤイが離れから出てきたことに驚く、母・ケーカイ。花輪を彼女に渡すと、悩みがあるのかと尋ねられます。今はもう落ち着いたと返すと、ケーカイはジョムを見て「この人の面倒を見ればいいの?」と彼に尋ねます。名前は何なのか、どこから来たのかとケーカイが尋ねてもジョムは押し黙ったままで、彼女はジョムは信用できないから警察に突き出すべきだと言います。警察は困る、記憶が戻ったらすぐに出ていくと縋るジョム。ヤイは力仕事でも何でも働いて貰えばいいと助け舟を出します。ケーカイは夫に迷惑がかからないように好きにしたらいいと突き放します。

使用人のカムティップはメーンに「あんたの作る飯がまずいからウアンプン様がお食べにならなかったよ」とからかい、喧嘩寸前になります。2人を仲裁するプリック。ジョムは庭師として働くスヤ爺さんの助手になることに。スヤ爺さんは自分の仕事を取られるのかと慌てますが、彼の娘・ラムヤイはどこの馬の骨かわからないジョムを警戒し、追い出したがります。

使用人たちと食事をするジョムですが、彼らがみんな腐った肉「ヌアナオ」やカエルの和物「ナムプリックヌン」、豚の脳みそ「ホーモック」を食べているのを見て、あまりのゲテモノっぶりにまた吐き気を催してしまいます。ミンは「食べれば力が出る」と美味しそうに平らげていきながら、ジョムにも食べさせてくれます。

ウアンプンに付き従いながらも、「霜が降りたらお風邪を召しますよ」と使用人のムーイは注意しますが、「家にいると息が詰まるの」と言われ、口を黙み彼女と歩みを進めます。
ウアンプンは自分が見つかった場所をうろうろしているジョムを見つけ、じっと彼の様子を見守ります。

ジョムは川に飛び込み、ウアンプンはムーイに人を呼んでくるように頼みます。川から上がったジョムはウアンプンを見つけるなり、「ジードじゃないか!僕が何を見てきたと思う?僕だよ。ふざけないで」と彼女に迫ります。ウアンプンは悲鳴をあげ、「やめろ!俺の妻だぞ!」と男に突き飛ばされます。ミンが慌てて飛び出してきて、「こいつ二度も溺れて頭がおかしくなってるんです」と庇ってくれますが、ジョムは呆然としたまま謝ることもできません。男はウアンプンの夫・ロバートのようです。「今すぐ消え失せろ」とロバートは激怒しますが、そこにヤイが現れ、「僕が雇いました。だから僕しか解雇することはできません」と言い放ちます。おかげでどうにか場を納めることができました。

ミンはジョムに「ヤイ様が来なかったら俺と母さんは罰を受けてた!ここにいたいなら俺たちに迷惑をかけるな!」と激怒します。ヤイから「姉に何かするつもりだったのか?」と言われ、「知人に似ていたんです」と弁解するジョム。なら何か思い出したのではと問い詰めるヤイから逃れるように、ジョムは慌てて寝床に戻ります。

ウアンプンを探すカムティップ。ウアンプンはロバートから「あそこで何をしてた!夫のいる女としてあるまじき行為だ」と糾弾されますが、「私はそんな女じゃないし、私に興味がまだあったの?もう1人の妻を迎える儀式をしようとしているじゃない。でも誰もあなたを咎めず、むしろ祝福してる。女なら罰せられて世間から非難されるのに。あなたは式の準備に専念すればいいわ。私は反対するつもりはないから、新しい奥さんと幸せに暮らしてちょうだい。失礼するわ」と言い返し、屋敷に戻ります。

蚊帳の中でミンと隣り合って眠ろうとするジョムですが、知らず知らずのうちに頬を涙が伝います。涙を押し殺すジョムに気づいたミンでしたが、嗚咽を聞こえなかったふりをしてやります。

翌朝、ジョムがスヤ爺さんに言われるがまま飼われている鶏に餌をやっていると、ヤイの弟・レックが飼っている子豚が逃げ出し、大騒ぎに。難なく子豚を捕まえる彼に驚くプリック。実は昔ソムジードが飼っていたので躾けたことがあるのです。そこにレックがやってきて、子豚を躾けてくれと頼みます。転生モノでは大体主人公は偉くなるはずなのにとボヤくジョム。今日は子豚の世話をすればよく、庭の仕事の手伝いは明日以降のようです。子豚には名前がないようなので、ジョムはホープと名付けます。「ここにいる間、僕の希望になるんだから」と言うジョム。それを立ち聞きするヤイ。

ミンに改めてお礼を言うジョム。「お礼はいいから徳を積め」と言い返されます。今日あったことを報告してくるジョムに、ミンはなぜそんなことをするのかと渋い顔。「レック様は普段学校にいてあまり家にいない。全寮制の学校だから寂しくて豚を飼ってるんだろう。そういえば何か思い出せた?追い出すわけじゃないけど、いいところがあったら行けよ」と言うミン。ミンは船の漕ぎ方を教えてやると、ジョムに櫂を持たせます。

鏡の前で身だしなみを整えるヤイ。「もうすぐ招魂の儀式の時間です。なぜ行くことにされたんです?ロバート様の第二夫人の式なのに」と呼びにきたものの心配そうな使用人に、ヤイは「姉さんが心配だから様子を見たいんだ」と答えます。

ジョムが厨房に来ると、使用人が急げと騒ぎ立てています。「騒がずに手伝ってよ」とジョムが言い返すと、「調理場で十分手伝ったさ!屋敷の中になんか入りたくもないね。あの女…あのお方!」と使用人はさらに言い返してきます。
スヤ爺さんの仕事は終わったから手伝いたいとミンの元に行くと、「これはロバート邸の使用人の仕事だ。手伝うにはロバート様の命令がないと」と断られます。しかしジョムに頼まれ、やれやれと仕事を融通してやるミン。

庭で一人タバコを吸うロバートのもとに、友人のジェームスが近づいてきます。「招待客はほとんど呼んでない。同業者たちが来たとしてもまた同じ目で俺を見るだろう。第二夫人もラオス系だから」と怒りを露わにするロバートに、「おめでとう。そして別れの挨拶もさせてくれ。じゃあまた」と言って彼は帰っていきます。

屋敷に入ったヤイは、ウアンプンに出迎えられます。「様子を見に寄ってみたんだ」と言う彼に、ウアンプンは「招魂の儀式はあの人がやりたがってるだけ。気にしないで。私の体も心も大丈夫よ」と微笑みます。「姉さんが元気ならよかった」と淡く微笑むヤイのそばを、ミンとジョムが頭を下げながら通り過ぎていきます。ウアンプンは「あなたはあっちの心配をしなさい。あの使用人がいるのを夫が見たら、おめでたい式が台無しよ」と忠告。ヤイはジョムの後を追いかけます。

儀式の道具を持ってきたミンとジョム。「お前はそれを置いたら外にいろ。ロバート様に見られるな。殴りかかろうとしたのを忘れたのか?いると気づかれたら屋敷から追い出されるぞ」とミンはジョムに言い含めます。そこでミンはムーイから声をかけられます。「今日はいつも以上に綺麗だね」と嬉しそうなミンに、「普段通りよ」と照れるムーイ。儀式の準備は終わったので、そろそろ第二夫人が到着する頃です。ジョムはミンの片想いに気づき彼を揶揄いますが、そこにヤイが現れて「ここで何を?」と尋ねます。「義兄に見られて大事になる前に外に出よう」とジョムに声をかけます。しかしちょうどその時、ロバートが第二夫人を連れて現れてしまいます。
第二夫人はオームを寝取ったあの女と全く同じ外見をしていました。衝撃のあまり声を出せないジョムに、ヤイは「僕に隠れるようにして。外に出よう」と声をかけます。

外に出た瞬間、ジェームスにぶつかってしまうジョム。とっさに英語で謝ってしまい、ジェームスに「英語を話す使用人がいるとは驚きだ」と言われてしまいます。そこにヤイが現れ、「僕の使用人が何か迷惑を?」と尋ねます。ジェームスが「彼は興味深いですね」とジョムを見つめながら言うので、ヤイは「林業会社の幹部のあなたならうちよりも興味深い使用人がいるのでは」と火花を散らします。そそくさとその場を後にするジョム。

招魂の儀式が始まりました。儀式の最中、ヤイは先に外に出ます。ジョムは外から屋敷の中の様子を伺っていました。突然ヤイに話しかけられ驚きます。「どうして君は私と会うと幽霊でも見たみたいに驚くんだ?」と言われ、「今あまり体調が良くなくて」と言い訳をしますが、ヤイから手で熱を測られさらに動揺してしまいます。
「招魂の儀式は見たことがある?古い言い伝えでは魂は体に宿っていて、魂が体を離れると病気になったり不幸が起きたりすると言われている。君の元を離れている魂を私が呼び戻そう」と言うなり、ヤイはジョムに腕を出させ、白い紐を結びつけます。「ジョム君の魂が戻ってきますように」と祈るヤイ。2人の間に流れるぎこちない空気。

その晩、ジョムはヤイに結んでもらった紐をじっと見つめていました。また庭をふらふらと歩き回っていると、第二夫人が「カムセーン」と名を呼びながら庭を探し回っています。「フォーンゲーウ」と言うなり草陰から現れ、彼女を抱きしめたカムセーンはまさにオームその人。ジョムは必死で目眩をこらえます。

 

第3話

<あらすじ>
ジョムは、フォーンゲーウとカムセーンが船着き場で会っているのを目撃。
その場から立ち去るが、カムセーンに黙っていてほしいと懇願される。
オームとそっくりなカムセーンからの頼みに混乱するジョムだったが…。

フォーンゲーウは危険を犯してこんなところまで会いにくるなんてと嗜めますが、カムセーンは「ここの外国人に買われたなんてブンから聞くまで知らなかった」と憤ります。「もし知ってたらあなたは止めたでしょう。それにうちの店は火事で焼けて何も残らなかった。母さんのためにもこうするしかなかったの」と言うフォーンゲーウに、カムセーンは一緒に逃げようと言います。そこにフォーンゲーウを探す使用人のカムティップの声が。ジョムはこっそり逃げようとしますが、カムティップに見つかってしまいます。

カムティップは「この女が男と逃げようとするのを見た」とロバートに進言します。ティップは証拠を持ってくるようにロバートに言われ、ジョムも現場を見ていたと言います。ロバートはムーイにジョムを呼んでくるように怒鳴ります。ムーイはジョムを探しにきましたが、布団はもぬけの空です。ミンに事情を説明するムーイ。

ジョムが庭を彷徨っていると、カムセーンから呼び止められます。「見たことを言わないでほしい。彼女が罰を受けることになる。彼女は苦労ばかりしてきたんだ!」と叫ぶ彼に、「あなたと関わりたくない」ともがくジョム。「俺と彼女の愛を見守ってくれ」と頼み込まれ、ジョムは呆然とします。そこにミンが探しに来て、フォーンゲーウの浮気現場を見た件についてロバートが呼んでいると言います。「俺は助けてやれない。ロバート様に話せ」とジョムを連行するミン。

ロバートが怒っていると言われ、萎縮するジョム。「勤務時間外なんだから多めに見てやってよ」とウアンプンが言うと、「最近お前は反抗的だな」とロバートはさらに激怒。フォーンゲーウの浮気現場を見たのかどうかと尋ねられるも、黙りこくるジョム。ロバートは「俺の時間を無駄にした罪で2人とも罰する」と言い出します。そこにヤイが現れ、「僕の使用人に関することですから来ました。これまでは両家に争いが起きなかったから黙っていたのです」と言います。「誰にも無関心だったくせに」とロバートは吐き捨てますが、ヤイは「見たままを言えばいい」と促します。ジョムは現世で彼女にオームを寝取られたことを思い出し、彼女が男と会っていたところは見たが、彼が浮気相手かは分からないと証言します。悔しげなティップ。ヤイはジョムを連れて帰ると言い、2人はその場を後にします。ウアンプンも自分には関係のない話だからと部屋に戻ります。
ロバートはフォーンゲーウを睨みつけます。

自室に戻ったウアンプンは、ロバートがフォーンゲーウにどんな罰を与えるのだろうかと彼女を憐れみます。「考えすぎないで、道はある」とウアンプンをタメ口で励ますムーイ。

「お前みたいな女を妻にしたから同業者の外国人たちから軽蔑の目で見られるんだ。お前の家族を助けてやったのにまだ俺に迷惑をかけるのか」とウアンプンを責め、彼女を組み敷くロバート。
ミンのもとにヤイとともに戻ってきたジョム。実はヤイはミンが呼んだのでした。ヤイは「母にジョム君に何かあれば私が解決すると約束したからね。でもこれ以上ここには置いておかない。解決策を見つけるまで面倒を見てやってくれ」とミンにジョムを頼んでいきます。

ケーカイは今晩の騒動を心配し、彼女の使用人であるプリックは「ジョムが来てから家には悪いことばかり…」と顔を曇らせます。ミンはケーカイにジョムの処遇について相談します。

ミンはジョムを誘って庭で酒とつまみを広げます。フォーンゲーウがどんな罰を受けるのか心配なジョム。
ミンはランバーンの権力者に仕えていたものの、彼が失脚したのでロバートに仕えるようになったのだと言います。俺たちの人生は仕事と酒の繰り返しだとため息をつくミン。

翌日、カムティップはフォーンゲーウがロバートの部屋に引き摺り込まれ、大きな音がしたのを聞いたと自慢げに言います。今朝フォーンゲーウが泣きながら川で服を洗っていたと聞いて、ジョムは不安になり、急に立ち上がります。いい気味だと叫ぶカムティップ。フォーンゲーウのもとに来たジョムは、「こんなことになるなんて」と謝ろうとしますが、「誰のせいでもない」と彼女は洗濯を切り上げて帰っていきます。

