中国人気BLドラマ「鎮魂」のネタバレ感想|1万年もの時を越える異種族政争物語

ドラマ

動画再生回数36億回超え&2018年度ドラマ人気No.1のサスペンス超話題作、「鎮魂」を観ました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ

引用:PR TIMES | チュー・イーロン×バイ・ユー出演の人気ブロマンスドラマ『鎮魂』をU-NEXT独占で見放題配信!

冷静沈着な生物工学科大学教授・沈巍と、危険を顧みず怪奇事件を追う特別捜査所所長・趙雲瀾 のお話。

<あらすじ>
数万年前、地球によく似た“海星”という名の惑星には、人間に似た海星人と、獣と人の遺伝子を持つ亜獣人、そして地底には特殊能力を持つ地星人が暮らしていたが、ある日、惑星に隕石が落下。
食糧を求め、地底に暮らす地星人は海星人の土地を侵略しはじめ、争奪戦を繰り広げる事態に。
そこで海星人は5つの特殊な力を秘めた聖器を作り出し、地星人を地中深くに封じ込めた―。

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こんな人におすすめ

  • 輪廻転生ものが好き🐍
  • 異星人が出てくる怪事件などSFミステリーが好き🛸
  • 知己の熱い友情に号泣したい😭

 

 ネタバレ感想

第1話 謎の殺人事件

<あらすじ>
地球に似た惑星・海星(かいせい)では、海星人、亜獣(あじゅう)族人、地星(ちせい)人の棲み分けができていたが、隕石衝突によって戦争が勃発。
海星人は4つの聖器で星を平和へ導く。
数万年後、龍城(ロンチョン)大学で謎の殺人事件が発生し、特別調査所の趙雲瀾(チャオ・ユンラン)所長が調査にやってくる。

地球に似た古き惑星・海星(かいせい)には数万年前、異星人たちが宇宙船でこの星に到着しました。うち一部の異星人の細胞が海星の動植物とDNAレベルで融合し成長。動物や植物の特性をそなえ、自在に変形する力を持ったそれらは「亜獣族人」と呼ばれます。そして別の異星人は地底に定住したため、地星(ちせい)人と名付けられました。

地底でも気候による化学反応が起き、地星人のDNAにも変異が見られました。海星人と似た容貌を持つもその体内エネルギーは覚醒し、雨や雷を操って自然の元素を分解。人の心を操るなど多様な能力を発揮しました。

地星人の力は脅威でしたが個体数が少ないため三者は棲み分けができていました。しかし巨大な隕石の墜落後、状況は一変します。海星の生態系は破壊され、地底の資源が枯渇したため地星人は地上へと避難。一部の野心ある地星人が資源を狙い、海星人や亜獣族人の地を侵略し、ついい戦争が勃発したのです。海星人は隕石のエネルギーから4つの聖器を作って地星人を打破。海星人、亜獣族人、地星人の三者は平和協定を締結し、今日まで平穏が保たれてきたのです。

数万年後、龍城(ロンチョン)大学の生物工学科教授・沈巍(シェン・ウェイ)は「怪物の存在を信じますか?」と授業で教師・生徒たちに語りかけていました。高度な文明を持つ現代において、怪物がいれば発見されているはずです。しかし「未知」こそ人類の探究心の源、生物学の魅力です。「DNAの角度から変異を探る」というテーマで授業を進める沈巍の話を聞きながら、なぜか沈鬱な表情で目を伏せる、助手の女子学生・ 李茜(リー・チェン)。
授業後、沈巍は情報工学と生物工学の権威である欧陽教授から「君は生物学の未来を担うホープだ。周は良い生徒を育てたものだ」とべた褒めされていました。しかし李茜に席を外させると、厳しい顔つきになり「我々は常に最新のデータを扱っているが、DNAの変異はすでに現実世界でも発生し確認されて久しい。もし私と君の師が今研究中だと言ったら加わりたいかね?」と言われます。
沈巍は「普通の学者は己の研究をするのみ。私には不相応な道です」と遠慮します。「優秀な研究者たちに声をかけたが即答されたのは初めてだ。君は掴みどころがないな。自分の研究に打ち込んでくれ」と笑う欧陽教授。

