樋口美沙緒,夏乃あゆみ「ヴァンパイアは食わず嫌い」シリーズのあらすじ・感想・レビュー・試し読み|年の差400歳の妖しの恋

小説

樋口美沙緒,夏乃あゆみ「ヴァンパイアは食わず嫌い」シリーズを読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ

生きる気力のない吸血鬼×大家族の苦労性長男 のお話。

<あらすじ>
「家政婦募集。日給2万円。ただし、恋人のいない方限定」
高額の報酬に釣られ、怪しい住み込みバイトに応募した高校生の湊。
その面接で出会ったのは、高飛車で尊大な美貌の主人・アンリ。

 

こんな人におすすめ

  • 人外ものが好き🧛
  • 異種族間恋愛に惹かれる👨‍❤️‍💋‍👨
  • 愛や人生について今一度考えたい

 

ネタバレ感想

ヴァンパイアは食わず嫌い(上)

日給二万円に釣られて面接に来た貧乏大家族の長男である高校生の湊(受け)は、雇用主が生きる気力のない吸血鬼・アンリ(攻め)だと知ってしまう。血を飲まなければ死ぬのに、頑なに飲もうとしないアンリに湊は…というお話です。

虚勢を張って血を飲もうとしないアンリに、湊が思わず張り手をしてしまうシーン、めちゃくちゃ泣きました。「ヒナ(アンリのおつきコウモリ)が心配してるのに、俺だって死んでほしくないと思ってるから言ってるのに…!」と号泣する湊。その脳裏には、アンリに死んでほしくないと泣くヒナや、亡き父の葬式に参列した小さな弟たちが映っていて…。「俺のために泣いてるのか?俺に生きてて欲しいのか?」と尋ねるアンリは幼子のよう。自分に死んでほしくないとこんなに感情をあらわにする存在に会ったことがなかったんだろうな。ヒナは逆に近い存在すぎて「生きてほしい」と言われても響かなかったんだろうな。

「湊のことは便利な食料だとしか思ってない」というエルへのアンリの言葉に傷つく湊。自分に直接言われていないぶん、余計につらさが増します。

ラストは湊がエルに連れ去られてしまいますが…一体どこへ?

番外編 おつきコウモリの心配

ヒナが、湊の作ってくれるオムライスと湊に撫でてもらえるのが好きっていうのかわいすぎて泣きました。アンリが大好きだから、同じくらい大好きな湊にも優しくして欲しいヒナ。かわいいね…かわいすぎて心臓が痛いです😭

ヴァンパイアは食わず嫌い(上)
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
「家政婦募集。日給2万円。ただし、恋人のいない方限定」高額の報酬に釣られ、怪しい住み込みバイトに応募した高校生の湊(みなと)。その面接で出会ったのは、高飛車で尊大な美貌の主人・アンリ。

購入する【PR】

ヴァンパイアは食わず嫌い(下)

エルにツェペシュ家へと連れ去られた湊は、自分が吸血鬼にとって「福音の薔薇」という特別な存在であると知る。アンリを目の敵にする吸血鬼・ギョームに襲われそうになるも、アンリが間一髪のところで助けてくれ…というお話です。

生きる気力のないアンリは吸血鬼の中でも特異な存在だろうとは思っていましたが、よもや「薔薇も血も欲しがらないお高くとまった一族の面汚し」とまで罵倒されているとは…。

この巻で湊が「福音の薔薇」といって、普通は一人の吸血鬼にしか適合しないけど全ての吸血鬼にしか適合できる貴重な薔薇だということと、契約(吸血鬼の体液を体の中に入れる)すると相手の吸血鬼と同じ寿命を生きられるということが分かりました。

アンリは連れ去られた湊を助けに来てくれますが、「1ヶ月おまえとは我慢すればいいだけだったのに、なぜ仮契約されてるんだ!俺が上書きするしか…」と湊を責めます。「おまえは俺の薔薇だから契約する」と言うアンリを拒絶する湊。湊の気持ちを無視するアンリが怖いと思ったけれど、後になって吸血鬼の世界のことを知ると、アンリの焦りは当然のことだし、食糧である人間に配慮してやる吸血鬼の方が変なのだと分かります。

湊にツェペシュ家の守りを大叔父から与えてもらうと、人の世界に返してしまうアンリ。そしてそのまま二度と会わないと湊を追い出してしまいます。ヒナが書いたであろう、給料袋の「アルバイト代」の文字がよれよれでつらいです。かわいくて悲しい。