ホープに話しかけるジョムにジェームスが声をかけます。ジェームスはホープを躾けるコツを聞いてきたので、音で躾けるのだと教えてやります。外国人たちのクリスマス会で競技に出したいからうちの豚も躾けてくれと言われ、ジョムは戸惑います。
そこにヤイが現れ、2人の会話を割きます。「ロバートに会いにきたらジョムがいたので話しかけたんです」と言うジェームスに敵意を見せるヤイ。ヤイは午後にカード・ルアンまで船で連れて行ってくれと頼んできます。

ご機嫌なジェームスを揶揄うロバート。今年のクリスマス会はどうするのか、森林局の者たちも噂していると言うジェームス。ロバートは豚の調教師を探していると言い、レースで買って賞金を貰いたいし、より多くの森林の権利も貰いたい、あいつらに恥をかかせてやりたいとニヤつきます。ジェームスはジョムが良い豚の調教師だと思うがと言うと、ロバートは何やら考え込みます。

ヤイは洋服屋に行くと、ジョムの服を仕立てさせます。ヤイは楽しげ。外出の時に困らないようにということですが、ジョムはされるがままの着せ替え人形状態です。買い物を終えると、母に買うものがあるから散歩でもしていてと言われます。
服を見ていると、鏡越しにカムセーンを見つけ声を失うジョム。同じ身分だから分かってくれると思ったのにとジョムに掴み掛かり、彼女の手紙には「私のことを忘れてと書いてあった!これがお前のしたことだ!殺してやる!」とジョムの首を締め上げます。「なんで僕だけのせいなんだ?全員のせいだろ!」とジョムはカムセーンに馬乗りになって彼を殴りつけます。「今世で俺たちが幸せになれないなら、お前も幸せになれると思うな」とカムセーンは睨みつけます。そこに彼の母が現れ、「酔うと乱暴になるんです、すみません」と謝りながら彼を引っ張って出ていきます。彼の母は「喧嘩を売った相手を誰だか分からないのかい!フォーンゲーウの母も喜んでる、あんたは家業を手伝えばいいんだよ」と激怒しますが、カムセーンは「フォーンゲーウだけを愛してるんだ」と泣き崩れます。カムセーンの母は「人生はそういうもんだよ。受け入れなさい」と息子を抱きしめ、「俺の何が悪いんだ。こんなに愛しているのに」とカムセーンはただただ泣きじゃくります。

夜に1人で川を眺めるジョム。「僕を家に帰して」と願いながら、水に手を入れます。しかし、何も起こりません。「家に帰してよ」と泣きじゃくるジョム。それを見つけたヤイは、「ここの生活はどう?話したいことはない?無理にとは言わない。誰だって誰にも言えないことがある」と窺うヤイ。「混乱しています。自分がまるで場違いに感じる時が、ヤイ様にもありますか?どうしてこんな悪いことばかりが僕だけに起こるのか…僕は何も悪くないのに。分からなくて。どうしてこんな目に遭うんだろう。ここに来たのは何かの罰なのか…分からなくて」と泣きじゃくるジョムに、「今日の出来事でジョム君は元いた場所を思い出したんだけど。その記憶が君を苦しめるなら忘れなさい。心を空にしてまた始めればいい。」とヤイはアドバイスします。
オームに振られた時のことを思い出し、彼からもらったミサンガを握りしめ、川に思い切り投げ入れるジョム。涙が溢れて止まりません。ジョムの背中をヤイが優しく撫で続けます。

帰り道、ジョムは「感謝しています」とヤイに頭を下げます。ヤイはジョムを呼び止め、「君の幸せを祈ってる。たとえそれが夢の中でも」と微笑みます。ジョムは「君の魂が戻ってきますように」と祈ってくれたヤイのことを寝床で思い出しながら眠りにつきます。

ホープに餌をあげて「僕がいなくなったらこんなに美味しいものは食べられないぞ」と言いながらかわいがるジョム。「君の様子を見に寄った。ホープと楽しそうにしているから安心したよ」とヤイに言われ、「なぜそんなに親しげにジョムと呼んでくださるので?」と不思議なジョム。ヤイはなんとなくそう呼びたいからと微笑みます。ジョムは「今までのことでここの人たちが僕を必要としているか分からないんです。前にヤイ様もここにいるべきではないと仰いましたよね」と伏し目がちに言います。「ジョムは私が雇ったのに、義兄のミンと住むのは適切ではないと言いたかったんだ。ホープは君が名付けたのか?もしかして意味を知ってる?」と問われ、静かにうなづくジョム。「君は他の人と違う。ジェームスと英語で話しているのを聞いたんだ。だからジョムには私のところに来て欲しい」と言うなり、ヤイは「執事として働いてくれないか?」とスカウトします。満足げにうなづくヤイ。

 

第4話

<あらすじ>
ジョムを案じたヤイは、ケーカイにジョムを執事にしたいと相談する。
そんなヤイの願いでパラーティップ邸の離れを訪れたジョムは、プリックから日々の振る舞いや、ヤイの身の回りの世話について厳しく指導を受ける。

ケーカイにジョムを自分の屋敷に住まわせたい、執事にしたいと頼むヤイ。父に執事のジャンが同行してよく不在にするため、ジョムで穴埋めしたいと言いますが、プリックは「彼をそばに置けばそこで問題を起こすはず」と進言。「私は彼を信用していないわ。問題は父さんよ。素性の分からない人を執事にしたらきっとまた仲違いするわよ」と注意するケーカイに、「僕がなんとかします」とヤイは胸を張ります。

「向こうの屋敷に行ったらどうなるか不安だ。知り合いもいないのに」とうじうじと心配するジョムに、ミンは「俺は賛成だ。向こうの屋敷の方がいい。向こうの屋敷に行っても友達なのは変わりない」と勇気づけます。
ヤイと共に彼の屋敷に来たジョムは、「最初は大変だろうがプリックに習って父・テープニティタムの帰りに備えよう。今は公務に出向いているが、そろそろ帰ってくる。厳格な人だ。会えば分かるよ」と説明されます。豪華な寝室をあてがわれ、喜ぶジョム。「これでやっと同じ家に住めるな」と微笑むヤイに、ジョムはどう反応したら良いのか分かりません。

ヤイの屋敷はテープニティタムが公務でこちらに来てから母屋を建てた後に客人用に建てた新築なのだそうです。プリックは余計なことは詮索せず仕事に集中しろとジョムに忠告します。ジョムの仕事は、毎日ヤイより先に起きて、その日の服や持ち物を用意することです。服の選び方やベッドメイキングの仕方、水浴び用の水の作り方などを逐一教えられます。ヤイはラントム(プルメリア)が小さい頃からお気に入りらしいのですが、木から落ちた花には毒があるので、水につけて樹液を落とすようにと注意されます。
ヤイに持っていく軽食のロティを渡され、「公務以外の夕べは書斎か川縁の東屋で読書されているから必ず軽食をお待ちするように」と言われます。ヤイは20歳らしく、大学に行かずとも公務を教える先生が家に来てくれるのだそうです。いずれは父を継いで役人になるようですが、プリックは言葉を濁します。軽食を持っていこうとするジョムを留めると、「夜は外に出てはいけないよ。国の情勢が揺らいでいて反対勢力が暴れているらしい」と注意します。

ヤイにロティを持って行ったジョムはぼんやりそれを眺め、美味しそうだとつぶやきます。ヤイはルッティと言いなおし、母の好物なのだと説明します。ヤイはジョムに食べてごらんと差し出してくれます。そして疲れたから本の読み聞かせをしてほしいとねだってきます。内容があまりに淫猥かつ下劣なので思わず表情が険しくなります。内容はプラーイゲーウという男がピムという女性と寝た後に乳母まで襲う話で、乳母に抵抗されないよう呪文までかけていました。こんなのは犯罪だと激怒するジョムに、「まるで違う時代の人が話しているみたい」と不思議がるヤイ。

ミンに「仕事が増えた」と愚痴るジョムですが、「ここにいればロバート様から嫌がらせを受けただろうからよかったよ」と慰められます。「僕は嫌われてるからな」と自嘲するジョムに、「何もできないくせにヤイ様の執事になって、私だけじゃなくみんなあんたを嫌ってる。あんただってこの屋敷から出たくても母親のせいで出られやしない!」とラムヤイは煽ります。

いつも読書をしているウアンプンを本の虫だと揶揄うムーイ。「勉強しておけば、いつか何かあった時に利用されないように自分の身を守れるからね」と言うウアンプンに、「どうしてお父様に頼まないの?」とムーイは尋ねます。「頼んだって同じことよ」と諦めたように言うウアンプンに、ムーイは悲しげな顔をします。その時突然激しくドアがノックされ、ウアンプンは本とともにムーイに隠れるよう指示します。使用人が夜、家にいるとロバートが知ったら大事になるからです。
ロバートは入室するなり、「最近君は妻の務めを果たしてない」と責めます。ロバートの手を避けるウアンプン。ロバートはクリスマスに使う豚の競技にウアンプンを誘いに来たのでしたが、他の外国人妻たちに値定めされるのが嫌だからと断られます。ロバートは豚の調教はジョムに頼むつもりだと言うので、ウアンプンは「あなたが非難した相手に頭を下げるなんて」と笑います。「誰をどう利用しようとご自由に」と冷たく突き放すウアンプン。ウアンプンを心配するムーイですが、ロバートの機嫌が悪いから今夜はもう帰ってと宥められます。

ロバートに体を無理やり開かされたフォーンゲーウは、その時のことを思い出し、部屋で1人涙していました。ウアンプンに拒絶されたロバートはまたフォーンゲーウを無理やり犯します。

屋敷を出たムーイとばったり庭で出会うミン。よかったら酒でも飲まないかと誘います。噂好きではないムーイはジョムがヤイの屋敷に移動したことを知らず、ミンから教えられて驚きます。物憂げなムーイの相談に乗りたいと言うミン。「恋をしてはいけない人を好きになったことは?」と言われ、ミンは「まさに今だ」とムーイに打ち明けかけますが、勇気が出ずに言葉を飲み込んでしまいます。
ムーイが寝床に戻ると、あまりの酒臭さに他の使用人から「あんたがそんなんだと私の躾が悪いと怒られる」と怒られますが、ムーイは心配されていることに嬉しくなります。

酒を飲んで帰ったミンは「ロバート様は酒飲みがお嫌いだよ」とプリックに小言を言われますが、「酒が嫌いなのは母さんを捨てた父さんを思い出すかだろ」と言い返し、2人は険悪な状態に。

母屋の方が部屋が広いのになぜ離れで眠るのかと不思議がるジョムに、ヤイは言いにくそうに離れの方が落ち着くのだと言います。「私が眠れない時、何をしてくれる?」と尋ねるヤイに、「背中をかくのはどうですか?子供の頃はそれでよく眠れました」と提案するジョム。「してくれる?」と甘えるヤイにジョムは遠慮がちに微笑みます。
「ヤイ様はどうして僕を執事に選んでくださったんですか?」と尋ねるジョムに、「執事とは一番近い存在だ。友人でもあり、世話人でもある。だから本当に信頼できる人じゃないと。そうなる運命だったんだ。最終的には父さんが決めることだけどね」と答えるヤイ。
ジョムは自室に戻ると現代で着ていた服を見つめながら、オームに振られた時のことを思い出します。

翌日から勢力的に仕事に取り組むジョム。ヤイに教えられながらタイプライターの使い方をマスターします。段落ごとに空白を入れるのを忘れがちなジョムに、手を添えてやり直させるヤイ。

レックが飛行機の絵を描いてもらいたいとヤイの屋敷にやってきます。ヤイが描いてあげますが、レックは気に入らないようです。恥じるヤイにジョムは絵を見せてほしいと頼みます。「かわいい」と微笑むジョムに気をよくするヤイ。
レックは次に父に見せたいからホープの絵を描いてほしいとジョムに頼みます。ホープを見ながら描いていると、突然突風が吹き荒れます。その後、周りにいたはずの人々が急にいなくなってしまいます。豚の絵を描く自分から幽体離脱し、どこからか聞こえるオームやタンの声に思わず走り出すジョム。レックに声をかけられはっと正気に戻りましたが、ヤイたちは不審げな目で彼を見ています。
そこにロバートが通りかかり、ジョムがホープの調教をするところが見たいと言い出します。「もし勝てたら褒美をやる」と言うロバートに、「ジョムは今僕の執事ですからお断りします。彼の仕事は山ほどあるので」とヤイは冷たい態度を崩しません。ロバートは引き下がったものの、「一生関わらないでおいてやる。だが忘れるな。これは我が一族の名誉のためだ!お前が反対するなら仕方ない」と捨て台詞を吐いて去ります。

プリックはヤイを呼び出すと、「ジョムはいずれ問題を起こすと私は言いましたよ。ロバート様は旦那様のお気に入りなんですから、何か言ったらどうするんです」と叱りつけます。「私の決断を信用してくれないか?もう子供ではない。知ってるだろ?これまで私には自分で決める機会などなかった」というヤイの言葉を聞いて、プリックはしぶしぶ賛成します。

酒を飲んだくれているカムセーンは、同じ酒場にいる男たちの会話を耳にします。羽振の良い男は「外国人の仕事を請け負ったんだ。ある母娘を立ち退かせる仕事だよ。危ない仕事だった。残念だ、追い出した娘は美人だったよ。結婚したらしい」と友達に話します。フォーンゲーウのことだと思ったカムセーンは彼らに喧嘩を売りますが、逆に袋叩きに遭ってしまいます。

朝から元気いっぱいに屋敷内を走り回るレック。テープニティタムが帰ってきたのです。ジャンに荷物を片付けさせると、ケーカイに「良い知らせがある」と顔を綻ばせます。レックは見せたいものがあると言い、プリックに絵を持って来させます。「兄さんの新しい執事が描きました」と言うレックを前に、テープニティタムの顔色が変わります。
テープニティタムはヤイとジョムを呼びつけると、ジョムの家柄などを詳しく問いただします。「もし問題を起こしたらどうする?」と言うテープニティタムに、「僕が全ての責任を負います」と言うヤイ。「仕事をさせてみなさい」とタイプライターでタイ語と英語の文章を打たせるテープニティタム。出来を見て悪くないとは言いつつも、「だが信用したわけではない。記憶が戻ったわけではないからな」と渋い顔です。「父さんの選択に従えばいいの?自分のことは自分で決めます。口出ししないでください」と言うヤイを無視し、テープニティタムは「良い知らせが台無しになるから言い争いはしない。今晩ソーラデートさんが来るから着飾りなさい」と指示します。