その夜、郭長城という青年が「4」と書かれたプレートがかけられた店の前でおどおどと立ち尽くしていました。青年を轢き殺しそうな勢いで近づくバイクの男。慌てて身分証明書を見せる青年に、バイクの男ー趙雲瀾(チャオ・ユンラン)はヘルメットを外します。「ここで働くように通知があって…」と怯える彼の証明書を一瞥し放りだすと、趙雲瀾は店の中に彼を連れ込みます。店の中では李さんが料理を作っていました。
親しげに菓子を差し出す趙雲瀾に、「夜甘い物は控えているんです」とやんわり断る郭長城。「禁煙してるから口寂しいんだ。パッケージを剥いてくれ」と飄々と頼む趙雲瀾。飴を彼の口に入れてやりつつ、「なぜ夜遅い時間に来いと?」と怯える郭長城。
趙雲瀾は「いい質問だ!特別じゃないと名前負けするだろ?」と、室内に飾られている「特別捜査所」のプレートを指差します。「選ばれた君も特別ってことだ」と趙雲瀾は郭長城を部屋の奥に押し込みます。
そこに座っていた美女が笑顔で郭長城の手を握り部屋の案内をしようとしますが、郭長城は彼女の手の冷たさに驚きます。疑問をぶつけると「だって恒温動物じゃないもの」と言われ、彼女の足元を見るとなんと足が蛇のしっぽでした。慌てて飛び退く郭長城ですが、「どこの臆病者だ?」と階段の手すりを滑り降りてきた男は黒猫に変身。さらに部屋の奥からは爆発頭の男が出てきます。
蛇の女が「また実験失敗?」と呆れると、「なんだと!この科学の申し子がバリアを発明したから君たちはここにいられるんだぞ!」と憤慨。「楚は?発明を試させる」と言われ出てきた女の足元は透けており、郭長城は気を失います。

同じ頃、大学構内を歩いていた李茜は何者かに見られている恐怖心を覚え「来ないで!」と叫び、走り出します。

「”特調所”の歓迎ぶりがわかっただろ?実に友好的だ!」と言う趙雲瀾に、郭長城は引きつった笑顔を浮かべます。猫が話すだけで失神する郭長城にメンバーたちは笑いますが、「こいつは郭副部長が送り込んだ甥だぞ!来年新しい場所へ引っ越すためにも面倒を見てやらないと」「それにお前、外勤以外で猫になったら小魚は支給しないからな」と言い渡します。

翌日、龍城(ロンチョン)大学で謎の殺人事件が発生し、黒猫と趙雲瀾が調査にやってきます。特別調査所は怪事件を担当しており、上が直接通達している秘密の組織なのです。被害者は若い女。連れてきた郭長城は遺体を見て吐きそうになりつつも、「僕にできることは?」と尋ねます。遺体の首には細い紐であちこちから縛ったような痕が残っており、趙雲瀾は郭長城に遺体の首を握らせます。郭長城はその瞬間、顔を背けて吐いてしまいますが、趙雲瀾は「分かったな?どら猫」と、黒猫と何かを共有します。

趙雲瀾が目を遣った先の窓の手すりには、真っ白な手の跡が残っていました。外で殺されたはずなのにおかしいとつぶやく趙雲瀾。そしてなぜか窓から吊るされる郭長城。
「きっと奴らの仕業だ」と言う趙雲瀾に、「最近向こうの管理は緩いのか?」と憤慨する黒猫。「だから俺たちがここで守ってるんだろ」「でもなぜあの子が?至って普通の子だった」と言葉を交わす二人。趙雲瀾は「第一発見者を探してこい」と黒猫に頼みます。吊るしていた郭長城の縄が切れた瞬間、沈巍は窓から下を覗いた趙雲瀾と目が合います。言葉を失い彼を見つめ続ける沈巍に対して、趙雲瀾は慌てて郭長城を助けに降りてきます。
先に郭長城のもとに着いた黒猫・大慶を撫でる沈巍。趙雲瀾は沈巍に名前を尋ねますが、なぜか沈巍は顔をこわばらせます。「また話でも」と名刺を渡し気軽に握手した趙雲瀾ですが、なぜか沈巍の手が離れません。沈巍も自分の行動に戸惑い、慌てて手を離します。
郭長城を伴い去っていく趙雲瀾。沈巍は趙雲瀾の名刺を見て眉を寄せます。

