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田舎の両親に仕送りを続けるために男娼として生きるフェイと、その恋人シャオレイの葛藤を追う青春ドラマ、「マネーボーイズ」。
全編のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。
早速見てみましょう!
登場人物とあらすじ
男娼×その恋人 のお話。
<あらすじ>
フェイは都会で恋人シャオレイと同棲しながら、体を売って田舎の両親に仕送りをしている。
田舎の家族はフェイの仕送りを当てにしながらも、彼が同性愛者であることは決して受け入れようとしない。
ある日、フェイが顧客に暴行されたことを知ったシャオレイはその男を叩きのめすが、男の部下たちの報復に遭う。
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予告編・予告動画
こんな人におすすめ
- 中国における同性愛の認識を垣間見たい👀
- ヘテロの偏見と闘うマイノリティの物語を知りたい🏳️🌈
- 愛と生き方について再考したい💭
本作をもっとよく知るための小ネタ
①撮影は台湾で行われ、主演のフェイを「あの頃、君を追いかけた」(11)のクー・チェンドン、シャオレイをドラマ『お仕事です!~The Arc of Life~』(21)のリン・ジェーシーといった台湾スターが演じた。
引用:MOVIE WALKER PRESS -MONEYBOYS
②中国で幼少期を過ごし、オーストリアに移住、ウィーン・フィルム・アカデミーにて巨匠ミヒャエル・ハネケに師事したC.B. Yi(シー・ビー・イー)監督の長編デビュー作。
引用:MOVIE WALKER PRESS -MONEYBOYS
③2021年カンヌ映画祭ある視点部門に正式出品。台湾の金馬奨最優秀新人監督賞、最優秀主演男優賞にもノミネートされた。
引用:MOVIE WALKER PRESS -MONEYBOYS
ネタバレ感想
ベニーの家を訪問したジャクソン(本名はリャン・フェイ)は、出迎えてくれたマックスという男(本名はシャオレイ)から「君を拾ってくるなんてベニーは幸運だ」と言われます。「あなたの指示に全部従います」と言うフェイでしたが、シャオレイには「焦るな」と制止されます。シャオレイはフェイに服を買い与え、カラオケに連れていくなどして、大層かわいがります。
フェイはシャオレイの家に転がり込み、同棲することに。シャオレイに抱かれるフェイですが、「この後に客を取るから」と射精しません。
バオという客の機嫌を取っていると、シャオレイから「あの手の客はたちが悪いから」と呼び出されて注意を受けるフェイ。しかしフェイは家族に仕送りをしなくてはいけないので、客を選ぶことなどできません。喧嘩別れしてしまう二人。
翌日、「朝食を買ってきたよ。昨日は悪かった」と怪我だらけの姿で謝るフェイ。シャオレイはバオを見つけ出すと、報復としてパイプで滅多打ちにします。しかしバオは弟分を呼び出すと、逆にシャオレイを返り討ちにします。
バオにひどい怪我をさせられたフェイは、なかなか帰らないシャオレイを心配していました。しかししばしの間家を離れた隙に自宅に警察がシャオレイを探して押し入っているのを見てしまい、怪我を庇いながら一人で逃げ出します。
5年後、別の街。プールで泳いだ後、客を取るフェイ。昔より裕福な生活をしています。「おじいちゃんは脳卒中の後から弱気になってる。時間がアレば父さんにお避けを控えるように言って。口には出さないけど、あなたのことを気にかけてるのよ。母さんが死んだ後、あなたは一度も帰省していないから…」と姉のアーツァイに言われ、フェイはすぐに電話を切ります。
セレブな客と淹れたての中国茶を楽しむフェイ。「気前のいい客を紹介してくれ」と仲間のチャン・ウェイに言われ、「シャン・ドンに頼めば?そういえば、彼とルールーの結婚式だが祝儀はいくら包む?」と返すフェイ。「偽装結婚なのにか?万年金欠なのに、お前大丈夫なのかよ」と言うウェイ。