アンリが湊を見にきては「あいつはああしてるのが幸せだから」と言うのに泣いてしまいます。アンリは湊のために身を引いたんですね。アンリは「何百年も一人の人間のことなんて覚えていられない」と言うけど、「初めて好きになった人のことは誰だって忘れられない」と心の中で返すヒナが切ないです。

お世話焼きなエルの本領発揮です。アンリが湊を傷つけたくないから突き放したのだと、吸血鬼側の事情も交えつつ教えてくれます。エルだって吸血鬼だから、薔薇になるのはメリットばかりと思ってたはずなのに、アンリと湊に寄り添ってくれるんだ…。

「いつも最後は俺を許して心配する。そんな奴の人生を狂わせられるか?無理やり俺のものにしても、やっぱりいつか許してくれる。でもそれで傷ついた湊の気持ちはどうなるんだ?」と問うアンリに涙。エルは「自分が悪者になりたくないんでしょ」と発破をかけていたけれど、傷つけるのが怖いほどアンリは湊が大事なんですよね。

怖いより、後悔するより、好きな気持ちの方が大きいから、アンリに血を吸われたい。一緒にいたい。湊がそう思うようになって嬉しいです。叔父上に守りも解いてもらって…いい感じ☺️

番外編 ヴァンパイアは食べ足りない

えっちを我慢させられるアンリのお話です。

「俺に何もかも我慢させる気か!目の前をうろつかれていればやりたいと思うのが普通だろ」と言うアンリに、「アンリは俺の気持ちを全然考えてくれない。こんなの恋人同士じゃない」と泣いて帰る湊。

小姑・航(湊の弟)vs 兄の恋人・アンリの戦いになってたのに笑います。

ヒナの浴衣姿かわいいですねえ。眼福。「金魚って美味しいの!?」って言ってたのには笑ってしまいました。アンリの浴衣姿もかっこよかったです!湊の鼻緒が切れたのを誰より心配して、自分の足に湊の足を載せさせてたのは紳士で素敵でした。

アンリは仮契約しか結べてないから湊が誰かにとられるのでは、湊が心変わりするのではと怖かったんですね。それに、航のように湊に「かわいい」とか素直に褒められなかったのも不安で…。

湊から「6日後にしていいよ」のお許しが出ましたが、アンリは待てず😂

番外編 ヴァンパイアは食べ盛り(SS)

ラブホでのアンリと湊のえっちがじっくり描かれています。

口の中に出したいアンリに引く湊ですが、実はアンリは仮契約をもっと濃くしたかったからやりたかっただけでした(そういうプレイが好きなのではなく)。

「本当は自分に抱かれたくないのかも」「今までどんな相手にもしたことがないくらい大事にしたのに」とエルに相談するアンリにキュン🥺♥️

ヴァンパイアは食わず嫌い(下)
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
アンリの従弟・エルに気に入られ、強引に拉致されてしまった湊(みなと)。しかも目覚めた場所は、吸血鬼の一族が集う、別世界だった──!! 折しもその晩は、当主である大叔父の誕生パーティの宴。

購入する【PR】

ヴァンパイアは我慢できない(1)

吸血鬼界の御三家であるラクロワ家とクロム家が、「福音の薔薇」の噂を聞きつけてにわかに動き出す。突然赴任してきた黒羽先生、生徒会実行委員長の湯澤、生徒会副会長の篠坂…と怪しげな人物は増えていき、挙句の果てには、アンリが英語教師として赴任!?というおは話です。

黒羽先生と吸血鬼のクロード(ラクロワ家の次期当主)は同一人物のようですね。目のつり上がったおつきコウモリの名前は、ベルというようです。クロードにはアンリがまだ湊に手を出していないことがバレていますね。

しかし、謎が次々に出てきます。アンリの「おまえが薔薇じゃなければよかった」発言、800年前の「福音の薔薇争奪戦」、「湊が死ぬ」という不穏な予言、もしアンリが動かないのならばクロードが「湊を奪わなければいけない」など…一体吸血鬼の世界で何が起こっているんでしょうか。

ヒナが「僕らにとって湊さんはたった一人だけど、湊さんには大切な人がたくさんいる」って寂しそうに言うのがつらいです。吸血鬼たちは長く生きるぶん、人間を愛したところで、いつも見送る立場なんですよね。おつきコウモリも吸血鬼ほどではないけれど長命だから…。