その頃、李茜は昨夜見た恐ろしい光景を反芻し、混乱していました。大学構内の廊下で黒猫を見つけ声をかけると、趙雲瀾から突然スマホで写真を撮られます。さらに「君が盧若梅殺害の第一発見者だね」と言い当てられ、言葉を失います。
李茜は「影です。ぼやけた影が覆いかぶさって首を締め続けていました。黒い煙みたいでした。本人の影じゃ絶対ありません」と主張します。

「楚は李家を調査、ほかの奴らはオフィスでサボってる、なのに立派な長寿の猫で副所長の僕がここで見張りなんて!報酬を要求してやる!」と憤る大慶。そこに偶然沈巍が通りかかります。沈巍に見惚れる大慶に、「以前どこかで会ったことが?」と微笑む沈巍。彼は「李茜は?」と尋ねると部屋に入り、「彼女は私の生徒です。午後も授業がある」と彼女を連れて行こうとします。

しかし、趙雲瀾は沈巍に「盧若梅もあなたの生徒では?あの奇怪な死体は見たはずですが、なぜ驚かないんです?」と問いかけます。沈巍は「この世には説明のつかない現象もあります。普通の人間が首を突っ込むべきじゃない」と返します。趙雲瀾は「説明のつかない現象とは?詳しく聞かせてほしいな」とつっかかりますが、沈巍はあくまで冷静沈着。「私は生物学者、DNAの変異を研究しています。人類は原始時代から1万年前の技術革新を経て進歩を積み重ねてきました。その過程でどれだけDNA変異による新種が生まれたか…君に想像がつくかな?」と微笑みます。
「今後資料を見つけたら電話してくれ、真っ先に教授のもとへ行く」と皮肉を言う趙雲瀾に、「確かに盧若梅も私の生徒です。早く犯人を見つけてほしい」とまっすぐ見返す沈巍。沈巍は李茜を伴い、部屋を出ていきます。大慶はどうにも沈巍が気になるようです。

趙雲瀾は沈巍を見張るよう郭長城に指示します。彼の勘が「沈巍は訳あり」だと告げていました。下手な尾行をしていた郭長城は沈巍と李茜を町中で見失ってしまいますが、彼の目の前に「茜茜や、どこだい」「家に連れて帰っておくれ、お腹が空いたの」と泣きわめく老婆に出会い、郭長城は彼女を放っておけず家まで送ってやることに。

「茜茜、帰ったよ」と嬉しそうな老婆。郭長城は帰ろうとしますが、「茜茜や、言うことを聞くからそばを離れないで」と、郭長城と茜茜を混同して話しはじめます。すがりつく彼女から逃げようとした郭長城は、座っていたソファーの隙間に箱が入っているのを見つけ、取り出します。

その瞬間、箱から黒い影のような男が飛び出してきます。
老婆は「なぜ取り上げるの!私の箱をどうするつもり?私の箱を…」と錯乱します。郭長城は「逃げないと!」と叫び、手近なものを影に投げつけますが、影はそれらを弾き飛ばしてしまいます。
影は郭長城を襲おうとしますが、間一髪で彼の前に人形が現れ、影に反撃します。さらに近くの扉から黒ずくめの男が現れ、人形に影を捕まえさせ、殴りつけます。黒ずくめの男は箱に影を戻そうとしますが、影は窓から逃げ出してしまいます。

腰を抜かしている郭長城を呆れたように見る黒ずくめの男。彼は特調所のメンバーの一人、楚と呼ばれる人物のようです。
「李茜が向こうの狙いだとは」と面白がる趙雲瀾。李茜は盧若梅と体格が似ていて、事件が起きたときの目撃者でもあります。そして今度はその影に家が襲われました。「盧若梅は身代わりになったと?」と言う大慶。