シャン・ドンの結婚式に出席したフェイとウェイですが、ルールーは明らかに結婚に不満げで、ドンも能面のように無表情です。男娼の仕事から足を洗い、結婚して家族を安心させたドンに羨望を感じるフェイ。
二次会でルーフトップバーに来た一同。ウェイは「ルールーさんと外食した時、路上ライブを見た。その歌い手は昔街一番の男娼だったが、悲惨な末路を。喧嘩して足を骨折した上、2年間刑務所に。恋人のためだったらしいが、そいつは逃げたと。神様は見てるから天罰が下るさ」とウェイは話します。どうやらその歌い手とやらはシャオレイのことのようです。
フェイが家で客を取っていると、「売春と薬物所持の疑いで令状が出ている」と警察に踏み込まれます。警察のおとり捜査にかかってしまったのです。
署から戻ったフェイは田舎に引っ越すことに。村に帰る船でぼったくられかけていた時、自分を兄貴と慕う幼馴染のリャン・ロンに再会します。ロンは出稼ぎにフェイを追って北部へ言ったものの、嫌になって田舎に戻ってしまったのだそう。「どのくらいこっちにいるの?」と尋ねるロンに、「状況次第かな」と答えるフェイ。
フェイはサプライズでアーツァイに会いに行き、甥のドウドウにお土産のおもちゃをプレゼントしてかわいがります。軒先で食事をしていると、野良犬たちにじゃれつかれます。
フェイとアーツァイは母の墓参りをし、アーツァイは「おじいちゃんは先週の診察で医者に問題ないと言われた。父さんは相変わらずよ。フェイが外で成功するように見守っててね」と報告し、フェイは「母さんの最期に立ち会えなかったけど安心して。俺が父さんやねえさん一家を責任持ってみるよ」と報告します。フェイを抱きしめて泣きじゃくるアーツァイ。
「指輪に作り直して、愛する人に贈れ。早くいい人を見つけて結婚しろ。フェイのように天涯孤独になるぞ」とフェイ本人に言う祖父。痴呆が進んでいるようです。
アージエとドウドウという二人の子供を育てるアーツァイとその夫をねぎらうフェイですが、叔父は「しつけがなっていない」と怒り心頭。フェイにも「お前の親父は孫を抱きたがってるぞ。お前はもう30歳だ。村の女を紹介してやる。このままだとお前たちはこの村の恥になるぞ!グオ家の長女を見てみろ、30歳でまだ独身なんて変態に違いないい。おじいさんはお前に腹を立て気に病んだんだ!外で何をしてるかは知ってるぞ!これ以上リャン家の恥になるな!我がジャン家もとばっちりを受ける!」と脅してくる始末です。父 リャン・グイシャンは頭を抱えて酒を浴びるように飲みます。
「外に出てこそ地元の良さが分かる」と一人で海を眺めるフェイに声をかけるロン。「もしいい人に出会ったら出話ちゃ駄目よ。人生は長いから孤独はだめよ。今後は自分のことだけ考えて。父さんのことは私に任せて」とフェイに膝枕をしてやるアーツァイ。
「昨日、金持ちの従兄弟の息子が死んだ。貯水池で溺れたらしい。勉強ができ、いくつも習い事をして、有名大学に受かった矢先のことだったとか。一人息子だったらしいが、結局死ぬなら金の無駄だったな」と噂話を聞くフェイ。
「お前が来ないから恥をかいたと常連たちが怒ってたぞ。今後困ったことがあっても手は貸さないとさ。祝儀は渡しておいたぞ」と言うウェイに、ひとまず3000元を渡すフェイ。そこにロンがやってきて、「兄貴の好物を持ってきた」と嬉しそうに話します。フェイはロンを家には入れず、一緒に食事に行こうと誘います。
「なぜこの街に?」と問うフェイに、「兄貴が友達だから来た。こっちに来ることは誰にも言ってない。帰る気はない。しばらく泊めてほしい」と頼んでくるロン。フェイはロンにヨンという男を紹介し、宿泊先の手配などをしてもらえるように頼みます。たった半月働いただけで、仕事にも行かず、フェイに「食事も作れるし掃除もできるよ」と絡んでくるロン。「同郷だからって友達じゃない」とフェイは言いますが、ロンは酒を飲んでいるようであまり真面目に聞いていません。
「金ならいくらでも積む」という客に流され、売春するロン。
