ボリビア映画「テュ・ム・モンク あなたが恋しい」(2019)のネタバレ感想・あらすじ・評価・動画配信|同性愛をテーマに、NYを訪れた父が急逝した息子の本当の姿を知る感動のヒューマン・ドラマ

映画

「アマプラ同時上映会」第188弾!

当サイトの運営者3人が、Amazonプライムビデオでアニメやドラマ・映画を同時視聴する企画です🎬✨

自らを偽り葛藤し続けた息子は、癒しを求め彷徨っていた…。同性愛をテーマに愛と理解が生む感動を描くヒューマン・ドラマ! 「テュ・ム・モンク あなたが恋しい」

全話のネタバレ・あらすじ一覧・本作をより楽しむための小ネタなどを掲載しています。

早速見てみましょう!

登場人物とあらすじ

引用:Amazon.co.jp: テュ・ム・モンク あなたが恋しい(字幕版)を観る | Prime Video

オープンリーゲイのアパレル店員と、クローゼットゲイ のお話。

<あらすじ>
急逝したガブリエルの死を悲しむ父ホルヘ。
最愛の息子の死に納得できない彼は、ガブリエルのSNSを調べ、通話履歴からセバスチアンという男とのビデオ通話を試みる。
息子との関係を尋ねるホルヘに、セバスチアンは元恋人だと告げる。

 

\ 国内最安の動画見放題サービス /

 

こんな人におすすめ

  • ボリビア映画が気になる🇧🇴
  • 南米でのLGBTQの人々を取り巻く環境について知りたい🌵
  • キリスト教と同性愛について考えたい✝️

 

本作をもっとよく知るための小ネタ

劇中に登場する舞台「テュ・ム・モンク」は、2015年にボリビア・サンタ・クルスにて上演、最優秀演劇賞を受賞。初演後、自殺未遂やカミングアウトについて体験談を語る人が続出。多くの同性愛者を後押しすると同時に、同性愛嫌悪が学校で語られるキッカケを作った。

第92回アカデミー賞国際長編映画賞(外国語映画賞)に出品されたほか、グアダラハラ国際映画祭などで高評価を獲得した。

 

ネタバレ感想

憎しみを抱かず でも心に怒りを 世界を癒やそう ポール・モネット

カーテンの外に見えるボリビアの高級住宅街 大きな窓から差す朝日 旅の荷物の前に立つ男は見事なスーツ姿だ。
2週間前に急逝したガブリエルの死を悲しむ父ホルヘ。最愛の息子の死に納得できない彼は、ガブリエルのSNSを調べ、通話履歴からセバスチアンという男とのビデオ通話を試みます。息子との関係を尋ねるホルヘに、セバスチアンは元恋人だと告げます。息子がゲイだという衝撃の事実に動揺した彼は、ガブリエルの死を知り悲しむセバスチアンに「君は我が家に大問題を引き起こした。家族と疎遠にさせ、混乱させ、孤独にして、息子を殺した。今度私の家族に近づいたら殺してやる」と激しく罵倒します。ガブリエルは何度もセバスチアンに「会いたい」と連絡していたのに、彼は無視していたのです。しかしセバスチアンは「あなたこそ恥を知れ。あなたは彼の何も知らない」と言い、ホルヘは怒りのあまり通話を切ってしまいます。

ニューヨークにいるセバスチアンは、女友達・ロサウラにガブリエルのことを相談します。しかしボリビアにいるガブリエルの友達は全員セバスチアンをブロックしているので、彼の死の詳細は知りようもありません。なぜなら、ガブリエルの友人たちは彼がゲイであるのを公表したのはセバスチアンのせいだと思っているからです。「これが南米の現実だよ」とつぶやくセバスチアン。ボリビアに飛ぶ数日前、ガブリエルは姉にカミングアウトすると言っていました。ガブリエルが死んだのは事故に違いありません。女友達は、記憶が変わっていくのが怖いと怯えるセバスチアンに「私に話したことを書き留めておきなさい」とアドバイスします。