一方その頃、沈巍はどこからか極秘情報を手に入れ、趙雲瀾の情報をくまなく確認していました。趙雲瀾と沈巍そっくりの男たちは、話をしていました。「残りの仲間を犠牲にできない」「俺もいるだろ」「教えてほしい、君の名は?」「崑崙だ」ー。1万年探してきた、と沈巍は心の中でつぶやきます。「どんな決断でも後悔するな!沈巍、私たちの交わした約束を覚えていてくれ」崑崙の残した言葉を沈巍は覚えていました。

その夜、李茜は家で祖母を寝かせると、何かの瓶を引き出しから取り出し、握りしめます。大量の錠剤を手に出し、見つめる李茜。

何かのシステムに侵入しようとするも失敗の連続で混乱している男。科学怪人にも不可能があるの?と茶化す蛇女。男の口に小魚を突っ込み、「副所長の好物なのに〜!制裁は確実ね!」と笑い去っていく彼女。男は小魚に何かヒントを得たようです。

翌日から、大学で李茜は何かのビラを配り始めます。なぜか家ではひどい咳を繰り返している李茜。中庭でぼうっと宙を見つめる彼女に、沈巍が「最近元気がないようだが」と声をかけます。「あの人は犯人を捕まえられると思いますか。もしかしてあの人たちも怪物なのでは?」と尋ねる李茜に、沈巍は「彼らはきっと特殊なだけだよ。真の怪物は心に潜んでいる」「普通の事件じゃないんだ。あまり思い悩むな。最近おばあさんのためにバイトを掛け持ちして寝る時間もないんだろう?」と告げます。
心配げな沈巍に、李茜はなぜか好戦的に「そこまでして誰かを守る価値が?」とつっかかります。「あるとも」と即答する沈巍。その場面を見ていた趙雲瀾と、彼に気づく沈巍。
趙雲瀾は偶然を装い沈巍に近づくと、沈巍は「捜査のめどは立ちましたか?今度キャンパスを案内しますよ」とにこやかに話しかけます。「DNA変異のことなら教授が詳しいでしょ。例えば、人が遠隔操作をしたり、姿を変えたような事例は?」と言う趙雲瀾に、沈巍は「事例があれば捕まえているのでは?特調所に何の情報もないとは思えません。」と笑います。
「教授がSFを信じるとは」とからかう趙雲瀾に、「”怪力乱神を語らず”と言いますが、私は存在すると思っています。居場所はわからなくても痕跡は残るはずだ。…趙所長、我々地星人に大きな違いがあると?」と沈巍は小声で返します。呆気にとられる趙雲瀾。
「地星人のことまでご存知とは…では例の事件の見解は?」「私に聞かれても困ります。私の本文は教育です。捜査は所長たちがプロでは?」と腹を探り合う二人。
しかし、趙雲瀾に「正直、どうしてだか沈教授を見てると…懐かしい気がする」とふざけるように言われ、沈巍は「…そうですね。古い友人かも」と痛々しい笑顔で返します。
電話で呼び出される趙雲瀾。沈巍は趙雲瀾の後ろ姿を見つめます。

趙雲瀾とメンバーたちはあの影の男を探して寂れた家に行きます。大慶は現場の素材を収集し、楚は敵がいないか注意しますが、そこには何もありませんでした。

沈巍が大学構内を歩いていると、李茜にぶつかられます。彼女が首から下げているペンダントを見て、瞠目する沈巍。食事に誘おうとしますが、すぐに家庭教師のアルバイトだからと断られます。ペンダントを見せてほしいと沈巍が頼み、触ろうとした瞬間、どこからかあの影が現れます。慌てて李茜と空き部屋に逃げ込む沈巍。彼女のスマホを借りて、趙雲瀾に「地星人が現れた」と電話をかけます。怯える李茜を背にかばいながら逃げる沈巍。

