C.S.パキャット「叛獄の王子外伝 夏の離宮」のネタバレ感想

小説

‪C.S.パキャット「叛獄の王子外伝 夏の離宮」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人におすすめなのかなど、ネタバレ感想とともにご紹介します。

登場人物とあらすじ

「叛獄の王子」番外編。4つの短編を収録。

ローレントとデイメンはそれぞれの王国を再建するかたわら、イオスの宮殿でひっそりと夏を楽しんでいた。

デイメンの母が庭園を設計し、浜ではカストールと転がり遊んだ…デイメンには思い出深い離宮。

アキエロス風の服装に身を包んだローレントを、デイメンは優しくエスコートする。2人は互いに甘く愛撫を重ねながら、こみ上げる熱と愛情に身を委ねる…。

 

こんな人におすすめ

  • 叛逆の王子シリーズが好き
  • 王子たちのラブラブっぷりを堪能したい
  • 叛逆の王子の物語をいろんな角度から楽しみたい

 

感想

短編は4本収録されていたので、それぞれについて感想を書きます。

①夏の離宮

イオス(@アキエロス)に建てられた離宮で2人が過ごした、ある夏の日のお話です。

デイメンのお母さんが設計した建物でローレントと過ごしているっていうのが、いいですよねえ。愛の連鎖を感じます。憎しみ合った過去ではなく、愛する人とのこれからを見つめている2人に感動…

デイメンがローレントに少しでも早く会いたくて、ひとりで先にイオスに駆け出しちゃったのとか、楽しみすぎて約束の時間より随分早くイオスについちゃったローレントとか、デイメンへの想いが溢れて何言ってるかわからなくなって「この口を止めてくれ」って混乱するローレントとか、ローレントに浴場で体を洗われるデイメンとか、お互いを焦らしあって高まる熱を楽しんでる2人とか、もう…全部が最高でした。

これはデイメン×ローレントが大好きなファンが見てる白昼夢か?妄想か?っていうくらい、甘々でエロエロで天国みたいな番外編です。

まばゆい日差し、真っ青な海、荘厳にそびえ立つ宮殿、その中でお互いの瞬きさえ見逃すまいと見つめ愛し合う2人にうっとりしました🥺💕‬

②‪色子語り

アンケルって誰だっけ…と読んでいて、デイメンがみんなの前で口淫されたシーンの相手か!とハッとしました。

奔放で贅沢好き、気の強いアンケルが剛健質実なベレンジェに本気で恋をしたのが切なく、胸を締め付けられましたね…。

一番好きなシーンは、激しい口づけを交わした後、「お前は何分ほどかかる?」と問われ、もしあなたがいいならセックスをするけど…とちらりとアンケル誘ってみたらベレンジェにすげなく拒否されるシーン。

それまでの高飛車なだけのアンケルが急にしおらしくなったようで、恋の萌芽だけでこんなに人は変わるのかと衝撃でした。‬

‪そして、トルヴェルドの前で炎舞を披露したシーン。

自力で這い上がってきたアンケルが、アキエロスの非力な奴隷に怒り狂っているのが興味深かったです。強くあらねば生きられなかったのだと、それまでアンケルを害してきた全ての者への怒りが非力な奴隷に向いていたのを感じました。‬アンケルの人生は、怒りを原動力にしているのだなあ。

‪アンケルは当初、ベレンジェを「生真面目なだけでつまらない男」だと侮っていましたよね。体一つでのし上がってきたアンケルにとって、ベレンジェは自分の手管に籠絡されないつまらない堅物。最初は手玉に取ろうとした、けれど宮廷に上がれるならそんな手間をかける価値もないと足蹴にしていました。

アンケルが馬に興味があると言ったらとても喜んで、粕栗毛の子馬を買い、「ルビー」とわざわざ名前までつけて贈ってくれるところとか…

私はベレンジェの、面白みはなくとも誠実で優しいところが大好きだったんですが、それを「本物のルビーなら好きだけど」と、王宮に行けるとわかった途端、宝石以外には全く興味を示さなくなるアンケルの強かさには衝撃を受けたものです。

でも、アンケルもベレンジェがどれほどあらゆる人々に平等で誠実か、その眼差しのひたむきさをきっとアンケルは感じ取ったのだと思います。

執政のように自分により贅沢をさせてくれるけれどいつ殺されるかわからない男のもとよりも、どんなアンケルをもただ静かに受け止める、包み込む、父のようなベレンジェ。‬

そして、‪ただ贅沢好きなだけではなく、ベレンジェがどんな行動をしていたのかをつぶさにアンケルが把握していたことに衝撃を受けました。ただの色情狂ではなく、むしろベレンジェを脅せるほどの緻密な情報を持っていた優秀なスパイ。

