風見香帆先生「嘘つきは恋に惑う」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
正体を偽ってゲイバーで遊ぶ、家族思いの貧乏自動車修理工ゲイ×ゲイバーにいた大企業子息 のお話。
<あらすじ>
病気の祖父への仕送りのため、友人も恋人もつくらず貧乏な生活をする自動車修理工の弘名は、半月に一度、ゲイが集まるバーに通うことが密かな楽しみだった。
有名企業の営業という偽りの姿を演じながら、いつものように飲んでいた弘名は、親しみの持てる大企業の子息・師堂から、強引に口説かれてしまう。
「一晩、割り切って楽しまないか」と師堂に誘われた弘名は、彼の強さに惹かれ誘いに応じてしまうが…。
こんな人におすすめ
- シンデレラストーリーが好き🏰
- 不憫健気受けに報われてほしい、幸せになってほしい😭
- スパダリ執着攻めが好き❤️
ネタバレ感想
本作は面白い構成で、表題作(出会ってから付き合うまで)+番外編1(お邪魔虫の妨害に遭うも二人の愛がより強固に)+番外編2(ひたすらラブラブエロ甘な二人の一日)と3章で構成されています。
以下、各章のネタバレ感想を書いていきます☺️✨
嘘つきは恋に惑う
まずは表題作です。
主人公の弘名(受け)は薄給激務の自動車修理工。借金を抱え入院中の祖父のため、あらゆる費用を切りつめては仕送りをし、淡々と日々を送っています。
しかしそんな無味乾燥な毎日の中で唯一の楽しみなのが、月に一度とあるゲイバーで大手企業営業マンになりきり、お酒をゆったり飲むこと。
男漁りをすれば相手に本当の自分を気づかれてしまうので、あくまで華やかな世界に生きている自分を思い描いて演技するのです。しかし、そうしている時だけは、弘名は日々の辛さを忘れられるのでした。
しかしある日、生粋の金持ちである師堂(攻め)にバーで一目惚れされ、「片想いの相手がいる」と断ってもぐいぐいアプローチされます。彼とのデートはまるで夢のようで、服が毎回同じでは怪しまれると、食事を減らし借金をしてまで師堂と何度も逢瀬を重ねます。
この時の弘名が本当にかわいそうで…読みながら涙が溢れます…。生まれて初めて食べる美味しい食事にゴージャスなデートスポット、ロマンチックかつ紳士的に口説いてくれる美形の男、弘名は人生で一番というくらい幸せで、師堂に惚れていってしまいます。
けれど自分と彼は決して釣り合わないことは彼自身が一番良く分かっているんです。いつか関係を終わらせなければならない。でも、もう少しだけ夢を見させてくださいと神に祈りながら何度もデートするのです…😭
一方、師堂はこれまで何人もと真面目にお付き合いはしてきたものの、弘名のような、芯が強くいじらしく健気な人に出会ったことがなく、彼を口説き落とそうと必死です。しかし弘名が自分と会うたびに痩せこけていき、辛そうなのがずっと気になっていました。
そしてある日、緑川という師堂の知り合いに弘名は自分の正体を暴かれそうになります。自分のせいで師堂を傷つけたくないと、「自分は男娼で、彼に抱いて欲しくて無理やり迫ったんだ」と嘘をついて逃げ出します。きっと潮時だったのだと自分に言い聞かせ、弘名は泣きながら師堂の連絡先を消します。
「弘名が別の男のことを考えられなくなるくらいに(抱く)」と独占欲を見せつけてくれた師堂。
「純朴で駆け引きのできない、嘘の下手な、俺のために一生懸命になってくれた君が、誰よりも好きだ」と懸命に口説いてくれた師堂。
彼を想って弘名は涙します。師堂に出会う前と変わらない、極貧の日々。しかし師堂はわずかな手がかりから弘名を見つけ出します。そして改めて愛を伝えるんです。
弘名がどんな境遇だろうと経歴だろうとかまわない、ただ自分が好きなのは弘名だけなのだと抱きしめる師堂に涙が止まりませんでした😭 弘名…!よかったね…!!
