韓国ブロマンスドラマ「怪物」のネタバレ感想|女性失踪事件をめぐる壮大な陰謀

ドラマ

第11話 締める

<あらすじ>
ナム所長が何者かに殺害され、犯人を捕まえるためドンシクとジュウォンは調査を始める。
所長が殺害された日に後を追っていたジュウォンは、所長が誰に会ったのかは分からないが本庁に行っていたことや、本庁のロビーでファン警部補とチョ巡査部長に出くわしたことをドンシクに伝える。
ジフンとジェイはファン警部補を尾行し、ジョンジェはチョ巡査部長の通話明細書を確認、ジファはその日に何があったか再調査することに。

2003年1月、ユヨンの葬儀に出たナム・サンベは、自分が警官になれば自分が殺していないと証明できるのかとドンシクに泣かれます。サンベは自分の人生をかけて証明してやると約束します。
ナム所長の葬儀の喪主を務めるドンシクと参列するジュウォン。2人は涙を堪えて静かに目を合わせます。

2018年1月、ナム所長はパートナーを失い涙を流すドンシクの家に来て、「生きることは地獄だ。だからサンヨプの贖罪のために勝手に死んじゃいけない」と痛む脚のために薬を飲むよう叱責します。

ナム所長の遺品を整理するドンシク。自分とナム所長連名の不動産売買契約書を見つけ、「全てが終わったらここを離れて空気の綺麗なところで暮らすよ」と言っていたことを思い出し、泣き笑います。

ジェイの店に集まる派出所メンバー。誰もがナム所長の言葉を思い出しては笑います。ジファはナム所長の代わりに酒杯を取り、音頭を取ります。所長との21年間の付き合いを思い出し、耐えられず泣き帰るギルグ。
ジュウォンはジェイに「僕のせいでもっとあなたを孤独にしてしまった。車載カメラのメールも僕が送りました。すみません」と謝ります。ジェイは、ドンシクが所長が好きなククスを買いに忠清道へジョンジェと一緒に行ったと伝え、ジュウォンは感謝を伝え帰ります。

ナム所長が買った家はドンシクとの連名になっていました。海辺で薬を飲むジョンジェは、ドンシクが車で10分ほどの湖でククス釣りをしていると伝えます。
ドンシクは身近な人が次々に死ぬのは自分のせいだと思っているからひどく怖いはずだと言うジョンジェに、ジュウォンは自分のせいだと猛省します。「早く抜け出さないと生きているのが悪夢になる。生きているのが自分なのか他人なのか分からなくなる。ハン警部補はこの地獄に入ってこないで」と警告して去っていきます。

ジュウォンは所長が殺害された日、後を追っていたら誰に会ったのかは分からないが彼が本庁に行っていたことや、本庁のロビーで意外にもグァンヨンとギルグに出くわしたことをドンシクに伝え、一緒に捜査したいと願います。「もう誰かが亡くなる姿は見たくない。あなたにもそうなってほしくない」と思い詰める彼に、ドンシクは「突っ走る役割は俺です。あなたは自分らしく落ち着いて冷静に判断して。いいね?」と念を押します。

マニャン精肉店にドンシク・ジュウォン・ジョンジェ・ジファ・ジフン・ジェイが集まります。マニャン派出所は京畿西部庁所属なのにグァンヨンとギルグは本庁に何の用事があったのだろうと不思議がるジョンジェ。彼らの同期はスポークスマン室におらず、友人もいません。”ギルグは2000年から事件が起これば所長に協力して捜査に参加してた”と言うクァク係長の言葉を思い出すドンシク。疑わないために調査しようとジファはギルグの携帯の通話明細を確認することをジョンジェに頼み、ジフンはジェイとグァンヨンを尾行すると立候補。ジファはジンムクの死亡日に何があったか再調査すると言います。ジェイはあの夜ナム所長を見たけれど、殺すはずがないと太鼓判を押します。

ある夜、ジフンは派出所内でグァンヨンがこっそり「明日朝行きます。大丈夫です」と本庁の誰かに電話しているのを聞きつけ、ジェイのバイクで追います。グァンヨンは誰かと話した瞬間、その場に泣き崩れます。グァンヨンは面接に落ちただけのようです。

ジョンジェはJTBSモバイルのハン・ユンウォンから極秘捜査だからとギルグの通話記録を受け取ります。通話先を見ると、チョルムンおよびギファンの秘書室とも何度も連絡していました。その時、ヘウォンから連絡が入ります。日曜3時に市議会ホールで行われる再開発対策委員会で何かをしようとする彼女に「今まで以上に何もしないで」と怒るジョンジェ。母から薬は受け取りましたが、ゴミ箱に捨てます。

通話記録はドンシクとジファも確認し、次長室にはジュウォンが行くことに。ジファは心配しますが、ドンシクは2人は親子だが全く別人だから大丈夫と太鼓判を押します。
ギファンのもとに来たジュウォンですが、なぜかクォンも呼ばれます。

ギファンはムンジュ連続殺人事件および21年前のユヨン失踪事件について話し始めます。2月5日20時過ぎにマニャン派出所のギルグがギファンに21年前の失踪事件について連絡してきて、「僕は上に指示されたとおりにやっただけです。とかげの尻尾切りをするつもりのようですがご存じでしょう。僕は次長の指示だと聞きましたが、ここに会ったことはなかったことにしてください」と言い慌てて去っていき、さらにその後ナム所長も来て「チョ巡査部長が来ましたか?21年前のあの鑑定書を処分したのはあなたですか?本当に知らないんですね?」と尋ね、その夜死んだそうです。
ジュウォンは本当に何も知らないのかとギファンを問い詰めます。ギファンは「徹底的に調査しろ、鑑定書が手がかりになるだろう」と2人に指示します。ジュウォンはギルグに会いたいと、ドンシクにギファンとのやり取りの一部始終を話して願います。

ジファはジュウォンが送った映像を撮った牽引された車は11月10日午前5時半ごろ駐車されており、その時間に駐車した車は他に1台もありませんでした。なぜなら何者かがここに駐車禁止の看板を置いたからです。さらに警察署前のマンションに防犯カメラはなかったのに今はあります。1世帯しか住んでいないので大家はつけるつもりはなかったそうです。
合流したドス刑事はソンニョが出動する前にドンシクとジファを見てナム所長殺しの犯人探しを手伝えと言われたから仲間に入れて欲しいと願い出ます。ドンシクは自分の命令でやらされたと言えと罪を被ろうとしますがジファがドスの上司は自分だからと止めます。近所で聞き込みすると言ったドスは、担当者からナム所長が留置所にいた時会いにきた人がいると聞かされたと言います。

マニャン精肉店でギルグを待ち構えるジェイ、ドンシク、ジュウォン。ジェイはギルグは母が失踪してからずっと親身になってくれたあなたが悪い人ではないと知っているから全て話してと乞います。留置所に会いに行ったのはギルグでした。なぜ会いに行ったのか聞かれると、ナム所長に呼び出されたからだと理由を話し始めます。
あの日、留置所に拘束されていたナム所長は21年前と同じことが起こったとギルグに言いました。

2000年10月15日、ジュソンの遺体を前に動揺する遺族たちを宥めていたギルグ。ギルグはクァクから科学捜査チームに指紋がついているギターピックを持っていくよう指示されました。「指紋やDNAなどは検出されず」と書かれた鑑定書もナムにギルグが持っていきました。しかし、何も検出されなかったのは誰かがギターピックを拭いたからです。そのせいでナム所長はドンシクを逮捕し半殺しにする羽目になりました。

指紋もDNAも出なかったピックの持ち主がドンシクだったというだけで容疑者になったことに唖然とするジュウォン。事件の調書には依頼した記録はありましたが、鑑定書はありませんでした。鑑定書自体がいつの間にかなくなっていたのです。ナム所長はギルグが鑑定書を処分したのは偽物だったからで、問題にりそうな本物とすり替えたのだろうと追求します。ナム所長はギルグを追求しますが、ギルグは逃げ出します。

ギルグは指示通り動いただけだと反論します。ジュウォンは通話記録をギルグの前に出し、「ナム所長から1回、次長室に3回、飛ばし携帯に3回、ユヨン・ジンムク・サンベ…一体誰が殺したのか」とドンシクとジュウォンは詰め寄ります。ギルグは「話せない。所長が俺にメールを送らなければ…あの鑑定書が所長室の金庫にあったのに消えたと言うんだ。お前が全部罪をかぶることになるぞ、話をしようと言われたんだ。俺は悪くない。あの日留置所で所長に会ったのは俺だけじゃなくチョルムン署長もだ」と言います。

チョルムンはジュウォンを呼び出します。ジュウォンはギルグから聞いたことをそのままチョルムンに伝えます。ギルグはチョルムンに掴みかかると、「署長の指示通りにやったのに、上の命令だと言いましたよね!」と言いましたが「死にたくなければ黙っていなさい」と言われたのだそうです。
チョルムンはジュウォンに、ナム所長とは過去の話をしただけだと言います。実はジンムクが自殺した日、ナム所長はチョルムンに頼んで防犯カメラを止めて忍び込みましたが、その時すでにジンムクは死んでいました。チョルムンは自分達がここに入ったことをバレてはまずいと慌てて2人で外に出ました。ナム所長は「ジュソンの遺体発見現場に落ちてたギターピックの鑑定書の処分はお前の指示か?」と尋ねますがチョルムンは忘れたとしらを切ります。ナム所長は「お前と関係のあるものがなぜか消えていく。防犯カメラの映像に鑑定書、ジンムクも消えてしまった」と微笑みます。定年前に余計なことをするなとチョルムンは釘を刺します。

留置所の映像を確認すると5分以上も話していたと追求するジュウォン。チョルムンと話した後、音声は録音されませんがナム所長は防犯カメラに向かって口を動かしていました。「お前は知ってるだろ。誰がジンムクを殺したのか。ジンムクを殺した奴が私も殺すだろう」。「ジンムクは本当に自殺ですか?」と尋ねるジュウォン。

11月10日ムンジュ警察署留置所の動画を見るチャンジン。メールの送受信者はどちらもチャンジンになっており、誰がやったのかと考えを巡らします。あの日、ナム所長を殺したのはチャンジンでした。足が悪いように杖をついていたのはフェイクです。

ジョンジェに誘われて会食するヘウォン。ジョンジェは「ジンムクの死は母さんと関係してる?ナム所長は?正直に話して」と懇願します。そこにドンシクが現れます。ヘウォンが動揺した瞬間、チャンジンからヘウォンの携帯に電話が入ります。