間一髪のところで楚が彼女と彼女のペンダントを救うことはできましたが、沈巍は建物の屋上から地面に真っ逆さまに落ちてしまいます。
影の男はなお反撃しようとしますが、突然天気が変わり、空から黒衣の男が降りてきて、影の男を氷漬けにします。

「俺が所長になって初めてのお越しだな。黒枹使、道に迷ったようだな」と軽口を叩く趙雲瀾。「地星人の騒動は私の落ち度だ。任務が多忙で到着が遅れた。奴(影の男)は連行する」と言う彼。異常に怯える郭長城を見て、黒枹使は「特調所の任務は重大だ。もっと厳格に管理してくれ。天変は近い。我らは近く再会する」と言い残して去ります。郭長城は「連行させていいんですか」と口を挟みますが、大慶が「かつて地星人は戦いに破れ、人類と平和協定を結んだ。地星人を捕らえても管理するのは向こうだ」と言い聞かせます。
そして、李茜は沈巍が突き落とされたことにはっと気づきます。

たこわさ
たこわさ

黒枹使(沈巍?)自身は地星人ですが、地星人を封じる4つの聖器を奪い再び海星を人類から奪い返そうとしている地星人たちを罰している?ようです。
前世の沈巍と趙雲瀾が何の約束をしたのか気になります。沈巍が物言いたげに趙雲瀾を熱く見つめるさまに胸が焦げつきそう…なんて強い視線だ…恋に落ちてしまう…🥺

 

第2話 ペンダントの秘密

<あらすじ>
屋上から飛び降りようとする李茜(リー・チェン)を助けた趙雲瀾(チャオ・ユンラン)と沈巍(シェン・ウェイ)。
2人は李茜の祖母が数日前に死んだことを知る。
入院した李茜を見張ることになった新人の郭長城(グオ・チャンチョン)は、同じように祖母に育てられたことで李茜の悲しみに共感していた。

呆然とする李茜に趙雲瀾が声をかけると、彼女ははっとして屋上から落ちた沈巍を探し始めます。沈巍は無傷だと言い趙雲瀾と別れますが、実際は黒い影の鋭い爪に傷つけられており、自らの掌から出す黒い煙のようなもので脂汗を流しながら傷を癒やします。

「影は所詮影でしかないのだ。あんな奴を使うからだ。俺に任せろ」と言う男に、「早く手に入れないと心が落ち着かない。失望させるなよ」と命じる別の男。

李茜は登校するため家を出ますが、いつも窓辺まで出て見送ってくれるはずの祖母が出てこないことを確認します。目に涙を溜めて窓辺を見つめる李茜。

趙雲瀾は沈巍と一体どこで出会ったのか思い出そうとしますが、うまくいきません。
そんな時、李茜が「何も知らないくせに!」と叫びながら屋上から飛び降りようとしているのを見て趙雲瀾が助けます。足元にあった鉄パイプを踏んで一緒に落ちそうになる趙雲瀾ですが、運良く沈巍が一緒に李茜を引き上げてくれます。沈巍は李茜を引き上げる時に趙雲瀾が怪我したことを知り、動揺します。

祖母のために生きろと励ます二人ですが、彼女の祖母は数日前に死んでいました。
龍城第一病院に入院することになった李茜は、ストレスが原因の精神疾患の疑いがあると診断を受けます。医師は先日もこの患者の祖母が睡眠薬を誤飲して亡くなったばかりなのに、患者自身も事件の重要参考人だなんて診断を急かされて迷惑だと憤慨。李茜の祖母は認知症は進んでいましたが、至って健康だったはずです。医師いわく、1年前に脳梗塞を発症し絶望的かと思われましたが、驚異的な回復力を見せると同時に認知症を患うようになったのだとか。その時、眠っているはずの李茜の目から涙がこぼれます。「奪った命は長くは続かない」「奇跡は何度も起きない」と話す、沈巍と医師。祖母の遺体は安置所に置かれているそうです。

