自分が嫌い、変わりたい――そんな全オタクに捧ぐ、最高にハッピーなほろ苦青春ラブコメディ、「ずっと君のターン」シリーズを読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
派手なキャンパスライフをおくるパリピな大学生のコウは、実は隠れオタク&隠れゲイの地味男子。
目標は「オシャレな彼氏ゲット!!」 だったはずが、出会いもなく、カミングアウトする勇気もなかった。
そんなある日、いきつけのゲーム店で知り合った田中に突然告白される。
こんな人におすすめ
- オタクの自分に自信がない😢
- オシャレな人に引け目を感じる😢
- 所属するコミュニティで自分はカーストのどこにいるのか不安になる😢
本作をもっとよく知るための小ネタ
①本作はこの話は前作「めめしいアクとあざといスウ」登場キャラクターのスピンオフ作品。
②苦労した点、楽しかった点は「カードゲームが題材の漫画なので実際のカードゲームをプレイしてみたり、実店舗まで取材に行ったりしました」。
引用:琢磨先生インタビュー 2020/10/23 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる
③本作のこだわりは「2人の距離感や関係性を大事にネームを切ったので、1巻で無理なく2人の距離感を縮めることが出来たのではないかなと思います。その分、結ばれてからのエッチは2人の幸福度が伝わるような愛のある感じに描こうと頑張りましたので、見て頂けたら幸いです」。
引用:琢磨先生インタビュー 2020/10/23 作家インタビュー|BL情報サイト ちるちる
ネタバレ感想
ずっと君のターン
①自分の本当の望みに気づくまでの物語
本作の主人公・コウは、隠れオタクで隠れゲイ。高校時代はカースト最下層のオタクグループに属していましたが、クラス一の人気者の男子から優しく声をかけられて一目惚れ。しかし、「優しくしとくと俺らの株 上がるじゃん?」とダサいオタクであることを理由に振られて、オシャレになりたい!大学デビューだ!と一念発起。いつの間にか女好きキャラになってしまったものの、おしゃれでかっこいい彼氏ができたら完璧なのに…とゲイ用のマッチングアプリをダウンロードして甘い日々を夢見ていました。
しかしそんなある日、田中ヨウと名乗るガチヲタから告白されます。ヨウはいかにもオタクなダサい男。コウはオシャレな彼氏を作るのが夢だからと断りますが、ヨウとの楽しい日々を過ごすほど、親友として彼の隣にいるのかどんどん辛くなっていきます。
そして最後にコウは気づくのです。
「オシャレな人と付き合ったらあの時の俺(高校時代の自分)が報われると思ってたけど、オシャレな人を振り向かせたいんじゃなくて好きな人と両思いになりたかったんだ!」と。
コウの本当の望みは、「オシャレな人と付き合う」ではなく「好きな人と両想いになる」だったんですね。
理想だと思う男の人にモーションをかけられても逆にダメなところを探してしまったり、学校の友達の輪の中で自分の地位が低いことに苦しんで「もっとオシャレにならなきゃ」ともがいたり、コウはたくさんの苦しみに直面していった結果、自分の本当の望みに行き着くことができます。
その様子を見ていると、苦しんだ日々も無駄ではなかったのだと、コウの姿が、苦しみの多い自分の人生への賛歌のように見えてくるのです。
②ヒエラルキーの所属位置の高低で人を判断してしまうコウ(受け)
コウが学校でつるんでいる一軍グループに所属しているオシャレ男子・中田。実はコウとお付き合いを始めた田中と同一人物です。訳あってオタクとオシャレな自分の二面性を持つ彼ですが、コウはオシャレな中田を目の前にしても田中と同一人物だとは全く気づきません。
それはいくらコウが彼自身の中に、「オタクはダサい」「ダサいからカースト下位に所属している」「カースト下位は人間として見ない」という、高校時代に自分を傷つけた片思いの彼の価値観を引きずっているからです。