契約したらすぐ家族に会えなくなるのではと不安がる湊に、アンリを一番に信じてあげてと言うエル。「友達、家族、友人、比べて選べ!それが俺と生きるということだ!俺はいつまで優先順位を譲ればいいんだ!」と怒るアンリの気持ちは分かるし、アンリと長い時間を一緒に過ごすのだから今は家族や友達を優先したい湊の気持ちも分かるし…と心が引き裂かれます。

「俺じゃダメ?」と湊を誘う湯澤さん、アンリ曰く「血を飲んでた」けれど、どうなのでしょう。いい人に見えるけれど、たしかにどこか怪しい…。

番外編 おつきコウモリの忠告

憎まれ口ばかり叩くアンリが、眠る湊には優しい言葉をかけてあげるお話です。

「俺がおまえを可愛くないはずないだろう」「かわいいよ 湊」と眠る湊の耳元でささやく素直じゃないアンリ。かわいいです。さらに、「かわいい」と言われて寝ながら微笑む湊もまたかわいい。愛おしいカップルだ…。

ヴァンパイアは我慢できない(1)
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
吸血鬼なら誰もが欲しがる、極上の甘い血──。そんな希少な血を持つ高校生の湊(みなと)を、一族の吸血鬼たちが狙っているらしい!? 不穏な噂を聞きつけた恋人のアンリは、嫉妬と心配でイラつき気味。

購入する【PR】

ヴァンパイアは我慢できない(2)

家族や友達を優先させることに異議を唱えなくなったアンリに不安が募る湊。アンリは「愛してる」「忘れないでくれ」と湊に意味深な言葉を残して…?というお話です。

「おまえに(家族や友達かアンリかを)選べるはずがない」と珍しく折れたアンリが不穏です。アンリはどうやら800年前の福音の薔薇争奪戦の内容を大叔父に聞きに行ったようですが…それが明かされた時、どうなるのでしょう。

「誰にでも優しくて誰かを傷つけるくらいなら自分が傷つきたい。そういうところがかわいそうで可愛いって思う」という湯澤さんの言葉があまりに正確で、よく湊を見てるな…と感動してしまいました。アンリも湊もこういうメンタリティですよね。

クロードがアンリに「あの薔薇から何もかも奪う覚悟をしたんだろ?」と問いかけるのが意味深で…何もかも奪うってどういうことなんだ?

湯澤さんがまさかのユージン・クロム…クロム家の当主だったとは!アンリの愛が深いゆえに(湊と本契約せず野放しにしていたから)、こんなことに…。しかし、なぜアンリが殺されそうになっているのかが謎です。アンリと湊はまだ仮契約しかしていないのに。

番外編 ヴァンパイアの午睡

アンリが湊と出会って変わってきているというお話です。

好きな人のために選択を重ねた結果、変わっていると思えるのは素敵なことですね。

ヴァンパイアは我慢できない(2)
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
湊(みなと)と喧嘩したアンリが、実家に里帰りした!? 落ち込む湊の傍にいてくれたのは、先輩の湯澤(ゆざわ)。告白の返事も急かさず見守る湯澤に、湊は少しずつ慰められていく。

購入する【PR】

ヴァンパイアは我慢できない(3)

ユージンは800年前に福音の薔薇に自分との契約を打ち切られ、ツェペシュ家の大叔父に奪われた復讐として、湊に「アンリを殺さなければ航を殺す」と脅します。アンリを選ぼうとする湊に、アンリは彼の目の前で自分の心臓を刺し、仮契約を取り消し…というお話です。

800年前の福音の薔薇争奪戦では、ユージンが福音の薔薇と契約しました。にも関わらず福音の薔薇はツェペシュ家の大叔父に恋してしまい、ユージンの心臓を銀の十字架で射抜くと、本契約を一方的に解除し、大叔父のもとに行ってしまいました。(福音の薔薇はほかの薔薇とは違い、自分から契約を解除できます)それに激昂したユージンは福音の薔薇を殺し、長い間、自分も死のうとしていたのでした。
アンリに福音の薔薇ができたと聞いて、ユージンは800年前の復讐を誓います。湊に「アンリを殺さなければ航を殺す」と脅しますが、湊はアンリを選ぼうとします。しかしアンリはそれを許さず、自ら十字架を胸に突き立てて契約を解くと、湊と航を助けてくれと懇願します。