仕事を無断で休んだロンに対して、「1ヶ月分の給料カットと客への謝罪で済む」と言うフェイ。ヨンがあちこちに誤り、丸く収めてくれたようです。「毎日バカどもの機嫌を取るのは求めていた生活じゃない。仕事は辞める。こんなことなら地元で観光客からぼったくって暮らしたほうがいい。こんなかび臭い部屋に住むために街に来たんじゃない。兄貴、こんな生き方はだめだ」と言い出すロン。フェイは「生きる意味なんて考えるな」と言い、ロンは激怒。「どうして変わってしまったの?」とロンに問われ、フェイは「俺達みたいな人間に理想の生き方なんて無理だ。ここはお前には合わない」と言います。しかし「あんたができたなら俺にもできるさ」と挑戦的に言うロン。フェイは「だったら今やってみろ」とロンに遅いかかり、ロンは泣き出します。「自分を売れば人から見下される。永遠に親不孝者さ」とフェイが言うと、ロンは「誰だって自分を売ってる」と言い返します。「ならその言葉を警察に捕まった時に言ってみろ」とフェイが言うと、ロンは荷物をまとめ始めて、行き先も告げずに立ち去ってしまいます。
ロンを追いかけるフェイ。夜の街中で、街頭に照らされながら妖艶に踊る女性を二人は黙って見つめます。
ロンを自分の家に連れ帰るフェイ。「自分でどうにかする。もう決めた」とフェイに宣言するロン。
「役所に勤務してて俺を囲ってくれる上に、仕事や大学の費用も面倒見てくれるって。でもトイレから帰ってくる間にそいつと一緒に俺の携帯と財布も消えて…」とおもしろおかしく話す男娼仲間は、「俺達と客を取り合うつもりか?子どもじゃできない仕事だ」とロンを煽ります。ロンは豪快に服を脱ぎ、男たちに見せつけます。どうやら男娼としてロンは合格らしく、仕事を始めることに。
フェイと同棲するロン。フェイの恋人兼客はロンに夢中で、フェイの前でもお構いなしに彼にセックスをしかけます。「僕の仕事ぶりはどう?」と尋ねるロンに、気のない返事をするフェイ。ロンはフェイに甘えます。
ドンやルールーたちと食事をするフェイ。「フェイはいつ葬式に?」と問われ、「帰ってこなくていいと言われた」と返すフェイ。「私も30時間以上揺られて帰省するのは大変だからやめたわ。どうせ同じ質問をされるし。”恋人は?””いい人はいないの?””結婚は?”…でもこっちに戻る3日前になると母が泣くの。私も実家から帰りたくなくなって」と泣きじゃくる女性をなだめるルールー。「妊娠したからこれが最後のお酒よ。これが終わったらドンと山東省に帰る」と言うルールー。ドンは「ここへは戻らない。人生で最も重要な6年間だった。ここでの定住も考えたが、彼女と一緒に山東省で本物の家庭を築く。みんなとの時間は宝だ」と言い、ウェイは涙をこらえて「幸せにな」と乾杯します。泣き出すドンをルールーがなだめます。
寺にお参りをした一同。フェイとロンは祖父のために冥銭を燃やします。
ロンは仕事で貯めた金を新品のバイクにつぎこみ、フェイに呆れられます。「2人用に買った」と自慢げに言うと、ロンはフェイを乗せて走り出します。「僕はフェイの何なの?」と問うロンに、フェイは歌を歌って返します。
二人で食事をしていると、懐かしい歌が聞こえてきて、フェイは吸い寄せられます。広場に行き着くと、そこにはギターで弾き語りをするシャオレイの姿が。
シャオレイは妻のリー・ユーと、ダーバオとヨンとインという子どもたちをフェイとロンに紹介してくれます。
雨の中で呆然と佇むフェイを後ろから抱きしめるロン。自分の何が分かるのかと怒りを露わにするフェイに、「恩を返したくても返せない。脚は戻らない」と言うロン。フェイは一人で家の中に戻っていきます。
ユーに一人で会いに行くフェイ。ユーは「彼はまだあなたを愛してるわ」と言い、フェイは「気にしてない?」と問います。ユーは「心から私を愛してくれればその人の全てを許せる。あなたの件は知ってる。あなたは愛される価値のある人よ」と言います。
「今、幸せか?奥さんを愛してる?」と問うフェイに、シャオレイは「俺が一生君だけを愛し続けると思ってるのか?もう過ぎたことだ。ロンを大事にしろ。二度と会いに来るな」と淡々と返します。涙するフェイ。
