遠坂カナレ先生「おとこまえ天狗のあやかし学食ごはん」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
料理上手な天狗と、引っ込み思案な青年(心は15歳・外見は25歳) のお話。
<あらすじ>
中学卒業を目前に交通事故に巻き込まれ、10年間寝たきりとなっていた笹生渉。
両親も住む家も無くし、失意のどん底にいた彼は、中学時代の恩師の計らいで全寮制単位制高校の心星学園に入学することに。
年齢差から周囲になじめずにいた渉だったが、学食を切り盛りする流星に手を差し伸べられ学食の手伝いを始めるうちに、渉は流星が生徒たちから“天狗”と呼ばれていることを知り―?
こんな人におすすめ
- 小説で飯テロされたい🍽
- 「普通」という言葉に苦しんでいる😢
- 現代×ファンタジーな物語が読みたい📖
ネタバレ感想
タイトルからして飯テロな作品だなー!!と、お腹を空かせられるのを期待して買いました。
読んでみると、たしかに飯テロ作品なんですが、それよりも各キャラクターの抱えたつらい事情が、人との触れ合いで解決していくお話で…どちらかというと、飯テロ要素よりもヒューマンドラマ的な側面が強い一冊でした。
例えば、主人公の渉は25歳の男性ですが、10年前に事故に遭って以来の記憶がなく、さらに天涯孤独ゆえに遅ればせながら単位制の高校に入学します。
人並みにならなくちゃ、「普通」にならなくちゃと焦るほど空回ってしまい落ち込む彼を、学食のおじさん流星や同級生たちが励ましてくれ、彼は無くした青春を取り戻します。
もし自分が渉と同じ状況だったら、高校に行くこともできずただ呆然と毎日絶望しているだけだったかもしれません。
でも渉は落ち込んだり悲しんだりしながらも、周りの応援もあって前を向いて一歩一歩進んでいきます。その努力する姿はとても眩しくて、いつからだって何を始めても遅くないんだと、読者に勇気をくれるんです。
妖怪?妖精?のような存在は出てきますが、ファンタジー要素はそこまで強くないです。
世間が勝手に決めた「普通」というモデルからはみ出て苦しんでいる、すべての子供や大人たちの背中を押してくれる物語だと思いました。
まとめ
何かを始めようと思う時、「今さら遅いかも…」と尻込みしてしまう人たちの背中を押してくれる、心の応援団のような一冊です。
自分は「普通」の人ができることができないんだ、自分がやってもどうせ誰かに敵わないんだと落ち込んで諦めてしまう前に、ぜひ読んでほしい作品です。
この世に「普通」なんかない。あなたはあなたの人生をマイペースに楽しく生きればいいんだと教えてくれる、素敵なご本でした。