須和雪里「タブー」のネタバレ感想 | DKたちの恋愛アラカルト

小説

須和雪里先生「タブー」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


男女問わずモテまくるイケメンDK×義父に性的暴行されトラウマ持ちの天然DK 同級生同士 のお話。

<あらすじ>
「僕のことを知ったら、きっと軽蔑するよ…」
ある日敏行は、友達の超脳天気少年、卓人から衝撃的な告白を受ける。
彼を支配し苦しめてきた、子供の時に体験した忌まわしい出来事-。

 

こんな人におすすめ

  • 高校生モノのBLが好き🏫
  • 肉体的・精神的に凸凹な攻め受けのお話にキュンとする❤️
  • 不憫受けが好き🥺

 

ネタバレ感想

①タブー

久保敏行(男子校でも激モテの情け深いイケメン)×小川卓人(義父からレイプされPTSDに苦しむ、いつも教室の掃除を押し付けられている) DK同級生同士のお話。

敏行がなぜかいつも教室の掃除をしている卓人を目撃したところから物語は始まります。最初は読者も敏行も「なぜ卓人はいつも掃除をしているんだ?変わった人だな」くらいの軽いノリだったんですが、卓人が裕福にも関わらういつも空虚な感じがしていた理由(義父に幼少期に犯された)が分かってからはしんどくて仕方なかったですね…。

しかもですね、ただ犯されただけじゃないんです。義父に犯されて怖かったと実母に決死の勇気で打ち明けたのに、母親は「父が息子に触れるの普通のこと。お父さんがかわいそう」って息子の話は少しも聞いてやらないんですよ。セカンドレイプじゃん。

卓人は実母に悲しい思いさせたくないって一生懸命、義父の肩揉んであげたり親しくしようと頑張るんですよ。地獄すぎる。結局実母は死んじゃうんですけど、天罰としか思えないですね…(できればもっと早く天に召されてほしかっtゲフンゲフン)

敏行に片思いしてた男たちがけしかけた不良・鬼頭が現れた時は卓人がガチでレイプされるんじゃ、トラウマが蘇るんじゃって不安だったんですが、何もなくてホッとしました。良かった。

敏行と卓人が両思いになったことで、卓人が「お父さんに恨みつらみを全部吐き出して、卒業後は敏行と一緒に暮らしたい」って夢を持てるようになって本当によかったです。これからは卓人が気持ち悪い犯罪者なんかとは一生関わらずに過ごしていけますように。

 

②テリトリー

高柳裕太(体が大きくてせっかち)×八坂啓(体が小さくて、のんびりしている。怖がり) 幼馴染同士のお話。

夜の学校に忘れ物を取りに行ったら、片思いしていた先生にレイプされ「裏切られた」と自殺した男子高校生の怨念のせいで出られなくなってしまった幼馴染2人+たまたま肝試しに同行していたへっぽこ教師・脇田秋彦。

ちょっと小野不由美先生「魔性の子」っぽいです。どこからどんな危害が加えられるかの想像がつかなくてゾッとします。本格ホラーBLですね。しかもどちらかというとホラー要素の方が強いw

啓の顔の皮が剥がれるとか最初は幻覚だったのに、途中から先生の片耳が本当にちぎれたり(先生は元気でしたがw)し始めたのにはぞっとしましたね…。夜には絶対再読できないです。

何はともあれ、啓が念仏を覚えていたおかげで助かった…!裕太が「死ぬならお前と一緒がいい」って極限の状態で告白するのがすごく青春してて好きです。

 

③いつか地球が海になる日

仁科辰巳(爽やかなイケメン)×七宮孝(しぶい系イケメン、男が泣くのを我慢する顔で勃起する変態)+武藤真弓(幼少期にレイプされたのをきっかけにセックス中毒になった) 高校二年生の同級生三人のお話。

