C.S.パキャット「叛獄の王子Ⅲ 王たちの蹶起」のネタバレ感想

小説

C.S.パキャット「叛獄の王子Ⅲ 王たちの蹶起」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人におすすめなのかなど、ネタバレ感想とともにご紹介します。

登場人物とあらすじ


ヴァーレ国の王子×アイエロス国の王子 敵国の王子たちのお話。

ローレントがラヴェネル砦に呼び寄せた援軍は、なんとアキエロスの一将ニカンドロスの軍隊だった。

親友ニカンドロスとの再会で、デイメンはアキエロス国のデイミアノス王子だと明らかになる。

アキエロス軍とわずかなローレントの兵たちはローレントとの約束を果たすため、執政の軍が待っているシャルシーに赴く。しかし、戦いが終わるまで、シャルシーにローレントが現れることはなかった。

激しい戦いでアキエロスの軍は半分以下に。裏切られたと憤怒の炎を燃やすニカンドロス。

戦いの後、ローレントから「フォーティヌで待つ」との知らせが届くが…。

ローレントとデイメンは執政から母国を救うことができるのか?2人の思いと運命はいかに?

 

こんな人におすすめ

  • 知略による戦いが大好き
  • 愛、裏切り、死…生々しい歴史物語が好き
  • 中世ヨーロッパの物語が好き

 

感想

最初の衝撃は、ローレントが予定していた戦いの場に現れなかったことです。

本気でデイメンをここで殺す気なのか?と思っていたけれど、まさか別の場所で殺されかけていたとは。そしてこれが後々繋がってくるとは。

いさかいばかりの二つの国の軍隊が共に戦えるのか?と、読みながらずっと不安でした。ローレントが努力で勝ち得た強さを、人々が尊敬するようになってから変わっていったけれど。

でももともと本好きで内気な少年だった彼をここまで変えたのは、執政やデイメンへの憎しみなのだなと思うと、複雑な気持ちになります。

 

アイメリックの母、ロイスが証人として進み出たシーンは本っっっっっっっ当に心震えました。正直、もうあの状態から逆転することは不可能だと思っていたし、王子2人とも死ぬしかないと思っていました。

四男のアイメリック。彼がどんなに懸命に家族のために働こうとしたか、大人達に愛されたくて、認められたくて、命を賭して頑張ったか。

初めて愛された人に全てを捧げたのに、その人には大勢の獣のような男たちの肉便器にさせても平気だと思われていた、自分など取るに足らない捨て駒だと思われていた…それがあまりにかわいそうで、つらくて、涙が止まらないです。

アイメリックのことを思うと、心がズタズタに引き裂かれたような気持ちになります。

自死するほど思い詰めたアイメリック。初めて人として自分を愛してくれたひとを裏切らなければならなかった苦しみ。その人の親友を殺さなければならなかった苦しみ。

たった19歳の彼は1人でその重荷を背負ってどれほど苦しかったろう。命を断つ方が楽だと思うほど苦しかったなんて、どれほどの地獄の苦しみだったろう。

アイメリックがジョードに不器用に心を開き、愛されるさまをずっと見ていたからこそ、辛いです。

なぜ彼が死ななければならなかったのか。もっと愛される喜びを知って欲しかった。執政の邪悪さを思い知るほど、デイメンの父、ローレントの父と兄、アイメリック、オーラント、ニケイスの強く美しく純粋な魂たちが失われた悲しみに涙が溢れます。

「叔父上、ひとりにしないで」とローレントは私に跪いたものだと執政が言った時には怒りで脳の血管が切れるかと思いました。

精通もしていない男児達を犯すのが好きな気持ち悪いペド人間。愛する父と兄を失い、孤立無援のたった13歳の少年を手籠にするのはさぞ簡単で楽しかったろうと、奴の首の骨を思い切りへし折りたい衝動に駆られました。この言葉を読むたびに頭痛がするほど泣いてしまうし、怒りで歯を食いしばっても身体中の震えが止まりません。

ジョカステは完全に悪女だと思っていたから、デイメンへの愛ゆえの決断だと知った時は衝撃でした。そして、そのジョカステの気持ちをいち早く理解していたローレントは流石だと思いました。同じ男を愛するがゆえ分かったのだろうか…。

 

ローレントが何手も先を読む男だと分かっていても、どのシーンも不安でたまらなかったです。

そして、ローレントが濡れ場で初々しい反応をするのがたまらなく好きでした。デイメンにあなたはもう1人ではないと抱きしめられたり、愛されたり、あなたが王だと認められたりした時に、初めて親に褒められた子供のような、みずみずしい反応をするところも愛おしくて大好きだった。

愛を奪われ、裏切りの中で育った子供の素顔を見るようで、真綿に包んで抱きしめたくてたまらなくなる。

最後にローレントが「もとは一つの王国だった」と言うシーンも大好きです。たくさんの尊い犠牲を払ったけれど、2人は明るい未来を作れる王になると信じています。

 

まとめ

執政の想像を絶する卑劣さに、怒りで涙と震えが止まらなかったです。名君、名将、数えきれない善良な魂が、邪悪な男の罠にかかり殺されました。

でも、どんな窮地に陥っても、決して正義を貫く信念を曲げなかったローレントに感動の涙が止まりません。

ローレントとデイメン、愛と信頼で堅く結ばれた真っ直ぐな2人のまばゆい未来に乾杯!!大号泣必至の傑作です!!😭🏆✨

 

 

この記事を書いた人

たこわさ
たこわさ
夜明けの腐女子。樋口美沙緒先生「パブリックスクール」・葵居ゆゆ先生「愛傷コレクション」・伊勢原ささら先生「嫌われ魔物の大好きなひと」が愛読書。スパダリ執着攻め×一途健気受けが死ぬほど好き。