客に金をせびるロン。酒を飲むフェイをロンは甘やかし、フェイはロンを抱きます。
「ロンはいい人だと思う」と言うユーに、「だが彼を幸せにできるかな」と問うフェイ。「自分が幸せならそれを与えられる。私は蜘蛛のように糸を撒き散らし、愛をばらまく。そして罠にかかった獲物は逃さない」とフェイにキスしようとするユー。「憂い顔はやめて笑顔になるべきよ」とユーに言われるフェイ。
「シャオレイの子どもはフェイに懐いてる。滑稽だな」と言うロンに、「家族のようにお互いを想い合う。お前と俺、シャオレイ一家だ」と言うフェイ。「そんなに彼が好き?君のためなら僕だって脚を折れる。ただの自己満足だろ?人のために生きることが偉いと思ってるのか?誰かに尽くせば時にその人と自分を傷つけることもあるぞ。彼はもう吹っ切れてる。君も僕を好きだろ?二人で仲良く過ごそう。理想の生活は手に入るさ。悪くないだろ?」と言うロン。「お前は家族で、彼は愛する人だ。変えられない事実さ」と言うフェイ。
「僕はそんなに強くない。なのに平気で傷つける」と落胆するロンに、フェイは「俺は蜘蛛のように誰も逃さない。みんなを愛する。悪いか?」と挑むように言います。「君は俺を食べただけだ。愛してない」と論は立ち去ります。
「ヨンに自転車の乗り方を教えて」と頼むユー。
フェイの家まで来て、深夜に「同情は要らない。もう俺に構わないでくれ」と激昂するシャオレイ。「ロンは去った」と酒を飲むフェイをやめさせます。
二人で夜の街を歩きながら、フェイのタバコを一口吸うシャオレイ。
フェイの家のチャイムが何度も鳴らされます。ぼんやりとうつむき、チャイムに反応しないフェイ。クラブで音楽に乗りながらロンと踊ったことを思い出します。
まとめ

自分の網にかかった全ての人を愛そうとするフェイ、ただ一人を愛そうとするロン、愛する人を心に持ちながらも世間体のため(?)に結婚したシャオレイ。
ふと映画「エゴイスト」の浩輔の姿がフェイに重なりました。自分のエゴ(気持ち、お金)を押し付けることは、愛なのかどうか。お金の授受のたびに発生する、劣等感や屈辱、後悔しても戻らない過去、悲しみ、痛み…。それはお金を与える方からすればある意味で甘美さもあるかもしれませんが、受け取る方からすれば「忘れさせてもらえない罰」のような意味合いもあって…。人の数だけある、いびつな愛の形を堪能できた作品でした。

フェイの姉、シャオレイの妻、ドンの妻をクロエ・マーヤンさんという同一の女優さんが演じられていたのですが、なぜ敢えて一人三役にしたのかは興味深いところです。この物語は終始フェイ視点であることから、「母性を感じる対象」をざっくりと自分の姉のような存在と捉えているとか?
本作に登場する女性たちは誰もがあまり幸せそうではないのも考えさせられるところです。家父長制に縛り付けられて、世間体のため、村のため、親のためと結婚し、子どもを生み、人並み以上に育て…。彼女たちには個としての幸せはなく、ただ男たちにとっての「飾り」や「まともな人間として扱われるための手段」に過ぎないことをまざまざと見せつけられます。

ロンと踊り狂うシーンで本作が終わること、その直前で何度もフェイの家のチャイムが鳴らされること、シャオレイとキス寸前まで近づいたこと、それらの要素が頭の中でごちゃ混ぜになって、結局フェイはどうなったのかなといろいろ想像が膨らみました。
私は最後がロンとの楽しい思い出で締められいる以上、ロンとの復縁を望む(実際に復縁できるかは分からない)エンドなのかなと予想しています。
これまでロンの無邪気な愛に救われ続けたフェイは、失ってようやくロンの大切さに気づくのではないかなあ。シャオレイの時と同じように。
今回3人が見た「マネーボーイズ」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。
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