大好きなセリフはたくさんあるけれど、読んだ時に衝撃を受けてほしいからネタバレは極力しません。実際に読んで号泣ほしい。

最初は、七宮が「男が泣くのを我慢してる顔に興奮する」、武藤は七宮に「精液で顔をパックすると肌が綺麗になる」とか言うので、何だこの変態たちは…どういう話…って若干引きながら読んでたんですよ。

でも、仁科と七宮が体を重ねた翌日、武藤があることを七宮に教えてくれるんです。そこから怒涛の展開でした。読みながらずーーーっと涙が止まらなかった…。

仁科と七宮が両思いになった後、武藤が「おめでとう、七宮くん。たっちゃんを離しちゃだめよ。彼はあなたの幸福なんだから」って眩しそうに言うシーン、仁科が七宮に「好きだよ。どうしようもないほど好きだ。なんでかわかんないけど好きだ。とにかく好きだ。ものすごく好きだ。もう闇雲に好きだ。むやみやたらと好きなんだ」って必死で告白するシーンがめちゃくちゃに好きです。嗚咽した。

史上最高のカップル爆誕!!おめでとう!!!

 

④俺たちの崩壊

越智裕司(爽やかな多重人格イケメン)+松川真(落ち着いたイケメン)×奥村一樹(可愛い顔のガキ大将、裕司の姉・綾子に片想い中)の幼馴染高校生三人のお話。

一樹はずっと喧嘩三昧の悪ガキだったけど、中学生時にお母さんが事故死してから家事を全て自分でやってるし、その苦労を誰にも愚痴らないんですよね。当然だって顔してやってるところが偉いなあってぐっときます。

裕司が凄まじい過去を隠していて、一樹に告白を拒絶されたことをきっかけにその過去の傷を自ら開いてしまうんですが…それがかなりきつかったです。いくら贖罪のためとはいえ、そんなことするな(泣)
あと真も一樹に惚れてるのに、裕司が告白をはねつけられてしょげてるってすごく心配して一樹に「話しかけてやってくれ」ってお願いしにいって…ほんといい奴だな…とキュンとしました。
そして一樹は裕司と真から離れる決意をしたのは自分なのに数週間しか1人での時間に耐えられなくて、ほんと2人のこと好きなんだな〜ってにやつきました。

最後は一樹が「俺たちは元には戻れないけどそれは形が変わるだけなんだ。今までだって俺たちはそうやって変化してきただろう。今度はどうなるのか分かんないけどでも何とかして俺たちがバラバラにならずに済む良い方法を考えよう」って裕司と真と三人で生きていく決意をするんですけど、「形が変わるだけ」ってポジティブに捉える一樹が好きです…。三人で末永く幸せにね…!!

 

まとめ

一番好きな作品はダントツ、「いつか地球が海になる日」ですね。

シトラスノベルズ版「サミア」にも同時収録されていましたが、どこも削られていなくて嬉しかったです。(表題作の「サミア」は元の文章からだいぶ削られていた)

須和先生ご自身もあとがきで「ホラーが好き」とおっしゃっていますが、須和先生はポップでライトな語り口で血みどろ展開にするので油断がならないですw「テリトリー」は本当に怖かった…。

「タブー」と「俺たちの崩壊」はどちらも大人に食い物にされる少年たちが痛々しく、胸が引き裂かれそうに苦しかった…。

須和先生の物語は読みやすいのに奥深くて、後を引きます。いつまでも心に物語の足跡がずっと残っている感じ。1作読んでも、もっと読みたい、もっと読みたいと渇望がとめどなく湧いてきます。魔力(魅力)を感じます。

須和先生作品はまだ「サミア」「タブー」の2作品しか読めていないので、中古本屋さんでどっさり発掘したいです。

タブー
作者:須和雪里
「僕のことを知ったら、きっと軽蔑するよ…」ある日敏行は、友達の超脳天気少年、卓人から衝撃的な告白を受ける。彼を支配し苦しめてきた、子供の時に体験した忌まわしい出来事-。

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