インタビューに来たアドナンに水を出してやるセバスチアン。

2015年、ボリビア サンタ・クルス・デ・ラ・シエラ
内容がセンシティブすぎて制作費を集められないとセバスチアンにテレビ電話で話すテレビのディレクター。「この作品は人々を変えられる。恐れてられない」と言うセバスチアンに、「君には演劇の経験がないだろ。それにゲイの俳優を10人も集められない」と言うプロデューサー。セバスチアンは「なら30人集めてやる」と啖呵を切ります。俳優たちにカメラに向かって名前と年齢と志望動機を言ってもらうよう指示するセバスチアン。「ゲイというと距離を置かれてしまう」「ゲイだとカミングアウトしたら、親に勘当された。家族から距離をおいてるのは、苦しませたくないからだ」と涙する俳優たち。

「それは去年のことだろ?もっと昔の話を聞いても?」と問うアドナン。

2014年 アメリカ ニューヨーク
メンズの洋服店に来たガブリエルは「面接のために黒いシャツが必要なんだ」と店員のセバスチアンに声をかけます。話をするうちに二人は同郷とわかり、盛り上がります。一目でぴんときたせバスチアンは、早速「明日友達の家の屋上でパーティーがあるんだけど」と誘います。ガブリエルは「僕はゲイじゃないよ」と言うも、誘いに乗ってくれます。

2週間後、セバスチアンに言われた言葉が気になり眠れなくなったホルヘは、息子の本当の姿を知るべく、ボリビアを離れニューヨークのセバスチアンの家を突然訪れます。アポイントもなしにセバスチアンの家を訪れたホルヘは、「1か月前に息子を亡くした!本当の息子を知らないという言葉が頭を離れなかった!息子を知らぬままこれ以上生きたくない!私が知らない息子とは何か教えろ!事実を話せ!」とアパートに向かって叫びます。「息子の人生みたく俺の顔をぶっ潰してみろよ」と凄むセバスチアン。ホルヘは「メガネを作りに行ったら緑内障だと言われた。それでいじめられ、空手を習わせた。軍にも入れて一人前の男にしてやりたかった」といいますが、セバスチアンは「それが間違いだ。男らしさとは、正直で、時間を守り、己で決断すること、真の自分でいる勇気を持つことだ。あなたが一生見られないところに不死鳥のタトゥーを入れてた。僕らは本当の気持ちを隠すプロだからね。そしてある時点で恐れと恥を捨てるんだ。真実を言おう。彼はあなたを恐れていた」と言い放つと、家に戻ろうとするセバスチアン。しかしホルヘが昏倒したため、同居人のアロンソは彼を心配して家に入れてやります。

「相手のいい面と悪い面を見てもそばにいるのが愛だ。愛が思い出を心に残す。愛がみんなを救うんだ。死に対する宗教的解決法だ。儀式じゃなく愛が人命を救う。ただのメタファーさ」と熱弁するセバスチアン。アロンソは人懐っこくガブリエルに話しかけてくれます。オスカーは「俺が思うに男にはゲイ度が1から7まである。1の連中は”俺はゲイじゃない”と言って、自殺願望かゲイ嫌悪を持つ…」とゲイを度合いで話してくれ、自分はレベル7のパーフェクトなゲイだからガブリエルは狙わないとふざけます。

「30人の俳優を使う演出は素晴らしかったけど、なぜガブリエル役が何人もいる?」とアドナンに問われ、セバスチアンは「真実は誰にも話してないしごまかすこともできる。でも事実を言えば一人を選んでしまうと思い出がその俳優に置き換わる。それは嫌だ。彼は生かしておきたい」と言います。