しかしそこに篠坂に手引されたクロードが現れ、「三家均衡のためにラクロワがクロムを殺す」と言います。ユージンの心臓に銀の十字架を突きたて、殺そうとする篠坂(主人である吸血鬼を殺せばその薔薇も一緒に死にます)。反撃するユージンに、篠坂は「君を苦しめてごめんなさい」とかつての福音の薔薇と同じことを言います。動揺するユージン。

アンリは湊の記憶を奪おうとしていました、そうすれば、湊が家族を盾に取られることもなくなるし、未練もなくなるからです。でも湊を傷つけるからアンリは言い出すことができず、罪はすべて自分が被るつもりでした。アンリは「湊を愛してから弱くなった、くだらないことで悩んで弱音を吐いて…」と苦しみますが、湊は「弱さは心があるからだろ?種族が違っても同じ心があるってもう一度信じさせてよ」とアンリを抱きしめます。

電子限定番外編 吸血鬼のプレゼント

湊の誕生日、航にそそのかされて何を贈るか悩むアンリのお話です。

欲のない湊は、アンリに「好きだ」と抱きしめてもらえるだけで満足だと言います。「欲のない薔薇だ」と言いつつ願いを叶えてあげ、さらには大量の薔薇を持って現れるアンリ。「加減しろよ」と航は怒りますが、湊はどことなく嬉しそうです。

ヴァンパイアは我慢できない(3)
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
優しい先輩・湯澤(ゆざわ)の正体は、人間を憎む吸血鬼だった──!! 「三日間恋人ごっこにつき合ったら、アンリと会わせてあげる」笑顔で約束する湯澤に、湊(みなと)は拒絶も抵抗もできない。

購入する【PR】

ヴァンパイアは我慢できない(4)

アンリと本契約したいと願う湊に、「俺達家族よりもあいつを取るのか」と激怒する航。航に認めてもらいたいと必死な湊を案じ、エルは篠坂に後悔しているかを聞きに行けばいいと航にアドバイスをするが…というお話です。

「一番大事なことを見失いたくない 二度とアンリから離れたくない」とアンリに本契約をねだる湊は、読者もアンリもずっと望んでいた展開に違いないのですが…。航に「家族よりあいつを取るのか」と言われ、「愛がこんなに強欲で身勝手なんて。幸福で仕方なくて、なのに苦しくて涙が止まらない」「アンリを選んだら、今までずっと大事に手に包んでいたものが指の隙間からこぼれ落ちていくみたい。こぼれたものも変わらず大事に違いないのに、もう一度掬い上げることはできない。だってもう俺はアンリを選んだから」と苦しむ湊。

「俺がいなくなった後、あいつが兄さんを捨てたら誰が兄さんを守るんだよ!」と言う航。航の反対する理由が湊への愛に溢れていて泣いてしまいました。優しい弟だ…。
エルが篠坂と航を会わせてくれるのですが、篠坂が「湊さんはあなたたちを愛しているから同じ愛でアンリ様を愛したのでは」「私はユージンと出会った頃のようにそばにいたい。彼の命が尽きるまで一緒に生きていたい。湊さんは私のようにはならない。あの方はもうアンリ様の淋しさを知っているから。吸血鬼にも淋しいという感情があるんです」と淡々と言うのが胸に響きました。篠坂なりにユージンを愛する気持ちが伝わってきたし、「家族を愛する同じ愛でアンリを愛した」というのが、愛されている航にこそ響く言葉だろうなと思います。

最後は航が「俺はあいつくらい飲み込める。兄さんの最初の弟だから」と言い、アンリが「誇り高きアンリ・ツェペシュの名とその血においておまえを生涯幸福にすると誓う」と湊に誓い…感動の和解でした。

そしてアンリが正式に英語の先生になりました㊗️
「おまえを愛しているから他のものも愛せる」と胸を張るアンリが眩しいです。もう生きたくないと血を拒んでいた頃が懐かしく感じられるほどです。

番外編 おつきコウモリのお勉強会

クロードのおつきコウモリ・ベルが忙しそうにおつかいをしているのが羨ましいヒナのお話です。

自分はベルに比べて何もしていないと手持ち無沙汰なヒナに、机と絵日記をプレゼントするアンリ。感動するヒナがかわいい。もうヒナはすっかりアンリと湊の子どもみたいですね。

