さとむら緑先生「持たざる者、その名は童貞」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
傲岸不遜な遊び人の部下×高校時代の初恋を引きずる童貞上司 のお話。
<あらすじ>
28歳にして童貞だということをひた隠して生きる高階一深の下に、眩いほどのモテ男・瀬尾正親が配属された。
気さくに女の子を紹介してくれようとする瀬尾を、童貞バレを恐れて躱す一深。
だがある日ついに知られ、完全に面白がっている瀬尾に「卒業」を支援されることになってしまい…。
こんな人におすすめ
- 天然鈍感小悪魔受けに振り回されたい👿
- スパダリ年下攻めがメロメロになってる姿にニヤけたい👨❤️👨❤️
- テンポのいいラブコメBLが読みたい📕
ネタバレ感想
①童貞という呪いに縛られたアラサー主人公・高階(受け)
好きな人に童貞を捧げたいと思うがあまりに初体験のハードルが高くなり、高校以来好きな人もできないままずるずるとアラサーになってしまった主人公・高階。
作者のさとむら緑先生があとがきに書かれていますが、「経験がないゆえに理想も高くなり、どうでもいいことに拘ってしまうというのはセックス以外にもよく陥りがちな状態だと思いますが、意外にもそういった状態を抜け出すのは簡単で、考え方一つ、捉え方一つだったりするものですよね。だけど自分がそこへ陥っているときには、その「考え方」「捉え方」を把握するのが難しくて、抜け出してしまったあと、「あーなんであんなことで延々と悩んだんだろう」なんて思ってしまったり。」、これはまさに高階の陥っていた状況そのもの。
高階は「初めてのセックスは、童貞を卒業するときは、高原のホテルか、湖のほとりにあるお花畑でするって決めてて…」と瀬尾に真剣に語っており、それ以外での童貞卒業なんて絶対に嫌だと断固として考えていたんですね。
しかも高校時代に石川という親友に淡い恋心を抱いていながら、自分はゲイではないと思い込みたいがために、女の子と付き合いたい、セックスしたいという考えに支配されており、それが余計に高階の初体験を遅らせていたのではと思います。
とはいえ、強引な瀬尾にキスをされてからは転がり落ちるようにセックスへの道をひた走り、すぐさま抜きあいや触り合いっこをす?ようになっていきます。
それは童貞を卒業するならこうでなくてはならないとガチガチに凝り固まっていたところを瀬尾のキスが風穴を開けてくれたことで、高階はセックスに対する頑固な信念から抜け出せたのだと思います。
童貞卒業に限らず、「こうでなくてはならない」「こうであるべきだ」と人間は一度思い込むとそう信じて突き進みたくなるところが誰しもあると思います。だからこそ高階がなりふり構わず童貞道を突き進むところにおかしみを覚えながらも、なぜか憎めない、他人事とは思えない、どこか共感してしまい、なぜだか愛おしく感じるのだと思います。
②ゲイ嫌いの超女好き・激モテ後輩 瀬尾(攻め)
高階が「自分はもしかしたらゲイかもしれない」「君は初恋の人に似てる」と打ち明けた時、瀬尾は「キモい」と切り捨てていました。それを聞いた高階は激しくショックを受けるのですが、なぜか瀬尾はその後も高階にまとわりつき、キスをしてくるやら、こすり合いっこをしてくるやら…。
いつの間に瀬尾がゲイやゲイセックスについての偏見を改めたのかは明確にはされていませんが、瀬尾自身、セックスや恋愛に関してはかなりふわっとした考え方を持っている(確固とした信念のようなものはない)ので、彼はのちに「高階の泣き顔にそそられた」と言っていましたが、そのあたりから徐々に「男と恋愛するのもありかも」と思い始めたのかもしれません。
それにしても当初の瀬尾はかなりのクズ男で、付き合ってなければ何人の女の子と同時にセックスしてもいい、一度寝たくらいで彼女ヅラするな、ワンナイトした女の子の数は二桁後半などというとんでもない性豪っぷりを見せつけていました。
それがよもや、ある意味で清純派の代表格のような高階を好きになるなんて…意外な組み合わせもあるものだと面白くなります。
③「好きな人に似てる」から始まった恋だったのに?
そもそも高階が瀬尾を意識し始めたのは、高校時代に淡い片想いをしていた親友・石川にそっくりだったから。
しかしいざ石川の写真を瀬尾に見せてみると、「全く似ていない」といぶかしげに返されてしまいます。
それでも高階は「背も高いし。肩幅もあるし。顔つきだってさ、俺なんかと違ってはっきりしてて、パーツがいちいち男らしいし、頼りがいのある感じとか……たまに笑ってるのを見ると、こっちの気分も上がるような雰囲気がある?とか、そういうのがカッコいいなって」と説明するのですが、結局具体的に顔のどこが似ているというわけではなく、ただ単に高階が「そばにいたい」と思ったから「似ている」と思っただけだったということが判明します。
高階は長らく「好き」という感情に不安を抱いており、石川のこともLOVEの好きなのかLIKEの好きなのか、LOVEだとしても性欲を伴ったものなのかどうなのかと一人で悩み続けていました。さらに言えば、自分は他人に恋はできても性欲を持てる人間なのかに不安を感じていました。
それがようやく瀬尾とのキスや抜きあいっこで決着がついた(高階は性欲を伴う「好き」を抱く人間だ、ということ)形になったわけです。
「好きだった人に似てるから好き」は割とよくある話だと思うのですが、具体的にどこが似てるの?どう好きなの?と考えると、いまいち分からないという人もいるでしょう。その意味で高階の不安は割とリアルで生々しく、だからこそ自分にも関係しそうな現実味が面白さに直結しているなと感じられました。
まとめ
30歳を目前にして、順調に昇進を続けるセールスマネージャーの高階。これまで第一志望の高校、大学、会社に入り、周囲の人間にも恵まれて、問題のない日々を送っていました。しかし彼にはただ一つ大きな悩みがあったのです。それは、彼が童貞だということ…!
童貞である自分を「持たざる者」だと卑下し、恋愛に関しては卑屈一直線だった高階ですが、女性に激モテする瀬尾が中途入社したことにより、彼の恋愛観は大きく変わっていきました。同じく瀬尾も、女の子を食っては捨て、食っては捨て…と遊んでばかりで本気になることがありませんでしたが、高階のピュアな恋愛観に触れて、考えが変わっていきます。
お互いに触れるたびに化学変化を起こして変わっていく二人は、(本人たちからすると気まずかったり楽しかったりと大変なのですが)側から見るととてもおかしくて、面白くて、次は何が起こるのかなとワクワクさせられました。
童貞や処女など恋愛経験について悩んだ経験のある方、何かしらについて未経験ゆえに凝り固まった理想を抱いてしまいそれに囚われた経験のある方(仕事でもなんでも)にとって、このお話はとても身近で、自分のことのように感じられるはずです。
ちょっとおとぼけなずっこけラブコメBLを読みたいあなたにおすすめです📚✨