チョルムンの携帯を掴むと「010-0640-3324」とつぶやくジュウォン。その瞬間、ヘウォンのもう一台の携帯が鳴ります。ドンシクが出るように促した瞬間部屋の扉が開き、ジュウォンが「なぜ出ないんですか?」と問い詰めます。
ギルグとチョルムンだけでなく、チョルムンとヘウォンも繋がっていたのです。

ドンシクは「ジョンジェ、生きていることが悪夢か?お前が隠してる地獄って何なんだ?答えろ」と詰め寄ります。

2000年10月15日、ユヨンは指先を切られて泣きながら道を走っていました。助けてと助けを求める彼女を車が撥ねます。車の脇で呆然と座り込むジョンジェ。ヘウォンはユヨンの死体を見下ろし、チャンジンを呼びつけます。

 

第12話 ほどく

<あらすじ>
ナム所長が言っていた鑑定書が、ギターピックの鑑定書だと突き止めたクォン検事は、そのことをハン次長に報告する。
21年前、パン・ジュソンの遺体発見現場にギターピックが落ちていたため、持ち主であるドンシクが逮捕されたのだった。
しかし鑑定を依頼した記録は残っているが鑑定書自体は消えてしまっていた。

1995年2月。チャンジンは幼い頃から両親の露店を手伝っていましたが、釜山で不動産王になってやると野望を抱いていました。チャンジン・リー、いやジンリ建業にしようと腹心の部下に夢を語ります。ロシア語が堪能なことから、ソウルのヤクザからロシア人街でのクラブ経営を押し付けられ苛立っていました。

チャンジンはショッピングモールの開店が遅れた件で訴えられますが、ムンジュの土地を買ったせいで着手金さえ払えず弁護士に依頼することさえできません。再開発が始まらなければ差押えは免れないのです。残りを整理して海外へ飛ぶことを30年来の部下・キム理事に勧められますが、チャンジンは激しく拒否。イム・ドンヒョク弁護士の訴訟代理人の辞任届を机に叩きつけるチャンジン。その時彼に送信者も受信者も自分の「11月10日ムンジュ警察署留置所」という題名のメールが届きます。添付されていた動画では自分がナム所長の収監されている檻の前にいました。誰が送ってきたのか想いを馳せるチャンジン。
帰宅するチャンジンにヘウォンとチャン秘書から電話が来ます。

ドンシクはジョンジェが隠している秘密を尋ねますが彼は「分からない」と困惑します。ヘウォンは絶叫し、「ドンシクに唆されないで」と息子を抱きしめます。しかしジュウォンは2001年1月15日に入院同意書の電話番号欄に「011-0640-3324」を書いていることを見せ、ドンシクは「この番号を知ってるだろ?ギルグの通話明細書で見たはずだ」とジョンジェに尋ねます。ジョンジェは「それは20年以上前から母さんが使ってた飛ばし携帯の番号だ。言わなかったのは俺が覚えていない、ユヨンが帰らなかった日のことを知りたかったからだ」と泣き出します。ジョンジェはヘウォンに「あの日何があったの?全く思い出せないんだ。なぜ」と過呼吸になります。慌てて帰宅するチョルムン、「息子に何かあったらあなたを殺す」とドンシクを脅すヘウォン。ジョンジェは救急しゃで運ばれます。

ジョンジェを信じたいドンシクに、「真実を知れば信頼はどうせ失われる」と言うジュウォン。「俺を心配してるってことですか?」「ありえません」と軽口を叩く2人。そこに実はチャンジンの車が止まっており、4人の動向を確認するなり、「HKH」という人物に電話をかけてどこかへ向かいます。

クォンから報告を受けている最中のギファンはチャンジンからの電話をすぐさま消去。クォンは鑑定書の手がかりを探すため、2000年に起きた事件の調書に目を通し、ナム所長が言っていた鑑定書がギターピックの鑑定書だと突き止めたと報告します。2000年10月15日、パン・ジュソンの遺体発見現場にギターピックが落ちていました(発見者はナム所長)。ユヨンとジュソンの事件の捜査報告書にピックに関する記載があり、ジュソンの当時の同僚の供述によると持ち主はドンシクだったため緊急逮捕されたのでした。ドンシクは自分のものだと認め、ジョンジェも同じ供述をしていましたが、ジュソンの捜査報告書によるとピックから指紋やDNAは検出されませんでした。ドンシクは事件前日にカフェで使用し、ピックは1つだけだと供述したのにと言うクォン。いくら拭いてもギターケースに入れれば何かがつくはずです。他の鑑定書は存在しますが、ピックの鑑定書は捜査記録にありません。さらに、鑑定を依頼した記録は残っていますが鑑定書自体は消えてしまっていました。
ギファンはナム所長の言葉を思い出し鼻で笑います。ドンシクの指紋もDNAも出なかったので証拠能力はないのに逮捕したのは無理があったし、更に誰が鑑定書を処分したのか?誰かが捜査ミスを隠したかったのでは?とつぶやくクォン。捜査の総責任者ムンジュ署長だった私が鑑定書の処分を指示したと?と微笑むギファン。クォンは指示したのは警察や検察ではないはず、それなら捜査報告書の内容も削除しただろうからと言います。「この事件を調査しているのは警官が殺害されたこと以外にも何か理由があるのでは?気にかけておられる様子なのでもしもの状況に備えるため理由をお聞きしたい」と脅すクォン。しかし仕事を奪うぞと高圧的に言われ、引き下がります。またチャンジンから電話が鳴り、クォンはギファンの顔色を伺います。

ジョンジェの病院ではなく警察署に来たドンシクは、ナム所長が防犯カメラに向かっていった言葉を繰り返し、ジュウォンにその意味を問います。「誰かがジンムクを自殺するよう仕向けた。そして鑑定書の件を追っていれば殺されると考えたのかと」「ジンムクが鑑定書を知ってたと思うか?」「ピックに関する何かを目撃した可能性は?2000年の調書を何度も見ましたが、供述調書によるとユヨンさんが失踪した当日午後4時半ごろ、あなたはカフェでピックを使用した。その後使ったかは”分からない”と答えていますが、使った後はギターケースに入れたようです。カフェからしか牧場の小屋に移動し、事件が発生した頃は小屋にいたと供述を。ナム所長もピックの話を聞くために留置所に行ったが死んでいて聞けなかったのでは?」と話します。供述書を丸暗記しているジュウォンに驚くドンシク。
「しかし、ジュソンの遺体発見現場になぜピックが落ちていたのでしょうか。誰かが落としたとしたら?パク刑事は小屋に一緒にいたのでギターケースに触ることができた」と言うジュウォン。しかしドンシクは「事件の発生時刻に俺と一緒にいた」と証言。でも、病院の入院記録でも…とジュウォンは続けますがドンシクは言葉を遮り、「ジンムクの死亡日にはなかった防犯カメラが急に登場したあそこが気になる」と言います。そこにジファが現れ、防犯カメラのつけられたマンションの所有者はJL建設だと告げます。チャンジンは急に連絡が取れなくなったそうです。

しかしドンシクは昨日ジュウォンと車に乗る際に近くにあった車のナンバーを覚えており、今マンションの前にあるあの車と同じだと言い当てます。「夜中に整備工場に代表の車を取りに行っただけだ」と言うチンピラ。ドンシクはチャンジンが自分達と共にいたようだとジュウォンににやりと笑います。

チャンジンはヘウォンの事務所で「HKH」と連絡を取ろうと試み続けます。現れたヘウォンに、ジョンジェが救急車で運ばれたことを知っているぞと脅します。21年前のあの日のことをジョンジェは本当に覚えていないと縋るように言うヘウォン。ヘウォンの飛ばし携帯は、ナム所長死亡当日にチャンジンと一緒にいる時に出た電話です。

ヘウォンの携帯に電話したギルグは「急いで伝えたいことがある。署長も連絡がつかない。2人とも逃げる気ですか?僕が罪を被るとでも?ナム所長にギターピックの鑑定書がなくなったことに気づかれました。社長室の金庫に鑑定書があったそうです。どういうことですか?」とまくしたて、「サンベがメールを?それをキャプチャーして私に送って!私がなんとかするわ!」とヘウォンは激怒。電話を切った瞬間、「ナム所長の金庫から鑑定書がなくなった 。罪を被ることになるぞ」とメールが届きます。
「あなたが処分を?」「あの時は仕方なかったの。ジョンジェを犯人にできないわ!再開発も流れるし!これは全部嘘よ!この世のどこにも存在するはずない!ジュソンの遺体発見現場に落ちてたギターピックは私が処分したの!」「ドンシクのものでしょ」「そのピックからジョンジェの指紋が出たの」とチャンジンとヘウォンは話します。最初は指紋が出たという鑑定書を何も出なかったように偽造しましたが心配になり、ピックと鑑定書を完璧に処分したのです。爆笑するチャンジン。
ヘウォンは「自分が処理するから」とユヨンの遺体を預ってヘウォンたちを先に返したのになぜ21年も経ってから地下室の壁から出てきたのかと追求します。
ナム所長は鑑定書が金庫にあったと嘘をついていると確認するチャンジン。「サンベが探り始めたらドンシクが動く。ドンシクが動く前に処理して完璧とは何かを教えます」と言うチャンジン。

「011-0640-3324」はヘウォンが21年前に使っていた電話番号でした。それをジョンジェ、ドンシク、ジュウォンにも知られてしまいました。ジョンジェが追い詰められているのになぜサンベを殺したのかと言うヘウォン。しらを切るチャンジン。ジョンジェのことは私がなんとかする、精神病院なんかに入ったと他の候補者にバレたらまずいと言うヘウォン。「息子さんは時限爆弾だ。完璧に処理しようか?」と言われ、チャン秘書を呼ぶヘウォン。チャン秘書がジョンジェの病室を開けると、彼は病院を抜け出した後でした。偶然逃げる彼と車で衝突しそうになるジュウォン。「鹿を…俺が確かに鹿を…病院はダメだ。ここを離れよう」と縋り付くジョンジェを車に乗せ、ドンシクが地下室で過ごすよう言っていたと告げます。

ジョンジェがハンソン精神病院に入院した理由は、「鹿の姿をした人間を殺したから」。「俺は本当に鹿を見た記憶しかない」「あなたが過去を偽った事実を伝えても、イ警部補は疑わなかった。僕に確実な証拠を持ってこいと言いました。今も同じです。俺はあなたの言葉を信じません。だけど今は何もしません。誰も傷つけたくないので。ナム所長に言われました。”私たちのように合法的に銃を持ち手錠をかける人間は、一歩間違えれば相手を大怪我させてしまう。それを私はドンシクにやってしまった”。もう二度としません。だから早く記憶を取り戻してください。悪夢から逃げ出して、全てを打ち明けてください。イ警部補はずっと待っています」とジョンジェに告げるジュウォン。