電子限定描き下ろし おつきコウモリの絵日記

アンリにもらった絵日記を早速描いてみるヒナのお話です。

ヒナが早速絵日記を書き終わったのがかわいいです。いっぱい描いたね。
エルがどことなく航の血を飲みたそうなのが気になります。

ヴァンパイアは我慢できない(4)
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
もう二度と離れないために──人間でいられる最後の一夜がはじまる!! 「福音の薔薇」を巡る騒動が去った夜──。アンリに「仮契約じゃいやだ。今すぐ抱いてほしい」と訴えた湊(みなと)。

購入する【PR】

ヴァンパイアは我慢できない extra story

extra night1 波打ち際のヴァンパイア

海水浴に来たアンリと湊とヒナのお話です。

女性客には優しいアンリに嫉妬する湊、「吸いすぎないように我慢してるのに他の男は触り放題で腹立つ」と怒るアンリ。スイカ割り大会でヒナが圧勝してるのがかわいかったです。

extra night2 グルメのたしなみ

アンリの城でのバーベキューパーティーで、生肉が好きだと打ち明けるヒナのお話です。

ヒナはコウモリだから生肉が好物なんですが、正体を知らない航に「焼かないと」とやんわり注意されてしまいます。「生肉は最高だ」とヒナを庇うアンリ。ヒナに優しいアンリに感動する湊でしたが、アンリは実は血が飲みたかっただけだったのでした😂

extra night3 ヴァンパイアの意外な弱点

アンリの弱点を探る湊のお話です。

「値引き」という言葉に弱い湊をからかうアンリ。湊はならばとアンリの弱点を探ろうと度数の強いお酒や酸っぱい梅干しなど食べさせるも、無反応。しかしそんな中、ヒナに「アンリ様は湊さんが弱点」と言われて嬉しくなってしまいます。浮かれ気分でレモネードを出したところアンリは酔っ払い、「おまえが可愛いから閉じ込めておきたいのを我慢してる」と口説かれてしまいます。真っ赤になりながら、「もう飲ませない」と誓う湊でした。

extra night4 おつきコウモリの授業参観

英語の授業を行うアンリに嫌がらせをする航のお話です。

航が英作文の授業中に「変態吸血鬼」と文章で罵倒するも、逆にアンリから甘く囁かれるという嫌がらせを倍返しされてしまいます😂 そんなアンリと航をそっと見守るヒナ。あんなにアンリが楽しそうなのは湊のおかげと言うヒナ。

でも私は、ヒナがいなかったらアンリのもとに湊は帰ってきてくれなかったと思っています。だから、湊のおかげは結局ヒナのおかげ。ヒナもずっとアンリと湊と湊の家族と仲良しでいてほしいです。

extra night5 吸血のたしなみ

むらむらせずに吸血できるベストな場所はどこか?を脳内でシュミレーションするアンリのお話です。

首筋は血を飲むのにちょうどいいけれど、そのまま脱がせたくなってしまう。内ももも飲みやすいけれど脱がせるのが面倒だし、そのまま押し倒してしまう。どこがいいか…と考えていると、目の前で湊が手を切ってしまい、慌てて舐めて止血するアンリ。うっかり牙が出ているのを見られてしまい、照れ隠しに怒ってしまいます。

extra night6 おつきコウモリが人間になった日

コウモリから人形(ひとがた)になるために、人知れず練習していたヒナのお話です。

「人形になったらあんなことやこんなことをアンリ様にしてあげたい」と人形になろうと頑張るヒナがかわいくて泣けてきます。それもこれも、全部「アンリ様のため」。なんて健気な子なんでしょう。ようやく人形になれたのに、体はちびっこでエルにはからかわれてしまいますが、アンリは「小さくたって人形だ。もうおつきコウモリ一人前だ」と背中を押してくれて。アンリの優しさにも泣きそうです。「おつきコウモリは精神年齢が外見に表れてる」そうですが、ヒナの無邪気さがかわいいので、ずーっとちびっこのままでいてほしいと願ってしまいます。

extra night7 美食の条件

ヴァンパイアが好む血を持った人間の条件とは…というお話です。

「健康的な食事や運動、発育の良い体が美食の条件」と語るアンリ。湊はそれに当てはまるという話でしたが、そういえば航も同じと気づいてハッとします。 焦ってる湊に笑ってしまうのでした😂

extra night8 ヴァンパイアのおさななじみ

じゃれあうような喧嘩をするアンリとエルに少しだけ嫉妬してしまう湊のお話です。

「血がおいしそうだからと湊を襲うな」と怒るアンリに、「アンリが恋人にばかり構ってつまらない」と嘘泣きするエル。400年の付き合いの二人にちょっぴり嫉妬する湊。「湊さんもこれから長い付き合いになるんですから」とヒナが大人びたように笑うのが新鮮でした。