ヤイを着替えさせるジョム。「こんなに厳しい方だとは。心配です」と言うジョムに「すぐに慣れる」と安心させるヤイ。「どうしてそんなに僕を助けてくれるんですか?」とジョムが尋ねると、「自分で自分の望むものを選びたい。それだけだ」とヤイは恥ずかしそうに言います。「今夜は君は先に寝てて。僕は遅くなるからゆっくり休んで」と言うと、ヤイは屋敷を出ていきます。

ジョムは屋敷の玄関口でずっとヤイを待っていました。泥酔して帰宅したヤイ。ヤイはジョムを見るなりほっとしたように抱きつきます。ヤイを寝室に連れて行くと、彼は「私のジョムだ。てっきりまた夢かと思った」とうわごとのように言います。飲み物を持ってこようとしますが、ヤイはジョムの手を離さず、「そばにいてくれ。行かないで」と彼の膝枕に寝始めてしまいます。

ジョムが「旦那様とケンカを?」と尋ねると、ヤイは無言になります。「今何を考えてる?昔の恋人を思い出してたのか?」とヤイに尋ねられ、「そんな人いませんよ」と嘯くジョム。「1人もいなかったのか?」と尋ねるヤイに「終わったんです」と言いながら彼の服を緩めていると、「”酔ったのは酒のせいじゃない。愛のせいだ。どうして気持ちを抑えられよう。酔いなら次の朝には消えるのに。心の酔いは毎晩蘇る”」とヤイはジョムを見つめながら言います。スントーン÷プーの詩ですねとジョムが返すと、「愛する人なら私には1人だけで十分だ」とヤイは言います。ヤイはそのままジョムの手に頬を擦り付けて寝てしまいます。
その時、ジョムは現代で絵を見つけたことを思い出します。

 

第5話

<あらすじ>
ジョムはミンがメーンの身代わりとなり、ロバートから罰を受けたことを知る。
ミンを案じたジョムは、ヤイにロバートへの不信感を明かす。
ヤイは両親に相談するが、父から噂話に耳を貸したことをたしなめられる。

ベッドに半裸で眠るヤイをデッサンするジョム。突然電気が消え、ジョムが辺りを見回すと、部屋のドアがひとりでに開きます。風を感じて恐る恐るドアの外を見に行くと、「気をつけて運べ!この家は霊に取り憑かれてる。永遠に修復が終わらない」とタンが文句を言っている様子が見えます。タンに必死で呼びかけますが、彼は空耳と勘違いして家から出て行ってしまいます。何度もタンの名を大声で呼ぶジョム。ヤイは狂ったように叫ぶジョムを案じます。「何かが見えた気がしたけど…気のせいでした」と落ち込むジョムに、「元いた場所が恋しいんだね。誰かの名前を呼んでいただろう?」と慰めるように言うヤイ。ヤイは「君は私とここにいる。この家は君のもう一つの家だと思ってほしい」とジョムを抱きしめます。ヤイを抱きしめ返すジョム。

ヤイのベッドメイキングをしていたジョムは怪しげな風ににわかに緊張しますが、ヤイが出てきたことでほっと胸を撫で下ろします。「ジョムに聞きたいことがある。昨晩、私は君に何かしてないか?私は泥酔していただろう?」と心配するヤイに、「しました。”この家は君のもう一つの家だと思ってほしい”って言いながらこうやって眉間をマッサージして」と彼の仕草を真似ます。するとヤイは、「安心した。心配だったんだ。正気を失って君に迷惑をかけたんじゃないかと。だって君は僕の…」と言いかけ、慌てて部屋を出ていきます。

落ち葉を集めていたジョムのもとに、「テープ様に渡す資料を預かってきた」と言いながら近づいてくるミン。ミンの顔に大きなあざができており、ジョムは驚きます。
ムーイから調理場に呼ばれたミンはメーンがロバートから鞭打ちの罰を受けていることを知らされます。「母さんが何をしたって言うんですか!」と食ってかかるミンに、「俺が匂いを察知して確認させなければ、調理場で火事が起きるところだったんだぞ!」と激怒するロバート。ミンはメーンの代わりに鞭打ちの罰を受けると申し出ます。なぜ自分を助けたのかと文句を言いながら、ミンのために打ち身用の薬草を塗ってやるメーン。

部屋をちょこまかと動き回るジョムが気になるヤイ。「何か気になることが?」と問うヤイに、「ロバート様はどんな方ですか?正直に言うとあまり良い印象がなくて」と打ち明けるジョム。ヤイは「そう思ってるのは君だけじゃない。彼と初めて会った時から嫌な予感がしたが、言い出せなかった。彼は父のお気に入りだから」と告白します。「昼間、ミンと会いました。ミンはロバート様から鞭打ちを受けたそうなんです。ミンは大丈夫なのか心配なんです」と心配するジョムを、「両親にその話をしてみよう。もし大事からうちの耳にも入ってるはずだ」と勇気づけるヤイ。

翌日、両親とランチを食べるヤイは顔色が優れません。ケーカイがヤイの体調を心配すると、彼は「姉さんが心配なんです。実は向こうの家で高齢の使用人が罰を受けたそうなんです」と言います。不安げなケーカイとヤイに、テープニティタムは「ロバートはあの子に敬意を払ってるから何かするはずがない。使用人の噂話を間に受けるな」と怒ります。「そうですよ。向こうの使用人は碌なもんじゃない。ロバート様は見せしめとして罰されたのでは?」と同意するブリック。「最近、口を挟みすぎるんじゃなくて?私たち家族のことは私たちが決める。あなたには関係ないわ」と静かに声を荒げるケーカイ。

1人きりで桟橋で水面を見つめるジョムを、誰かが呼んでいます。声の方に向かうと、そこにはカムセーンが。「フォーンゲーウに話がある。家族のことなんだ。手紙を渡してくれ。君の他にツテがない。それにもしこの前のことで罪悪感があるならこれでなかったことにしよう」とカムセーンは頼んできます。ジョムは明日手紙を渡すと約束しますが、「条件がある。僕が手紙を渡したら今後一切あなたたち2人とも僕に関わるな」ときっぱり言って去ります。

フォーンゲーウの部屋に向けて小石を投げるジョム。ベランダに出てきた彼女に、手紙を見せると、彼女に分かるように大きな木の枝にそれを挟んでジョムは立ち去ります。フォーンゲーウは枝から手紙を取るとすぐにそれを読みます。

川べりで読書しながら軽食をとるヤイ。花輪を作るヤイを見て、「普通、息子に教える家庭は少ないのに」と不思議がるジョム。「小さな頃に母に習ったんだ。子供の頃、私は病気がちでね。母は私の体と魂が離れてるからだと思って、花輪と招魂の儀式の飾り作りを。その頃から体調が好転したから、悩み事があると花輪を作るのが習慣になってるんだ。ジョムも悩み事があるだろう?一緒に花輪を作る?」とヤイから誘われます。ヤイに習いながら花輪を作るジョム。互いの手が触れ合いドキドキしながら、作業を進めていきます。ジョムの作った花輪を「満点だ。初めて作ったとは思えないよ」と絶賛するヤイ。

その日の夕方、フォーンゲーウは布を裁断しながら物思いに耽っていました。夜になると、切った布に匂いをつけるため煮る作業をこっそりと進めます。作った赤いワンピースを体に当て、鏡を見つめるフォーンゲーウ。

翌朝、カムティップにロバートはまだかと尋ねるウアンプン。ムーイに止められてもなお、カムティップは「フォーンゲーウは恐ろしい女ですよ。昨晩、娼婦のように真っ赤なドレスでロバート様を誘うのを見たんです。彼女の本性はいずれ分かりますよ。この目で見たんですから」とウアンプンに必死で訴えます。そこに真っ赤なドレスを着たフォーンゲーウを連れ立ってロバートが現れ、「これからはフォーンゲーウも一緒に食事をする。同じ物を準備しなさい」と使用人たちに命じます。ムーイは「あなたが彼女に何かされないか心配よ」と不安がりますが、「彼女を迎えたのはこのためよ。彼女が私より愛されるのはいいことでしょ?ムーイ、私たちが考えた通りに事は運んでる。心配しないで」とウアンプンは彼女の手を握って勇気づけます。鏡の中で微笑み合う2人。

また1人で桟橋にいるジョム。花輪に「僕の苦しみが花輪と共に流れていきますように」と祈り、川に流します。
そこに突然ボートが流れ着き、プックと名乗る女性が「プリックを知ってるね?彼女に用事がある。助けてくれ」と縋ってきます。

レックと鬼ごっこをするジョムは疲れ果てています。それを楽しげに見つめるヤイ。「そういえばブリックが消えたらしいね」「ラムヤイが言うには、奥様が激怒してるって。これじゃひどく打たれるだろうね」と噂話をする商人たちを追うジョム。
ケーカイは使用人たちのミスを見つけては叱りつけているところでしたが、そこにジョムが現れ「ブリックさんをお探しだと聞いて。実はブリックさんは昨晩出て行かれました。彼女の妹が来て、母親が危篤だと」と理由を話します。「それを信じてるの?この前、私が彼女を叱ったから落ち込んで逃げたのかも。教えてくれてありがたいけど、彼女が戻ろうが戻るまいが、あなたも罰を受けるかもしれないわよ」と言うケーカイ。

昨晩、プックはブリックに「母さんは今、知り合いの家にいる。じきに亡くなる。最後に顔を見たがってる。一緒に行こう」と頼みます。しかしブリックは「こんな時間に外出は禁止だ。ここを追い出されたら生きていけない」と突き放します。「母さんと約束したんだ」と必死のプックに、「これが私と母さんの運命だ。来世でまた親子になって償うよ」と謝るブリック。ジョムは「行ってください。奥様に伝えておきます」とプリックを送り出します。

仕事をするヤイに、ジョムは「ブリックさんを助けてください。旦那様たちが彼女を処罰すると。彼女は瀕死の母親に会いに行ったんです。この家のために尽くしてきたのに…この国の未来は変わります。なぜこんなことを許すんですか?」と必死に訴えます。「深く根付いた慣習は数日では変えられない」と言うヤイに、「でも声を上げなければ変わらない!」と言うと、走り去るジョム。

帰ってきたブリックに、ケーカイは「あなたへの罰は鞭打ちと1ヶ月の外出禁止よ」と言い渡します。「どうかご慈悲を。どうか母の葬儀だけさせてください」と頼むブリック。「彼女への罰を考え直してください。彼女の話を聞いて少しも心が動かないんですか?」とヤイは擁護してくれますが、テープニティタムは「幼稚だ。感情で判断すべきではない。これを許して皆が真似するようになったら我が家はどうなる?」と反論。しかしヤイは「古い慣習に従って罰するべきではありません。時代遅れです」と一歩も引きません。テープニティタムは「これが初めてのことだから鞭打ちは免除してやるが、2週間食事は残飯とする。早く葬儀して来なさい」と言い渡し、ブリックは頭を下げます。テープニティタムはジョムにも同じ罰を与えると言い渡します。

夜風に当たりながら怒りを堪えるジョムを見つめるヤイ。「すまない。大した助けにならなくて」と言いながら、ラントムを差し出すヤイに「謝らないでください。ヤイ様の言うとおりこんな短期間で変えられることじゃない」と答えるジョム。「待っててくれないか?私が家長になったら全てを変えてみせる」とラントムごと手を握られ、ジョムは頷きます。

翌日、残飯を食べる罰を受けるジョムを「いい気味だわ」と笑うラムヤイ。ブリックは「あんたまで巻き込んでごめんよ」と謝りますが、「僕たちが罰を受けるなんて思いませんでした。旦那様と奥様にブリックさんの事情を話せば許してもらえるかと。甘かったです。大丈夫ですよ。怒っていません。僕たちが怒るべきなのは理不尽な世の中の方です」と答えるジョム。「使用人の人生なんてそんなものよ。私たちに自分の人生なんてない」と言うブリック。

ヤイの屋敷の庭に戻って来たヤイは、屋敷の外観を絵に描きます。その時また突風が吹き、屋敷から出てきたジョム自身と目が合いますが、彼は屋敷に入るとすぐにいなくなってしまいます。
ヤイから「誰を探してるの?」と尋ねられ、口を濁すジョム。ヤイから「今日はクリスマスの催しがある。一緒に出かけないか?」と誘われ、出かける準備をしてくれと言われます。「私が買ったシャツを覚えてる?もしよかったらあれを着てほしい」と頼まれ、ジョムはもちろんと頷きます。
ジョムは現代で箱の中に入っていた絵と自分が描いている絵が一致していることを思い出します。

 

第6話

<あらすじ>
クリスマスの晩、ヤイはジョムをバーに連れていくが、そこでジェームスと遭遇。
積極的にジョムに近づくジェームスにヤイは対抗心を燃やすが、ジョムの気持ちを疑うあまりかえってジョムにそっけない態度を取り…。

着替えたジョムはヤイに目的地を告げずに連れて行かれます。2人が入ったのは、クリスマスの雰囲気溢れるバー。ヤイはジョムをエスコートしてくれます。「気に入ってくれた?ここは私のお気に入りなんだ。パッユパンというバーで、最近見つけたんだ。見つけにくいからあまり知られてない」と嬉しそうなヤイ。お酒は苦手なはずなのにと不思議そうなジョムですが、ヤイは慌てて「お酒は頼んでおいたから」と場を濁します。
サンタの格好をした男が乾杯の音頭をとります。ヤイに「ちょっと用事があるから待っていてくれ」と言われ、1人取り残されるジョム。