ドンシク宅の地下室についたジョンジェは、ユヨンが埋まっていた壁の穴を見ぬようカーテンを引きます。ジェイの店で食事をする派出所メンバーに合流したジュウォン。ドンシクは「マニャンのやり方だと言ったでしょ。ここで起きたことはここで解決する。一致団結して敵を排除する」とジュウォンを席に呼びます。呼び出されたソンニョは亡くなる前にナム所長から「生まれる子供が生きる世の中が冷たくなければいい」とメッセージとともにかわいい靴下が贈られたのだと小包を見せて泣きじゃくります。

ソンニョはユヨンが轢死と断定。遺体は脛骨(すね)から頸椎(首)まで多発骨折が確認されました。転落死の場合は頭蓋骨が骨折していることが多いため、ユヨンの頭蓋骨は無事だったことから轢死だと判断しました。
両脚のすねの骨が同じくらいの高さから真っ二つに折れていることから、加害車両はバンパーによる損傷だと思われます。乗用車のバンパーの高さは50cm前後、急ブレーキをかけると前に傾いて低くなるので、膝下の骨が折れます。つまり乗用車に轢かれたということです。こういったひどい骨折の場合、加害車両は時速45キロ以上は出していたようです。

事件が起きた2000年はまだ街灯が少なく、真っ暗な道をユヨンは走っていたと思われます。ユヨンは立ち止まっていたようです。動いていたなら片方の脚だけ骨折するか、骨折の高さが違うはずだからです。事故当時ユヨンは走ってくる車の方を向いて立っていたと推測されます。

解散するメンバー。骨折の写真を何度も見るドンシク。ジュウォンはドンシクを心配した後、ジョンジェに会ったと報告します。地下室で過ごせとは俺は言ってないと怪訝なドンシクに、ジュウォンは「ユヨンさんの死に関係があるなら記憶を取り戻すのに最適な場所かと」と言います。今でも不安定なのに完全におかしくなったら…と心配するドンシクとジファに、「飛ばし携帯は母親の番号だと知りながら黙ってたんだから自業自得でしょ。事件後の4年間精神病気にいたなら、何かあったってことでしょ。20年以上ドンシクさんは似た人を見つけてはがっかりしてた。それを隣で見ていたなら記憶を取り戻したいのはジョンジェさんでしょ。中途半端な同情はやめよう」とジェイは言い放ちます。

ジファはムンジュ署の裏門にあるマンション の登記簿謄本(全部事項証明書)を取り出すと、JL建設の前に所有していてチャンジンに売ったのはヘウォンだと告げます。1999年に買い取り、事件直後の2000年11月29日に建設に相場の半分ほどの価格で売っています。所有の裏門側は再開発地域でムンジュの中心地です。
売ったのはマンションだけでなく、ヘウォンは1999年から周りの土地を買っていたのにこの20年ほどで2/3ほどをチャンジン・チョルムン・ガンジャの3名に売っています。ガンジャは中国元の違法賭博で金を借りていたギルグの妻です。

ならばギルグに贈与を?とジュウォンが言うと、お金の代わりに土地を渡したのよと言うジファ。脅迫されたか対価として渡したかだろうと言うドンシク。チョルムンには安値で売っていたこと、チョルムンはソウル庁にいた時も賄賂を受け取ったせいで左遷されてムンジュ署に来たことから、ジファはチョルムンは簡単に吐かないだろうと頭を抱えます。

ギルグとチョルムンは鑑定書の件で関係がありそうですが、チャンジンとは連絡がまだつきません。ギルグへの贈与は2020年に行われていることから、彼は指示通りに鑑定書を渡したと推測されます。鑑定書の件で土地を贈与したなら、事件は2000年なのに2020年ではおかしいと首を傾げるジュウォン。

「もしも2020年だけじゃなく2000年から何度も起こっていたとしたら?」と言うドンシク。ジュウォンが復職した人、ガンジャは経済犯罪対策チームに逮捕されました。ジファは思い出します。ガンジャたちに掛け金を貸した中国人たちはソウル庁でも狙っていたチームでした。ガンジャは両替手数料を受け取っただけなので起訴猶予で終わりそうです。取り調べの時は優しくしてやってくれと頼みます。そこに現れるギルグ。

ガンジャの20年間の入出金明細をドンシクに渡すジファ。ギルグは全部自分のせいだと頭を下げ、ジファは2000年から奥さんの講座の入出金明細を調べると告げます。「ト議員から金を受け取ってる?」と言うジファに、「娘はやりたいことが多いのに俺は稼ぎが少ないから」と言い訳するギルグ。

ト議員は自分の名義で送金していません。「俺はあなたがやったことを死ぬまで忘れません。ナム所長のことも」と言うドンシクに、「でも俺はト議員に電話をしてメールを送っただけだ。ナム所長が廃車置き場に行った理由は分からない。鑑定書の件で会おうとメールが来て、それをト議員に送った。全部話せるけど自首はできない。娘が結婚できなくなる」と涙ながらに言います。呆れるドンシクとジファ。

「2000年にト議員に鑑定書を渡したんですか?」と尋ねるドンシク。時は2000年10月16日に戻ります。ギルグは密かにヘウォンにチョルムンから渡された鑑定書の原本を渡し、別の物を受け取り、ナム所長に渡しました。鑑定書の偽造を手伝ったことは認めても、ギルグは原本を開けるなと言われていたため何が書かれているかは知りません。
すり替えただけで20年間も金をもらい続けられるのかとドンシクが揺さぶりをかけると、ギルグはト議員が「あなたも私も子供が敵だ」と言ったため「ジョンジェが犯人だという証拠がピックから出たのか」と尋ねました。

地下室で眠るジョンジェの前にハンマーを引きずってくるドンシク。ドンシクはジョンジェに「起きろ。お前がユヨンを殺したのか?鹿の姿をした人間じゃなく鹿を殺したのか?」と尋ねます。ジョンジェは「間違いなく鹿だった」と慌てて言いますが、「ならなぜ母親はギルグとチョルムンとチャンジンに金を渡してたんだ?母親は”子供が敵だ”と言ったんだ?ピックからお前の何かが出たんだろ?」とドンシクは詰め寄ります。ジョンジェは「知らない」「覚えていない」を繰り返します。ドンシクはこれまであらゆるジョンジェの言動の理由を追求したことはありませんでした。なのにジョンジェは何もドンシクに話はしません。憤るドンシクを前に、「本当に何も覚えていないんだ」と号泣するジョンジェ。

ドンシクは21年前にジョンジェが尋問された内容を一言一句繰り返します。ジョンジェはユヨンと付き合っていましたが、尋問でそれを否認します。
ユヨンは彼氏であるジョンジェからの「帰りたくない。出てこられる?」とメッセージに応えて、あの日家を出てきました。酒を飲んでいたドンシクとジョンジェ。留学前にドンシクに付き合っていることを打ち明けようと提案するジョンジェに、ユヨンは「011-0640-3324」とジョンジェが送ってきた携帯の番号を読み上げ、「母親に隠れて連絡するのをやめてからにして。帰るわ。ついてこないで」と突き放します。ドンシクは小屋の中で寝ていました。
「こいつの何が怖いんだ」とつぶやいたジョンジェはギターピックをズボンに捩じ込み、薬を取り出すと酒と共に飲み干します。酔ったまま車を爆走させるジョンジェ。車から降りると、そこには女性が倒れていました。その時ギターピックを道に落としたのです。

「俺が!俺が倒れてたユヨンを車で轢いて殺した!ドンシク…ドンシク…俺を殺してくれ…」と泣くジョンジェに、ドンシクは涙を流しながら睨みつけ、「分かった」とハンマーを思い切り振り上げます。

しばらくしてジュウォンが、ジョンジェが自白したのか地下室に尋ねにきます。ドンシクは母親と家にいるだろうとつぶやきます。ジュウォンは署につれていき、自白をとって処罰すべきと言いますが、ふと気づきます。ドンシクはジョンジェを餌に使う気なのです。ナム所長が殺されたのに同じことを繰り返すんですか?彼が母親と手を組んだら?まさか真実を知ってもまだパク警部を信じてるんですか?と憤るジュウォン。「あなたならどうする?家族が思いがけないことをしていたら手を組みますか?」と突然尋ねるドンシク。
ジュウォンは家族を重要視していないから、真実が分かってからも変わらず信頼してもいいのかと言います。

その時、ジファからギファンが長官に内定したと連絡が入ります。拍手するドンシク。
ジュウォンはドンシクを異様なものを見るような表情で見つめます。

あの日、ユヨンはジンムクが女性を絞殺しているところを見てしまいました。彼に指先を切られたものの、彼女は懸命に逃げました。「助けて」と叫びながら、車の前に飛び出し、止まってくれというように立ちすくんだのです。
しかし実はあの日ユヨンを最初に轢き殺したのはギファンでした。

 

第13話 問う

<あらすじ>
ユヨンの失踪事件の頃の記憶がなかったジョンジェが記憶を取り戻し、ユヨンを車でひいたことを認める。
しかし、その時のユヨンは倒れている状態だったと言う。
イム巡査長が、ユヨンは立っている状態でひかれたと言っていたため、ドンシクは最初にひいた犯人が別にいるのではないかと考える。

2000年10月14日、再開発を喜ぶチャンジン(ジンリ建業がデベロッパー)とヘウォン(クァンヒョ財団理事長)に会うためムンジュヒャンに来たギファン。ギファンは施工会社の入札や地主たちの説得に協力したのですが、チャンジンたちの下劣さに眉を顰めます。しかしジンリ建業がギファンの妻の実家のオイル建設以外を選べば大損です。俺たちは一蓮托生だとギファンを睨みつけるチャンジン。
車で来た時は飲まないようにしていると言うギファンですが、自分達をチンピラ扱いするチャンジンは怒りヘウォンは仲裁するように酒を強要します。
チャンジンはテコンドー道場に通っており、道場の娘であるジファに片想い中。ヘウォンは息子の同級生なのにそんな歳下と付き合っているのかと驚きます。イライラと酒を煽るギファン。

チャンジンの車を尾けるジファとドスですが、本庁の駐車場に停めたまま1時間も動きません。警察嫌いのチャンジンですが、記録を調べると本庁には去年の11月5日にも次長室に来ていることが確認されています。ドスが警護室の同期に異変はなかったか尋ねると、次長の秘書から「人相の悪い男が来て次長室の雰囲気が良くない」と電話があったそうですが、10分ほどで何事もなかったから記録に残さないでくれと頼まれたのだそうです。
ドスは「ギファンが事件に関係しているのでは」とジュウォンを仲間とみなして心配をします。
ジファとジョンジェとドンシクは幼い頃からの友人で、ジョンジェがいじめられていると2人がいつも守ってやっていました。ジファはドンシクとジョンジェのどちらも友人なのにどちらかを選ぶ日が来そうで怖いと顔を歪めます。

