葵居ゆゆ「キャラメル味の恋と幸せ」のネタバレ感想|愛せない王子と罪人の獣人

小説

葵居ゆゆ先生「キャラメル味の恋と幸せ」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


恋多き謎の貴族×タフィー屋さんを開くのが夢の流浪のリス獣人 のお話。

<あらすじ>
手作りのキャラメルタフィーを売って生活を営むリスの獣人・マウロ。
贅沢はできないが、とある罪で背中に焼印を押され、故郷を追われた身としては十分だった。
あるとき“貴族のジャック”に気に入られ屋敷に呼ばれるようになる。

 

こんな人におすすめ

  • 絵本のような、ちょっと切なくて温かい優しいお話が読みたい📚
  • 攻めはただのスパダリじゃ物足りない🙅‍♀️
  • 気弱でも芯の強い受けが好き💪

 

ネタバレ感想

童話のような優しい物語が心に沁みる

リス獣人のマウロ(受け)が、ジャック(攻め)の住む街に流れ着いて細々とタフィー屋さんを始めたことから物語は始まります。

マウロがなぜ故郷から遠く離れたジャックの街へ流浪してきたのか、ジャックは誰にでも愛想がいいのにどこか冷たげなのはなぜなのか…物語が進むほど、謎は明らかになります。

そして、人の良いマウロを使ってマウロとジャックを陥れようとする悪人たち。

けれど二人は互いを愛して信頼しあっているから、その愛の力でどんな陰謀をも跳ね返してしまうんです!

最後はギルド(ジャックは偽名。本当は王子様だった!)とマウロが愛を確かめ合い、ハッピーエンド。

こう書くとありきたりなシンデレラストーリーに見えるけれど、街や人々の雰囲気、ジルドとマウロの会話なども含めて、物語全体がまるで童話のような優しさに満ちています。大人のためのBL童話、といった感じでしょうか。

あまり痛々しいものや悲しいものは読めない、胸がほっこりあったかくなるような作品が読みたいという方に、本作はおすすめです。

 

くるみのタフィー、かぼちゃのパイ…素朴な飯テロにうっとり

マウロは料理上手なのですが、特にお菓子を作るのが上手です。

特に上手なのがくるみのタフィー!

マウロは獣人を理由になかなかいい職につかせてもらえず貧乏で、食材が買えずお菓子作りも滅多にできないのですが…ジルドがキッチンや材料を与えると、それはもう嬉しそうにいろんなお菓子を作ってくれるんです。

くるみのタフィー、かぼちゃのパイ、キャラメルのクッキー、キャラメルナッツのドライケーキ…どれも素朴で美味しそうです。

ジルドや、マウロの友人のカシスたちがタフィーを美味しそうに頬張る姿を見ていると、口の中によだれが湧いてきます。

 

攻めと受けの互いへの愛に溢れた会話に号泣必至

男性、カップル、手を繋ぐ

ジルドは生まれてからずっと、家族も含めて人間を愛したことがありません。でも王子としての責務を果たそうと「親切な王子」の真似事をして生きてきました。自分でもそれは「偽物の自分」だと分かっていたからこそ、彼の人生はずっと空虚だったのです。

一方、マウロは故郷でとある罪を着せられ、罪人として処罰され、流浪の生活を続けていました。獣人というだけで見下される世界で、身を縮こまらせて生きています。

最初はお金も名誉も持っているジルドが健気なマウロを支援してあげる関係でしたが、ジルドはマウロと一緒に過ごすほど彼の芯の強さや健気さに愛を深めていきます。マウロもジルドが全てを手にしているように見えて実は孤独な人なのだと分かり、支えたい、愛おしいと思うようになります。

作中では愛し合う二人の前に立ちはだかる試練のように、マウロが濡れ衣を着せられてジルドと引き離されそうになります。けれどそんな時もジルドとマウロは互いを想いあって、信頼と愛をあらわに言葉を紡ぎます。

実際に二人がどんな会話をしているのかは本文を読んでみてほしいのですが、二人のやり取りは全編、互いへの愛に満ちていて、本当に…どこを読んでも幸せで胸がいっぱいになります😭❤️

 

まとめ

街の喧騒が聴こえ、くるみのタフィーの香りが物語全体から薫るような、臨場感溢れる物語でした。

異国情緒溢れる飯テロ、体格差のある攻め受け、カッコいいけど精神的に歪な攻め、気弱に見えて芯が強い受け…自分の大好きな葵居先生ワールドが全部詰まっていて、「最高」の一言です。

読み終えたくない!ずっとこの世界にいたい!と、読後、幸せと寂しさで泣いてしまいました。

他人を愛せない王子と、何事も抱え込み卑屈になりがちな獣人が出会い、愛し愛される喜びを知る、優しさに満ちた名作です🐿

キャラメル味の恋と幸せ
作者:葵居ゆゆ
手作りのキャラメルタフィーを売って生活を営むリスの獣人・マウロ。贅沢はできないが、とある罪で背中に焼印を押され、故郷を追われた身としては十分だった。あるとき“貴族のジャック”に気に入られ屋敷に呼ばれるようになる。

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