パーティーの最中、ガブリエルはセバスチアンに「君とセックスがしたい」というなり熱くキスします。肩を組みながら帰宅する二人。

ホルヘはセバスチアンの家で目を覚まします。ガブリエルは規則正しい生活を自分に課しており、毎朝7時に起きては決まった朝食を食べ、勉強していました。ホルヘは血圧の薬を飲み忘れたから気を失ってしまったのだと告白します。そして、妻に数日間ワシントンに滞在すると電話します。
ホルヘはセバスチアンに、「息子は妻と毎週で電話してた。息子のNYの友達が嫌いだと妻は言っていたよ。あそこは危険な人ばかりだと。だから、私が彼の仕事を世話してやったんだ。姉に別れを告げた後、息子は搭乗せずに逃げ出し、ビルによじ登って自殺したらしい」と言います。ホルヘの妻はがんらしく、「がんは天罰だ」とガブリエルに言ったのだそうです。「私の妻は信心深い人間だんだ。神か逸脱かどちらかを選べと言った」と言うホルヘに、セバスチアンは「あなたは彼に自分自身を憎ませたんだ。息子の幸せより体裁を選んだ」と吐き捨てます。しかし「違う。だから私はここに来た。私が怖いのは神だ」と反論するホルヘ。「僕らは選択したんじゃない。人は誰しもが愛を求めて生まれてくる。その愛と保護を与えられるのは親だけだ」と言うセバスチアンに、「みんな私を責める。妻は私に”もっと厳しく接するべきだった”と」困惑するホルヘ。「息子を理解したいなら、彼の友人たちに会うべきだ。あなたの妻が危険だと思っている人たちにね」と言うと、セバスチアンは立ち去ります。

30人のゲイの俳優たちをペアにさえ、ワークショップを始めます。互いを自分のいちばん大事な人だと想像して呼吸をあわせます。思い出や感情が追いかけてきたらそれを感じるようにセバスチアンは言います。ペアを一人ひとり引き離すセバスチアン。俳優たちは誰もが離れがたそうにし、涙している者もいます。

ガブリエルとじゃれあいながら朝を迎えるセバスチアン。

ガブリエルの描いた絵を見るホルヘとセバスチアンの友人。使徒パウロは結婚の神聖さを何度も書きながら、自分自身は未婚に生きた男です。性の誘惑に悩んでいたコリントの使徒には、愛は性を超えるものだと諭しています。パウロが怒るのは、同性愛について非難する場面です。推測ですが、パウロは同性愛者だったのかもしれません。パウロはテモテを苦悩から救おうとしました。「初めて聞く話だ」と言うホルヘに、男は「人は信じたいものしか信じない」と返します。
他にもオスカーたちからもガブリエルの話を聞くホルヘですが、まるで別世界の息子が存在していたかのような気分になります。「自分の考えや経験を通して息子のことを見てるんだ。そういう思考を排除した時にはじめて本来の彼の姿が見えてくる」と言うセバスチアンの友人。

引っ越した日、セバスチアンはボリビアのローズウッドでできたハート型の小物をガブリエルにプレゼントします。「これを持っている限り、僕の心は君のものだよ」と言うと、ガブリエルは喜びます。幸せそうにセックスする二人。

ガブリエルがよく来ていたらしい、セクシーな出会い系バーに行くホルヘ。半裸で踊るガブリエルが見えるようです。
オスカーたちゲイ仲間に「ホルヘは最近カミングアウトしたばかりの男性だ」と嘘をついて、ガブリエルのいた空間を疑似体験させてやるセバスチアンの友人。ティンダーが分からないと言うホルヘに、オスカーは丁寧に使い方を教えてやります。その流れでホルヘの携帯電話(実際はガブリエルの携帯電話)に手を伸ばすと、マイアミのフェルナンドという男とやり取りしていた記録が残っています。オスカーは無邪気に「よくマッチングしたね」と喜びますが、セバスチアンの友人は激怒。「ガブリエルに僕は嘘を強いられた。ボリビア人がそれを求めるからだ。その嘘を信じるのは死と同じことだ。帰ってくれ!彼は元彼に浮気され、同じことを。愛を信じないはずさ。愛の追及を恐れてすべてをセックスで処理する。でもそれじゃ心に根付く恐怖は消えない」と怒って帰ってしまいます。

設営のために前金がほしいと言われ、スタッフはとりいそぎポケットマネーで建て替えますが、助成金も「趣旨に合わない」とぎりぎりで断られてしまいました。ポスターやチケットがなければマスコミを呼べません。料金を倍に設定するしかありません。

