丸木文華「霧の楽園」のネタバレ感想|耽美×ミステリーBLの真骨頂

小説

丸木文華先生「霧の楽園」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


伯爵家の長男×下男(庭師)の息子 幼馴染同士 のお話。

<あらすじ>
時は大正。伯爵家の嫡子・裕太郎と使用人の学は唯一無二の幼馴染。
優しくしてくれる裕太郎に、身分の違いから一線を引こうとする学だが、裕太郎の強い想いには抗えず…。

 

こんな人におすすめ

  • 耽美な世界観が好き❤️
  • 和風ホラー?ミステリー?が好き👘
  • 濡れ場はどエロいほうが好き🔞

 

ネタバレ感想

①「たろう」「菊子」の謎

裕太郎は身分の差などに臆することなく学にいつも愛を囁きますが、ある時ふと「学の『全員』が好きだから」「俺は学自身よりも学のことをよく知っている」と言います。学は「何だそれ」と軽くあしらうのですが、そこから物語の歯車が奇妙に展開していくのです。

作中では「たろう」「菊子」という人物の独り言が書かれているページがあるのですが、どうやら、学の中には学とは別に「たろう」と「菊子」という2人の人格があるようです。

裕太郎の学友である青池は人面相を得意としているらしく、学の目を見た途端「いろんな人間が切り貼りされているよう」「精巧な組み木細工のようだ」と評します。

幼少期から続く父からの理不尽な暴力に耐えるため、学は人格を分離させるしかなかったのだと思われますが、裕太郎はそんな歪な学こそ美しいと愛でてやみません。

一般的に病気だと評されるのは学のほうのはずですが、どんな学にも執着し、どんな手を使ってでも2人きりの楽園を作り上げようとする裕太郎こそ病気なのではという気がしてきてゾッとさせられます。

 

②学の父は殺された?犯人は誰?

学の父は大変な癇癪持ちで、学をなにかとできそこない扱いしては、学が幼い頃から殴る蹴るのひどい暴行を加えていました。

裕太郎はなんとか学を守ろうとしていましたが、学自身が他の下男たちと比べて贔屓されていると思われたくなかったため、手を出さないよう頼んでいました。

しかしある夜、偶然父が学を殴っている時に裕太郎が遭遇してしまい、裕太郎は激怒します。

「お前のためなら俺はあいつを殺すぞ」と言う裕太郎。そしてその後、不可解にも突然失踪した父。さらに学の夢に何度も現れる、土を掘る自分。

学の父は殺されたのでしょうか?それは裕太郎に?学に?真実は館を取り巻く煙の中です。

 

③濃厚すぎる濡れ場に赤面!

丸木先生の濡れ場はいつも大胆かつ耽美な濃厚エロス!!という感じなのですが、本作はまさにその真骨頂という感じです。

受けの後孔は性交のための穴であり、体全てが性感帯であるような、そんな淫猥さが文章全体から滲み出ているようです。

一方、攻めは荒々しく雄々しく紳士的で、絶倫。

攻めと受けの対比が素晴らしく、ますらをぶりとたおやめぶり、陽と陰、といった感じで、極めて異なる二つの生き物が凸凹をがっちりとはめあって生きているさまに途方もないセクシーさを覚えるのです。

 

まとめ

丸木先生の作品はまさにどれも「丸木文学」というべき、至高の芸術品です。

その中でも本作は和風ミステリーものとしても面白く、さらにBLとしての完成度も高く、更に更に純文学としての耽美さも兼ね備えており、文学としての芸術性の高さに圧倒されます。

気軽に読み始めたら返り討ちにされますぞ、フフ…(?)

文学作品に「まいった!」と打ちのめされたい、のめり込んでしまう世界観の作品に出会いたい、ドスケベなBLエロスに浸りたいあなたに、ぜひおすすめしたい一冊です。

霧の楽園
作者:丸木文華
時は大正。伯爵家の嫡子・裕太郎と使用人の学は唯一無二の幼馴染。優しくしてくれる裕太郎に、身分の違いから一線を引こうとする学だが、裕太郎の強い想いには抗えず…。

購入する【PR】