ギファンは長官に内定したことを待ち構えていた部下たちに祝われ微笑みます。チャンジンは車から降りますが、ギファンは無視して去り、チャンジンは罵倒して車にまた乗り込みます。
ジファとドスは署に行き、どれだけ電話をかけたのか確認しようと言います。

自宅の地下室で、ドンシクはジョンジェが「”倒れている”ユヨンを轢いた」と告白したのだと言います。ソンニョの見立てでは、ユヨンは走ってくる車の方を向いて立っていたはずです。ジョンジェもユヨンを殺しましたが、真犯人は別にいるはずです。

泣きじゃくるジョンジェを一喝していると、ジファが電話でギファンのもとにチャンジンが会いに行くも無視されていたことを報告します。さらにチャンジンの発信履歴を見ると、一昨日から14回もギファンに電話をかけていますが全て無視されています。ギファンはヘウォンに8回も電話をしています。

「やっと記憶が戻って夢中で話している時に嘘をつけるだろうか?チャンジンとギファンはどういう関係だろう?」とジュウォンに問いかけるドンシク。ジュウォンはユヨンの事件とヘウォン、チャンジン、ギファンは関係がありそうだと言いますが、ジュウォンはギファンがギルグが関わった鑑定書隠滅事件について知らなかったはずだと動揺します。ギルグが「上の指示」だと言ったということは、2000年にムンジュ署の強行犯係の警部補だったチョルムンをソウル庁に連れて行った、当時のムンジュ署長ギファンのはず。21年前の事件を急いで集結させたのもギファン。しかもチャンジンが会いたがっている、つまり全ての線がジュウォンの父であるギファンに向かっているのです。

「ジョンジェには、犯人はギファンかもしれないから家に帰れと言った」と言うドンシクに掴みかかるジュウォン。ドンシクは「よく考えて動いてください。そして、真実が分かってからも俺は変わらずあなたを信じても?」と尋ねます。ジュウォンは「僕はあなたも父も自分も信じない、誰も信じない、あなたが信じようが信じまいが関係ない」と言い捨てて去ります。
その時、ギファンからジュウォンに電話が入ります。
帰宅したジュウォンはオリジナルの連続事件プロファイリングにギファンの写真を貼り付けます。

ドンシクはジョンジェに「死にたいか?犯人を見つけてから死んでくれ。お前の母親はなぜユヨンが死んだ翌月にチャンジンに土地を売ったんだ?」と言います。神妙な表情のジョンジェは帰宅します。ジョンジェは「全部思い出したよ。ユヨンを車で轢いたこと。母さんの飛ばし携帯に電話したこと。それで事を処理した対価に鹿牧場とムンジュ市の土地を安価でチャンジンに売ったんだね?あの日母さんは彼を呼んだ。あいつにユヨンを任せて母さんは俺を精神病院に入れた。覚えてない?ユヨンは誰が殺したの?」と淡々と言います。ヘウォンは自分以外にその話をしたのかと執拗に尋ねます。

ジョンジェは地下室でドンシクに、ヘウォンがチャンジンを呼び、ユヨンの処理を任せたことも伝えていました。ドンシクはユヨンは車に轢かれた時立っていたはずだと返し、「お前が生きているのは犯人を捕まえるためだ。お前の母親に伝えてくれ”ユヨンは誰が殺したの?”と」と言います。
ヘウォンは「ユヨンはあなたが轢き殺したのよ。でもあれはお酒のミスだから!母さんが処理したから!」と泣きじゃくります。「処理したのはチャンジンだ。なのになぜユヨンは地下室の壁に?チャンジンじゃなくジンムクが埋めたんだ。金も土地も渡したのに母さんはずっとチャンジンに騙されてたんだ!」と笑うジョンジェ。そしてドンシクに言われた通りの言葉を告げます。「チャンジンはギファンと会ってる。あの2人は母さんに秘密がある。母さんは利用されてるんじゃ?」。ヘウォンの顔色が一気に変わります。

ギファンは自宅で全国各地から長官内定祝いの電話を受け続け、ひたすら笑顔です。息子から祝いの言葉はないのかと微笑むギファンに、まだ人事聴聞会が残っていると言うジュウォン。ジュウォンは「所長が言っていた鑑定書とはパク・ジュソンの遺体発見現場に落ちていたギターピックの鑑定書です。ギルグはト議員に指示されて本物と偽物をすり替えたようです。ト議員は21年前から父さんと付き合いがありますね。2人を処罰する証拠を出す必要が?」と尋ねると、ギファンは「当然だ」と即答。2人を処罰する証拠はありません。しかし、21年前にギファンがムンジュ署からソウル庁、本庁へ連れていったチョン・チョルムン警視正なら、ギファンの指示だと嘘をつきギルグとト議員を結びつけた罪で処罰できます。証拠は、20年間ト議員を脅迫して金を受け取っていた事実です。
チョルムンが署長になる時も賄賂の件をギファンがもみ消したそうですね、記者と国会議員が喜ぶストーリーだ、とジュウォンは続け、人事聴聞会は大丈夫ですか?と淡々と言います。微笑むギファン。

警察庁に笑顔で駆けつけたチョルムンはギファンの長官内定を祝います。携帯を出さされた次の瞬間、それを水没させられ、跪けと命じられるチョルムン。「20年間ト議員からいくら受け取った?鑑定書からは何が出た?」と言うギファンに、「ト議員の息子の指紋が出ました!すり替えた鑑定書も処分させました!鑑識の担当者は病死しましたし、絶対に問題にはなりません!」と叫ぶチョルムン。
「なぜその時に逮捕しなかった?20年間金を巻き上げいい思いをしたんだろう」と胸ぐらを掴み上げ激怒すると、「警察を辞めて今すぐ消えろ」と言い渡すギファン。しかしチョルムンは睨み返すと「留置所の防犯カメラは次長がジンムクに会ってみたいと仰るから私が止めましたよね?」と言います。しかしギファンはシラを切り、防犯カメラを切ったのはチョルムンがナム所長のために独断でやったことであり、自分はジンムクには会っていないと言います。チョルムンは「たしかに、会いに来たのはあなたではなくチャンジンでしたからね。私が本当にカメラを止めたと思いますか?」とにやつきます。

チョルムンは午前5時頃ジンムクに会いたいと言うギファンに、ナム・サンベは20年前の事件の担当刑事で、同じことを頼まれたから彼を利用しようと提案します。ギファンが会った後にナム所長を入れれば、ナム所長柄罪を被ることになります。

その時、ギファンの携帯にチャンジンから電話がかかります。にやにやと笑うチョルムン。

ドンシクは派出所に残っていたナム所長の遺品を整理して車に積み込みます。派出所に着いたジュウォンにギファンの様子を尋ねるドンシク。チョルムンの話をしてから3日も経ちますが、チョルムンは毎日出勤しています。
ジュウォンはドンシクにジョンジェが思い通りに動いたかと尋ねます。お互いに関係者の出方を待っている2人。「あなたの言うとおりだ。俺はどうかしてる。完全に壊れてしまった。ハン警部補は壊れますか?あなたの父親に壊されるかも。父は犯罪を犯さないから?それとも父が犯罪者でもあなたとは関係がないから?」と言うドンシクに動揺するジュウォン。「もしあなたの父親が俺の妹の死と関係があったら、ハン警部補は大丈夫ですか?」と尋ねられ、「なぜ僕に?あなたの方が大丈夫ですか?」とお互いになぜその質問をしたのかと不思議がる2人。

そこにイム記者がずかずかと派出所に入ってきてギファンへの祝いのインタビューをさせてくれと言います。頭にきたジュウォンは、人事聴聞会の直前に報道するよう条件をつけて「警官の金品授受疑惑に関して情報提供をする」と言います。「よく考えて」と何度も制止するドンシクに、ジュウォンは「僕は警部補ハン・ジュウォンです」とあくまで一警官であることを強調して、始業までに戻ると告げます。

その時、ドンシクの携帯に「01-3150-2914」、警察庁次長室の番号から電話がかかってきます。ギファンが会いたいと呼びつけたのです。
ギファンはドンシクに自分の下、ソウル庁監察調査課に来るように異動を命じます。「不正を働いた奴らを捕まえよう」と握手を求めるギファンの手を握るドンシク。

1週間後、10時から始まる人事聴聞会に警官の誰もがそわそわしています。ドンシク・ジョンジェ・ジフン・グァンヨンはマニャン精肉店のテレビで人事聴聞会を見ようとします。ジョンジェはジェイに「なぜ来たの」と言われて、「逃げるのはやめようと思って」と俯きます。ジョンジェがユヨンを轢き殺したことはジフンとグァンヨンは知りません。「必ず罰を受けるのよね?絶対ね?」と涙ぐむジェイに「うん」とどこか明るい表情で答えるジョンジェ。

警察庁長官候補人事聴聞会には大量のマスコミが入っています。清廉潔白な40年間の公職生活だからあなた以上の適任者はいないと言われ微笑むギファン。クォンに頼んで会場の末席に座らせてもらうジュウォン。

第二回行政安全委員会会議が始まります。委員長はパク・ヒョンチョルです。ジファたち、クァク係長は署内でその様子を見つめます。「宣誓後に署名押印した宣誓文を提出してください」と言われ席を立った瞬間、背後にいたジュウォンに気づき動きを止めるギファン。ギファンは人事聴聞会で「良心に従い隠し事をせず事実を話す事を誓います」と宣誓します。議員たちからの質疑応答が始まります。
ハン・ギョンス カンミン党議員は、突然秘書が持ち込んだJSBの記事を読み上げます。「ハン候補の側近である某警視正が20年間金品を受け取り、候補が黙認していたと報道されました。2000年から金品授受の疑惑があり、相場の半分ほどの価格で土地を買ったのだそうです。登記簿謄本も載っています。この記事については?」。ギファンは「事実ではありません」と淡々と答えます。中継を見ていた派出所のメンバーたちは「某警視正ってチョン・チョルムン署長?」とざわめきます。驚くジフンたちに「署長は俺の母親から金を受け取ってた」とつぶやきます。
ギファンは土地の所有者はお金が必要だったため某警視正から借りて土地で返したのだと証拠の借用書を議員たちに配ります。「法的には問題ないが公職者としては避けるべきことだったため、某警視正は地方の警察署に異動させました。私が長官に任命されたら大々的な監査と監察を通して警察組織の清廉を強調します」と約束するギファン。「あの情報だけでここまで来たのか?」とジュウォンを馬鹿にするクォン。

