栗城偲先生「てのなるほうへ」シリーズを読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
顔面コンプレックスののっぺらぼう×中途失明した会社員 のお話。
<あらすじ>
昔々、他の妖怪たちに顔がないからと仲間はずれにされた寂しがりやの妖怪・のっぺらぼうは、顔を狐面に隠しひとりぼっちで愛する誰かを待っていた。
そして二百年─一般企業に勤める中途失明者の巽は職場で浮いた存在なのを自覚していた。
そんな巽の唯一の楽しみは狐面を拾った縁で出逢った男・草枕と過ごすランチタイムで…。
こんな人におすすめ
- 妖怪など、おどろおどろしい和物のお話が読みたい👻🔥
- 中途失明者の苦悩を知りたい👀🌀
- 妖怪×人間という異種間BLを読んでみたい📕✨️
ネタバレ感想
てのなるほうへ
攻めののっぺらぼうは顔がないことがコンプレックス、受けは目が見えないことがコンプレックス… と、おたがいに自分に全然自信がない2人が出会い、言葉を重ねるうちに、彼ら自身だけでなく周りも変わっていくさまがとても面白かったです✨
もういいかい、まだだよ
華のお江戸を騒がす妖怪・ろくろ首の春宵が、始めて恋した人間の親友・弥一郎。彼との楽しい時間は春宵の過ちであっけなく終わりを告げてしまう。
時は流れ、現代東京。春宵は、弥一郎と同じ顔をした大学生・樋野と出会い、彼に強烈に惹かれてしまい…というお話です。
お話は3章に分かれていて
①一日千秋:江戸時代のお話。50P弱。
②もういいかい、まだだよ:現代のお話。160Pほど。
③もういいかい、もういいよ:「もういいかい、まだだよ」の20年後のお話。10Pほど。
という感じです。
「一日千秋」では、人を驚かして、妖怪として有名になりたい春宵と、ろくろ首を探していた弥一郎が偶然出会って友達になります。結核に侵されていた弥一郎は余生を楽しく生きようとしていましたが、危篤状態を彼を前にした春宵は気が動転し、妖怪の親玉・御簾裏にお願いして、弥一郎を死なない妖怪にしてしまいます。何十年経っても全く歳を取らない弥一郎は周りから不気味がられ、彼は苦しみのあまり自殺してしまいます。弥一郎は春宵を「化け物」と罵って死んでいくのでした。激しく傷つく春宵。
「もういいかい、まだだよ」では、弥一郎に瓜二つな青年・樋野学と春宵が出会います。顔貌や、匂いまでそっくりで、学と関わりを持ちたくてしょうがない春宵。そのうち二人はお付き合いを始めますが、春宵の本来の姿であるろくろ首姿を見せてもらえないことに腹を立てる学。そんな中で学は測量バイト中に土砂崩れに巻き込まれます。仲間であるかまいたちやムササビの協力で、学を救助することに成功します。
ここで学に先祖である弥一郎の魂が乗り移って、「化け物」と罵ったことの謝罪と感謝を伝えてくれるのが良かったです。長い間、「化け物」という言葉に春宵は傷ついてきたものね…。
「もういいかい、もういいよ」では、学は42歳になっています。春宵と見た目の差が開いていくことにやや焦燥感を覚える学。御簾裏がこっそり学のところに来て「まだ選択肢はある」とささやきますが、学は弥一郎と同じように妖怪の道を選ぶのか…。
今作だけでも問題なく読めますが、「てのなるほうへ」も読むのがオススメです。
飄々としたイケメン春宵(前作)と、そんな彼でも恋人の前ではこんなに甘々かわいい(今作)というギャップが楽しめるので☺️♥️
てのなるほうへ【番外編】
草枕と昼休みを過ごすことを楽しみにする巽が、一つ目の少年に振り回されるお話です。
一つ目の少年が言うには、「母親は三つ目、父や兄は二つ目なのに自分だけ一つ目で仲間なのに仲間外れだ」と。さらには、「もっと仲間が欲しい、草枕はのっぺらぼうで巽は二つ目だからきっと生まれてくる妖怪は一つ目だろうから、子供ができたらちょうだい」とねだりはじめます。
巽は男なので子は産めないと返しますが、「御簾裏は夫婦仲良く一緒の布団で寝たら生まれるって言った」と一つ目の少年は譲りません。御簾裏も答えを煙に巻くので、真実はどうなのか…。
草枕と巽は二人でいちゃつきたいのに、他の妖怪が邪魔をしにきてなかなか二人になれないのがおかしいです😂
まとめ
登場キャラクターたちの孤独や心の傷に胸を痛めつつも、ありのままの君が好きだと互いに素直に伝え合うさまに感動しました🥺✨
寿命は違っても、愛するあの人と出会えて良かったと思える時間を過ごしてほしいと願うばかりです。
妖怪たちが面白かわいい、軽妙な一冊です👻👘🔥