両想い後のラブラブえっちは赤面しちゃうほど甘々なので、ぜひ皆さん楽しみに読んでほしいです///
本編自体は短いんですが、それを感じさせないほど弘名と師堂が、それぞれ身分差や相手が何か隠していることは分かるのに踏み込めずもどかしい思いをしている…その心の揺らぎが丁寧かつ深く描かれていて、風見先生の文才の高さを感じます✍️✨
ゴージャスな憂鬱
弘名と師堂は無事結ばれたのですが、師堂に愛され磨き上げられた弘名の美しさに目が眩んだ緑川の横槍が入ります😡
弘名は師堂におんぶに抱っこの状態が心苦しく、「自分も師堂のためになりたい」と家事をやってみようかとか色々と挑戦してみるのですが、どれも空回りに終わってしまいます。
そんな矢先、師堂が部屋に知的美人を入れて、それを弘名に隠していることが判明。今は自分と付き合っていても、師堂は名家の子息。いつかは妻を娶らなければならないのだから…と自分に言い聞かせても、納得できません。弘名は師堂の過去を知っている緑川に師堂の元カノの話などを聞くのですが、緑川は弘名の不安を煽るだけ煽り、しこたま酒を飲ませて襲ってきます。
間一髪、弘名は逃げ出すことができたのですが、帰宅すると師堂から怒られてしまいます。しかし師堂が浮気をしているせいだと疑念をぶつけたところ、予想外の答えが!!!!!
師堂が何を隠していたかは、ぜひ本編で読んでニヤニヤされてください…❤️ ヒントは「デマインド・ガーネット」「結婚指輪」です❤️ デマインド・ガーネットは素敵すぎて、読みながらくらくらしちゃいました///
仲直りした後、二人が交わした
「これからは卑屈になったりしません。師堂さんが選んだ俺なんだから。」
「そして俺は、君が選んだ男だ。」
という言葉が大好きです。
どうしても師堂との身分差が気になっていた弘名が一皮剥けた瞬間でした。「俺は君が選んだ男だ」と胸を張って言う師堂がまた可愛らしいですよね。
最高級の甘いキス
弘名のお誕生日話です。
いつもは師堂にゴージャスなお店に連れていってもらうばかりの弘名が、かつての行きつけのお店ー寂れた焼き鳥屋に師堂を連れて行きます。
誕生日なんて来たって何が変わるっていうんだ、と毎年暗い気持ちになっていた弘名ですが、師堂と出会ってからは純粋に自分が生まれてきたことを喜べるようになったと吐露します。お酒が入るとどうやら泣き上戸になる弘名に戸惑いつつも、その言葉に嬉しくなる師堂。
給料日前でお金がなかった時、この焼き鳥屋の親父さんは弘名に鶏皮をこっそりおまけしてくれたりと優しくしてくれたのだそう。心温まるエピソードに読みながらぐっと目頭が熱くなります。弘名は、つい最近まで食べることもままならないほど困窮していたんですよね…。大変だったよね…。
焼き鳥屋さんの後は、師堂がとっても素敵なホテルに案内してくれます❤️ 広い部屋、花びらを散らしたお風呂、チェリーのワイン煮が挟まれ薔薇のように苺が飾られた誕生日ケーキと温かい紅茶…師堂のロマンチックな誕生日演出に、読者までメロメロになります😆❤️
甘いものがさほど得意ではない師堂ですが、弘名の乳首や脇腹にクリームを塗りつけては舐めしゃぶり、弘名をえちえちデロデロとろんとろんにしちゃいます🎂❤️ ひゅ〜❤️❤️❤️最高❤️❤️❤️
えっちの後、夢現の弘名が「チョコプレートちょうだい…」と寝ぼけて話すのを聞いて、急いでプレートを用意する師堂さん。これまでの恋人たちは宝石だとか高価なものを欲しがっていたので、ある意味分かりやすかったのですが…弘名の欲しいものはいつも予想外なものばかりだと師堂は微笑むのでした❤️❤️❤️
まとめ
簡単に説明するならば、「不憫な受けが偶然攻めに見染められたシンデレラストーリー」なのですが、本作のシンデレラ(受け)はただ不憫で健気でかわいそうなキャラではありません。
嫌なことは嫌だとはっきり言うし、愛する人(攻め)のためには自分が傷つくと分かっていても身を挺して庇います。勇気があって、芯があって、すごくカッコいいんです!!
そして攻めは乙女の夢を全部詰め込んだ!って感じの一途なスパダリ執着攻めで、そんなカッコいい受けにぴったり。
それに、風見先生の文章は安定感があってとても読みやすいんです。短い作品ほど書くのが難しいとよく言われますが、風見先生の文章は短い文の中に読者の想像を掻き立てる書き方がうまくなされていて、実際に書かれている情景の何倍、何十倍もの情報を妄想できます。それがすごい。
完全無欠のスパダリ攻め×不憫だけど逆境に負けないカッコいい受けのシンデレラストーリー、ぜひあなたも二人の甘くきらめく夢の世界へ誘われてください❤️❤️❤️