遠坂カナレ先生「上野発、冥土行き 寝台特急列車大河〜食堂車で最期の夜を〜」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
不登校のコック見習い青年が、現世に未練を残した故人たちの食べたい料理を作り、見送る お話。
<あらすじ>
不登校で大叔父の営む食堂の手伝いをして暮らす未来来の前に突如現れた死神のアレクセイ。
死者の未練を解消する任務のため、寝台特急「大河」の食堂車に未来来をスカウトしにきたのだ。
上野の廃駅から彼らの望む人と望む場所へ―たった一晩の旅、未来来は、逝く人々の想いを伝える手伝いを始めるが…。
こんな人におすすめ
- 自分が死ぬ時について考えることがある
- 小説で飯テロされたい
- 感動で泣かされたい
ネタバレ感想
大感動でした…😭👏✨
想像の83217540925億倍素晴らしかったです。
現世に未練を残した死者たちのエピソードがどれも、すごく心に刺さります。
主人公の未来来(みらくる)は両親がおらず、叔父に育てられた中卒の不登校児です。
両親がいないこと、キラキラネームをつけられたこと、小中学校でいじめられたこと、進学できなかったこと…いろんなことが、未来来にとって生きる上での重荷になっています。
毎日生きづらさと戦いながら、叔父が細々とやっている定食屋で見習いコックをする未来来。
そんなある日、自称「死神」のアレクセイに拉致され「死者が未練を残さず逝けるように、私たちは彼らが最期に会いたい人を連れてくるので、君は彼らが最期に食べたい料理を提供してほしい」と頼まれます。
自己評価がめちゃくちゃ低い未来来は「自分がそんな大役を任されていいのか」「自分は死神とこんなことをしていて、いつかうっかり殺されるのでは」などと葛藤しつつも、死者たちの願いを叶えていきます。
一世を風靡した孤高の歌姫、引きこもりの息子を抱える母親…
一人ひとりが、最期に会いたい人、その人と食べたいものを噛みしめて、「ありがとう」と喜びの涙を流しながら去っていきます。
そしていろんな人が逝くのを助けてきた未来来は、最後に「生きるのが辛い」「こんなにしんどいなら生きたくない」と思っていた自分自身と向き合うことになります。
……っと、これ以上はぜひ、ぜひ本を手に取って読んでいただきたいです。
なぜなら、
ネタバレしたら絶対面白くないから!!!!!!
でも、一つだけ。
私は未来来とお母さんの会話
未来来「全然、(自分は)素敵じゃない。不登校だし、中卒だし……」
お母さん「学歴なんて関係ないよ。おいしいごはんが作れて、優しい気持ちを持ってる。すっごく素敵な子に育ったよ」
これがね、本作の中でいっっっっちばん心に残ってます。大好きです。
本当だね、優しい気持ちを持ってる、それが何より素敵なことだよねって、読みながら泣きました。何回読んでもこの会話で号泣させられます😭
一つ一つのエピソード、言葉が優しくて丁寧で、作者の心の優しさ・あたたかさが伝わってくるような作品でした。
まとめ
私たち人間に平等に与えられるもの、それは「死」です。
死からは誰も逃れられません。今も私たちは毎日毎時間毎秒、死に向かって歩み続けています。
では、死ぬまでの時間どうやって生きたらいいのだろう?どうしたら幸せになれるのだろう?とみんな考えます。
そして、悲しみや痛みや苦しみを感じない人になれたらいいのにとか、何千億も資産があったらいいのにとか、そんな人になれたらきっと幸せになれるだろうと思うでしょう。
でも、完璧な幸せも完璧な人生も存在しません。
本作を読むと、「幸せって、自分を愛してくれる人たちを愛し、今自分ができることを誠実に丁寧にやっていくことなんだ」と目を覚まされます😳
中卒は嫌だ、いじめられるのも嫌だ、自分なんか大嫌いだ…
そんなふうに、自分ではない誰かや何かにばかりなろうとして、焦ったり苛立ったり自分を責めたりするんじゃなく、今自分が持っているものを改めて見て、それがどれだけ得がたいものかを感じる…
それがどれほど大切なことか、この作品は教えてくれます。
これから人生で行き詰まった時、きっと何度も読み返す本だと思います。
私にとって、とてもとても大切なご本です。
皆さんもぜひ読んでみてください〜!!🥰✨