サンタの役をしていたのはジェームスでした。林業界で尊敬される彼がなぜ道化役をと本人に尋ねるヤイ。「最近のヤイ様はお父様に似てこられましたね。僕は変身を楽しんでるだけです。まさかここで会うとは」と会話を楽しもうとするジェームスに、「調査の件はどうなりましたか?」と単刀直入に尋ねるヤイ。「友人のツテで事件の裏を調べてきました。6ヶ月前に市場で起きた火事は事故と片付けられましたが、友人は放火の可能性を示唆する証拠が現場にあったと教えてくれました。しかしその証拠は警察に記録されなかった。おまけに事件の担当者が証拠の存在を主張したところ、別部門に異動させられてしまった。ヤイ様も何か怪しいと?」と言うジェームスに、「義兄に関する情報は?」とヤイはさらに追求します。「今のところ見つかっていません。ただ一つ、事件の被害者が彼の第二夫人であること以外は。噂によると将来地価が上がると言われている。当然住人は売りたがらない。土地目当ての人間が立ち退かせようと仕組んだのでしょう」とジェームスが推測すると、ヤイは物思いに耽り、「引き続きこの件の調査をお願いしたい。進展があったら教えてください」と頼みます。
そこでジェームスは「ヤイ様の要望を聞いたので、僕の要望も聞いてもらえませんか?」と頼んできます。「僕の要望はあなたの親しい友人のことです」と微笑むジェームス。

サンタの格好をしたジェームスはヤイの席に座り、変装を解きながらジョムと話し始めます。ジョムは現代で見つけた絵の中に変装したジェームスの姿があったことを思い出します。「僕は楽しみたいだけさ。ここは安全な場所だからね」と意味深なことを言うジェームス。その時、チェロの生演奏に合わせて、「緑の麗人」とも呼ばれる男性・ニアオがたおやかに踊り始めます。幸せそうに踊っていると感想を述べるジョムの言葉を、ジェームスは否定します。「彼はここに来るまでプラナコーンにいた。そこでは周りから変人扱いされ、男性に利用されることも。彼女がしていることが正しいのかは分からない。でも彼女はこういう場所をずっと求めていたんだ。僕がこの場所を好きな理由も同じだ。ここに来れば誰もが抑圧から解放されて、自分らしくいられる。君も分かるはずだ」と言うジェームスに、「分かります」と強く頷くジョム。

「これがご所望の品です。お時間がかかって申し訳ありません。大切な方へのプレゼントですか?」と男から尋ねられたヤイははにかみ、何かを受け取って嬉しそうにジョムのもとに戻ります。
ジョムはジェームスと楽しげに話し込んでいました。ヤイは時間を潰してくれてありがとうと嫌味を言いますが、「ジョムのためならいくらでも」と反撃されてしまいます。ヤイはジョムにジェームスと何の話をしたのか探りを入れます。突然イライラと酒を煽り出すヤイに困惑するジョム。

その晩、屋敷に戻ったヤイはサンタ姿のジェームスを絵に描き起こしていました。突然屋敷の灯りが意味深に点灯し始めます。「お前たち、帰る時間だぞ!片付けろ!」と家の中から声がしたように感じて振り向くと、家のドアが何度もドタバタと開いたり閉じたりを繰り返しています。その後、現代の自分が「屋根の修理材の件をお願いします」とタンにお願いしている姿を見つけます。現代の自分が家に入っていくのを追いかけるジョム。彼は箱を開け、宝石を見つめています。自分の名を呼びかけると、彼は反応はするもののこちらは見えていないようです。「あの時と同じだ」とつぶやくジョム。現代の自分を追いかけますが、彼は消えてしまいます。
誰かを呼ぶジョムを見つけたヤイから「誰を探してるんだ、前にも同じことがあっただろう」と詰問されます。「夢を見てたんです。夢の中にこの屋敷が出てきて…でもこの時代ではないんです」と答えると、「私の寝室で寝るかい?君が寝ぼけても私が捕まえられる」とヤイは突拍子もない提案をしてきます。「不適切では」と焦るジョムに、「同じベッドで寝ようとは言ってないよ」と意地悪に返すヤイ。「バーでジェームス様とどんな話を?」と話を変えると、「私も君と同じように義兄について気になっていることがあるから、彼に頼み事を。これは何の絵?」とヤイも話を変えてきます。「描きかけで見栄えが悪いので」とジョムが絵を隠すと、「夜も遅い。もう寝なさい」とヤイは微笑んで去っていきます。

市場を歩きながら「豚のジードが走路を外れてロバート様に飛びかかったんだ、餌のバナナの無駄遣いだ。躾けてくれよ。逃げてロバート様に恥をかかせたんだぞ」と話しかけるミンをぼーっと無視するジョム。また罰を受けるのではと心配するジョムに、ミンはフォーンゲーウ様が助けてくれたと嬉しそうです。最近フォーンゲーウはロバートのお気に入りだそうです。そこにフォーンゲーウが現れ、カムセーンに見つかる前にジョムと話がしたいとミンに頼んできます。

ヤイはジョムの部屋に忍び込むと、彼が描き溜めている絵を見つけます。それがジェームスの絵だと気づき、胸騒ぎを抑えられません。

フォーンゲーウは実家にジョムを連れてくると、母を呼び出します。母の顔半分は焼け爛れています。フォーンゲーウはジョムを友人だと紹介し、母は食事をしていけと嬉しそうに2人を誘います。
「前の家が火事で焼けたからこの家には越してきたばかりなの。母さんは火事で顔半分に火傷を負った。でも父さんは家と共に焼けてしまった。父さんが亡くなって私はロバートさんに嫁がされた。母はロバートさんを恩人だと。彼は火事の前に私に近づいてきて、結婚を申し込んできた。でも私にはカムセーンがいたから断ったの。でも火事があって、ロバートさんは急に手を差し伸べてきた。おかしいと思わない?ジョムを連れてきたのは全てを伝えてあの人をよく知ってもらうため。それとあの手紙のお礼がしたくて。おかげで目が覚めたの」と言うフォーンゲーウ。ジョムは「ヤイ様も実はロバート様のことを疑っている」と打ち明けます。

夜中にロバートの書斎を物色するフォーンゲーウは、怪しげなノートを見つけますが、彼が帰宅した音を聞いて慌てて痕跡を隠します。頭が痛いと早々に帰ってきたロバートをお世話してあげると色仕掛けで誘い、書斎から連れ出します。

ジョムがジェームスのことが好きなのだと勘違いしたヤイは「私は独り身だから自分のことは自分でできないと」とジョムがすべきベッドメイキングの仕事を自分でやってしまいます。ジョムが軽食を持ってきても、「今すぐテニスに行く」と彼を無視します。
自分が何かしたのかと不安に思ってジョムが「僕に何か怒っていますか?」と尋ねると、「私が君をどう思っているか分からない?私の行動は君の心に伝わらなかった?この想いをしたためて詩でも贈れば伝わるかい?」と迫られ、ジョムは戸惑います。
ヤイを幼い頃から世話しているブリックに彼の好物を尋ねるジョム。ブリックに習いながらお菓子を作り上げます。

読書しているヤイは、「負けたくないならなぜ伝えないんですか?僕のジョムへの気持ちはあなたと同じでしょう」というジェームスの言葉を思い出します。
「ニアオさんを知ってるでしょう?理解できる人は少ない。いや、僕らをかな?分かったと思うが僕は…」とカミングアウトしようとするジェームスに、「分かってますよ。珍しいことではないですから」と微笑むジョム。ジェームスは突然、「僕は君が好きだ。初めて会った時から好きだった。なぜだろう。初恋の人に似ているからかな。ジョムに会うとあの時と同じ気持ちになれる」と告白します。「それならジェームス様の初恋の人は今どこに?」とジョムが尋ねると、「もういない。彼に想いを伝えたかった。でも、遅すぎたんだ。心配しないで、気持ちのない相手に無理強いはしない。でも、機会を逃すのが怖いんだ」とジェームスは紳士的に弁解します。「僕は応えられません。好きな人がいます」と申し訳なさそうにきっぱり断るジョム。「そんな気がしてたよ。それなら、ちゃんと想いを伝えて。君には僕と同じ後悔をしてほしくない」とジェームスは微笑みます。
「ヤイ様が動く番ですよ。動かないなら僕がもう一度挑戦します」とヤイを挑発するジェームス。ヤイのもとにジョムが現れ、ヤイの好物のお菓子・マスコートを笑顔で差し出します。ヤイはそっけなく「ありがとう」と言ったきり、無視しようとします。
どうして怒っているのかと不安がるジョムに、「ジョムのせいじゃない。自制できない私のせいだ。君の自室にある絵はジェームスさんだろう?」と問いかけるヤイ。「僕の部屋に入ったんですか?」と焦るジョムに、「君が全部話してくれないからだ。あの夜、ジェームスさんに告白されただろう?君のことは全部気になるんだ!つまり私は…ジョムが好きなんだ!」とヤイは勢いで告白します。ジョムは「失礼します」と部屋を飛び出してしまい、後悔するヤイ。
ジョムは自分の部屋に戻ると、半裸で眠るヤイの絵を取り出して見つめます。ヤイが両親と3人で写った写真を現代で見たことを思い出すジョム。

ヤイのベッドメイキングを済ませたジョムはさっさと帰ろうとしますが、ヤイは「僕は君を困らせてる?さっき私が気持ちを伝えたから…無理強いをしているわけでは」と不安げに尋ねます。「僕は怖いんです。僕たち2人の関係が将来の妨げになり得る。周りの人たちはどう思うか、よく考えてみられてください」とジョムは戸惑いますが、ヤイは「僕は家族や周りになんと言われても耐えられる。君を愛せない方が僕には耐えられない。ジョム、私を見て答えてほしい。僕の愛人になってほしい。愛する人という意味だ。何も考えずに本心で告げて。僕のそばにいてくれる?」と真っ直ぐに見つめてきます。
ジェームスの忠告を思い出すジョム。ジョムは静かに頷き、ヤイは彼を抱きしめます。「すごく嬉しいよ」と言うなり、「渡したいものがある。クリスマスに用意したけど渡せなかったんだ」とヤイはジョムに懐中時計をプレゼントし、「2人の時間が始まったんだ」と微笑みます。ジョムも部屋に慌てて戻ると、ヤイが半裸で眠る絵をプレゼントします。「ジェームスさんの絵だけかと」とホッとした様子のヤイに、「ジェームス様のはバーの雰囲気を残しておきたくて描いたんです。ヤイ様の絵は心を込めて描いたんですよ。自分用に残しておきたくて」と笑うジョム。
「不思議なんだ。なぜこんなにもジョムを愛してるんだろうって」と甘い言葉を囁くヤイに、「ヤイ様は甘い言葉ばかりですね」と笑うジョム。「なぜ分かる?味わったことがあるのかな?」とヤイが揶揄うと、「これから味わいます」とジョムはキスをします。ヤイは誘われるようにジョムにキスを返すのでした。
「どうだった?本当に甘い?」と笑った後、「ジョム、今夜はここで私の背中をかいてくれないか?それだけだよ。ジョムを困らせない約束をする」と頼むヤイ。ジョムは笑顔で頷きます。その夜、ジョムはヤイに抱きしめられながら彼のベッドで眠ったのでした。

 

第7話

<あらすじ>
ジョムと想いが通じあったヤイは気持ちを抑えられず、あずまやでの読書中、思わずジョムにキスをしようとしてラムヤイに見られてしまう。
そんななか、ヤイの父・テープニティタムの昇進を祝う会が開かれるが…。

トンブリー バーンラマート運河にて。「チョーイさん、食事よ」と女性からもう1人の女性を呼びます。「この間、あなたの元夫のセンさんが来た。彼とはまだ話せる仲なの?」と尋ねるトムに、「トム、何を心配してるの?センとは友情しかない。全部終わったんだ。今の私にはトムしかいない」と答えるチョーイ。その時、近くで犬がけたたましく吠えます。「犬を追い払ってくる」と犬の元に行ったチョーイは、腹を撃たれてしまいます。発狂するトム。チョーイは一言残して息絶えます。

その新聞記事を読んだテープニティタムは「シークルン新聞はくだらない記事ばかりだ。同性婚した女性が殺されたらしい。同性婚など長続きするはずがない」と吐き捨てます。ヤイは「こういうことは男女でも起こるし、2人に罪はない」と反論しますが、テープニティタムは「男女ならば問題ない夫婦が多い。昔から同性愛は長続きすることも綺麗に終わることもない」と言い、ヤイはなおも反論しようとしますが、ウアンプンはそれを遮り、自分とヤイを呼んだ理由を尋ねます。ケーカイは父さんの昇進の祝賀会を行うのだと報告します。そこまでする必要はないのではとヤイは顔を曇らせますが、テープニティタムは「私の権威を示す場でもある。ソーラデートさんが勧めてくれた。ロバートも誘っておけ」とウアンプンに命じます。祝賀会はジャンが準備を担当するようです。気乗りしないヤイ。

仕事をするジョムを見つけたヤイは思わず後ろから抱きついてしまいます。「誰かに見られますよ」とジョムは躊躇いますが、ヤイは自分にハグして欲しいと腕を広げます。「随分経つのに僕に抱きしめられるのは慣れない?私はジョムをずっと抱きしめていたいんだ」と笑うヤイ。

「この純潔は私自身の財産だ。守るのは愛する人のため。この純潔は私の名誉でありただ1人の男性の名誉にもなる。でもそうでない時、あなたには私が純潔を正しく使ったと思って欲しい。それは真の愛と私自身のために。彼の隣で私は彼の身勝手な欲望のために身を切る思いで愛と恥じらいすら捨てるだろう。この時代の女性は本当にこうするしかないのだろうか。最後に、あなたが私に与えてくれた優しさに感謝を送りたい。あなたの腕の中を私は忘れない。信じて欲しい。私が死ぬ時はあなたの腕の中で死にたい」とジョムに「ナラーの本心」という本をあずまやで朗読してみせるヤイ。ジョムは「ナラーさんは愛を信じたのですね」と感想を述べますが、ナラーはある男性の第二夫人として家族のために結婚させられた悲劇の人です。ヤイは本作は自分のことでもある、もし自分が自分の道を選べるのならナラーと同じようにただ愛する人と一緒にいたいとジョムを見つめます。ジョムにキスしようとするヤイ。そこに声も出さずにラムヤイが現れ、「明日の公務のことで旦那様がお呼びです」と言って去っていきます。ジョムは「人目につくところではやめましょう」と呆れますが、ヤイはふざけてキスを仕掛けます。
ラムヤイは使用人たちに早速「ヤイ様とジョムは寝てる」と言いふらします。ミンとブリックは余計なことを言うなと怒りますが、ラムヤイは「今に分かる」と捨て台詞を吐きます。

