フレンドリーだったり不愛想だったり態度が変わる隣人αを不思議に思っていると、ある日発情しない欠陥Ωの身体に異変が!?西原ケイタ「隣のヤバイαたち 出来損ないΩは堕とされる」シリーズを読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
薬剤師の兄α・フードアドバイザーの弟α×発情期のない異常系Ω大学生 のお話。
<あらすじ>
大学生になっても発情期がこない千尋は、いわゆる“異常系Ω”。
βと偽り自由に生きられると嬉しがっていたのに、ある日イケメンαの白石が隣に越してきてから状況が一変。
仲良くしたいと言うくせに、再び顔を合わせると無視する白石はまるで別人で不思議に思っていると、急に千尋の身体が熱くなり発情し―…押し倒されてしまい!?
こんな人におすすめ
- 理不尽さに打ちのめされている不憫な受けほど、かわいいと感じる🥹
- オメガバースが好き♂♀
- 3Pに興奮する🔞
本作をもっとよく知るための小ネタ
①――今作のこだわりはどのあたりでしょう?
行動と言葉の裏には何があるのか。
自分の意志とは関係なくΩであるが故に発情してしまう困惑、抗えないもどかしさなど、Ωの千尋の気持ちと体の変化です。
両想いにならなくても、利害が一致しなくても、αとΩは事故的に体の関係が持ててしまうが故の苦悩など。
そして、「可哀想は可愛い」と思っているのでそこを重視しています。
引用:西原ケイタ先生インタビュー 2023/12/06 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる
②――苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください
オメガバースを題材とした作品は初めてだったのですが、αとΩ特有の症状をどうしたら漫画の中で生かせるのかを考えました。
今回は三人主要キャラがいて、全員の思惑や行動が全く違うけれど内に秘めている事情もありまして。
今後の展開をあまり匂わせ過ぎず、でも現段階での三人の気持を読者さんになるべく伝えられるように意識したのですが結構煮詰まる事が多くて。
何度もネームを描き直して一人で頭をグルグルさせていました。
引用:西原ケイタ先生インタビュー 2023/12/06 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる
③――今作にまつわる裏話はありますか?
連載前のプロット、キャラデザの段階で千尋の性格を何パターンか考えていて、性格が変わる度に名前も変わっていました。
性格に合った名前が何となく頭の中にあるみたいで、顔は同じでも性格が違うと別のキャラクターになった気がするのかモヤモヤしてしまって名前の使いまわしが出来ませんでした。
引用:西原ケイタ先生インタビュー 2023/12/06 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる
ネタバレ感想
隣のヤバイαたち 出来損ないΩは堕とされる 1
Ωにも関わらず発情期が来ない「異常性Ω」の大学生・水原千尋は、Ωだという理由で両親から過度に行動を制限されてきたため、一人暮らしの今の日々を心から満喫しています。しかし、隣に引っ越してきた薬剤師・白石光一とフードアドバイザー・白石晃二の双子と会った途端、千尋は強烈なヒートに襲われてしまいます。薬でも抑えられないヒートに困惑する千尋に、主治医は「二人は運命の番なのでは」と診断を下しますが…。
千尋が「βのように普通の生活を楽しみたい」と思う気持ちも、千尋の両親の「Ωなんだから身の安全に気をつけないと」と息子を守ろうとして愛情ゆえに過度に行動を制限させてしまう気持ちもよく分かって切なかったです。
冒頭の仕送りシーンで分かるように、千尋も、千尋の両親も、お互いをすごく大事に思ってるんですよね。だからこそ、千尋は両親を疎ましく思いつつもその干渉を拒めない。
両親にも白石兄弟にも知られないようにと千尋は必死に隠して引っ越し準備を進めていましたが、もし両親に頼れていたなら白石兄弟からも逃げ切れたかもしれないと暗い気持ちになります。
正直、白石兄弟に関しては何を考えているのかがいまいち分かりません。
兄の光一は、普段の紳士的な物腰とは裏腹に、千尋が逃げられないように強制的に自分のαフェロモンを嗅がせてレイプするなど、予測不可能な鬼畜な一面がちらほら見えており、底なしの恐怖を覚えます。また、「かわいそうでかわいいね」と独特の視点で千尋に執着しているようです。