次はパンド党の議員の質疑ですが、そこにドンシクが入ってきます。ドンシクは「ソウル庁 監察調査係 イ・ドンシクです」と自己紹介します。
「ハン警部補、イ・グムファ殺害事件に関する職権乱用および幇助等の容疑で緊急逮捕します」と、マスコミの前でドンシクはジュウォンに手錠をかけます。その途端、「ハン候補の息子緊急逮捕」と速報が流れ、人事聴聞会は閉会になります。
ジュウォンは「何の真似ですか?」とドンシクを見つめますが、ドンシクは「罪を犯したのなら罰を受けるのは当然でしょう」と言い、2人はにやりと笑い合います。2人の目線の先には呆然とするギファンとマスコミたち。

 

第14話 答える

<あらすじ>
ハン次長の人事聴聞会が行われている場で、イ・グムファ殺害事件に関する容疑でジュウォンがドンシクに逮捕されてしまう。
これはハン次長を陥れるための芝居だったのだが、ドンシクとの約束を破ってジュウォンが罪を認めてしまったため、ジュウォンは停職処分になる。
一方、ジョンジェはイ・チャンジンを葦原に呼び出す。

2000年10月15日、ギファンは妻が酒を多量に飲み自殺未遂を繰り返すため、監禁していました。元々は長官になるために妻の実家の後ろ盾を必要としていましたが、「今や義父のオイル建設の後始末をしている!私の人生は完璧であるべきだ!死ぬまで精神病院で暮らせ!」と言い放ちます。「離婚してよ!ジュウォンを置いていけば別れてくれる?」と言う彼女に嫌気が刺したジュウォンは、ギファンのもとに留まることを選びます。母は男たちに病院へ連れて行かれます。

実はジュウォンはあらかじめドンシクに、聴聞会でイ・グムファ殺害事件の職権濫用と幇助罪で逮捕するよう頼んでいました。イム記者に餌を投げたのになぜそんな芝居をと首を傾げるドンシクに、父は完璧を重んじるからきっと防御策を練っているだろうと言うジュウォン。父は犠牲という言葉を知らないし息子も同じだと思っているから予想外のはずだと言うジュウォンに、カメラの前で逮捕されたら休職どころか人生を棒に振るかもと心配するドンシク。心配などしていないと言いつつも、俺たちにはやることが残ってるからどうか黙秘権を行使してくれ、そう約束しないとやらないとドンシクは言います。

ドンシクが去年11月12日に調査室でジュウォンが自白した調書があると言った瞬間、「僕は誰かと違うんです。処罰を受けます」と容疑を認めます。監察調査課の上司はドンシクの独断を詰りますが、ジュウォンは刑法どおりに処罰していれば聴聞会で逮捕されなかったと庇います。自白したため留置所に入る必要はない、懲戒委員会まで停職とドンシクが言うなり、ジュウォンは警察としての身分証明書をその場に置いて立ち去ります。

なぜジュウォンを聴聞会に入れたのかと詰られるクォン。もしジュウォンと共に何か企んでいるならイム記者の記事の件はお伝えしなかったと反論するも、「それは情報課の者たちが既に掴んでいた。私の注意を記事に向けさせて裏切ったのか?」と殴打します。ジュウォンは「まさか父さんがスカウトした変人に逮捕され停職になるなんて思わなかった。何か隠しているなら話して。クォンと父さんの方が家族みたいだね」とクォンとギファンに言います。出ていけと言われ、ジュウォンはクォンと共に外に出ます。

一方、ジョンジェはチャンジンを葦原に呼び出し、「2000年と同じように俺を精神病院に入れたいようですね」と話し始めます。そして共に来ていたヘウォンはチャンジンに、ギファンと何を企んでいるのか?ジンムクについて何を隠しているのか?と問い詰めます。

2000年10月15日深夜、チャンジンはヘウォンに呼ばれて現場に行き、ジョンジェを乗せて車を移動させましたが、その間にジンムクが遺体を運び出し、地下室の壁に埋めたのです。チャンジンはユヨンの遺体を処理できなかったことを隠し通すため、ジンムクの自殺を手伝ったのです。そう推理するジョンジェですが、留置所の防犯カメラをなぜ止めたのか不思議がります。そこで突然チャンジンはジョンジェを羽交い締めにし、携帯を取り上げます。ドンシクと通話中になっていることに驚くヘウォン。ドンシクは彼らのすぐそばに来ており、車のクラクションを鳴らすと、「ナム所長の件も知りたいんだ」とチャンジンに言います。車から降りてこいと凄むチャンジンに、ドンシクは異動したからジファに頼むよと言い、あたりにサイレンが鳴り響きます。
ヘウォンは「私たちだけで話す約束だったでしょ」と狼狽しチャンジンを逃がそうとします。チャンジンは「ある人が死ぬまで抱えていたト議員の大切な秘密を知っていますよ」と笑い、ジョンジェは動揺します。ジョンジェは母から秘密を聞き出そうとしますが、しらばっくれられます。

マニャン精肉店に来たジュウォンはジェイにある頼み事をします。
ドンシクはムンジュ署裏門の駐車場でチャンジンの車からユヨンの血痕が出ないかソンニョに頼みますが、何も出ませんでした。ジュウォンは違法捜査でチャンジンを捕らえたことを咎めつつ、ドンシクにジンムクを告発せずミンジョンの指を置いたことを後悔していないか尋ねます。ドンシクは涙を堪え、「後悔する資格はない。あの時に戻れるならどうするか聞きたいのでは?同じことをすると思います」と言います。狼の兎狩りの方法を例に出すジュウォンに、兎は誰だと問い詰めるドンシク。

オイル建設が施工会社の入札に参加した新聞記事を見るジファ。ドスが取り調べを始めようとすると、チャンジンは葦原でヘウォンと話していたギファンとジンムクの件は全部事実ではないと言います。チャンジンは車のナンバーから次長室に行ったことを聞かれ理由を言おうとしますが、ドスはのらりくらりとかわして次長室を訪問した事実だけを調書に書きます。

慌てて駆けつけたクァク係長は自分に無断で何をやっているのかとドンシクを詰りますが、2000年10月15日に起こったユヨンとジュソン事件の捜査をしていると聞いた瞬間、「俺もその事件の担当だったが俺を信じるか?サンベ先輩の事件とも関係が?」と言い、「サンベ先輩から受け継いだ勘であいつの発言が嘘かどうか判断してやる」と席に腰を下ろします。21年前から3人が何を渡して受け取っていたかが問題だと説明するドンシク。

オイル建設を知っているかと聞かれたのは次長の実家だからと気づいたチャンジンは、その関係で次長と知り合ったのかどうか聞きたいのかと尋ねます。新聞記事を見せられ、ギファンとヘウォンとも施工会社の入札時に知り合っているはずだとドスに言われるチャンジン。さらにジファが「酔うたびに”再開発が中止になって大金を失った””お偉いさんたちに利用された””汚い仕事は俺に任せて知らん顔をしてる”と言っていました」と証言します。どんな汚い仕事をしたのか尋ねるドスに、再開発は中止になったんだから利用されるはずがないと飄々と言います。そこにジュウォンに呼び出されたチョルムンが現れ、「取り調べの根拠がない」とチャンジンを解放します。現れたジュウォンを「お父さんの名前が出るかと思って慌てて駆けつけたんですか?」と馬鹿にする2人。ジュウォンは2人を見送りながらほくそ笑みます。
あと少しだったのになぜチョルムンを呼んだのか、俺たちはチームでしょうと憤るドスに、ジュウォンは違法行為ですからと淡々と答えます。

チャンジンを丁寧に見送るチョルムン。チョルムンはチャンジンに11月10日ムンジュ警察署留置所のメールを送ったのは自分だと匂わせ、「近いうちに電話をするので出てくださいね」と笑います。その時、チャンジンは「2000年10月15日 1時間後」というメールを受け取ります。自分の車で向かおうとしますが、ドスに鍵を手渡されたのを思い出し、家に戻ると部下の車で現場に向かいます。それを追う謎の車。チャンジンがそれに気づいた瞬間、非通知の電話が鳴ります。「息子さんにお礼を言ってください、ハン・ギファン次長。次長の尾行は息子さんが?俺の尾行はジファのようですが48分後にあそこで会いましょう」と話します。無茶な運転をするチャンジンに食らいつくドンシクとジファ。

ギファンは照会を頼んだ”23 ム 9113″(ギファンの家の前に泊まっていた車のナンバー)はソウル庁職員観察調査係イ警部補(ドンシク)のものだと聞き、やはりとため息をつきます。しかし実は車に乗っていたのはジェイで、執拗にギファンの後を追っていました。ドンシクたちはチャンジンにまかれてしまいました。ジェイも検問でギファンの指図により自動車検査証と運転免許証を出して自分の車だと証明しろと言われ足止めを喰らいます。ドンシクは電話で自分のものだと証明します。ドンシクたちは打つ手がなくなってしまいます。

ムンジュ警察署でドンシクとジュウォンは次の手について相談していました。ジェイはギファンの、ドンシクはジファと一緒にチャンジンの尾行をする「ふり」をしてほしいと言い、ジュウォンはギファンを「1人で待ちます。必ず連絡します」と約束します。ドンシクは「待たないとね、ハン警部補」と空を見てつぶやきます。

葦原で再会したギファンとチャンジン。ギファンは携帯を置いて自分の車に来るよう指示します。あの日、実はチャンジンはギファンにも遺体の始末を頼まれていました。その後、ヘウォンにも同じ理由で呼び出されたのです。

留置所の映像をもらったと言い、チャンジンは笑い出します。「ジンムクを殺せと言ったのはあなただろうが」というチャンジンの言葉を聞き、衝撃を受けるジュウォン。実はジュウォンはギファンに出ていけと言われた後、密かにギファンの車に盗聴器をしかけていたのです。
あれはチョン署長の仕業だ。聴聞会でチョン署長をなぜ庇ったと?」「防犯カメラの件で脅迫されたからですか。だからチョン署長は今日俺を助けたのか」「あいつは処理した方がいい。今まで通りに」「あいつはメールを送ってもナム・サンベのように廃車置き場には現れないでしょう。後ろから襲わなければ俺が撃たれて死んでた。そういえばムンジュ警察署でオイル建設について尋ねられました。聴聞会に備えてください。今回の再開発は成功させたいので。これからは俺の電話には出てくださいね。ト議員からの電話には出ないでください。親子でジンムクの死を2人でやったのかと疑ってた。次長がよければ奴を黙らせた理由を話しますが」と話す2人。
ギファンは「覚えていないな」と笑いますが、チャンジンは「本当に?俺があの日ジンムクから聞いた面白い話を?」と言います。
「2000年10月15日の夜中、あいつがここにいて全部見てたんです」と言われ、ギファンの顔色が変わります。