完結記念番外編 その1 湊が地雷を踏まれたら

アンリからもらったネックレスをつけているのを同級生に見つかり、からかわれる湊のお話です。

「ネックレスつけてるの珍しい!」とクラスメートにからかわれる湊。いつもは温厚な湊が何も言わずにネックレスを隠すので、「野原を怒らせたかも」と焦る同級生たち。実はペンダントヘッドにアンリの写真を入れているので、見られたら恥ずかしかっただけだった…というオチでした。

完結記念番外編 その2 エルが部活見学してみました

航の道着姿に触発され「何か部活に入ってみようかな」と考えるエルのお話です。

バスケではふっとばされるし、水泳はカナヅチだし、剣道部は道着の中の臭いがくさくて(普段薔薇の香りしか嗅がないから😂)ダメでした😂 意外に(?)ひ弱なエルでした。

完結記念番外編 その3 おつきコウモリの本気見せてみた

アンリと湊のいちゃつきを必死で守ろうとするヒナのお話です。

英語準備室でいちゃつくアンリと湊。ちょうどアンリが吸血しようとした時、部屋にアンリ目当ての女子生徒たちが入ろうとします。そこにいあわせたヒナは、慌てて扉のストッパーになります。女子生徒が扉を開けようとするのを、全身全霊で阻止!!しかし最後は扉を開けられてしまいものの、その時にはアンリも湊も服を正した後でした。ヒナ、ナイスフォロー!!

最後は、物語の数年後の幸せに暮らしている湊たちのイラストです。航の先生姿似合ってますね。まさかのアンリが副担任!

ヴァンパイアは我慢できない extra story
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
これまでフェアや全員サービス等の小冊子で描いてきた、様々なショートストーリーを1冊にまとめた、シリーズ読者必読の愛蔵版!!湊やアンリはもちろん、おつきコウモリのヒナやエル、航たちメインキャラは総出演キャラたちの弱点や、意外な関係性など、本編ではわからなかった素顔とエピソードが満載!!

購入する【PR】

ヴァンパイアは我慢できない dessert

おつきコウモリは今日も幸せ

「びりっかすのこねこ」の絵本を湊に読んでもらったヒナは、自分のことだ!と思い始め…というお話です。

ヒナはたくさん生まれたコウモリのびりっかすでした。元気なのとか大きいのもいたのに、アンリはなぜか小さなヒナを選びました。選んだ理由は教えてもらえませんでしたが、アンリはヒナがなんでも時間がかかることを周りに揶揄われても、ヒナを責めることはありませんでした。

「ヒナは小さくても勇気がある。ヒナがいなかったら俺はアンリに選んでもらえなかった」という湊。「一番ひよわで小さかったが、声だけは一番大きな声で鳴いていた。しがみつく力は大したものだった」と言うアンリ。

ヒナのおかげでアンリと湊は結ばれたんだよと、ヒナを抱きしめたいです。三人でこんなふうにずっと幸せにオムライス食べてほしいな…😭

名前のない薔薇

名前のない薔薇=篠坂 と、ユージンの出会いから現在までのお話です。

篠坂は、もとはルシャン(小鳥の囀り)という名前の孤児でした。「死ぬつもりでこうしているとただぼんやりと座るユージン」に生きていて欲しい、生きてもらうことが自分の生きる意味だと思ったルシャンは、ユージンを生かそうと毎日食事を持ってきます。「名前がフランス語だから、軍人に見つかったら殺されるかも」と言うルシャンに、「レルヒェ(雲雀)にすればいい」と言うユージン。その日から、ルシャンはレルヒェになりました。
しかしある日、傷から血を流すルシャンを見て、ユージンは豹変。ルシャンから無我夢中で吸血し、彼を薔薇にしてしまいます。「余計なことをしてくれた」と怒るユージンを前に、「自分の体で彼を生かせるのだ、自分にも生きる意味があるのだ」と感動するルシャン。
ユージンにとって意味がある名前は、かつての福音の薔薇ただ一人でした。だからルシャンは篠坂でもレルヒェでもなんでも良かったのです。

ユージンは湊を見つけた時、もう1000才を超えて死にかけでした。最後の力を振り絞って「福音の薔薇」に復讐をなしたのでした。吸血鬼は外見の年齢を自由に変えられますが、ユージンは最初の「福音の薔薇」と出会った時の見た目で自分の外見年齢を止めています。どれほどユージンが「福音の薔薇」を愛していたかが分かります。