ムーイに膝枕してもらうウアンプン。「この時間が好きだわ。ムーイと一緒にいると自分らしくくいられるから」と笑うウアンプン。「てっきり飽きているのかと」とふざけるムーイに、「ムーイに飽きたことなんてない」とウアンプンは微笑み、2人は手を握りしめてその手にキスし合います。2人の唇が近づき、何度も唇が重なりますが、ウアンプンはムーイの背中にある鞭で打たれた痕に気づきます。「傷のこと、いつになったら話してくれるの?」と言うウアンプンに、「気にする価値もないものなの」とムーイは煙に巻きます。「これで聞くのは最後にするから」と頼むウアンプンに、「私がこの屋敷にいることを誰にも言わないでって約束を覚えてる?」とムーイは尋ねます。ムーイがこの屋敷に来た当初、離れて暮らすのが辛いからと彼女の両親が娘を取り戻しに来たのです。「私はどうにか逃げ出せたからあなたといられるの。あそこにはもう戻りたくない。父さんと母さんは私を売春宿に売ったの。この傷は悪い客に切りつけられ痛めつけられたの。この客は私のうめき声や痛がる姿が好きで…」と涙ながらに言うムーイ。ウアンプンはムーイを抱きしめ、「私はここにいるから。もう話さなくていい」と慰めます。

翌朝、フォーンゲーウとウアンプンはロバートとともに朝食をとります。ロバートはムーイに「昨晩お前がウアンプンの部屋に入ってくるのを見たぞ。うちでコソコソ何をしてた?」と尋ねます。「昨晩は体調が悪かったから世話を頼んだの。ただでさえうちは問題だらけなのに、ムーイを来させたらあなたが大事にするでしょう」とウアンプンは呆れたように言います。ロバートは納得したようです。

体に丁寧に何かを塗り込むヤイ。ジョムの視線を感じてどうかしたのか尋ねると、ヤイは肌の乾燥を防ぐためにオリーブ油を塗っているのだと説明します。背中にオリーブ油を塗ってくれと頼まれ、ジョムは戸惑いながらも了承します。オリーブ油を塗っている間に勢い余ってヤイの手を握ってしまい、ヤイはジョムに部屋に戻るように言いつけます。
ジョムは1人になると、彼からもらった余りのオリーブ油を自分の体に塗り込み、恍惚と快感に浸ります。

レックに水牛ごっこをさせられるジョム。四つん這いで庭を長時間歩かされ、腰は限界です。ジョムはそれを見ていたヤイに助けを求めます。「水牛は文句は言わないよ。もう遊んでくれなくていい」とふてくされるレックに、ジョムは「水牛は文句を言わないかもしれませんが僕は人間です」と激怒してジョムは走り去ります。
桟橋で怒りを殺すジョムをヤイは見つけますが、ミンがジョムに声をかけたのを見て立ち去ります。ミンは「ヤイ様のことか?ジョム、真剣に答えてくれ。ヤイ様と一体どういう関係だ?」と尋ねてきます。

ヤイに軽食を出すジョム。ヤイは「すまない。何か不満があるなら黙っていないで正直に言ってほしい」と謝ります。ジョムが「あの日以来、ヤイ様は僕を遠ざけていますよね」と問うと、「私の心がジョムに傾きすぎてしまうんだ。こうしないと君を傷つけてしまいそうで。心配させてごめん。許してくれないか?」とヤイは不安げに言います。ジョムもカッとなったことを謝り、2人は手を握り合って仲直りします。「他の人の前では普通に振る舞おう。でも2人でいる時は特別な人として扱うよ」とヤイに約束してもらい、ジョムに笑顔が戻ります。

大勢の人が祝賀会に訪れます。ジャンが滞りなく手配をしたことを褒め称えるテープニティタムは、「息子も君くらいしっかりしてくれるといいんだが」と余計なひと言を言います。気分を害したヤイは「僕は失礼します」とその場を後にしますが、テープニティタムは気にもしていないようです。ラムヤイは「離れを見に行ってごらんよ。あんたの友達がヤイ様とどんな関係か分かるよ!」とミンを煽ります。
その一部始終を見ていたソーラデートはラムヤイを連れてくるように部下に指示します。

祝賀会の会場の2階で着替えていたジョムを後ろから抱きしめるヤイ。「今日はいつもより魅力的だね。すごく素敵だ」と褒めるヤイの髪を整えてやるジョム。
親密な2人のもとにソーラデートが近づいてきます。「そろそろ祝賀会に参加しなさい」とヤイに命じると、彼は去っていきます。

ソーラデートはテープニティタムに近づくと、今日の祝賀会を褒め称えるも、「得たものを守るのは難しい。これからの君に必要なのは厳しさだ。君の下にいる者たちが君の名誉を汚すだろう」とヤイのことを仄めかします。さらには「ヤイ君がこれまでと違うと思わないか?」とさらに核心をつきます。

フォーンゲーウと挨拶回りをしていたロバートは、ある男に会うや否や、フォーンゲーウにウイスキーを取ってくるように命じます。
その頃、ミンはロバートの酒をこっそりくすねて飲んだくれていました。ミンはラムヤイの噂がテープニティタムに伝わってジョムが罰せられるのを恐れているのでした。ジョムは何も言わないので、余計に不安です。ムーイはラムヤイの言うことが本当だったら受け入れられるかとミンに尋ねます。ミンは「どう考えたらいいか分からない。だって普通じゃないから」と答えます。「普通じゃないとされてるだけよ。事実だとしてもミンが誰かを好きなのと同じことよ」と言うムーイをミンは呼び止めると、「初めて会った時から、俺はムーイが好きだ」と告白します。ムーイは戸惑い、「祝賀会で人手が足りなくて困ってるだろうから行かなきゃ」と逃げ去ります。ミンはさらに酒を煽り、目を閉じます。

ロバートはテープニティタムを褒め称え、テープニティタムはロバートに「許認可は取れたのか?」と尋ねます。「今回手に入れた土地はかなり期待できるかと」と言う彼に、「なんでも協力するから言いなさい」と鷹揚に笑います。
そこにヤイが現れると、テープニティタムはプラナコーンで会ったブッサボンとダンスをするように命じます。彼女は寄宿学校に入学したらしく、久々の帰省だったようです。幼い頃もこうして踊りましたねと微笑まれ、ぎこちなく笑うヤイ。

ウアンプンではなくフォーンゲーウを連れ立って歩くロバート。ウアンプンは目眩がすると言い、ムーイと共に屋敷に戻ります。踊っていたヤイはジョムが自分を見ているのを見つけ、顔がこわばります。それとは対照的に笑顔が溢れるテープニティタムとケーカイ。
ジョムの隣にカメラを持ったジェームスが現れ、静かに彼の横顔を撮ります。「感情を隠しきれない人を撮りたくて」と笑うジェームスに「撮る前に許可を取るべきでは」と怒って屋敷に戻るジョム。ヤイはジョムを追いかけてしまいます。

ジョムに嫉妬したのかと尋ねるヤイ。ジョムはヤイの勘違いだと否定します。ヤイはジョムに「お願いがある。私と一曲踊ってくれないか?」と頼みますが、ジョムは「他にも相手がいるじゃないですか」とつれない返事。しかし「僕は君と踊りたい」と言われ、ジョムはヤイに誘われるように踊ります。2人はみんなの前で自分たちが踊り、拍手喝采を受ける幻覚を見ます。
踊り終えると、ジョムは自分は踊れないが歌はうまいのだと言い、自作の歌詞を披露します。2人で笑った後、逃げ出したことを謝るジョム。「これまで相手を独り占めしたいのは自分だけだと思っていたから嬉しいよ。ジョムが嫉妬してくれるなんて」とヤイはジョムにキスします。何度も屋敷の庭でキスを繰り返す2人。雨が降ってきて、慌てて屋敷に入ります。

 

第8話

<あらすじ>
ヤイと愛を確かめあったジョムだったが、明け方、鏡の中にもう1人の自分を見た気がして飛び起きる。
ヤイは何か悩みを抱えているジョムの気を晴らそうと、水浴びの準備をしたり、お気に入りの場所へ連れていく。

雨になり祝賀会のその後を気にするジョムに、ヤイは屋敷には今自分たちしかいないのだから気にするなと言い、キスを続けます。ヤイの濡れた服を脱がせると、「風邪をひくから」とヤイにも服を脱がせられます。2人は激しく抱き合います。

翌朝、ジョムはヤイのベッドで目を覚まします。まだ日の出前だからもう少し寝ようと言われ、ヤイの腕枕で眠るジョム。しかし夢現の彼は、鏡越しに現代の自分を見つけます。恐る恐る鏡に近づくジョムに「どうかしたの」と不安げに尋ねるヤイ。「何が起きてもジョムのそばにいるよ」とヤイはジョムを抱きしめます。

悪夢でうなされるウアンプンを「大丈夫」となぐさめるムーイ。ロバートと初めて出会った時のことです。彼はウアンプンの作ったフルーツの飾り切りを褒めます。テープニティタムはソーラデートに仕事の役に立つからとロバートを紹介されたのでした。ウアンプンはそれを盗み聞きし、自分が彼と結婚させられかけていることを知ります。ケーカイに相談しましたが、自分も見合い結婚だったと意に介しません。ウアンプンは父と同じ仕事をしたい、勉強を続けたいと言いましたが、ケーカイは「女性は家に入るもの。もし結婚が決まったらそれはあなたの名誉と家族のためだと思いなさい。でもどうしても耐えられないなら自分の道を選んでいいわ」と言われます。結婚後の初夜、ロバートは「僕が怖い?君の心の準備ができるまで何もしない」と約束しました。
ウアンプンが目覚めると、隣にはムーイが眠っていました。ウアンプンは悪夢が頭から離れないと吐露しますが、ムーイは「二度とあなたを1人で苦しませない。少なくともこの家の中では。私があなたの苦しみを癒してあげる」と彼女の頭を撫でます。そこにロバートが乗り込んできて、ムーイはロバートの命令で部屋から追い出されてしまいます。

風呂を準備するヤイ。何か悩んでいる様子のヤイを癒そうと2人で入浴することを提案したのでした。ラントムはラトム(苦難)という言葉に似ているので、好きという人が少ない花です。しかしヤイは好きだと言います。ラントムの香りは一度嗅ぐともう一度嗅ぎたくなり、まるでジョムのようだと言うヤイ。2人は甘くキスをしあいます。

屋敷に訪れたお坊さまにお供えをする2人。2人の仲が末長く続くように祈りたかったからジョムを誘ったのだと言うヤイ。ジョムに出会うまでは前世を信じなかったけれど、昔からジョムを知っている気がするのだと言います。
ジャンはテープニティタムにヤイとジョムを監視させます。ジャンはヤイがジョムの手を握ってお供えをしていたと報告すると、テープニティタムは監視を続けるように言います。監視のことを知ればヤイは許さないだろうとジャンは言いますが、テープニティタムはジャンの家族を救ってやった恩を忘れたのかと詰め寄り、彼を脅します。

ロバートが食事を運んできますが、ウアンプンは「私とムーイは何も悪くない。あなたと出会う前から愛し合ってる。これ以上罰するなら何も口にしない」とはねつけます。「私が何をしたいかと聞いたことがある?あなたを裏切ったのはあなたの思い上がりよ!どうせ女の私に選択権はないのだから殴るなり何なりすればいい!」と怒るウアンプンをロバートは無理やり抱きます。牢に入れられているムーイは「身分を弁えろ!悪女はフォーンゲーウだけだと思ってたけど、主人に悪事を働くなんて思ってもみなかったよ。反省しないならずっとそこにいな」と他の使用人から罵倒されていました。涙するムーイ。
翌日、目を覚ましたロバートはウアンプンに触れようとしますが、彼女からは拒絶されてしまいます。

フォーンゲーウはロバートの書斎で見つけた手帳を探し回っていましたが、かつてあった場所にそれはなく、彼女は焦ります。ロバートが来たので掃除をしていたのだとまた咄嗟に嘘をつきますが、棚の上が埃まみれだと見抜かれてしまいます。「しばらくここで仕事をする。うちの人間の行動を監視しなくてはな」と言われ、怯えるフォーンゲーウ。

精力的に野菜を売るカムセーンのもとに、フォーンゲーウが訪れます。人目につくところでは話せないと彼女を他の場所で待たせ、後から合流します。待っていたフォーンゲーウのもとに来たのはカムセーンの母親でした。あんたに捨てられてやっとアルコール漬けの日々から立ち直ったのに、何をしに来たのかと彼女は睨みつけます。フォーンゲーウの母は高慢で、カムセーンの一家を見下していました。それを知っている彼女は「あんたとあの子の縁は切れたと思ってくれ。息子を返してくれ」と言い、去っていきます。涙するフォーンゲーウ。カムセーンは母が戻ってくると、すぐさまフォーンゲーウのもとに行きますが、彼女は既に去った後でした。

ソーラデートを呼び出したテープニティタムは、「忠告してくださったことを覚えておられますか?あの言葉通りになり始めてるかも」と不安を吐露します。「ウアンプンの時のようにすればいい。相手は私の娘のブッサボンだ。両家のためにそれが最善だよ」と言うソーラデートの言う通りにしようと頷くテープニティタム。