ガブリエルとの交際の記録をすべてSNSに載せていたセバスチアン。ガブリエルは両親にSNSを見つけられ、「ボリビアに戻れ」と命じられていました。セバスチアンは「自分に正直になるチャンスだ」と言いますが、ガブリエルは「君の家とは違うんだ!父には逆らえない」と頭を抱えます。ガブリエルはセバスチアンと別れると言い出します。

他のセバスチアンの友人に会いに行くホルヘ。「父親に助けを求めたことはないか?」と尋ねると、彼は「うちは母のひとり親だし、母の責任じゃないしね。問題は僕が本来の自分を受け入れなかったこと」と言います。ホルヘはロサウラに「私は失敗したようだ。息子を連れ帰ろうと思っていたが今思うと妙だ。何かを見誤ってる」と言います。ロサウラは「”テュ・ム・モンク”は、”あなたに会いたい”だけど、他者の大事な物が自分の中から消えた感じよ。あなたの息子とも同じ話をした。”聖書のとおり真実を話せ”と言ったわ。性は存在に不可欠よ。あなたの拒絶を恐れていたから禁句を教えた。”この水は飲まない””司祭は父じゃない”彼は大笑いしてた」と言います。

「SNSの写真を全部消すよ。母は複数のアカウントで僕を見張ってる」と言うガブリエル。緊急避難用に偽のアカウントを作るのはどうかとセバスチアンは提案しますが、ガブリエルは了承しません。

「あなたの息子はここに居場所を見出した」と言うロサウラ。娘がニューヨークで演劇を志していましたが、難病を患って22歳で亡くなったため、娘を近くに感じていたいからとニューヨークに住み続けています。アロンソとセバスチアンは彼女にとって養子のようなものです。娘は「人生は夢」のロサウラが好きだったので、自分もロサウラという名前を名乗っています。「私は夢見る 大いなる重責とともに 異なる状況では幸せそうな私がいる 人生とは?逆上。人生とは?幻想。もしくは影か作り話か。何より最高なのは全てが夢ということ。そして夢は夢でしかない」とセリフを引用します。
ロサウラはガブリエルが彼の姉にカミングアウトした録音をセバスチアンに送っていたと言います。セバスチアンに内緒にするなら聞かせてあげてもいいと言われ、ホルヘは頷きます。「人間の感情の中で希望だけは操れない。人生から湧き上がってくるものよ」と言い聞かせるロサウラ。

舞台の準備をしていると、俳優の一人・ピポが舞台の出演者だとバレて殴られ降板することになったと報告を受けます。本人は家にいると言うので、病院に行かせてから話をしようと言うセバスチアン。出演者たちの半数以上は今夜の上演の後、カミングアウトするつもりです。セバスチアンは背中を押すようにスタッフから言われます。

ガブリエルがボリビアに発つ直前まで、セバスチアンは彼とともにいました。ガブリエルは、彼の姉に「姉さんも、姉さんの家族も愛してる。僕について気づいてたことがあると思う。家族の中でまず姉さんに伝えたかった。僕はストレートじゃない。長年否定し続けていたけど、考えるほど表に出てきた。辛いんだ。ずっと重圧に足潰されてきた。みんなにはまだ話せない。いずれは両親にも話したいけど」と涙するガブリエルに、「何があってもあなたの味方よ。秘密は誰にも明かさないから。愛してる」と返す彼の姉。ホルヘはその音声をじっと聞きます。仲良く散歩するゲイカップルを見つめるホルヘ。

いざ舞台当日、神妙な顔で劇場に入っていく俳優たち。殴られたピポは血まみれの顔のまま劇場に来ると、舞台に立ちたいと申し出ます。それを受け入れるセバスチアン。緊張した様子のセバスチアンは「もはやあなただけの物語じゃない。舞台にいる人たちが生きる世界よ。自由になって」とスタッフに激励されます。俳優たちと円陣を組むと、「今夜の舞台を真実に捧げよう。僕らには語りたいことが山程ある。愛する人や今は亡き人のために今夜は演じよう。僕達の存在を世界に示してやるんだ」と発破をかけます。