病室を出た趙雲瀾は沈巍に恋人はいるのか尋ねます。「私の素性を探っているんですか?私は龍城東区生まれ、今年32歳、龍城大学卒でそのまま博士課程へ、他に質問したいことは?」と淡々と答える沈巍。趙雲瀾は「長年研究する地星人のDNA解読に何か進展は?」と挑むように尋ねます。
沈巍は「DNAよりも未来を予測したい。長年姿を消していた地星人がなぜ頻繁に現れるのか、彼らの目的こそ我らが着目すべき点です」と答えますが、趙雲瀾はまるで影の男と沈巍が知り合いであると疑うように、「さすがインテリだ。どうりであの影に対峙しても冷静だったはずだ」と嘲笑します。
言いたいことがあるなら単刀直入にどうぞ。常識の範囲内で誠意を持って答えます。君も私を犯人扱いはしないはずだ」と沈巍は笑います。趙雲瀾は「何と質問しても犯人扱いしたと言われそうだ」とはぐらかします。
沈巍は真面目に、「地星人には相当な破壊力がある。くれぐれも気をつけて」と趙雲瀾を心配します。

特調所の”科学星人”は「あの冷酷無比な黒枹使が所長に一目置いてるなんて」と盗撮した映像を見て驚きます。楚は郭長城のお守りを押し付けられたことと”科学星人”と蛇女たちが黒枹使を馬鹿にするような物言いをしているのを聞いて腹を立てます。

郭長城は大慶とともに李茜を見張るよう趙雲瀾に言いつけます。もし地星人が襲ってきたら二人でなんとかしろと言われ、冷や汗を流す郭長城。
郭長城は李茜を見舞いに来た沈巍に趙雲瀾はどうしているのか聞かれ、大慶はなぜ趙雲瀾のことを尋ねるのかと警戒心を強めます。
沈巍が一緒に食べようとさまざまな差し入れを李茜の前に出すと、彼女はぽつりとつぶやきます。

押し豆腐の炒めもの、祖母の好物です。歯が悪くて肉や魚は噛めなかったから。私は苦手だったけど、少しずつ好きになりました。祖母の豆腐料理は最高で一生作ってくれるって…」

それに呼応するように、郭長城が離し始めます。
「僕もおばあちゃんっ子で、他の子にいじめられても黙ってました。でも気づいた祖母が登校に付き添ったり美味しいものを買っては全部僕に渡してくれてたんです。ずっと思ってました。大人になったら祖母のためお金を稼ぎ、ごちそうを買うって。祖母が死んだ時は絶望しました。孝行もできないのに努力して何になると…僕の命を分けたかった。元気をだしてください。家族はずっと見守っています」

李茜は押し豆腐の炒めものを取ると、泣きながら食べ始めます。李茜の病室の様子は特調所の実験室から趙雲瀾たちが監視していました。趙雲瀾は「教授はまるでカウンセラーのお手本みたいな人だな」と馬鹿にします。

ネックレスを拡大するように言う趙雲瀾。”科学星人”曰く、ネックレスのチャームは日時計だそう。太陽のように1日1周する日時計は生死の繰り返しであり無限の時間の象徴でもあります。別の説では時間は殺しの武器で、新旧交代をも意味します。失った過去は永遠に戻ることはありません。
蛇女は「長命時計だわ!なぜ小娘が聖器なんて持ってるの?」と驚きます。長命時計は他人の命のエネルギーを奪う力を持っています。

その時、黒服の男が病院に入ってきた瞬間、特調所のパソコンにアラート音が鳴り響きます。「勝手に入るな」と警備員に止められると、男は手から出した黒い煙のようなもので警備員を投げ飛ばします。「お前はすでに包囲された、投降しか道はない」という院内放送が流れ、李茜は「来たわ!怖い!」とベッドに潜り込みます。
郭長城は自分が皆を守ると男に飛びかかりますが、あっさり失神させられてしまいます。沈巍はベッドに目隠しをすると、男の前に立ちはだかります。男は沈巍を投げ飛ばそうと黒い煙を浴びせますが、沈巍はびくともしません。
沈巍は「諦めろ」と言うなり、彼自身の手からも黒い煙を出して対抗、男を弾き飛ばします。しかし趙雲瀾が到着したのを確認したため、自分も男に突き飛ばされたふりをします。