ジョムに目隠しをしてどこかへ連れて行くヤイ。ヤイは「これを見せたかったんだ。ここに住んで一番好きな場所なんだ」と、蛍の群れを見せます。こんなにたくさんの蛍を見たの初めてだと感激するジョム。記憶が戻ったのかと問われ、「似たような景色を見ると思い出すんです」と慌てて取り繕います。ヤイは「こんな特別な夜にジョムといられて嬉しいよ」と微笑み、ジョムも自分もだと微笑み返します。
人の気配を感じたジョム。その時急に雨が降り出し、2人は慌てて屋敷に戻ります。すぐに雨は止み、ジョムは「この間と同じですね」と笑います。「この間と同じなら最後まで同じようにしないと」とキスを仕掛けてくるヤイを止めてふざけるジョム。
ジョムは「最近誰かが僕たちをこっそり見ている感じがします」と言いますが、ヤイは感じないと言います。
ジョムは急に手を広げ、おんぶをしてほしいと言い出します。「甘えられる側がどんなに大変か分かったでしょう?」と言うジョムを振り回し、「そろそろジョムの水浴びの時間だな」と騒ぐ2人。

翌日、お坊さまは「まだ吉日ではないし、占いでも2人の相性は良くない。しかし急いでいるなら解決策はある。先に結納式を上げるのは良いだろう。ヤイ君はまだ20歳だ。早すぎないか?」とテープニティタムに告げます。しかしテープニティタムは不安を解消したいからと言い、お坊さまは「あなたの不安というのは、最近来た青年のことだな?全てを知っているわけではないが、あの2人はずっと前から結ばれる運命だ。そして彼こそがあなたの家に変化をもたらすのだ」と言い、ソーラデートとジャンは困惑したように顔を見合わせます。

体調が悪そうなジョムを気遣うヤイ。「いつもより日差しが強いから…」と言うジョムですが、ヤイは不安げです。その後すぐ、ジョムは突然倒れてしまいます。ヤイは慌てて人を呼び、助けを求めます。

 

第9話

<あらすじ>
倒れてしまったジョムを案じ、献身的に看病するヤイ。
そんななか、父に呼び出されたヤイはジョムとの関係を強く非難されるが、父に従わされてきたこれまでとは違い、自らの意思を通すと断言する。

倒れたジョムをベッドに寝かせ、かたわらで不安げに彼を見守るヤイ。「ヤイ様、僕はどうしてここにいるんですか?」と目を覚ましたジョム。ヤイは薬を飲ませると、「私のせいだから」とジョムの体を拭きます。「元気になったら映画に行こう」と物で釣ろうとするヤイに思わず笑うジョム。子供じゃないんだからと言うと、「じゃあジョムみたいな人はどう説得したらいい?」とヤイが唇を寄せてきます。そこにプリックが現れ咳払いをすると、「旦那様がすぐにヤイ様を呼ぶようにとジャン様が」とことづけてきます。

テープニティタムはヤイに「離れで隠れて何してる?お前とジョムはどんな関係だ?しばらくジャンに監視させた」と単刀直入に尋ねます。ヤイは「僕とジョムは愛し合っています」とはっきり言います。テープニティタムは「今度の役人の息子は同性愛者だと言われる!家の恥晒しめ!どんな苦労をして我が家をここまで築き上げたか分かるか?」とヤイを糾弾しますが、ヤイは「僕が留学したいと言った時もねじ伏せましたよね。僕に許されているのは従うこととだけ!僕の意思はどこにあるんですか?これから僕の時間は僕のために使います」と反論し、部屋を出ていきます。

静かに読書するウアンプンの窓を誰かが激しくノックします。泥棒かと身構えると、そこにはフォーンゲーウが。強張った表情のウアンプンに、フォーンゲーウは「あなたからしたらこれまでの私の言動は信用に値しないでしょう。でも今日は謝りに来たんです。ロバートさんとあなたは同類だと思っていたけれど、今回のことで違うと分かりました」と打ち明けます。しかしウアンプンは俯き、「私は彼と大して変わらないわ。ずっと彼があなたに気があるって知ってたの。あなたの両親の店で服を仕立てた時からね。だから結婚に反対しなかった。あなたが妻になってくれれば、彼の妻である苦しみから解放されると思ったの。フォーンゲーウ、ごめんね」と謝ります。フォーンゲーウはウアンプンの手を握り、「あなたは私と同じように彼に無理強いされただけ。私たち女性も立ち上がって戦うべきです。今日ここに来たのは聞きたいことがあったんです。私の父が亡くなった火事は彼が雇った人間の仕業でした。ご存知でしたか?」と尋ねます。何も知らないと驚愕するウアンプンに、「何も知らないと思っていました。今は証拠を探しているんです。それが見つかればあなた方も救えます」とフォーンゲーウは協力を求めます。

ジョムの眠るベッドに入るヤイ。ジョムはなかなか体調が良くなりませんが、彼は自分のことよりもヤイを心配します。ヤイは心配をかけまいと父の仕事の手伝いをしたのだと嘘をつきます。「私とこの家に住んで幸せかい?ここでずっと一緒に暮らしたいと思うくらい?」と尋ねるヤイに、ジョムは「もちろん。でも僕にいつまでもいてほしいですか?」と尋ね返します。もちろんと答えるヤイ。ジョムがいつから自分のことを好きだったのか問うと、「初めて会った時、この人が待ち続けて来た人だとすぐに分かった。あの日、君に出会うずっと前からジョムを愛していた気がする。ジョムはそう感じなかった?」と言います。全く同じように感じたと返すジョムの手にキスをし、ヤイはジョムを抱きしめて眠ります。

翌日、ヤイはジョムのために朝食をベッドまで運んできます。しかし彼の姿が見当たらずヤイは慌てますが、ジョムは体調が戻ったので水浴びをしていました。ヤイはジョムが完全に治るまで一緒にいると宣言。ジョムにねだられ、2人で水浴びをすることに。
午後はジョムがタイプライターを使っていると、ヤイが「愛する人の手に触れたくて」と手を重ねてきます。2人がキスしかけると、そこにブッザボンがヤイにクロワッサンを作って来たと現れます。
ジョムを紹介しようとして、ヤイは「執事だ」と言ってしまいます。ブッザボンはジョムにもクロワッサンを食べてくれと言うと立ち去ります。

デートとチェスを楽しむテープニティタム。仕事も権力も拡大させるために一緒に事業をやろうと言うソーラデートに、テープニティタムは結納が終わってから決めようと言います。ヤイは結納のことをまだ知らなさそうだったと不安げなブッザボンに、テープニティタムは心配ないと言います。

近日中に祝い事があるから服を仕立てるためとケーカイの命令で採寸をされるヤイ。ヤイが何の祝い事か尋ねると、ブッザボンと結納式を行うのだと言いづらそうに打ち明けます。ケーカイは「父さん曰く、今が結婚するのにふさわしい時だから」と言い、「僕に一言でも聞いてくれましたか?父さんの言うことに全部従うんですね。姉さんのようになれと?」とヤイは涙します。ケーカイは無視し、採寸を続けさせます。

ジョムの膝枕で時間を過ごすヤイ。ジョムには「父さんの仕事をうまく出来るか分からなくて不安なんだ」と嘘をつきます。「役人の仕事は父さんがやらせたいだけだ。僕には別の夢があった。フランス留学だよ。思想家や作家がいて、それぞれの思想のために戦っている…そんな空気に触れたいんだ。でも父には反対された。父は自分の権力を家族のために継がせたいんだ。でも私の夢はジョムに出会って変わったよ。ジョムがそばにいるなら、どんなに平凡でもいいから愛する人と一緒に生きたい」と告白するヤイ。ジョムは嬉しそうに彼にキスします。

レックと遊ばされるジョムはまたくたくたに疲れています。ヤイとブットの結納の絵を描いてほしいと言われ、プリックは慌ててレックの口を閉じさせます。ジョムは凍り付き、ヤイのもとへ行こうとしますが、彼は結納の準備をしていると言われて涙します。「どこにいても僕はこうやって終わる。疲れたよ。僕が悪いの?」と泣くジョムを抱きしめるプリック。

ヤイの屋敷の庭でたちすくむジョムにテープニティタムは「全て聞いたのだろう?ヤイと徐々に関係を絶ってくれ。息子には家庭を持ち子を残す普通の人生を歩ませたいんだ。お前は将来ヤイの弱点になる。2人とも私を恨むだろうが、時が経てば人生の意味が分かるはずだ。頼んだぞ」と言って去っていきます。

ミンと酒を飲むジョム。ミンはこれでよかったのだと言います。「ムーイとウアンプン様もお前たちと同じだ。それでロバート様が罰を。今のお前たちと同じような状況になってる」と説明するミン。ミンは自分の失恋はムーイやウアンプンたちよりずっと辛くないと言います。「ヤイ様はしたくないことをさせられてるのかも」と言うミン。そこにフォーンゲーウが「手伝ってほしいの」と現れます。

ムーイを見張る牢屋番のパーンにこっそりとウイスキーを振る舞うミン。一緒に酔っ払ったミンは牢の鍵を見つけると、ムーイを牢から出してフォーンゲーウの実家に匿うことにします。ウアンプンを心配するムーイは、彼女を許してほしいとフォーンゲーウに許しを乞います。実はムーイを助ける件は、ウアンプンから直々にフォーンゲーウへ頼まれていたのでした。
ムーイはミンの気持ちに応えなかったのになぜ助けるのかと問いますが、「それもムーイの気持ちだ。好きな人が苦しんでるのに放っておけない」と答えるミン。ムーイはミンを抱きしめます。ムーイはミンはどんな時も最高の友達だと言い、船に乗って去っていきます。涙ながらにムーイを見送るミン。

翌日、パーンはロバートからムーイの代わりに牢に一生入っておけと罰を受けかけますが、ミンは自分が酒を勧めたと告白します。ミンとメーンは荷物をまとめて出ていけと命じるロバートに、ジェームスが「厳しすぎるのでは」と口を挟みます。
ジェームスは「なぜ昨日の会議にこなかった?林業は飽きたのか?今夜は新しい林業経営者の歓迎会だ。君は必ず参加するように。今の地位を得るまでこれまでどれだけ苦労してきたか…」と念を押します。

ヤイのベッドメイキングをしながら、彼からの睦言を思い出すジョム。ヤイと顔を合わせてしまい、何も言わずに去ろうとしますが、彼に引き止められます。ジョムは「明日はブッザボン様との結納式ですから早くお休みに」と言うと、ヤイは「彼女を愛してない。君を愛してる」と懸命に言います。「分かってます。今僕に出来るのは愛する人を祝福することだけ」と言うジョムに、ヤイは「そんなこと言わないでくれ」と涙を飲みますが、「受け入れないと。これが現実です。彼女と結婚してください。僕は待てます」と返すジョム。「愛していない人と生きていくなんてできない」とヤイはジョムにキスします。「すぐには変えられないこともあります。偶然それが僕たちにも起こっただけですよ。ヤイ様、信じてください。僕らの間に起こったことはいい思い出にしましょう。もしも僕が恋しくなったら思い出してください。僕もまた恋しさと戦っていることを」と言うと、ジョムはヤイの額にキスします。抱きしめ合う2人。泣きじゃくるヤイを置いて、ジョムは部屋を出ていきます。

テープニティタムはジャンから全ての準備が整ったと報告を受けて満足げですが、「本当にこれでいいのですか?」と問われ、無視します。

いざ結納式が始まり、指輪の交換が行われます。ウアンプンは心配そうです。ジェームスが結納式の写真を撮り、その後の食事会は親同士は和気藹々としています。楽器の生演奏が突然中断され、ジョムが「出し物を用意しました」と言って登場します。

 

第10話

<あらすじ>
ジェームスやフォーンゲーウの助けを借り、結納の席でソーラデートとロバートの悪事を暴露したジョム。
デートとロバートは警察に連行され、ヤイとブッサボンの結婚は白紙に。
ヤイとジョムにようやく平穏が訪れる。

バーで男と踊るジェームスのもとにジョムが近づき、「お願いがあって1人で来ました」と言います。ジェームスはジョムの願いを叶えてくれる知り合いを呼んでくれます。ジョムは「誰かを深く愛するたびに何か問題が起きて終わるから、僕は誰のことも愛してはいけないのかも。神様が僕に誰も愛さないように呪いをかけたのかも」と不安を吐露すると、ジェームスは「愛する人と一緒にいる幸せを味わえたんだから良いじゃないか。僕は君よりも運が悪いから、その幸せをまだ知らない」と言います。そこにニアオがやってきて、2人に挨拶をします。

婚約の食事中に現れたジョムは、主人への贈り物として出し物を用意したと言います。

フォーンゲーウはウアンプンの助けを借りて探していた手帳を見つけ出します。

その時、ニアオが現れ1人語りを始めます。夜の市場を横切った男を追いかけると、その男が家に火をつけると雇い主の愚痴をつぶやき始めたと言い、テープニティタムは場が台無しだと激怒。ジョムはソーラデートとロバートが市場での放火に関与している真実を明らかにすると宣言します。ジョムは証拠がある、机に置いた「焼き払え」と書かれた紙がそうだと言いますが、ロバートはこんなものは誰にでも書けると一笑に伏します。しかしウアンプンがそれはロバートの手帳に書いてあったものだと同じだと証言。フォーンゲーウが「証拠自体はロバート様が焼き払いましたが、燃え残ったものをニアオさんが拾っていました」と燃え滓を掲げて見せます。ソーラデートは自分は無関係だと言いますが、ウアンプンは「あなたが住民の土地の不正入手に関わっていることがはっきり書かれていましたよ」と言い、カムセーンが警察とともにロバートとソーラデートに指示されて火事を起こしたと言う男を引き連れて来ます。この結婚を許すのか、一族の汚点になっても構わないのかとテープニティタムを問い詰めるジョム。
ロバートとソーラデートは警察に連行されます。「権力を得るのに危険はつきものだ。世の中には罪にも問われず権力の座についているものが大勢いる」と言い残して去っていくソーラデート。

ブッザボンは「父のことは察していたし、淑女を演じるのには疲れていたからこれからは好きなように生きられます。これからは愛する人を大切にしてくださいね」とヤイとの結婚は望んでいなかったと言って去っていきます。

カムセーンは「俺と一緒に帰るだろ?」と問いますが、フォーンゲーウは「先に帰っていて。まだこの家でやることがある」ときっぱりと言います。カムセーンはフォーンゲーウを待つことが自分の人生らしいと笑い、去っていきます。