セバスチアンは友人たちが家を出ていくので自分も出なければと思いつつ、ガブリエルとの唯一の思い出の場所を失うのを辛く思い、動けずにいました。そこに現れたホルヘ。「君に渡したいものがある」と、ハロウィーンでシャキーラのモノマネをした時にガブリエルが使ったカツラを渡しに来ます。

いざ舞台が始まります。主役のガブリエルは群衆の中で立ち尽くします。

ガブリエルは夢うつつのセバスチアンに「僕は君にふさわしくない。君の望みを叶えられない。君を傷つけるのが怖いから」と言います。「僕らは愛し合ってる。何が望みだ?」と言うセバスチアンに、「もう少し控えめでいたい。僕には展開が早すぎる。愛してたよ。でももう無理なんだ。未来も考えてた。でも僕は臆病者だから。僕の家族は絶対に許さないだろう。重荷になるより、姿を消したい」と言います。
「また君の胸で寝たい」と言いながら、服を脱いでいくガブリエルは、ビルの屋上に立ちます。舞台の上でも、中心に立つガブリエル役の男が服を脱ぎ、「天使が撮ると沈黙が訪れると言う」と言って、同じガブリエル役の男たちと円陣を組みます。

屋上でパーティーをするゲイカップルたち。それを見つめるホルヘ。セバスチアンは「僕はずっと強さを証明しようとしてきた。”手助けは不要”とね」とホルヘに話しかけます。ホルヘは「父親は子どもから頼られたいものだよ。君には感謝してる」と言ってパソコンの前に戻ります。「パピチューロって何だ?SNSの写真は本当に全て削除したのか?」と矢継早に尋ねると、セバスチアンは「これは僕の秘密にする。大事なものだから隠すんだ」と言います。二人は親しげに挨拶をし合います。

舞台の上にいたホルヘを取り囲む30人のガブリエルたち。一人、また一人と服を脱ぎ、倒れていきます。舞台の背景に映る、ガブリエルとセバスチアンの寄り添う写真。ホルヘは脱ぎ捨てられた服を大事そうに拾うと、カバンに入れ「お前が恋しい。天国が実在するのか私は知らん。お前への愛を伝えたかった。その時間を作らなかったのは私だ」と言います。その後ろで、ガブリエル役の男たちがそれぞれを引き起こして回ります。全員が立ち、ホルヘを見つめます。「お前を理解するのに時間がかかりすぎて後悔してる。こう言いたかった。お前を無条件で愛してる。お前こそが最愛の存在だ。許してくれ。私は失敗した。友人や仲間になれなかった」と言うホルヘを、ガブリエル役の男たちが抱きしめます。「また抱きしめて、お前を愛していると伝えたい。寂しいと。お前が恋しい。私の過ちは傷となり、唯一の息子を失い痛みを負ってる。孫たちは最高の叔父を失った。お前が8歳の頃のようにおやすみのキスをしたい。言いたいことが山程あり、全てが一度に出てくる。でももうよそう。お前もきっと同じだろう」と言うホルヘの腕に、裸のガブリエル役の男が抱きとめられます。「良い夢を見ろ、私の息子よ」と涙するホルヘ。幕は閉じます。
スタンディングオーベーションの大歓声が湧き怒ります。

アドナンに「彼の残した通話記録や電話が僕を苦しめたよ。ある時、彼に手紙を描いた。彼の父親には報復のつもりで怒りを込めた手紙を送った。それが作品になったんだ」と語るセバスチアン。「父親には会ってないの?」と問うアドナンに、セバスチアンは「それは重要じゃない。アートだけが真実を語る唯一の光だ」と返します。

「9歳の時、母に初めて劇場に連れて行かれて”ピノキオ”を見た。その時いつかあなたと仕事をすると決めた」と言うセバスチアンに、「感謝すべきは私だ。今日のことを一緒に振り返る日が来る」と返すホルヘ。