留置所でチャンジンがジンムクに話しかけると、彼は「ジンリ建業の社長、鹿牧場の主人、ユヨンが死んだあの日あそこにいた。見ていた」と答えました。「あの日あいつは私がイ・ユヨンを轢いたのを見たのか?」と言うギファンの言葉に、思わず呆然と言葉を失うジュウォン。それを聞いたチャンジンは大笑い。

ドンシクはずっと携帯を片手に握りしめ、ジュウォンからの連絡を待っています。
ジュウォンは車の荷台からゴルフクラブを取り出すと、極寒の雨の中、どこかへ向かいます。

 

第15話 離す

<あらすじ>
ハン次長の車に盗聴器を仕掛けたジュウォン。
イ・チャンジンとハン次長の会話から、21年前にハン次長がユヨンを車でひいたことを知ってしまう。
ショックを受けたジュウォンはその会話の録音データをドンシクに聞かせる。

ゴルフクラブを片手にギファンの車へ向かうジュウォンは、「あなたは息子に全てを知られたら殺すんですかね?21年前にあの娘を殺さなければこんなことにはならなかったが」「息子は私より母親に似ている。待ってばかりで手を伸ばされても手を取れず、平静と冷酷を装って自分を破壊する弱く愚かな人間だ。息子はどうせ何もできない。21年前の事故は些細なミスだ、私は二度とミスはしない」と話すギファンとチャンジンの言葉を聞いて、ドンシクを疑っていた自分を恥じ、気が狂ったように笑い出します。
チャンジンは「ジンムクが何を見たかよりもト議員がジンムクから何をどれだけ聞いたかが問題です。あいつは最期に”理事長から聞きませんでしたか?あなたたちもお互いに秘密が多いね”と言ったんです。鑑定書以外に秘密があるなら俺にも分からないからあなたが探ってください」とギファンに頼み、自分の車に戻ります。「全員消すべきだな」とつぶやくギファン。

ジュウォンからの連絡を待ちきれず自宅から電話するドンシクのもとに、ずぶ濡れのジュウォンが歩いてきます。ジュウォンは無言で、ギファンとチャンジンの会話データをドンシクに聞かせます。

事件の真相を知りハン次長の所へ行こうとするドンシクを「僕が捕まえます。これは盗聴した物だから証拠能力はないし、公表してもチャンジンに罪を被せるでしょう。今動いても意味はない」と制止するジュウォン。「殺せばいい」と言うドンシクに、ジュウォンは「僕が殺します。罠を仕掛けます。僕が餌になります。僕が怪物になって父を抱きかかえて…最も高い場所から一緒に地獄に落ちます。そうやって謝罪します。それが最高の復讐です。それができそうになければ録音データを公表してください」と懇願。「あなたはこれ以上手を出さないで。僕が…地獄に行きます」と言い、ジュウォンは涙を堪えながらドンシクの前に跪きます。

それから1週間後、ジュウォンが逮捕されたことにより中断していたハン次長の人事聴聞会が再び開かれます。ジュウォンは今すぐ自首すべきなのに市長選に出るつもりなのかと仕事に出かける母の正気を疑いますが、ヘウォンは「誰のためにやったと?あなたは友達の方が大事なんでしょ?」と鼻で笑います。さらにジョンジェに鹿の幻聴が聴こえていたのは、彼女が気の小さい息子に苛立って鹿牧場に閉じ込めたからでした。虐待の事実を明かされ絶句するジョンジェ。それに罪悪感を感じて20年間も母親を演じてきたけれどもう終わりだと、ヘウォンはジョンジェを突き放し仕事へ向かいます。

マニャン精肉店ではジェイ、ジフン、ジファが集まり、人事聴聞会を見る準備をしていました。ドンシクは母の元へ、ジョンジェとジュウォンには連絡が繋がりません。ジェイは母が見つかったら釜山に行くと言っていましたが、その気は失せたようです。

ドンシクは母に昔話を語りかけます。ユヨンとドンシクが誰かに比べられるたび、”成功よりも他人を傷つけない人生が最も大切だ”と言ってくれた母。「俺のように傷ついて壊れないで。俺が必ず捕まえるからね」と決意を語ります。久々に母が「ごはん食べるのよ、ドンシク」と言ってくれたことに感動するドンシク。施設を出ると、ジュウォンに「ごはんを食べよう」とメールします。

ジュウォンは食事が食べられなかったようでひどい顔色です。ドンシクは魚のククスを奢りますが、ジュウォンは魚が苦手のようです。初めて口にして「美味しいです」と言うジュウォンに笑みをこぼすドンシク。泣いていたことを揶揄うドンシクに思わず泣いていないと言い返すジュウォン。
録音データはあちこちに隠しておいたから、ジュウォンが逃げ出したらばらまくとドンシクは言いますが、ジュウォンは絶対に逃げないと決意を固めた目で語ります。明日の聴聞会に備えてこれからソウルに帰り父に会うと言う彼に、「腹を満たしてから地獄に行かないと」とドンシクは食事を促します。静かに食事をとる2人。

質疑応答集を読み耽るギファンは「1週間もどこに行っていたんだ。大人しくしていろ」と叱りつけます。しかしジュウォンは「大人しくしていたいけど父さん自身が台無しにしそうで」と言い、録音データを再生して聞かせます。必死でスマホを叩き壊すとジュウォンの胸ぐらを掴むギファン。
「何が望みだ」と言うギファンに、ジュウォンは「父さん、長官になって。父さんの次は僕が長官に就任するんだから。手を切るべき人とはしっかり手を切ってね。録音データは僕の頼みーソウル庁 監察調査係に復職することーを聞いてくれたら破棄してあげるよ。そしてチョン署長を消さないとね」と父の手を握ります。
チャンジンとヘウォンは共に聴聞会の映像を事務所で見ています。息子の復職について議員たちから厳しい意見が飛びます。
チャンジンはジョンジェをどう処理したのか尋ねますが、ヘウォンは「私に息子なんていない」と言い、チャンジンをたじろがせます。ヘウォンの支持率は最低ですが、再開発が進めば支持率は上がると自信満々。さらにオイル建設の件をきっかけに”誰かが死ぬまで隠していた21年前の秘密”まで暴露されたら大変ねとチャンジンに笑いかけます。
ヘウォンは「ジンムクから何も聞いてないのね。私が何を話してるのか分からないでしょ?」と言いますが、チャンジンは「どうでしょうね」と煙にまきます。「今回こそ再開発をどうにかしないと黙っていないから」と去るヘウォン。
チャンジンの携帯に、突然”JCM”(チョルムン)から「明日会いましょう」と連絡が来ます。

釣りをするチョルムンに、黒手袋をはめ、杖とナイフを持って近づくチャンジン。そこに「ナイスショット」とドンシクが笑顔で近づいてきます。ゴルフクラブを見て顔色を変えるチョルムン。慌てて足が悪いふりをするチャンジンにソウル庁で仕事の話をしようと言うドンシク。
チャンジンは召喚状をくれれば行くと言い去ります。チョルムンは「なぜここが」と敵意を剥き出しにし、ドンシクは「署長の携帯を位置追跡しました。さっき俺があなたの命を守ったんですよ。気をつけてください。まだあなたの番じゃないから。そう、俺はあなたを脅迫していますよ」と微笑みます。
ギファンに慌てて電話するチョルムン。そこにジュウォンも現れ、「口を滑らせると困るのでソウル庁までお連れします。父に長官になってほしいので。発言には気をつけて」とチャンジンに耳打ちして去っていきます。

ソウル庁に着いたチャンジン・ドンシク・ジュウォンの3人。ジュウォンは違法捜査を行うドンシクを監視しに来たと言います。足を引きずっていたり普通に歩いていたりするのは何故かという問いに始まり、ナム所長が亡くなった2月5日午後10時から12時まで何をしていたか、ジンムクが死亡した去年の11月10日午前4時から5時30分まで何をしていたかを尋ねます。ではその時、ギファンはどこにいたのかとジュウォンに反撃するチャンジン。

2000年10月15日、正確に言えば10月14日の夜の話をしたいとチャンジンはにやつきます。そして、自分とクァンヒョ財団理事長だったト・ヘウォン、ムンジュ署長だったハン・ギファンと一緒にオイル建設の件で酒を飲んだ、当時のオイル建設の経営状態は風前の灯だったが「落としてくれ」と請託された、お父さんはさすが清廉潔白な警官だと褒め称えます。そして聴聞会で「犯罪者に理由を与えてはいけない、マイクを握らせてはいけない」と興奮して話す彼の動画を見せて笑います。
さらに、ギファンは多量に酒を飲んだから自分が送り届けた、けれどその日ト議員だけは飲酒運転した、さらに鹿牧場は名義はジンリ建業だがト議員が管理していたのだから、ユヨンは彼女に殺されてジンムクに遺体を埋めさせたんじゃと匂わせます。ヘウォンは土地を多く持っているだけで市長でもないのだから再開発には要らないカードだと言い捨てるチャンジン。さらに、ジョンジェは母親に捕まって精神病院に監禁されていると言います。尋問を切り上げたドンシクとジュウォンは事件の主役はチャンジンとギファンだったのだと気づきます。
ドンシクがジョンジェに電話をかけますが、繋がりません。ジュウォンはクォンにギファンに知られても良いから人を探してくれと頼みます。
ト議員を捨て、ジョンジェの情報も教えたのは注意を逸らすため。つまりチョン署長が危ないとジュウォンが立ち上がった途端、ドンシクはジファとドスに署長の居場所を尋ねます。チョルムンはギファンが本庁の情報課に異動させたため嬉々として引っ越し準備をしていたのでした。クムヤ田園住宅団地まで送ってくれとドスに頼むチョルムン。ジファは2人の後を追います。

その時、ジュウォンはクォンからジュウォンはムンジュ郊外のソウォン病院にいると電話で聞かされますが、クォンとギファンは共謀しており、同じタイミングでギファンはジュウォンに家に来るようメールします。ギファンのホームパーティーに出ているにも関わらず1人でいると言うクォンの嘘を見破るジュウォン。