その晩、1人で酒とタバコに溺れるテープニティタムのそばにケーカイが座ります。「私は君が思うより弱い人間なんだ。権力を望むあまり子供達を不幸にしてしまった。こんなことは予想もしなかった」と言うテープニティタムを自分勝手だと責めるケーカイ。彼女は「これまで20年以上従順な妻として夫に反対しなかったけれど、これからは私自身の意思で物事を決めるわ」と言い放つとウイスキーを一息に煽り、去ります。

ヤイの服を脱がせながら、覗き見しているお子様だとふざけるジョム。ヤイはジョムが一番子供ではないと知っているだろうと言い返し、「この鼓動が恋しかったかい?」と自分の心臓に手を当てさせ、キスします。その後、2人は体を重ねます。「たった数日離れて寝ただけで恋しくて仕方なかった。もうとっくにジョムに溺れてる」と甘えるヤイ。他のみんながどうしているのか気になるジョム。「婚約式の時、どんな気持ちでしたか?」と問うジョムに、「何も感じなかった。感情があれば自分が人間だと思えるけど、そう思えなければ死人のようだ。あの時の私はきっと魂と体が離れてしまっていたよ」とヤイは言います。「早くヤイ様の魂が戻ってきますように。そしてどんな辛いことも乗り越えられますように」と祈るジョムの頭を撫でるヤイ。ヤイは「私の魂はもう戻ってきたよ。目の前にいる。ジョムは私の魂で最愛の人だ」と言い、ジョムにキスして彼を抱きしめます。

翌朝、フォーンゲーウはウアンプンを待って一緒に朝食を食べ始めます。ウアンプンはフォーンゲーウに調子を尋ねられ、「ほっとしていい気分よ」と微笑みます。フォーンゲーウはこれから、もう少しだけ屋敷に止まり、いくところが決まり次第出ていくと言います。ウアンプンはもう自分たちは友人なのだからいつでもいつまででも家にいてくれていいのだと言い、手を握り合います。フォーンゲーウはウアンプンをある人のところへ連れて行きたいのだと打ち明けます。
実家にウアンプンを連れてきたフォーンゲーウは、自分の母に会ってもらいたいのだと言い、母を探しに行きます。するとそこにムーイが現れ、ウアンプンを驚かせます。
ムーイの体調を気にするウアンプンに、ムーイはフォーンゲーウの母のおかげでよくなったのだと言います。自分を責めるウアンプンを慰めるムーイ。フォーンゲーウは家の影からそっと抱き合う2人を見つめていました。喜びに抱き合ったのも束の間、ウアンプンは突然吐き気に襲われます。きっと心配事が多かったせいだと、3人は屋敷に戻ることに。

ウアンプンはロバートの屋敷の使用人たちにお金を出して暇を出したようですが、ミンと彼の母は屋敷に留まることにしたようです。カムティップはムーイが消えてからずっと塞ぎ込んでいましたが、彼女が帰ってくるなり喜びで大騒ぎします。

ケーカイに呼び出されたヤイ。何日も父に会っていないせいで無意識に姿を探すヤイに、「歳をとると頑固になって現実を受け入れられなくなるの。しばらくそっとしておいてあげて」と言うケーカイ。そして「父さんの判断に全て任せていたけれど、これからは私があなたたちのことを決める。留学したいと言っていたわよね。すぐに準備をして。3ヶ月で留学できるように手配してあげる」と言います。喜びのあまりケーカイに抱きつくヤイ。

屋敷に戻ると、ヤイは「夢が叶うよ!留学できるんだ!」とジョムに抱きつきます。ジョムは「僕の記憶が戻ったら帰ることになるかもしれないから、待っていられないかも」と言います。「君の代わりなんて探せないのにどうしたらいいの」とヤイは言いながらも、ジョムを離そうとしません。

その夜、水浴びをした後のヤイの体にオリーブ油を塗ってあげるジョム。「ヤイ様のご家族はバンコクから来たんですか?あ、プラナコーンのことです」と慌ててジョムが言い直すと、ヤイは「そう。母もトンブリーとナコーンパトムに土地を持っていてね」と世間話をします。ジョムはプラナコーンにある土地は近い将来、何百倍にも地価が跳ね上がりますから絶対に持っていたほうがいいですよとアドバイス。ヤイは私の資産管理をしたいのかいとふざけて笑います。
その時、ジョムは鏡に映った自分の腕が透けていることに気づきます。

翌日、あずまやで読書するヤイの隣で軽食をつまむジョム。「私の軽食なのに」と言われて慌てるジョムに、「愛する人の口から食べようかな」とヤイはキスをします。
そこにジェームスが現れ、ジョム抜きで相談したいことがあると言います。ジェームスはテープニティタムの昇進の食事会で撮ったジョムの写真を見せ、「科学的に説明できないことをヤイ様は信じますか?」と言います。写真のジョムはほとんど透明に映っていました。カメラの故障ではなく、透明に映ったのはジョムだけ。「もしかしたらこれは何かの警告かもしれません」とジェームスは言います。
屋敷に戻ったジョムが鏡を見ると、体のほとんどが透明になっていました。鏡の前で過呼吸になっているジョムを助けたヤイは、ジョムの姿が鏡の中で透明になっていることに気づきます。
ジョムは「もし僕がこの時代の人間ではなく未来から来たと言ったら、信じてくれますか?」とヤイに尋ねます。何を言っているのかと混乱するヤイ。

 

第11話

<あらすじ>
未来から来たことをヤイに打ち明けたジョム。
信じられない告白に戸惑いながらも、ヤイは消えゆくジョムを何とか救おうと方法を探すが、見つけることができない。
そんななか、ジョムとヤイはお坊様に会いにいくが…。

未来から来たことを打ち明けるジョムに、ヤイは鏡の現象は謎でもジョムを信じると言います。ジョムは「いつか消えてしまってみんなが僕を忘れてしまうことが怖い。母さんもジードもヤイ様も…。僕はどうしたら…」と震えながら不安を吐露しますが、ヤイは「君は私とここにいるから大丈夫」と抱きしめます。

ヤイのベッドで横たわっているジョムは、なかなか寝付けません。不安げなジョムに「未来は予測できないものだよ。でもジョムが私の愛する人であることは確かだよ。私はいつも君のそばにいる。君を1人で苦しめはしないと約束する」と勇気づけてくれるヤイ。感謝するジョムに「我が家を今のように変えたのはジョムだよ。ありがとうと言うべきは私の方だよ。君は家族の一員で、我が家の大事な人だよ。覚えておいて」とヤイは微笑み、ジョムにキスします。

医者はウアンプンを診察し、妊娠しているため内臓に負担がかかっていると言います。ウアンプンは狼狽え、「あの人の子どもだなんて無理よ。この子の成長を見守る人生なんて送れないわ!いつになったらあの人から逃げられるの!」と叫びます。ムーイは「起きてしまったことは変えられないわ」と彼女を抱きしめ、慰めます。

川を眺めていたフォーンゲーウに声をかけるカムセーン。フォーンゲーウは自分が彼女にしたことを思うとウアンプンを見ていられない、助けたいと言います。カムセーンはフォーンゲーウがウアンプンのようにならなくてよかったと言いますが、フォーンゲーウは「今世では、あなたを愛した私にはもう戻れない。私よりいい人を探して幸せになって」と彼の手を振り解いて去ります。

ジョムは絵を描いていた時に自分のいた時代の光景が見えたのだと、これまで描いた絵をヤイに見せます。「どうしてこの絵を描く必要があると?」と尋ねるヤイに、「僕がいた時代のここにあった古い箱の中で絵を見たんです。僕が思うに、その箱に絵を保管したのはヤイ様です」とジョムは言います。

夜中にホープを見にいくジョム。ホープはいつの間にか子供を産んで大所帯になっていました。
ヤイはもう一度ホープを描いてみないかと言いますが、ジョムは試しに屋敷を再度描いても何も見えなかったと言います。「もし絵を描いて僕が消えたら?」と問うジョムに、「何が起こるのか私にも分からないが、もう君を救う方法がないんだ。私が何も行動しなければ鏡に映る影のようにジョムが永遠に消えてしまうかもしれない。それならいっそ君を元いた場所に帰したほうがマシだ。君との思い出まで失うなんてそんなこと絶対にさせない」と断言するヤイ。
怖がるようにペンを持ったままのジョムに、「何が起こっても君とここにいる。心配いらないよ」と微笑んでくれるヤイ。ジョムは順調にホープを描いていきます。

その翌日も、その翌々日も、ジョムはホープやヤイの屋敷、ヤイを何度も絵に描きます。ジョムは「無駄です。これ以上あの光景は見えませんよ」と根をあげそうになりますが、「その箱の中にまだ描いてない絵はあった?」とヤイが尋ねます。ハッとするジョム。「一枚ありました。描かれていたのは1人の男性です。木の下に立っていて…何が描いてあった?」と頭を掻きむしるジョム。「実はジョムに描いて欲しい絵があるんだ」と自分の半裸の絵を描いてもらうヤイ。ジョムが半裸の絵なんて嫉妬するから誰にも見せられないと言うと、ヤイは嬉しそう。絵を描いている君を目に焼き付けておきたいとジョムを見つめます。

川縁で休むウアンプンの体調は良くなっていましたが、心の方は乱れたままです。「この子が生まれてきたらどんな感情を向ければいいのか…でも起きたことは受け入れるしかない。たとえそれが望まないことでも…。今までだって乗り越えてきたのだから頑張れるはず」と言うウアンプンに、「まだ選択肢はあります。ある薬草を扱う医者を知っています。もう乗り越えることだけに縛られてほしくない。ウアンプン様には愛する人と明るい希望を育んでほしいんです」と提案するフォーンゲーウ。ウアンプンはフォーンゲーウならどうするかと尋ねます。

ウアンプンはムーイに「2人でプラナコーンに行って一緒に人生を始めて欲しい」と頼みます。「どこへ行こうと喜んでついていく」と頷くムーイ。その前に苦しみを終わらせないとと言うと、ウアンプンはフォーンゲーウの知人に会ってお腹の子を堕ろす決断をしたのだと報告します。しかしムーイは「それではロバート様と同じことをすることになる。手を汚さないでほしい」と大反対。ウアンプンはこれは相談ではない、私が苦しみ続けるのを見たいのかと声を荒げ、ただそばにいてほしいと願います。

一心不乱に本を読み耽るヤイ。ジョムの現象について少しでも知りたいと解決策を探しているようです。寝る間も惜しんで調べ物を続けるヤイは、「H.G.ウェルズの作品でタイムマシンというもので過去に戻る話を読んだんだ」と一生懸命です。「僕は何も見つからないと思います」と諦め気味なジョムは、以前「この辺りの生まれではないな」と言い当てたお坊さまに会いに行けば答えが分かるのではととハッとします。

ヤイとジョムは2人でお坊さまのもとに向かいます。テープニティタムは心を閉ざしたままだとヤイが報告すると、「時の流れに逆らおうとすればかならずたおれるだろう。ヤイが相談したいのはその青年のことか?」と言い当てられます。お坊さまは「すべては目に宿る。彼のような目はここの人間のものじゃない」と言うので、ヤイは「彼の身体を引き止めることはできませんか?」と尋ねますが、お坊さまは「時の流れは変わったのだ。逆らおうとすれば2人とも必ずや倒れることになるだろう」とだけ言います。「僕は消えてしまうのですか?」と問うジョムに、「分からない。しかし、その時がくれば自ずと答えは分かるだろう。ヤイがいてほしいと望む場所へジョムは行くはずだ」と答えるお坊さま。ジョムは静かに微笑みます。

ヤイの屋敷に戻った2人。地面に落ちたラントムの花を拾い上げて、何か思い悩んでいる様子のジョム。「私の愛しいジョム。私を置いていかないでくれ。答えを見つけようと必死に探してきたけれど、私は愚かだった。見つかるはずがないのに」と泣きながらジョムを抱きしめるヤイに、「どこにも行ってません。僕はまだヤイ様の前にいます。泣いてるヤイ様は見たくない。2人に残された時間を楽しみましょう」とジョムはヤイを抱きしめ返します。

スヤじいさんにこき使われて疲れたと文句を言うミンを叱りつけつつも、プリックは息子を慰めるように酒瓶を出してやります。大喜びするミン。そこにカムティップが現れ、ウアンプンとムーイは屋敷を出ていくらしいと大騒ぎをします。さらにジョムも現れ、ミンに手伝って欲しいことがあると頼みます。「招待状を配って欲しい。封筒に招待したい人の名前が書いてある」とミンに封筒を差し出すジョム。「使用人やカムセーンの名前まであるぞ」と驚くミンに、「あと少しだからヤイ様とみんなで食事をしたいと話したんだ。元いた場所に戻るから」とジョムは説明します。「元いた場所はどこなんだ?機会があったら寄るから」と言うミンに、「一度帰ったらまた会えるか分からないくらいすごく遠いところなんだ」とジョムは悲しそうに言います。「僕はいつかまた会えると思う」とミンの背を叩くジョム。ミンは寂しそうな表情を和らげると、ジョムの肩を叩きます。

正装したジョムが鏡に手を伸ばすと、そこにはもうほとんど自分の姿は映っていません。ヤイにボタンを留めてもらい、最後の身支度を整えてもらいます。ヤイに手を握られエスコートされ、食事会の会場へ向かうヤイ。
食事会の準備をしながら、「もうすぐみんなと別れるなんて信じられない」と寂しそうなミン。プリックは「ようやく思い通りの道を進んでいけるんだから応援してあげなきゃ」とウアンプンやムーイたちを見て言います。

思い悩んだ様子のムーイは、ウアンプンが心配なようです。フォーンゲーウはカムティップが様子を見ているから大丈夫だと安心させます。カムセーンは「もう俺から逃げないで。君がどんなに変わっても、俺にとっては永遠に愛しい君のままだ」とフォーンゲーウに改めて告白します。涙するフォーンゲーウ。