劇場を見回すセバスチアン。

私の父、そして私のもとを去った人たちへ アンドリュー ガンダルフ クリスチャン アンドレス フィリップ
「テュ・ム・モンク」は2015年4月にボリビアのサンタ・クルスにて上演。高い人気を得た本作は批評家の評価も高く、同年の最優秀演劇賞を受賞した。初演後、自殺未遂ややカミングアウトについて体験談を語る人が続出。多くの同性愛者を後押しすると同時に同性愛嫌悪が学校で語られるきっかけを作った。これは通称”テュ・ム・モンク効果”。
LGBTQの若者の自殺率はストレートの4倍以上。親に拒絶された人はそのリスクがさらに8倍増す(アメリカ自殺学会調べ)。

 

まとめ

たこわさ
たこわさ

ガブリエルがセバスチアンと愛し合っていた頃の描写がとてつもなく幸せそうで、それだけに、「両親から認められない」というだけ(本人にとっては両親が絶対なのでかなり重大なことですが)で死を選ばざるを得なかったことが辛くて苦しかったです。
セバスチアンの「親にゲイだと見つかったのならこれを機会にカミングアウトしよう」と思う気持ちはよくわかりますが、それと同時に、「私ががんになったのは息子がゲイになるのを選択したから。天罰だ」とか母親に言われたら…と思うと、「ゲイは選択したわけじゃないのに」「昔の自分と今の自分では中身は何も変わっていないのに」「もうみんな僕のことを放っておいてよ!」と怒り狂いたくなります。
ガブリエルに幸せになってほしかった。死んでから理解されるのではなく、死ぬ前に彼を理解してほしかったと、今更のことながら思ってしまいます。

小錦あや
小錦あや

セバスチアンの手掛けた舞台と本人の実体験?が交差して描かれるので、どれが真実でどれが創作なのかが分かりづらかったです。ちゃんと理解できてない部分が多いかも。でも、最後にセバスチアンがアドナンに語るように、「それは重要じゃない。アートだけが真実を語る唯一の光だ」、なんでしょうね。
とはいえ、ホルヘはセバスチアンが死を選ばなければ、息子を理解するためにここまで動かなかっただろうなとも思ってしまいました。息子のいてくれるありがたさや自分にとっての彼の価値を、失って初めて知ったんだろうなと。それだけに、なんともいえない苦々しさがあとに残りました。

逆襲のゆりこ
逆襲のゆりこ

オープンリーゲイであるセバスチアンの友人がみんな晴れやかに人生を生きている感じがして、すごく心地よかったです。「ゲイには7段階ある」は面白かったなあ。ゲイに限らず、人間の性って「異性愛」「同性愛」って簡単に分けられなくて、もっとグラデーションみたいにいろんな人がいるはずだよねと嬉しくなりました。
それと同時に、最初のホルヘのように「ゲイは”選択”するものだ」「男らしくさせるために軍に入れる」「ゲイは私の家族に近寄るな、殺すぞ」と当然のように言う人達もまだまだ多くいるわけで…。他人ならば「そんな人たちとは話しても仕方がない」と諦められますが、いざそれが自分の両親となると、絶対にカミングアウトできないですよね。話せば拒絶されるのが分かっているし、最悪、「面汚し」と殺されるかもしれない。それなら仮初の自分で愛されていた方がましだと思うはずです。ガブリエルの気持ちに共感できるからこそ、死という選択をした彼があまりにもかわいそうで辛かったです。ガブリエルがどうか天国は愛されたい人に愛され、愛し、幸せにすごしていてほしいです。

今回3人が見た「テュ・ム・モンク あなたが恋しい」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。

ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨

引用:Amazon.co.jp: テュ・ム・モンク あなたが恋しい(字幕版)を観る | Prime Video

 

\ 学割あり!国内最安の見放題サービス /

注意事項:視聴可能タイトルは予告なく変更もしくは終了する場合があります。本サイトでは紹介している作品の内容についての責任は持てません。