男は焦燥感を感じつつ夜道を歩きますが、目の前に薄い膜のようなものが張り、進めないことに気づきます。
「傀儡線?楚家の傀儡師か。地界でも評判は聞いた」と言う男に、楚は「よく気づいたな。しかしここは地界ではない。無駄話も必要ない。一緒に来い」と彼に術を次々繰り出します。傀儡線で男を拘束しようとした楚でしたが、男は地面から岩を掘り出すと次々楚に投げつけ、逃亡してしまいます。

カルテで治療記録を確認する趙雲瀾。「ペンダントを見せて。全部知ってるのよ。祖母が死んでもまだ狙われたい?」と蛇女が李茜に言うと、「これはただのペンダントよ。ずっと家にあったものだし、祖母の唯一の形見なの。私のことはほっといてよ!なぜ今になって急にそんなことを言うの!」と拒絶されます。趙雲瀾は「それは本来君の物じゃない。偶然持っているだけだ」と説得しようとします。

趙雲瀾は飛び降り自殺しようとした屋上で李茜に「あの時飛び降りていたら過去の帳消しになったと?」と尋ねます。「君みたいな子供が死を恐れないのは、その意味を分かっていないからだ」と言う趙雲瀾。
「君が怖いのは死ではなく別れだろ?病院のカルテによれば死因は睡眠薬の大量摂取だったが、今まで睡眠薬が処方されたことはない。致死量の睡眠薬を誰が家に持ち込んだのか教えてくれ」と尋ねられ、李茜は「私よ。彼女が脳梗塞で倒れた日、もう彼女は助からない状態だった。私もこれが何かは知らなかった…祖母からは不思議な力のある物だとしか。あの日渡は祖母を生かしてくれとお願いしたら、これが願いを聞き入れてくれたの。光が消えると祖母は息を吹き返した。でも私は知ってた。私の命を使って生き返ったと!」と叫びます。
趙雲瀾は「長命時計は聖器で世界を壊せる。現れたあの影も聖器が使われたから襲ってきたのかも。自分の命を使って生き返らせたが、負担になったから殺したのか?」と言います。李茜は「まるで別人だった。あんなの私の祖母じゃない!命を懸けて得たものは祖母と生き写しの他人だった…」と泣きます。

黒服の男は路地裏で突然男に「役たたずめ」と背後から締め上げられます。「次こそうまくやれる!奴らは逃げない!」と言う彼に、「また言い訳か…今度失敗すれば殺す」と言い置いて去る男。

李茜は趙雲瀾に長命時計を渡し、沈巍を含め三人は車でどこかへ向かいます。「まだ引き返せば間に合うでしょうか」と問う李茜に、沈巍は「傷つけ裏切った以上、昔には戻れないかも」と言います。
車を走らせていると、車の前に黒服の男が突然現れ、李茜を車から引きずり出し殺そうとします。しかし趙雲瀾が持っている長命時計から彼女の祖母の霊が現れ、彼女を男から守ります。
李茜の祖母は「一生守ると言ったのに約束を守れなくてごめんね。私の茜茜を傷つけないで。もっと自分を大切にするんだよ」と言うなり、かき消えてしまいます。男が呆然と立ち尽くしていると、黒枹使が現れ、男を連れて去ります。泣く李茜を抱き起こす趙雲瀾。

後日、李茜の祖母である李玉芬の墓が建てられました。実は睡眠薬で自殺しようとしていたのは李茜だったのです。彼女が死のうとしているのを見た祖母が、孫を殺させまいと自ら飲んでしまったのでした。