実際、コウはカースト最上位のスウにどう認められるかばかりを気にしており、中田のことは大して目に入っていません。中田はそれを面白そうに見ているので揉め事は起きないのですが、コウが中田とこれから長く付き合っていくなら、その偏見から脱してほしい…という気持ちになりました。所属カーストの上下と人間性や自分と合う・合わないは比例しないのですから。
とはいえ、コウにとって高校時代に片想い相手から振られたその出来事は、彼の価値観を変えるほどのトラウマだったのだとも思います。中田と愛し合う中でその深い傷を癒していってほしいです。
③「オシャレな人」と「ガチヲタ」、それぞれが持つ偏見と蔑視
元ダサオタのコウは高校時代にダサいオタクだからという理由で振られた(上に笑い物にされていた)のですが、一方、オシャレな中田は中身はオタクですが外見がオシャレすぎるせいで当時付き合っていた彼女から「騙されたわ」「(オタクグッズを)捨ててくれたらいいけど」と侮蔑されたり、同じオタクからは「一般人が冷やかしかよ」と陰口を叩かれたりしていました。
中田は「目的に合わせたドレスコードができてないのは俺かも」とそれからオタ活をする時はオタクの格好を、普段はオシャレな格好を、と服を着分けるようになりますが、オタクであっても、オシャレであっても、その所属したいコミュニティにすでにいるマジョリティの人々と姿形が似ていなければ、「よそ者」として忌み嫌われてしまうのだと分かります。
オタクはオシャレな人に、オシャレな人はオタクに、それぞれが必ずしも偏見や蔑視を持っているわけではありませんが、何かしらの色眼鏡をかけて見合ってしまうんだなと、ある意味の面白さを持って改めて分からされた気がしました。
同人誌みたいなコトしよう!
オタクであること、恋人がいることを周りに言い出せないコウに中田が怒るお話です。
そう聞くとシリアスっぽいですが、実際はおしおきと称してしっぽつき猫プレイ&手錠でコウをひんひん言わせるプレイがメインです。えちえち甘々です。
俺の彼氏がこんなにかわいい
「ずっと君のターン」とスピンオフ元である「めめしいアクとあざといスウ」、2冊の番外編なので、2カプが登場します。
「ずっと君のターン」の番外編は、マッチングアプリで知り合ったもののコウに振られた明日馬とその幼馴染みの啓吾のイチャイチャ話でした。明日馬は啓吾のことが好きですが、性的には無理という…琢磨先生がTwitterで時々描かれてるカップルだ!と分かって嬉しかったです。
「めめしいアクとあざといスウ」の番外編は、2カプがお互いに自分の恋人を自慢しあいながら見せつけイチャイチャえっちをする…という夢オチ話でした。
このオタク、カップルにつき
カードゲームで中田との賭けに勝ったコウは「オタクのファッションで秋葉原デートをする」ことになり、最初は渋っていたコウでしたが、「無理せず趣味を共有し、全てを受け入れてくれる人に出会えてよかった」と思わず感涙。
最後にはスウに中田と交際していることを明かすコウ。まさか神聖化していたスウにカミングアウトするとは予想外で、びっくりしました。コウがまずゲイである自分を(傷ついてもいいから)受け入れてほしいと一歩を踏み出したことに感動しました。偉い。頑張ったね。
まとめ
元ダサいオタクのコウは、大学デビューをして、カースト一軍で女好き・オシャレというキャラを得ています。しかし実際は重度のカードゲームオタクかつゲイ。ゲイ向けのマッチングアプリでオシャレな恋人を探す日々です。
ある日突然ダサいガチオタに告白されて困惑するコウですが、「オシャレな彼氏が欲しい」「オシャレでいないといけない」という自分にも他人にもかけていた呪いは、自分が高校時代に片想いしていた男子からかけられたものだと気づきます。そして、本当の自分の望みは「好きな人と両想いになること」だったと気づくのです。
誰かの呪いに縛られたまま、自分の望みが一生分からないまま終わることはよくあります。コウがその呪いを自分で解いたことはすごいことだし、その助けとなったガチオタであるヨウの存在も奇跡だと思います。
ありのままのお互い同士で愛し合えることが、どんなに難しくて、どんなに幸せなことか。
そんな当然だけれど難しいことを改めて教えてくれるシリーズでした📚✨