騒動の10ヶ月後にユージンは目を覚まし、ルシャンと向き合います。
ルシャンがユージンを殺そうとしたのは、淋しい死を迎えてほしくなかったからです。「ユージンは欲が少ないから、欲しいものが見つけるとバランスを崩してしまう。優しいから私の願いを叶えて二度もバランスを崩してしまった。だから罪の一端は自分にもある」と語るルシャン。
「あなたを愛しています。私がいてもあなたは幸せになれない。だからそばにおいてくれとはいえない。でもそれなら他の男をあてがうのではなく、どこかへ放り出してください」と、ユージンがいなくなるのなら自分の幸福もないと言うルシャン。
ルシャンは湊と出会うまで二人で世界をまわりながら福音の薔薇を探す旅の最中、城の庭に自分の蕾が咲いていたことが嬉しかったこと、帰った時には蕾は切り取られていたこと、ユージンの子が産まれるかもと嬉しかったのに裏切られて悲しかったことを語ります。

二人が恋人という形になるかは分かりませんが、家族として少しずつ分かり合おうとするユージンの姿に、ほっと安堵しました。

その吸血鬼、家出中につき。

エルと航視点で綴られる、エルの孤独と航のエルへの関心のお話です。

エルは幼い頃からアンリがいればご機嫌でしたが、アンリを見ているうちに「愛や情や孤独を分け合える人、愛する人がいないのは淋しいことだ」と気づいてしまいます。

一方、航は湊を守りたいけれどいつまで守れるかを不安に感じています。湊は「やりたいことはなんでもやってごらん、いざとなったら助けるから」と自分がパンクする覚悟で言いますが、航は「自分でできることは自分でしろ、できないことは諦めろ」というスタンスです。航の頭の中は、いつも家族のことしかありません。

エルは早死を覚悟して、薔薇の契約をすべて切ってしまいました。理由は、「薔薇は自分のことが好きじゃないから」。実際、エルの薔薇の方は好みの吸血鬼に譲ってもらって嬉しがっているようです。しかし、「薔薇が自分を好きかどうか」など吸血鬼は気にしないものです。それは例えば、ニンジンやジャガイモが自分のことを好きじゃないから食べないと言っているのと同じ意味だからです。「食べ物と恋愛したいって言ってるバカってこと」とエルは言います。
航はなかば身内となったエルを心配して「俺の血を飲むか?」と言いますが、エルは「航からだけは飲まないって決めてる」と突っぱねてしまいます。

しかし、血を飲まなければ生きていけません。エルは学校のみんなとも友達でいたいしお腹は空くし好きな人にも出会いたいから、出会いを探していたからと体を売って血をもらっていました。しかしそれを知ってしまった航は「好きな人に好かれる自分でいろ」と激怒。
「あんまり甘やかされたら俺、航を薔薇にしちゃうじゃん。だからそうならないようにしてあげてるのに」「アンリには俺だけじゃなくて、俺がアンリだけだった。今になって俺は恵まれてなかったのかもって気づいて。でも今みたいに好きなものが増えていけばそのうち誰かをもっと好きになれるかもって」と航に血をもらいつつ希望を語るエル。

航の方は「兄さん以外を兄さん以上に愛せるかな?」と不安そう。

今はエルとの距離を「クラスメイトでちょうどいい」と語る航ですが、この先はどうなるのでしょう。なんだかんだと世話焼きな航にエルの薔薇になってほしいです。

吸血鬼たちの千年饗宴

ラクロワ家の当主がクロードに代替わりするため、アンリは薔薇とともに出席してほしいと招待状をもらう。しかしアンリは「湊は行かなくていい」と拒否。しかも、「時期ツェペシュ当主」であるにも関わらず、そちらも「なりたくない」と言う有り様で…というお話です。

大学受験のために塾に行きたいと言うと、「その1時間俺のそばにいろ、俺が教えられる」と嫉妬をむき出しにするアンリ。それを「横暴な」と怒るより「愛されて嬉しい」と思う湊。「こういうのずっと続けばいいのにな。人間の時間って短いね」のエルの言葉に涙してしまいました。幸せなのにすぐ終わってしまう。エルは淋しいんですね。
「できる限りあと10年は普通の生活をしてほしいと」尊重してくれるアンリの優しさに感動します。しかし、アンリばかりが譲歩してくれることに湊は不安を抱いているようです。