ギファンのもとに大統領府民情主席室から電話が入ります。ギファンの長官任命可否は明日午後に発表されますが、実質彼の長官職は決定したようです。
その時、チョルムンからドンシクにメールが入り、「話があるから1人で家に来てくれ」と書いてあるのをジュウォンは見てしまいます。ドンシクの携帯を自分のポケットにしまうと、ジュウォンはジョンジェの居場所だけをドンシクに知らせ、自分がチョルムンに呼ばれたことを隠して家に戻ると慌てて車を出します。

ドンシクは嫌な予感がし、車でジュウォンを追跡。途中で住所からチョルムンの元に向かっているのではと感づきます。ドスはチョルムンを怪しみつつジファの車に乗り込み家の前で待機。そこにジュウォンが来て、ジファたちに声をかけると警棒を携え、電気の消えた家に1人で入っていきます。
家のドアは開いていました。ジファは嫌な予感がし、ドスと共にジュウォンの後を追います。そこに駆けつけたドンシク。

家から出てきたジュウォンは体中血まみれでした。そして「チョン署長は死にました。僕が殺したみたいだ…」と両手の血を見つめながら呆然と言います。ドンシクは無言でジュウォンを見つめ、ジファとドスは慌てて室内に入っていきます。

 

第16話(最終話) つかむ

<あらすじ>
ジュウォンはチョン・チョルムン署長の様子を確認するため家の中に入っていくが、既にチョン署長は殺されていた。
一方、精神病院に入れられていたジョンジェは、自分のために母親がナム所長とジンムクを殺したのではないかと疑い、ドンシクにそれが事実かどうか確認してほしいと頼む。
そして長官になったハン・ギファンは過去の自分の罪が明らかになることを恐れ、検事のヒョクを使おうとするも裏切られ、窮地に追い込まれる。

チャンジンが聴聞会後のギファン宅に行くと、ジュウォンに葦原での会話を録音されたと報告されます。ギファンはト議員を消すと決断し、チャンジンは”JCM”を餌にしようと提案します。
チョルムンはチャンジンに「夜に会おう」と送ったメールを無視され苛立っていましたが、浴室から聞き覚えのない着信音が響き目を見開きます。そこにはチャンジンがおり、チョルムンは首を掻き切られ、携帯をすり替えられ、自殺に見せかけられます。ジュウォンがチョルムンの家に入った時には彼はもう虫の息で、ジュウォンに何かを伝えようとしますがすぐに事切れます。ジュウォンはチョルムンがドンシク1人を家に呼び出していたことを思い出し、またもドンシクが殺人犯に仕立て上げられそうになっていたことに気付きます。

ドンシクはジュウォンが自分の代わりにチョルムンの呼び出しに応じたことを知って「負い目を感じて勝手なことをするな」怒りますが、ジュウォンは「悪いと思っていないから謝れません」と淡々と告げます。
ジファに呼び止められたドンシクは「お前は関わるな」と言いますが、ジファは「ミンジョンの指はあなたが置いたんでしょう。ジンムクには置く理由がない。追求しないのは、あなたの好きなようにやらせたのはなぜたと思うの?」と怒ります。ドンシクはジファに、ジュウォンが、ギファンがユヨンを轢いた録音データを入手したと打ち明けます。ジファは録音データを渡してくれと頼みますが、ドンシクは法で解決できない問題だからジュウォンと一緒に解決する(地獄へ行く)と決意を口にします。

ジュウォンは爪の間に入った血を懸命に洗い流します。ギファンから電話がかかりますが、携帯は血まみれの水の中に水没してしまいます。勝手にジュウォンの家にいたドンシクは「兎狩りの準備はできましたか?」とジュウォンの前に立ちはだかります。

ジュウォンが電話に出ず苛立つギファンはクォンにチョルムンの遺品を確認します。2月5日に殺害されたナム所長の携帯とメールを送った飛ばし携帯とチョルムンの指紋だけがついた刃物の凶器だけが残っており、ナム所長にメールを送った飛ばし携帯から死ぬ直前にドンシクにメールを送っていたと言うクォン。チョルムンは「1人で家に来い」と言ったのに、なぜかジュウォンが行き、その理由は本人は黙秘しています。死因は他殺ならジュウォンかもとクォンが言った瞬間、ギファンはナム所長を殺した罪悪感で自殺したのだと断言し、自分の言ったように処理しろと命じます。

非通知の番号(ギファン)から電話を受け取ったチャンジンは、再開発事業は一旦休んで雲隠れしろと命じられますが、その間にジファたちがチャンジンを引っ立てに来ます。証拠はないから大丈夫だと言うギファン。
ジファはチョルムンが死亡した3月7日20時30分から11時までどこで何をしていたのか尋ねますが、チャンジンはジュウォンが現場にいたんだろうと不快そうに言い、歌を歌ってふざけます。ジファはチャンジンと結婚したのは建物を建てたいという純粋さが好きだったからだが、離婚したのはその欲望に彼自身や自分が食われそうだと思ったからだと告白します。
なお、チャンジンはチョルムンが殺害された時間には家にいたと証言しますが、ドスは殺害未遂容疑で緊急逮捕すると告知します。無実の人間を捕まえるなと文句を言うチャンジンに、ジファは、ドンシクが撮った、チャンジンがチョルムンを釣り場で殺そうとする動画を見せます。

同じ頃、ドンシクはヘウォンに同じ動画を見せて、ヘウォンかジョンジェが次に狙われると警告しますが、ヘウォンは「自分の人生の心配をしたら?」と鼻で笑います。ドンシクはヘウォンの前にユヨンを轢いた人がいるのに、ヘウォンは一方的に21年間も金と土地を奪われてきたと真犯人の存在を匂わせると「ユヨンの解剖鑑定書を見せてもらうといい。今ジョンジェが死ねば真犯人に全ての罪を着せられるだろうな」と言って去っていきます。「ジンムクは違うと言っていた」と焦るヘウォンはチャン秘書に命じてソウォン病院から別の病院へジョンジェを移送させます。

しかしその直前、ジョンジェの家族の秘書だと偽りソウォン病院に侵入したジュウォンは更に救急車を乗っ取り、ジェイに運転させてジョンジェを連れ出します。
ジュウォンはユヨンの死体隠匿教唆等の容疑で逮捕する…と手錠を出しますが、「…その前に自首してください」と乞います。21年も経ってしまったから自首ではなく逮捕がいいと両手を差し出すジョンジェ。

クォンにジュウォンからヘウォンとジョンジェの逮捕状が申請されます。クォンは21年前からギファンとヘウォンは懇意だから逮捕状の申請はまずギファンに知らせてから考えないとと慌てて電話を取り出します。ジュウォンはクォンに「父さんがあなたを本当に家族だと思ってるわけないでしょう?あなたが掴んだロープは腐ってる。僕が断ち切る。あなたは賢い人のはずだ。選んで」と問いかけます。

留置所にいるチャンジンのもとに、バットを持ったドンシクが現れます。防犯カメラを止めてミヘの死体検案書と釣り糸を渡して自殺させた、ナム所長を殴り殺した…証拠はないがと言いつつユヨンの復讐だとバットで彼を殴り殺そうとするドンシク。そこにジュウォンが現れて彼を諌めると、ヘウォンの逮捕状が出たから行ってくれと追い出します。
「お父さんは捕まらないのか?」と尋ねるチャンジンに、「ト議員は賄賂供与、証拠隠滅および教唆、公務執行妨害、請託禁止法および公職者倫理法違反容疑で逮捕されます」と言います。焦れたように「あの変人の妹を殺した容疑とジンムクの証言は!?」と言うチャンジンに、「その話は今から聞きます」と言うジュウォン。

弁護士から黙秘権を使うよう言われるヘウォン。ドンシクはジョンジェの供述した内容を並べ立てていきます。ヘウォンは実は母性愛を捨てたわけではなくジョンジェを守るために病院に入れており、ユヨンの解剖鑑定書も確認していました。「ギルグ、チョルムン、チャンジンに21年間金を巻き上げられてきた感想は?」と微笑むドンシク。
“2000年10月15日の夜中、当時所有していた飛ばし携帯で母親の飛ばし携帯に電話をかけて助けを求めました”とジョンジェは供述。さらにギルグもチョルムンの指示でギターピックの鑑定書をヘウォンに渡して偽造された鑑定書を担当掲示のナム所長に渡すと、対価として金品を受け取ったと供述したとドンシクは言います。現場にドンシクのギターピックが落ちていた理由を知ろうとナム所長は留置所のジンムクに会いにいきましたが、すでに死んでいました。ナム所長は事件の記録を再び確認し始めたのでした。
ジョンジェはギターピックがなぜユヨンを轢いた場所ではなくジュソンの遺体現場にあったのか理解できず、ヘウォンは「何もなかった」と否定するばかり。ヘウォンは、なぜギターピックがジュソンの遺体のそばにあったのかをジンムクから聞いたんでしょとドンシクに言われ、顔を強ばらせます。

2000年12月、ヘウォンはジンムクからジンリ建業に売った鹿牧場の鍵をくれと言われます。なぜと笑うヘウォンに、ジンムクは「ジョンジェがユヨンを轢いた時に落としたギターピックは俺が拾ってジュソンの遺体のそばに置いた。ジョンジェに罪を着せようとしたのにドンシクが捕まった。理事長が後始末を?俺のことを警察に言ったらジョンジェが捕まりますよ。鍵をどうするかは息子さんのために知らない方が良いのでは?」と笑いながら鍵を要求します。
20年後、ヘウォンはジンムクに人を殺し続けていたのか、鹿牧場の鍵を使って何をしていたのか、娘のミンジョンを殺したのかと尋ねます。ジンムクは俺の言うことを聞かないからと淡々と言い、再開発のイベントに被害者の父親として参加するからあなたも今までと同じようにうまく芝居してとにやにやと笑い帰っていきます。

ジョンジェは「もしかして母は20年間、人が殺されていくのを俺のために黙っていたのかも」と尋問中に泣きながら机に頭を打ち付け始めます。
「ジョンジェは耐えられるでしょうか。代わりに聞いてくれと頼まれました。ナム所長とジンムクを俺のために殺したのか母に聞いてくれと。それが事実なら自分で首を切ると」とドンシクが言った途端、ヘウォンは「私じゃない、だめよ」と泣き出します。弁護士の制止を振り切り、「チャンジンにナム所長のメールは見せた。だけどジンムクは違う。本当よ。あなたも聞いたでしょう。あの日、葦原であの2人がやったの」と証言します。「あの2人とは?」と言うドンシクに、ヘウォンは覚悟を決めて「チャンジンとギファン」と答えます。

