ジョシュ・ラニヨン「フェア・ゲーム」シリーズのネタバレ感想|元FBI特別捜査官はシリアルキラーに目をつけられ…。

小説

ジョシュ・ラニヨン「フェア・ゲーム」シリーズを読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


FBI特別捜査官×大学教員 のお話。

<あらすじ>
元FBI特別捜査官で現在は大学で歴史を教えるエリオットの元に、失踪した学生の捜索依頼が持ち込まれた。
捜査協力にあたる担当捜査官を前にしたエリオットは動揺を隠せなかった。
そこには一番会いたくない、けれど決して忘れられない男、タッカーの姿があってー。

 

こんな人におすすめ

  • 男同士のプライドが火花を散らす、ケンカップルに萌える👊🔥
  • 海外サスペンスドラマ・映画が好き🎥
  • シリアルキラーなど得体の知れないものへの怖いもの見たさがある👻

 

ネタバレ感想

フェア・ゲーム

元FBI・現大学教員のエリオットと、元相棒のタッカーが、学生の失踪事件を調査するお話です。

エリオットの父親・ローランドが友人夫婦の息子の失踪についての相談を持ち込むところから話は始まります。捜査中に二人目の行方不明者が出てしまい、エリオットは自分なりに見解を申し立てるのですが、タッカーは億劫な様子を隠しもしません。噛み合わない二人ですが、その背景には、別れた相手への断ち切れない未練が多分に混じっているのが見て取れます。

実は今回の失踪事件は全米を揺るがすほどの大事件につながっていくのですが、とにかく誰も彼もが怪しく見えます。エリオットの父親・ローランドは不倫を疑われたからと息子に「地獄へ落ちろ」と罵倒したり、FBIになるなら勘当すると脅したくせに、いざエリオットがFBIになるとそのコネを使おうとするしで、毒親の典型といった風。
さらにローランドの親友であるベッカー夫妻も、子どもが家を出ると緊急性もないのに客間に改装したりと情のない謎の行動が多いです。テリーが不憫でした。

最後はエリオットのピンチにタッカーが駆けつけてくれ、大団円。エリオットはいわば洋画でよくいる「余計な首を突っ込んでトラブルに巻き込まれるヒロイン」役なのですが、それが苦手な方は辛いかも。「余計なことをするな!」と腹が立ってしまうかもしれません。ただ、エリオット自身も元FBIということで精神的にも肉体的にもタフな男なので、どんな困難もエリオットなら切り抜けてくれる!!という期待感もあり、個人的にはかなり楽しみました。

フェア・ゲーム
作者:ジョシュ・ラニヨン
元FBI特別捜査官で現在は大学で歴史を教えるエリオットの元に、失踪した学生の捜索依頼が持ち込まれた。
捜査協力にあたる担当捜査官を前にしたエリオットは動揺を隠せなかった。そこには一番会いたくない、けれど決して忘れられない男、タッカーの姿があってー。

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フェア・プレイ

前作から半年後のお話です。エリオットの実家が放火され、さらにはエリオットとタッカーがクロスボウで襲撃を受けます。原因は、父・ローランドが1960年代に反戦運動をしていた頃の回顧録の出版を取り止めるよう脅迫されていることのようです。1巻では最悪の印象だったローランドですが、彼にもいろいろ事情がある模様。しかし彼は明らかにエリオットに何かを隠しており、そのうち唐突に雲隠れしてしまいます。エリオットがローランドのかつての活動家仲間を一人ずつ当たっていくうちに、利害関係が見えてきます。

事件を追いながら、エリオットとタッカーは何度も衝突を繰り返します。エリオットはいわゆる「こじらせ男」で、必要以上の支援を求めません。しかし、タッカーはエリオットのためなら自己犠牲も厭わないほどで、二人の相性はお世辞にもいいとは言い難いです。しかし衝突の中でも互いに歩み寄ろうとする姿勢が見え、エリオットが「二人とも、別れる気などまるでない」と言い切るなど、互いにベタ惚れなのが丸わかりでニヤニヤしてしまいました😂

放火事件やクロスボウでの脅迫事件の結末は、やや意外なものでしたね。革命思想うんぬんではなく、友情とは名ばかりの、近しい関係だからこその恨みつらみが原因でした。

エリオットとタッカーの日本版挿絵が本文とやや乖離があるようで、そこに引っかかった読者の方もおられたようです。(エリオットはメガネなし、タッカーは毛むくじゃら、など)

フェア・プレイ
作者:著:ジョシュ・ラニヨン , 訳:冬斗亜紀 , イラスト:草間さかえ
FBIの元同僚で恋人のタッカーと過ごしていたエリオットは、深夜実家焼失の知らせで叩き起こされた。火事は放火だった。父・ローランドには回顧録の出版をやめろという脅迫が来ていたという。

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フェア・チャンス

かつての同僚で収監中の連続殺人犯・コーリアンから共犯者の存在をほのめかされたエリオットが、「殺人者だけが招待されているというパーティ」に参加し、調査を進めるお話です。

足の悪いエリオットを過保護なまでに心配し、溺愛するヒーロー・タッカー。ですがなんと今回はそのタッカーが休暇中に行方不明になってしまいます。

内容的にはかなり盛りだくさんで、本作は前後二冊に分けても良かったのでは?と思うほどでした。養子として育てられたタッカーが実の母とどう向き合うのか悩んだり、エリオットがFBIに復帰したり、エリオットとタッカーが結婚したり、コーリアン事件がこれで本当に終わりなのか謎だったり…本国では本作が最終巻なので続編はないとは分かっているのですが、もっとエリオットとタッカーの物語を読みたいと願ってしまいます。

フェア・チャンス
作者:著:ジョシュ・ラニヨン , 訳:冬斗亜紀 , イラスト:草間さかえ
元同僚で収監中のシリアルキラー、コーリアンが共犯の存在をほのめかした。捜査に乗り出したエリオットだったがその矢先、タッカーと連絡が完全に途絶える。彼に一体何が――?人気シリーズ完結篇。

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まとめ

男性同士の恋愛だけでなく、サスペンス要素もたっぷり。時代背景もしっかりした骨太サスペンスBLです。真摯に真実を追うエリオットの姿は非常に読み応えがありました。

ある大学生の失踪をきっかけに巻き起こるミステリーを軸にした、不器用なアラフォー男性達のラブロマンス🌹

事件の残虐さにぞっとしたり、主人公達の複雑な恋心に萌えたり…読み応え抜群の重厚な名シリーズです📖