なぜ当主になりたくないのと湊に問われ、「子供を愛せないのに親が務まるか?」と返すアンリ。全ての吸血鬼の父親役である当主役に自分は向いてない、吸血鬼を愛していないから。でも血の質が高いものが上に立たないと吸血鬼たちは納得しない。ならば、アンリはどうするのでしょうか?クロードが言うとおり、「愛していればどんなことよりも支えになる」のでしょうか。
「お前はお前の父のようにはならないだろう」「お前の薔薇はお前を信じている。お前の薔薇の信じるように己を信じてはどうだ」「愛多きお前は愛少なきものより苦しみが多い。だがそれば喜びが多いということでもある」とクロードはたくさんのアドバイスをくれましたが、アンリの父の話が気になります。

いざ当主交代の儀に参加した湊。ツェペシュ家のほかの吸血鬼のことも、アンリが自分の家族を大切にしてくれるように大切にしたいと考えます。しかしアンリは他の吸血鬼たちを激しく拒絶します。

ここで始めて、吸血鬼の子どもがどうやって生まれ、育つのかが語られます。
吸血鬼の子供は咲いている薔薇の株から生まれます。生まれた吸血鬼は乳母が面倒を見るのが普通ですが、アンリの場合は薔薇が変わり者だったので、アンリを自分の手で育てあげました。アンリの父親は他の薔薇にしか興味がなく、アンリの母親を放置していたようです。
やがて、子孫の数をコントロールするために、吸血鬼は薔薇を一方的に切ります。切られた薔薇は吸血鬼と同じ寿命を保てなくなり、すぐに死んでしまいます。アンリの母はそうして、アンリが成人してすぐ父親に殺されました。
どれだけ蔑まれ異端だと言われてもアンリは人間の母親を愛し続けました。薔薇を持たなかったのは当主の座から逃げたのではなく、母のような境遇のものを増やしたくなかったから。アンリは己にとっての真実ー彼女が母親だったということーを己の命をかけて守ろうとしていました。憎むこと、恨むことをしないように逃げてきた。それがアンリの愛し方でした。ここで、湊はアンリに「当主の責任から逃げたの」と罵倒したことを謝ります。

苦しむアンリを前に、「アンリのお母さんは幸せだったはず、そうでなければアンリの中にこれほど深い愛情が残っていないはずだ。誰かを愛せる幸せはどんな不幸をも打ち破るこの上ない幸福だ」と言う湊。
「大事なことは愛して愛されて暮らしていくことだ。アンリの母の愛が湊とアンリの愛を守ってくれた」と感じた湊は、アンリを抱きしめます。アンリは自分の中の愛を再確認し、湊とともに吸血鬼たちを愛していく覚悟を決めます。

ヴァンパイアは我慢できない dessert
作者:樋口美沙緒 , 夏乃あゆみ
コミックス「ヴァンパイアは我慢できない」シリーズ、待望のスピンオフ短編集!! 吸血鬼で恋人のアンリの伴侶となって半年余り──。受験を控え、進路に悩む高校三年生の野原湊(のはらみなと)。

購入する【PR】

 

まとめ

漫画で完結した「ヴァンパイアは食わず嫌い」のお話は、アンリと湊が愛し合うまでが描かれています。
「ヴァンパイアは我慢できない dessert」はそこからさらに一歩踏み込んで、アンリと湊、エルと航がヴァンパイアの世界でどう生きていくかまで描かれていました。

樋口美沙緒先生好きな読者さんは、シリーズ最終巻(番外編)「dessert」まで読んでこそ先生の世界観に隅々まで触れられたような充実感を感じられるのではと思います。漫画はもちろん面白いし、絵も美しく素敵なのですが、同じページ数でもどうしても小説より情報量が少なくなってしまう…。樋口先生作品の良さの一つは、徹底的な「愛とは?」「人生とは?」という答えのない大きな問いの追求だと思います。「dessert」ではそれがしっかり考えさせられるので、大満足でした。

「誰かを愛せる幸せはどんな不幸をも打ち破るこの上ない幸福だ」。

この一文は、本シリーズを代表する言葉だと思います。心に印として立てておき、いつでも見返せるようにしたいです。

樋口美沙緒先生作品の中でも、ダントツ読みやすく、コミカルでテンポのよいファンタジー作品でした。初めて樋口美沙緒先生作品を読まれる方におすすめしたいです🔰