そこにヤイとジョムが手を繋いで現れます。ジョムは「僕から皆さんに伝えたいことがあります。もうすぐ僕は家に帰ります。でも、僕のいた場所はとても遠いんです。もしかしたらもう皆さんに会えないかもしれない。ここにいる皆さんに僕は感謝してます。なのでここで皆さんと最後にいい思い出を作れたら僕も最高の思い出になります」とスピーチすると、みんなの前でヤイとダンスを踊ります。
ヤイを愛しそうに見つめるジェームス。亡き母を思い出すプリック。今世での別れを告げた時のことを思い出すフォーンゲーウ。屋敷から逃す時にミンを抱きしめたことを思い出すムーイ。ジョムに別れを告げられた時のことを思い出すミン。堕胎することを告げた時のことを思い出すウアンプン。
ヤイとジョムは互いだけを見つめて踊り続けます。
ジェームスの合図で集合写真を撮ることに。しかし彼はジョムが映っていないことに気づき躊躇しますが、ジョムはそのまま撮るように頼みます。

翌朝、咲いたばかりのラントムを見つめるヤイ。昨晩は別々の部屋で寝たので、ヤイは寂しかったようです。ジョムは元の家に戻れないかもしれないから、どうか孫やひ孫の代まで預かっていて欲しいと、昨晩書いた手紙をヤイに手渡します。ヤイは手紙を受け取り、「責任を持って預かるよ」と胸を張ります。中身を読んでもいいのかと問うヤイに、ジョムは「僕がいない時に読んでくださいね。だって恥ずかしいから!今から読むなら僕は屋敷の中にいます」と屋敷へと走り出します。ヤイは庭の机に座ると、手紙を読み始めます。

手紙の内容はこうです。
「母さんとソムジードへ。ジョムだよ。この手紙は一番大変な時に書いたんだ。また2人に会えるか分からないし、もし僕が急に消えてしまったらみんなが心配するだろうから。何が起こったかって?びっくりするよ。僕は1927年にタイムスリップしたんだ。国の体制が大きく変わる前の時代だ。最初はこの時代に馴染めなかった。この場所が変わるまでは。慣れるのに本当に苦労したよ。ここではいろんな人に出会った。みんながたくさん助けてくれて、さまざまな人生を教えてくれた。僕たちは一緒に戦って、助け合って、ここが離れたくない居場所になった。ジードに話した男の人にも出会ったんだ。夢に出てきた人の話をしただろう?オームさんから受けた痛みを彼が癒してくれた。そして僕の愛する人になった。一生そばにいたいと思うくらい。最後にこれだけは言わせて。母さん、ジード。愛してるよ。直接別れは告げられなかったけど、僕がいなくてもこれから先の人生を歩んでほしいな。みんなの笑顔をいつでも見守ってるよ。愛を込めて ジョムより。1928年10月」
手紙を書きながら、ジョムはいつしか涙していました。手紙にはジョムの写っていない集合写真が挟まっています。

 

第12話

<あらすじ>
ジョムは戦士の姿をしたヤイから指輪を渡される夢を見る。
ヤイと共に同じ場所を掘ってみるが、何も見つからず落胆する。
そんなジョムをヤイは慰め、薄くなる姿にジョムが苦しまないよう屋敷中の鏡を布で覆う。

ヤイはラントムの木の下に2人の大切なものが埋まっている気がするからと、夜中にジョムとともに穴を掘ります。掘り進めた先に木箱があり、ヤイはその中に獅子の頭が彫られた指輪を見つけます。ヤイは「君の指に嵌められるってなぜか分かるんだ。もし悪いことが起きても君のそばを離れないから」と言い、ジョムの左手薬指にそれを嵌めます。その瞬間、ジョムは「どうかこの指輪を受け取って欲しい。俺の心は永遠にお前だけのものだ」と戦士の姿をしたヤイに告白される夢を見ます。ハッと目を覚ますと、ジョムはヤイの隣で眠っていました。ヤイはいつもと変わらぬ姿です。ジョムは夢の中のヤイのことを説明します。憔悴するジョムを抱きしめるヤイ。

ジョムに言われるがまま、夢のとおり、ラントムの木の下を掘るヤイ。なかなか指輪が見つからず、ヤイはもうウアンプンたちを見送る時間だから幻覚を見たのだとジョムを説得します。

ウアンプンは「ここに住んでいると辛い過去を思い出すから遠くに行きたいんです。小さな商売でもしてムーイと助け合って生きていきます」とテープニティタムとケーカイに告白します。テープニティタムはロバート達の一件で頭がいっぱいだと言いながらも、ケーカイとともに2人の門出を祝福してくれます。
ウアンプンは最後にジョムに「以前会ったことがあるかは分からないけれど、あなたとは縁がある気がする。ヤイと仲良くね」と言い残して、また会いましょうと去っていきます。

留学準備を進めるヤイ。屋敷を見回すと、全ての鏡に布がかかっています。ジョムが薄くなる自分の姿を見ないようにという配慮からでした。
その晩、ヤイと共寝していたジョムは起き上がると、鏡を覗き込みます。やはり自分の体は薄くなる一方です。川べりでぼんやりしていると、カムセーンが船でやってきて「フォーンゲーウを見ていないか?」と尋ねてきます。そういえばしばらくフォーンゲーウの姿を見ていません。フォーンゲーウは市場の人にカムセーンへの別れの手紙を託して、母と共に別の場所に去ったのだそうです。「俺の愛は全て彼女に捧げたのに。彼女は俺の人生そのものだったのに。俺にはもう何もない」と泣きじゃくるカムセーンに、「今世では彼女とはこういう運命だったんだと諦めよう」とアドバイスします。「俺は永遠に彼女を愛し続けるよ。もしお前に俺と同じことが起きたら諦められるか?」と言うカムセーン。ジョムは「フォーンゲーウはまだ君を愛してるよ。別れを告げなきゃいけない理由があったんだ。大切にすべきなのは彼女が選んだ道ってこと。今までずっと自分で選べなかったから。分かってあげて」と言い、カムセーンは俯きます。「来世があるとしたら次はきっと夫婦になれるよ」と慰めるジョム。

目を覚ましたヤイはジョムがいないことに動揺し、屋敷を探し回ると、ジョムを抱きしめます。「まだここにいますから」と安心させるジョムに、ヤイは「怖いんだ。心から愛してるよ。機会を失う前に君にちゃんと伝えておきたいんだ」と言いながら彼にキスをして抱きしめます。ジョムも同じく「僕も心から愛しています」と言って抱きしめ返すのでした。

その夜、2人は熱く体を重ね合わせます。ヤイがジョムと共寝をして起きると、ジョムの体が鏡に映るように透けてしまっていました。ジョムは箱の中にあった絵と同じ状況を作り出そうとしますが、木の下の人がなかなか現れません。ヤイはジョムを座って休ませます。
ヤイは帰国したら裁判官になりたい、この国に良い未来を導きたいと打ち明けます。ジョムは自分がどうなろうとヤイの帰国を待つと微笑みます。ヤイは「私の心は君だけのものだ。どんなに遠く離れても、会えなくても、決して誰にもこの心を許すことはない。ただ1人ジョムを除いて。私には君だけだよ」と誓い、キスをしてくれます。
ヤイはジョムの姿を絵に描いて残したいから木の下に立ってくれと頼みます。留学中の寂しさを紛らわしたいからと。
絵がもうすぐ完成するという時、木の下にいたジョムの姿はほとんど消えかけていました。「僕がいなくても幸せに生きてくださいね。形は違ってもいつか別れはきます。よほどのことが起きない限り、僕はあの屋敷で待ってます。心から愛してます。また会えることを願って」と言うジョムを抱きしめるヤイ。一陣の風が吹き、ジョムが完全に消えてしまいます。ヤイはジョムを探し求め、ラントムの木の根元に座り込んでしまいます。

気がついたジョムは水の中にいました。戦士の姿をしたヤイに抱き寄せられますが、ジョムはすぐにダイバーに水面へと引き上げられます。救急車で運ばれるジョムは、うっすらと目を開けます。

チェンマイ仏暦2566年(西暦2023年)、ジョムの部屋はソムジードが掃除してくれていたようです。ジョムが病院にいた時にオームから電話があったけれど着信拒否にしておいたと言われ、もう怒ってないけれどそれでいいと返すジョム。
そこに突然オームと彼女のカイムックがやってきます。2人はジョムが退院したと知って謝罪しにやってきたのです。カイムックは答えが欲しいがゆえにオームに決断を迫ったことをジョムに謝りますが、ジョムは2人はやっと好きな人と結ばれたのだからもういいと全てを許します。

オームが帰った後、お菓子をがっつくジョム。現代のお菓子が恋しかったと言うジョムに妙な顔をするソムジード。ソムジードはオーム達に優しくするジョムに怒りますが、ジョムは終わったことだからと言いつつも「何かが恋しくなる時がある」と遠くを見つめます。事故の前日、ソムジードが何かを言おうとしていたと思い出すジョム。ソムジードは友達に恋をしているのだと打ち明けます。その友達には恋人がいる上、友達は同性なのだと言います。理解を示すジョムにありがとうと感謝するソムジード。

その晩、ひどい雷雨の合間に「ジョム」と呼ぶヤイの声が聞こえて飛び起きるジョム。ヤイにもらった魂を繋ぎ止めるための糸はまだ腕に繋がれたままです。ヤイに会いたいと独り言を言って、糸にキスをするジョム。

工事中のヤイの屋敷に行くと、タンが無事を祈るために寺を回ったと復帰を喜びます。悪いことが起こったから魂を呼び戻したほうがいいと言う彼に驚くジョム。招魂の儀式は北部に伝わる古い言い伝えで、人間は32の魂を持っており、普段は私たちを守り幸福をもたらしてくれると考えられているのだそうです。人が亡くなるとその魂は近い親族に生まれ変わるのだとか。
タンは屋敷の奥さんからジョム宛に預かったと言って鍵を渡します。また、絵の入った箱は重くて動かせず、どの鍵を使っても再度は開かなかったと言うのです。鍵ですんなりと箱を開けると、その中にヤイがくれた時計や自分だけが写っていない集合写真や絵たちを見つけます。絵を一枚一枚見ながら思い出して涙するジョム。ヤイの描いてくれた絵を見ていると、裏面に何か書かれています。

「愛しいジョムへ 君がこれを読んでいる頃には、私はこの世にいないだろう。でも悲しまないで。人生とはそういうものだ。君が消えてから私は魂が抜けたようにぼんやりして気力を失った。あの屋敷で待っているという君の最後の言葉は、絵を見るまでその意味を理解できなかった。君がこの絵を描いたのは私に残すためだろう?」
ジョムの描いてくれた絵を抱きしめて泣きじゃくるヤイ。ジョムがいないと泣くヤイを、プリックは「彼がいなくても幸せに生きていくと約束したんでしょう?」と必死で慰めます。
「苦しむ私を家族が見かねて、我が家で招魂の儀式を行ったんだ。悲しみの中、招魂のお唱えを聞いていたら思い出したんだ。君の手首に糸を結んで招魂のお唱えを一緒に聞いた日を。留学に行くまでに私は少しずつ元気になった。君との約束を思い出したからだ。留学から戻ったら、君の望むようにこの国を変えると。フランスで法律を学んでいた時、似た志を持った人たちと出会った。学部内での私の役割は印象に残らなかっただろうし、私の人間性を非難されることもあったが、彼らに出会えたことが誇らしい。もうすぐ人生の終わりを迎える。いろんな経験をして学んだことがある。時の流れは前に流れるだけで決して戻らない。君にとって私は過去かもしれないが、私にとって君は未来だ。私はここで君を待ってる。いつかまた一緒に暮らせる日まで。ジョムへの変わらぬ愛を込めて。 クリッサダー・パラーティップ」

ヤイの手紙を読み終えて涙するジョム。その時、「僕を呼んだ?」とヤイが現れます。「ヤイ様、ずっと会いたかったです。恋しかった。どうやってここに来られたんですか?」と泣きじゃくりながら彼に抱きつくジョム。ヤイは「ずっとここにいると言っただろう?」と微笑みます。
「ずっと君を待ってたよ。”僕の愛しいジョム”」と微笑むヤイは、涙するジョムにキスします。

森の中で目を覚ましたジョム。あたりは雑木林で、何もありません。そこに馬に乗った戦士の姿をしたヤイが現れます。「ヤイ様!」とジョムが叫ぶと、「お前は何者だ?なぜ俺の名前を知っている?」と問われ、困惑するジョム。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

ええーーー!!!衝撃のラスト!!!
ジョムはまた過去にタイムスリップしちゃったんですか!?やっと現代でヤイと恋ができると思ったのに…!!今度もちゃんと現代に戻ってこられるといいんですが…大丈夫かなあ。この終わり方ということは、シーズン2があるのかな?楽しみです☺️💕

小錦あや
小錦あや

いろんな事件が起こって面白かったんですが、肝心のメインカプ2人がなぜお互い好きになったのかがいまいち分からなかったです。
ジョムが自分に優しくしてくれるヤイを好きになるのは理解できるんですが…ヤイからジョムへの好意が謎でした。
ヤイは先進的な考えを持ったジョムに惹かれたのかなと思いましたが、それにしても自分のことが何も分からないジョムに温室育ちのヤイがいきなり好意を持つのは突拍子もない感じがするなと思いました。
ヤイはジョムと同じように未来や過去の夢?を見ていたからすんなりジョムなことを好きになったのかもしれないけど…うーん、それにしても…。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

行く当てのないジョムがヤイ家の使用人となり、ジョムの主人となったヤイとの身分違いの禁断の恋を繰り広げる…王道といえばそうですが、だからこそいい。長編作品なので、徐々に距離が近づいていく2人のロマンスをじっくりと堪能できるのが良かったです。

今回3人が見た「愛の香り~I Feel You Linger In The Air~」は、Amazonプライムビデオ、Huluで無料視聴できます。

ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨

引用:愛の香り~I Feel You Linger In The Air~|フジテレビの人気ドラマ・アニメ・TV番組の動画が見放題<FOD>

 

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