チョルムンの不正に関する参考人聴取としてチャンジンは尋問を受けます。「そろそろ48時間が経つ」と笑うチャンジンに、逮捕状が出てから始めると言うジュウォン。「逮捕状が出る理由がない」とチャンジンは言いますが、ジュウォンは「そうでしょうか」と飄々としています。
ジュウォンはドンシクからの電話を取ると、逮捕状を申請する、罪を犯し、証拠隠滅、逃亡のおそれがあるので拘束すべきだとチャンジンに言います。

同じ頃、ギファンのもとにムンジュ地検が請求した逮捕状が下りたと情報課のペ・ホヨン警部から連絡が入ります。クォンに「私の部屋に来い」と連絡をしますが、「ト議員の逮捕状を請求したんですが、彼女と親しい長官とお会いすると後々問題になるので。そしてもう1件請求しました。被疑者の名前はチャンジンですね。拘束するしかありません。長官が聞いたら怒るでしょうが、チャンジンは警察の留置場に勝手に入り、ジンムク容疑者の自殺を幇助したんです。ナム所長も殺害したようです。自白を聞いた人がいるとか。もうここまでにします。検事として正しく行動します」と拒否。ギファンはクォンに裏切られ苛立ちます。
ギファンは監察調査係のハン・サンウク警部(ジュウォン)に電話をかけます。

ジュウォンは電話を拒否。チャンジンはドンシクの電話にだけは出るなんて付き合ってるのか?今は録音してないよな?と軽口を叩きます。そして葦原での録音データは父を失脚させるためかと尋ねますが、ジュウォンは「なぜ父を害する必要が?」としらばっくれます。「忠告します。あなたの周りの人間が誰の味方なのかを把握した方が良い」と首を切るような行動をします。
そして、ドンシクをそばにおいた理由は何だと思うかと尋ねます。自分は録音データのおかげで生きているが、「誰かが罪を被る必要があるんじゃ?2000年10月15日の夜中、父の代わりに運転をしましたね。20年前のその日から長い間父は会ってくれなかったとか。運転を任せたのに女性を轢いたから父は怒ったのかな」と言い、葦原でチャンジンが出て行った後に「全員消すべきだな」とつぶやいた音声を何度も流します。顔色を変えるチャンジン。
そこにジファが逮捕状が下りたから取りに行ってくると報告に来ます。「留置所に10日間入ってもらう」とチャンジンに言い渡すジファ。ジファはギファンから電話が来て「必ず法に則って処理しろ」と言われたと告げ、ジュウォンは「僕も同じことをされました」とつぶやきます。

留置所でチャンジンはジンムクに「チャンジンさんも長くは生きられない。全てを知ったらドンシクがあなたを殺すから」と言われたことを思い出します。するとなんと黒ずくめのドンシクが復讐だと言いながら留置所に入ってきて、チャンジンの首を絞めます。チャンジンは慌てて「俺じゃない!ギファンだ!自白する!」と叫びます。

ギファンは逮捕状の発布は遅らせられましたが、ムンジュ署で供述中だと報告を受けます。その時緊急ニュースが入り、「ハン長官 21年前に飲酒ひき逃げ事件 被害者は死亡 職権濫用し事件を終結」とテレビで流れます。さらに21年前の事件に関するギファンの音声データが公表されます。しかも提供元はギファンの息子であるジュウォンであると流れ、ギファンは頭を抱えます。

家の近くでパトカーのサイレンの音が聞こえると、ギファンは酒を飲み始めます。金庫からおもむろに拳銃を取り出すと自殺しようとしますが、そこにジュウォンが現れます。
「”母さんが自殺したと病院から連絡が来た時、弱い人間がする最悪の逃避だ”と言ったのに自分は同じことをするんですか?これで幸せですか?あれほど望んでいた長官になれましたよね。近づいたら撃つんですか?」と、銃を構えるギファンに近づき銃口を額に当てさせるジュウォン。

ドンシクも現れ、ギファンに銃口を向けます。ドンシクを庇うように立つジュウォン。ドンシクから銃を受け取ると、ジュウォンは天井に向かって空撃ちをし、「次は実弾です」とギファンに構えます。ドンシクは狼狽します。
「人を殺すには頭か心臓を狙うべきなんだけど(ドンシクが以前地下室でジュウォンに言った言葉)、罪を償ってもらうために父さんを殺しはしません。だから脚ではなく腕を撃ちます。ユヨンさんを殺した容疑者を逮捕してください」と言うジュウォン。近づいてくるドンシクの額に銃口を押し付けるギファン。ドンシクは銃をどけると、「イ・ユヨンの殺害 遺棄 逃走 死体隠匿および教唆の容疑で逮捕します。カン・ジンムクとナム・サンベ殺害の教唆…」と言います。するとギファンは「それは違う。ジンムクは自殺幇助でサンベは私ではなく恐らくヘウォンが…」と嘘をつきますが、ドンシクが「そうでしょうか」と笑った瞬間、ジュウォンは「撃ちます」とギファンのすぐそばの本棚に発砲します。呆然とするギファン。

ギファンはマスコミに囲まれながらジファとドスに連行されていきます。ジュウォンは警察大学の卒業式で父と撮った写真を伏せます。「警官を辞めて罰を受けます。妹さんの死に対して僕が謝罪します」と頭を下げるジュウォンに、ドンシクは「だめだ。ハン警部補に罪はない。罰を受けたい?職権濫用の処分を受けたら死ぬまで刑事として生きるんだ。それが俺への謝罪になる。罰は罪を犯した人が受けるものだ。だから、ミンジョンの指を遺棄して捜査を妨害した容疑で俺を逮捕してください」と言います。「無理です。僕には資格が…」と狼狽えるジュウォンに、ドンシクは「あなた以外の人に自首するつもりはない。逮捕してください」と微笑みます。ジュウォンは顔を歪め、「あなたをカン・ミンジョンさんの指の遺棄と公務執行妨害で逮捕します…」と涙を堪えながら言います。拳を解けないジュウォンの手を取ると、ドンシクは「ジュウォン」と呼びかけます。ジュウォンはドンシクの手を握り、ぼろぼろと泣き出します。「あなたは黙示権を執行でき…」と手錠をかけた後、ドンシクの両手を自分の両手で包み込み、彼の手に自分の額を当てて泣きじゃくります。微笑むドンシク。

「昨夜10時頃 ハン長官が逮捕されました。21年前の女子大生失踪事件はハン長官による飲酒ひき逃げが原因 無期または20年以上の懲役」「イ氏の1審判決が言い渡されました 殺人等の容疑で無期懲役の判決が…」「ムンジュ市長候補だったト・ヘウォン氏が懲役9年の判決を受けましたが控訴すると…」「ト・ヘウォン氏の息子である某警部は懲役3年の判決を受け控訴はせず…」「女子大生の指を遺棄した警官は懲役1年 執行猶予2年に 事件を解決するためであり…」「前警察庁長官の息子某警部補の職権濫用疑惑は被害者の死は予測不能であり連続殺人の容疑者を検挙できたため不起訴処分となりました」とニュースが流れる中、JL建設とヘウォンの事務所は嵐が去った後のようにめちゃくちゃになっています。

2022年2月5日、スヨンの墓に花を供えるジュウォン。ジファから「今日は所長の命日です。マニャン精肉店へ」とメールが届きます。ジュウォンは「また来ます」と墓に呼びかけると、店に向かいます。
今のジュウォンはマニャン派出所ではなく江原道の警察署の女性青少年係にいます。ジェイが卵を持っていたのでまた投げるのかと軽口を叩くジュウォン。

そこに笑顔で少し髪がさっぱりしたドンシクが現れ、「あの日以来ですね」とジュウォンに声をかけます。父が控訴中だからと控えめなジュウォンに「あなたとは関係ない」と背中を押すドンシク。
グァンヨンはソウル庁で警部に昇進したようで、同期のジュウォンを警部補のままだと揶揄います。ジュウォンのために新しい器を出そうとするジファですが、ジュウォンは共用のもので大丈夫だと言い、一同は湧きます。「プデチゲは好き?」と尋ねるドンシクに、「好きです」と答えるジュウォン。誰もが嬉しそうです。

食後、ドンシクと共に散歩するジュウォン。家出した認知症の老人を捜したり大変だろうと言うドンシクに「大変じゃありません。誰かが探さないといけませんから。僕にできることがあってよかった」と答えます。
テハク山で事件があったようで、ジュウォンは電話を受けて慌てて去っていきます。ドンシクはその背中に「ジュウォン!しっかり食べてしっかり寝てしっかり出せよ」と笑って見送ります。「タメ口はやめてください、ドンシクさん」と半笑いで注意すると、ジュウォンは歩き出します。

仏壇の横の壁に貼られた、「韓国では所在不明の成人の失踪者は家出として処理されます。彼らが家族の元へ帰れるように小さな手がかりでも見つけたら近くの派出所に通報してください。電話での通報は112、電話での相談は182、メールでの相談は#0182」と書かれたポスターが写ります。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

素晴らしかった……言葉が出ません。

たった16話とは思えないほど複雑で濃厚なストーリー、そして何より俳優さん各人の演技力が際立っていました。ドラマとは思えない完成度に溢れる感動が止められません。

きっと何度見ても新鮮に感動する名作です。「怪物」に携わってくださったスタッフの皆さんに心からの感謝を😭🙏✨

小錦あや
小錦あや

韓国ならではの「親の罪を子が背負う」感覚はいまいち分からないのですが、韓国で親が犯罪者になった場合こんなにも生きづらいのだとジュウォンを見ながら苦しくなってしまいました。ジュウォンは何も悪くないのに…。

「(プデチゲは)好き?」「好きです」のやりとりは完全にブロマンス好きを狙ったセリフでしたよね!?!?!?最高でした。ジュウォンの「好きです」が聞けて感無量です。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

ブロマンスと聞いて観始めた「怪物」。ブロマンス要素はほとんどなかったのに、この充実感はなんでしょう…これから出会う全ての人におすすめしたい素敵な作品でした。

愛、憎悪、憧憬、執着、侮蔑…人間のあらゆる感情が凝縮されたドラマで、毎話心も頭もぐちゃぐちゃにかき回されるような感覚になりました。

視聴者の心の奥底に響きかける、語りかけてくる、素晴らしい作品だと思います。

同じく韓国ドラマでブロマンスものをお探しの方は、映画「メソッド」もおすすめです。憑依型の熟練俳優と若手アイドルの狂気愛を描いています。

「怪物」がヘビーだったからもっとライトなブロマンス(BL)が見たい!という方には、「Mr.ハート」がおすすめ。男子高校生同士のピュアな青春ラブストーリーです。

 

今回3人が見た「怪物」は、Amazonプライムビデオでのみ無料視聴できます。

ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨

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