T.A.ウェブ「この喝采を彼に」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
記者のポールは、クラブの楽屋でマシューというドラァグクイーンにインタビューする。
大柄で毛むくじゃらのマシューは18歳の時から30年近いドラァグクイーンのキャリアを持ち、エイズ対策に100万ドル近い寄付金を集めている。
そのモチベーションは、とたずねられたマシューは、昔の恋の話を始めたー1980年代、それは甘く苦しい運命の恋だった。
こんな人におすすめ
- 悲しくも熱い、命をかけた運命の恋を感じたい
- 長さは短くても(短編)深い恋物語を読みたい
- 涙で溺れるほど、感動で号泣したい
ネタバレ感想
言葉の美しさに涙が溢れます。
「世間は、まだ若すぎると、恋の意味など知るわけがないと言うかもしれないが、俺にはわかっていた。パトリックこそが人生の恋だと。彼こそが、彼だけが、俺の恋。」
急激に痩せ細る愛しい人を抱きしめて、何もできない自分を呪うマシューが切ない。辛いです。
クリスマスにパトリックが肺炎を悪化させたシーン、読むほど心が痛かった…。
マシューと1秒でも長く一緒にいたい気持ちがパトリックの言動ひとつひとつから溢れていたし、担当医の「きみの彼を、大事に診るから」が気休めであったとしても、ものすごく心に響きました。
痩せ細ったパトリックを陶芸に例える文が、とても悲しくて、美しくて、心に刺さります。
「たった19歳のパトリックの中に横たわる真実が、磨き上げられて見えるようだった。190歳に見えた。」
痛々しい彼の容貌が目に浮かぶようで、辛い。辛すぎます。
共に大学に戻った時、パトリックがマシューの背に言った「お前を愛してるよ」。
この世で一番優しいキスの後のこの言葉、 こんなの、辛すぎるよ…。涙が止まりません。
死の影がすぐそこまで来ているパトリック。振り返れなかったマシューの気持ちが分かります。愛おしさ、悔しさ…気持ちが荒れ狂って、泣き縋ってしまいそうだったんだよね。
パトリックとマシューの再会、辛くて悲しくて、舌を噛み切りたいくらい悔しかったです。
どうしてパトリックがこんな目に遭わなくてはいけなかったの。あの、伸びやかで蠱惑的な、ただの優しい青年が、どうして、たった19歳だったのに。たった一度の過ちがこんな…泣いて泣いて、息ができませんでした。
当時高校生だったマシューの言葉どおり、パトリックはマシューにとって永遠の恋人なんだと…読み終えてそう感じました。
感動、幸せ、切なさ、痛み…いろんな思いで胸がいっぱいになります。
マシューが、ポールが、幸せに生きられる未来を願っているよ。
原題「Let’s Hear It for the Boy」は主人公達が観た映画「フットルース」の挿入歌でした。底抜けに明るい歌詞が、当時の3人をあらわしているようで…目頭が熱くなります。
歌詞の和訳:http://neverendingmusic.blog.jp/archives/23887253.html
まとめ
読みながら、何度も声を抑えきれないほど嗚咽しました。
エイズが憎い。輝かしい青年の未来と恋を根こそぎ奪っていった、エイズが憎い。
これほど、感動のあまり言葉が出てこない作品にはもう出会えないかもしれません。
人生をかけて推したい、素晴らしい名作です😭🏆✨