最後の「もし王子が勝ったら?」にぞくりとします。

アンケルは本当に人を見る目がある。感覚的に時流に乗る人を見分けられる、天才的に鋭い子です。‬

‪③春の青さはうたかたの

アイメリックとの口づけに、未来を感じていたジョードに涙が止まらなかったです。

‬‪アイメリックの「もっと頑張る。もっときちんとやれるまで」には、ありのままのアイメリックが愛おしいのだと力いっぱい抱きしめたかった…(号泣)

アイメリックは頑張っていたし、一度失敗しても決して同じ失敗はしなかった。誰よりもきちんとやっていました。それでも、もっともっとと自分を追い込んでいました。誰かに、彼にありのままの彼を愛しているのだと伝えてほしかった。そうすれば、きっとアイメリックは自殺なんかしなかった…。

ゲイ、同性愛、ハグ

アイメリックはその場にいる誰よりも王子に近い存在でした。元老の息子。貴族。でも、王子は誰かと親しくなることなんてありえなかった。だから、アイメリックはずっと孤独でした。でも彼は懸命に努力していた。

美しく整っていた爪の間には土が深く入り込み、毎日倒れるまで誰より働き、誰よりも早く起きて鎧の整備をし、鍛錬した。でも、どれだけ努力してもお貴族様と白い目で見られる、美貌のせいで侮られる、でも貴族社会ではたかが四男と捨て駒として扱われる。‬‪それでも、アイメリックは周りの大人達に認めてほしくて、愛されたくて、必死に努力していた…。

アイメリックのたった19年の孤独な人生を思うと、つらくて…言葉が出てきません。違う世界、時代、境遇でアイメリックとジョードに出会って欲しかったと「もしも」ばかり考えてしまいます。

アイメリック、私はアイメリックのすべてが好きだよ。辛い。‬

④‪布商人チャールズの冒険

チャールズの商売を妨害するアキエロス人を、王子たちが(身分を隠して)こらしめるお話。

焚火のシーンで、「デイミノアス王子は戦いの後、戦士と6時間も情交にふけったらしい!」とアレクソンが自慢げに言うのを「7時間だ」とふてくされたようにレイメン(デイメン)が訂正してるのに笑いましたw 律儀ww

そして、そんなアレクソンがまさか首長の息子だったとは!それも含めてローレントの計略だろうなあと「さすがローレント」としみじみ思いました。

昔も今も、根も葉もない悪評を消すのは大変だ…。

食事のシーンが多くておいしそうだったのと、街での乱闘シーンが賑やかで面白かったです。

最初の事件(馬毒殺事件)の時、マコンがなぜ毒なんて持ちあるいてるんだろうと思ってたんですが、奴隷商人だったからか…と納得がいきました。

かわいそうな奴隷たち…人間の尊厳を奪われ、従順にしか生きられないようにさせられたのに今さら自由を与えられてどう生きたらいいか分からなくて、そして薬で動けなくさせられて。最悪な気持ちになりました。

チャールズの「お前なんで王の格好をしてるんだ!?」って最後の一文が好きでした。従者の認識が先に来るんだ!?って笑っちゃいますww

 

まとめ

すっっっごくよかったです!!!

本編好きな人は絶対読むべきです。特に王子たちの甘々成分が足りない人は補給できるよ〜っ!アンケルファンは垂涎ものの一冊だと思います。

ジョード視点のアイメリックの話は本当に辛かった…。でも、知られてよかったです。隊長の栄章を嬉しそうに見るシーンなんて、ジョードの人間臭さを感じて嬉しくなっちゃいました。アイメリックが愛されていてよかったな…。

チャールズの冒険譚は、デイメンとローレントが楽しげで、見ているだけでワクワクしました!

叛逆の王子、めちゃくちゃ面白いから全人類読んでくれ〜っ!!!!

 

 

この記事を書いた人

たこわさ
たこわさ
夜明けの腐女子。樋口美沙緒先生「パブリックスクール」・葵居ゆゆ先生「愛傷コレクション」・伊勢原ささら先生「嫌われ魔物の大好きなひと」が愛読書。スパダリ執着攻め×一途健気受けが死ぬほど好き。