弟の晃二は言動はワルっぽいのに、光一には従順。発情期の千尋をレイプしたにも関わらず、「俺は謝らない。ヒートなんて迷惑なもんは二度と起こすな」とむしろ千尋を責めるなど、傲慢かつ自分勝手な言動が目立ちます。ただ、千尋が過剰に抑制剤を飲んで体調を崩しているのを見かねて「Ω専用の緊急外来に行け」と(上から目線ですが)アドバイスしたりと、世話焼きな一面もある様子です。
千尋の運命の番は、光一なのか?晃二なのか?それともまさかの二人まとめてなのか?運命の番が二人の場合はどうなるのか?気になります。
βのように平穏な生活を求め、白石兄弟から逃げようとする千尋。「運命の番」を絶対に逃したくない白石兄弟。正反対の欲を持つ両者は歩み寄ることができるのか?2巻が楽しみです。
隣のヤバイαたち 出来損ないΩは堕とされる 2
発情したことのない“異常系Ω”だったのに、隣人のαで双子の白石兄弟に出会った途端、発情期が訪れて襲われてしまう千尋。引越しして双子から逃げるはずが、逆に家に連れ込まれ我を忘れるほど何度もイかされてしまう…!さらに双子は二人とも「運命」の相手で、兄・光一も千尋と出会ったことで異常体質が治ったというけれど…。
光一は「嗅覚の異常」、千尋は「発情期が来ない異常」をお互いの存在で治しあったことで、二人は「運命の番」ということが確定します。ただ、晃ニに関してはまだ「運命の番」の根拠が明かされていません。千尋が晃ニのそばにいると(普通のα相手ではありえないほど)発情してしまうことは確かなのですが…。
千尋は光一の優しさにほだされてセックスを重ねていますが、個人的にはその優しさの理由が分からなくて怖いです。晃ニとのセックスを恍惚と見てるのも気持ち悪さがあるし、最終的に千尋を軟禁するのも光一主導なので、彼の底しれない不気味さにはゾワゾワさせられます。
晃ニともセックスを重ねていますが、こちらは成り行きという感じ。個人的には、1巻の頃よりも俺様感が鳴りを潜めた、兄ラブな世話焼き苦労人感ただよう今の晃ニが好きです。
隣のヤバイαたち 出来損ないΩは堕とされる 3
「運命」の名の元に、双子のα・白石兄弟の家に閉じ込められたΩの千尋。兄・光一の衝撃の告白により48時間の軟禁生活が突然終わりを迎えます。千尋は念願だった普通の大学生活に戻れましたが、気づけば双子のことを考えていて――…。
私は晃二推しだったので、2巻から急展開!千尋が晃二の不器用な優しさに気づいて二人での番を考えるようになり…という展開を期待したのですが、そう都合よくはいかずw
光一は千尋を傷付けて突き放したものの、ストーキングした挙げ句、千尋がαと一緒にいるのを見て大嫉妬。最終的には千尋と「運命の番」に収まりました。
千尋が幸せならいいか…と思いつつも、光一のために身を引いたりと晃二の兄を思う心が切なくて。光一ザマァ展開を期待した方には少しあっけない終わり方だったかもしれません。
まとめ
まるでβのように平穏な日々を満喫していた、発情期の来ない「異常性Ω」の千尋が、運命の番である白石兄弟と出会ったことで人生が一変してしまう…。
普通のΩと同じく、ヒートに苦しみ、自分の本心とは裏腹に白石兄弟の肉体を獣のように求めてしまう千尋。
βにとってΩの苦しみは他人事で、Ωがαに襲われたとしても、社会では「自己防衛していなかったΩが悪い」「Ωの友達がいたとしても相談されたくない。されても困る」という濃厚な差別が当たり前のように蔓延しています。
「こんなのは自分じゃない」「自分を制御できないなんて嫌だ」とやつれていく千尋を見ていると、彼の友人たちが「人口でたった2%のΩになるなんて、はずれくじを引いてかわいそう」という侮蔑があまりにも生々しく響いて辛くなります。
Ωがαの性欲を処理するための道具のようにみなされる社会で、それでも人として当たり前の生活を送りたいと懸命にもがく千尋の姿は、いまだに家父長制が蔓延する窮屈な社会で、自分のなりたい姿を追い求める女性たちの姿とも重なります。
決して他人事ではないと思わされるからこそ、より千尋に共感し、彼の幸せを願いたくなります。
結局、千尋は白石兄弟に性的に「わからせ」られるエンドなので苦々しさもあるのですが、そのモヤつきこそが、マジョリティ優位・マイノリティ無視(マイノリティへの自己責任論の押し付け)の現代社会をそのまま反映しているようで、考えさせられるものがあります。
本シリーズは3巻完結。
あなたも一緒に千尋の行く先を見守りませんか?
双子好き、オメガバース好き、不憫受け好き、濃厚な濡れ場好きにチェックしてほしいシリーズです。