ライリー・ハート「もしも裸で泳げたら」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
セクシーなコーヒーハウスオーナー×ダサい図書館司書兼覆面作家 のお話。
<あらすじ>
図書館で働くシャイなミッキーは、過去にオンラインで話していた相手とスキニーディッピング(裸で泳ぐこと)に行く約束をしていたが、結局怖じ気づいて行けなかったことを後悔している。
裸で泳ぐというたわいないことでも、残ってしまうと呪いのようになってしまう。
意を決したミッキーは気になっているカフェのマスターを誘おうとするのだが……。
こんな人におすすめ
- 内気な性格で妄想癖がある💭
- 大胆なセックスに興味がある🛌
- 手の届かない理想の相手に惚れられてみたい🥹
ネタバレ感想
プロローグ
売れっ子クィアロマンス作家のエイドリアン・レインズの正体は、シャイで口下手でもたついてちょっとオタクな司書・ミッキー。ミッキーは近所のコーヒーハウス「エクストラ・ショット」のオーナーであるローナン・ウィンターに片想い中。挨拶のように誰でも口説くローナンから「お気に入りの客」と呼ばれ、浮き足立ちながらも調子に乗ってはいけないと自戒します。
本作の面白いポイントは、ミッキーとローナンが過去にネットで出会っているということ。ミッキーは「BookBoy」、ローナンは「MakeYouSmile」というハンドルネームでクローゼットゲイ時代に会話し、「湖でスキニー・ディップ(全裸水泳)しよう」とデートの約束までしていたのです。しかし気弱なミッキーはいざデートの待ち合わせ場所まで行ったものの「自分の外見や癖をバカにされるかもしれない」とおじけ付き、デートをブッチ。そのまま二人は音信不通となってしまったのでした。
それが8年もの時を経て、リアルでも惹かれ合うなんて…二人も思ってもみなかったはずです。
そして8年間ずっと「好きな人とスキニー・ディップをする」という呪いから解けずに悶々としていたミッキーは、ようやくその呪縛から解き放たれます。その呪縛とはただ単に「勇気の出なかった自分のせいでデートを反故にしてしまった」という後悔だけではなく、家族さえ知らない、自分がゲイであるという事実を真摯に受け止めてくれた初恋相手に対して、彼の期待に応えられなかったことに対する怒りや悲しみがあったのだと思います。
また、スキニー・ディップで解放されたのはミッキーだけではなく、ローナンもでした。敬虔なクリスチャンである両親にディルドでアナニーしているところを見られて勘当されたローナンにとって、ミッキーとの繋がりは唯一の希望でした。しかし、その希望はあっさりと打ち砕かれてしまった…。愛している、愛されていると信じていた人たちから見捨てられた少年時代の自分を、ローナンはミッキーとのスキニー・ディップで取り戻したのだと思います。
たかが「スキニー・ディップ」、されど「スキニー・ディップ」。他人から見ればどうでもよさそうなことが、当人たちにとっては人生を左右する大事件なこともあるのだ…と考えさせられます。
のびのびと愛し合う二人の姿は、読者に笑顔をもたらしてくれます。
エピローグ
本編でのお付き合い成立から2年後のお話です。
ローナンが定期的に放送している「セックスウィズローナン」というクィアなポッドキャスト(いいセックスは人を幸せにする、という赤裸々なテーマでトークが展開される)に、ミッキーが婚約者として登場します。さらに自分が作家のエイドリアン・レインズであると認め、ローナンと愛し合っていることも打ち明けるのでした。
放送後は、同棲しているローナンの家からミッキーの実家へ。ミッキーの家族と夕食を食べるためです。二人の結婚式は今度の冬です。
ミッキーの両親については本編でも触れられていますが、元は敬虔なクリスチャンで、ミッキーのセクシャリティに関しても否定的な態度だったようです。しかし信仰は息子への愛には勝てず、2年前の時点でも「まだ恋人を連れてこないの?」とせっつくほど家族仲は良い様子。
また、ローナンはセックスに対してオープンな思想を持っているので、結婚のように自分を縛る制度は嫌いなのではと勝手に思っていましたが、彼は別に複数の恋人を持ったり、公共の場でセックスすることに対して否定しないというだけで、自分が積極的にそうしたいとか、一人の人に縛られるのは嫌だという思想なのではなかったのだとエピローグを読んで初めて気づきました。
結婚を決意するほどですから、二人ともとてもいい関係を築いているんだなあと幸せな気持ちになりました。
まとめ
普段は内気な司書、しかしその実態は…超人気クィアロマンス作家!ミッキーは、エイドリアン・レインズという作家の自分と、冴えない本好き司書の自分の顔を使い分けています。
お気に入りのコーヒーハウス「エクストラ・ショット」のオーナーであるローナン・ウィンターにひっそり片思いをしながら、彼を相手にした作品を何作も書き上げているのですが…。
短編とは思えない、丁寧に描かれたラブストーリーでした。展開としては、「残りのページ数からしてきっとローナンがミッキーの初恋相手だろうな」と想像ができたりしたのですが、その予想通りの展開も含めて、二人に辛い試練などなく、幸せいっぱいな物語としてまとめてもらえて嬉しかったです。
徹頭徹尾 ローナンは溺愛攻めでミッキーにラブラブモード全開でしたし、ミッキーもローナンに首ったけで、二人とも16歳で初めて出会ってからお互い以外が見えてない!!(途中で他の人と付き合ったりはしたものの、お互い以上に本気の相手はいなかった)って感じはひしひしと伝わってきて、読んでいる間中ずっと幸せでした。
短編BL小説でラブラブなカップルをじっくり見つめたい!!甘々っぷりを楽しみたい!!という方に激推ししたい一冊です📚✨