高遠琉加「さよならのない国で」のネタバレ感想

小説

高遠琉加先生「さよならのない国で」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


先生の恩人の甥×ピアノ教室の先生 のお話。

同居人の春希に、密かな想いを寄せていた康。けれど春希は、康の叔父・月彦への想いに未だに囚われていた。康は気分転換も兼ねて、春希を山の上のリゾートホテルへと旅行に誘うが、なんとその道中で2人は事故に遭ってしまいー!?

電子版にも本文イラストが収録されています。葛西リカコ先生の美麗絵が堪能できますよ〜😚❤️

 

こんな人におすすめ

  • 西加奈子、恩田陸が好き
  • グランドホテルを舞台にした物語に惹かれる
  • 死ぬ・生きることの意味を考えたい

 

ネタバレ感想

今すぐ実写化・映画化してほしい作品です。

貪るように読みました。特に「ここがすごい!」と思ったポイントを3つに絞ってご紹介します。

①「天国ホテル」のルールが面白い

攻めと受けは旅行に行く途中で事故に遭い、見知らぬホテルに行き着きます。そこが「天国ホテル」。通称、「会いたかった死者と会えるホテル」です。

この「天国ホテル」のルールが、衝撃的でした。

会いたかった死者に会えるというだけでもドラマチックな設定なのに、中盤を過ぎた頃にさらに新たな設定(ここはぜひ本編で読んでください!)が加わります。

この設定は攻めだけに告げられるんですが、攻めだけでなく読者の自分も雷が落ちたような衝撃を受けました⚡️

藤枝母がみずから池に落ちていくシーンは、涙なしには読めませんでした🤦‍♀️

夫と娘の幸せを祈りながら死んでいく母親を見ながら、どうして命は一つしかないの、有限なのと辛くなります…。

でも、その辛さと同じだけ、母親が家族をどれだけ愛しているかが伝わってきて…命とはなんて重いものだろうと痛感します。

②読者の予想を裏切る「まさか」の連続

そして、藤枝母が池に自ら身を投げた後の攻めの行動。

これがまたさらなる衝撃でした。攻めは誰よりも生きることに執着している人なのに、彼はここで読者が「まさか」と思うような選択・行動をします。

そしてその後、今度は受けが「まさか」の行動を起こします。このシーンは読みながら血の気が引きました。その後の展開が全く想像できず、めちゃくちゃ混乱したことを覚えていますw

あと、サスペンス系の映画とかドラマとかを見てると、なんとなく「この人、”死に要員”だな」って人いますよね?本作を読んでいて、絶対に”死に要員”ではないと思っていなかった人が死んだことも私にとって衝撃でした。

そして、各登場人物が思いもよらないドラマチックな人生を歩んでいたことにも驚かされます。この人がこんな過去を背負って!?とか…。

読んだ方は分かると思いますが、私は広瀬さんが女性に会って悲鳴をあげた時、彼女は彼がパワハラか何かで殺した部下かな〜と思っていましたw

人生ってこんなに、人それぞれ色鮮やかなんだな…と、読みながら胸に迫るものがありました。

広瀬さんがバーで冷たくなっていく描写とか少しぞっとするんですが、これほど優美かつ何度も読者の予想を裏切ってくる…愛と感動に満ちたファンタジーBLははじめて読みました。本当に完成度が高く素晴らしかったです。

ちなみに、あとがきで先生がインスピレーションを受けた作品としていくつかの名作ホラー映画を挙げていらして、作品の根底にどことなく怖さのある理由が分かった気がしましたw

③恋の始まりと終わりの美しさ

攻めと受けの出会い、これが本当にロマンチックで素敵でした💐

2人の出会いは春。庭の花びらが散る中、受けの弾くピアノの音色を聴きながら眠る攻め。弾くのに夢中でそこに攻めがいたことに気づかず、驚く受け。

古びた洋館とグランドピアノ、全く毛色の違う美青年2人が花びらが舞う中に佇んでいるというのは…想像するだけでぐっときますよね🎹

自分のピアノを聴いて寝るなんてと怒る受けに、攻めの叔父、月彦が「心地よい音色だとあいつは寝ちゃうんだよ。つまり、あいつが寝てる時は君の調子がいいってことだ」と話すのも面白かったです。なんだかほっこりする設定でした。

そして終わり方。これがまた秀逸です。

月彦とずっと一緒に作曲していて、それを自分の支えのようにしていたけれど、いろいろな経験を経た受けは、月彦と共作した音を越えて自分の音を紡ぎ出していく。

受けは月彦の死後、はじめて彼の死に向き合い、心からの別れを告げるのでした。(具体的なセリフはぜひ本編で…。本作は本当にネタバレなしで読んでほしい本なんです!!😭💦)

シンプルな別れの言葉なんですが、胸にぐっと迫るものがあります。

受けが未来へ向かい始めたんだなとしみじみ感じさせられた言葉でした。本を閉じた後、ああ、いい作品だった…と思わされる一文です😢

 

まとめ

重厚なホールで名オーケストラの演奏を聴き終えた後のような読後感です。

本作を読み終えた時、いろんな理由があって人は生き、死ぬけど、生きるのもそんなに悪くないのかもと思えました😭✨

BL好きに限らず、ひとりでも多くの人に読んでほしい、神々しい名作です🏆✨

 

この記事を書いた人

たこわさ
たこわさ
夜明けの腐女子。樋口美沙緒先生「パブリックスクール」・葵居ゆゆ先生「愛傷コレクション」・伊勢原ささら先生「嫌われ魔物の大好きなひと」が愛読書。スパダリ執着攻め×一途健気受けが死ぬほど好き。