タバコを吸う趙雲瀾に、沈巍は「あの地星人も現れなくなったそうですね。なぜ彼らは今になって現れたのでしょうか、知りたいんです」と言う沈巍。聖器の使い方を聞くため、特調所に黒枹使を呼び出す趙雲瀾。
「長命時計に祖母の力が宿り、李茜の命を助けたのだろう。一生守るという約束を果たしただけだろう。李茜(の様子)は?」と言う黒枹使に、「これはどう処分したら?李茜の様子を尋ねるとは、地底だけはなく地上も支配したくなったか」と皮肉たっぷりに返す趙雲瀾。
黒枹使は李茜への聖器の影響、解明されていない聖器の力を心配しているようです。
「1万年前の大戦後に消えた聖器が今になって少女の手で覚醒したことが何を意味すると思う」と尋ねる黒枹使に、「力が覚醒しなければ地星人も感知しない。長年平穏だった世界に突然波風が立った。これはただの偶然じゃないーだろ?」と答える趙雲瀾。
「聖器は松明のようなものだ。武器にもなるが使い方を間違えば己を焼く。どんな状況で力を発揮するかも分からない」と真剣に忠告する黒枹使ですが、「そういえばうちの研究員が生命エネルギーの置換を研究中なんだ。だがいまだ解明できない。この聖器を入手したら、せっかく抜けた髪がまた生えるかも」と趙雲瀾は全く相手にしません。

黒枹使は「慎重に頼む」とだけ言って去ります。その後、黒枹使は楚だけを呼び出します。楚は「あなたの目的は聖器の探索だが、今日はなぜ聖器を特調所に託したんです?」と疑問をぶつけます。「聖器が与える影響は大きい。恐れる物、野心を抱く物、あの影など使い走りに過ぎない。黒幕はすぐにでも姿を現すはずだ。聖器を奪い、海星の平和を乱す気だ。奴らに聖器を奪われればどうなるか」と説明します。

楚は「地君殿に保管しては?」と提案しますが、「地界は目下、地獄も同然だ。誰しも裏の顔を持ち、その腹は読めない、そこで君たちに預けようと考えた。バリアの力で侵入も防げるため、地界より安全だ」と返されます。



楚は片膝を地につけ、「この生命があるのも、全てはあなたのおかげです。あなたのためならどんな任務も厭いません」と誓います。「我らの間に恩返しなど不要だ。この関係を明かす必要もない。聖器があることは意識せず過ごせ。黒幕は自ら触手を伸ばして来るだろう。魚を釣るにも準備が必要だ」と黒枹使が言うなり、楚は笑い出します。

「所長とあなたと、主導権を握るのはどちらなのか」と言う彼に、「お互いに利益があれば良い」と黒枹使は淡々と言います。

実験室では、長命時計が成長している上、趙雲瀾が触った途端に反応し光り始めます。
謎の男は「特調所か。では試してみよう、次の駒でな」と独り言を言います。

たこわさ
たこわさ

聖器を狙う黒幕 is 誰!?
黒枹使の地界での立ち位置が謎です。
李茜の祖母は李茜が介護疲れで殺したのかと思ってましたが、よもや祖母を蘇生させた自己嫌悪で自殺を企てた李茜を守るための策だったとは…🤦‍♀️
しかしなぜ趙雲瀾が触れた時にだけ聖器が反応したのか不可思議すぎます。趙雲瀾、一体何者?

 

 第3話 新たな事件の勃発

<あらすじ>
龍城(ロンチョン)大学で新たな事件が発生する。
被害者は今回も沈巍(シェン・ウェイ)の教え子だった。
郭長城(グオ・チャンチョン)と共に沈巍の研究室を訪ねる趙雲瀾(チャオ・ユンラン)。

趙雲瀾の個人情報を見ていた沈巍は部下の張が近づく気配を感じ、なんの変哲もない資料にすり替えます。「李茜の件は残念でした」と悔やむ彼女に、「ええ、優秀な生徒だったので早く大学に戻ってきてほしいです」と返す沈巍に、張は「生徒思いなんですね。でもその善意は報われるかしら」と意味深に返されます。「信念があればいい」と会話を切り上げると、「教材に不備が多いようだ。君らしくない、何かあったのか?」と尋ねます。
張は「最近眠れず、気分が沈みがちなんです」とだけ言い、慌てて去っていきます。嫌な予感を感じる沈巍。

夕刻、龍城大学でバスケの練習をしていた男子生徒は妙な影を見つけます。何かいるのかと植え込みをかき分けた途端、彼はしげみの中に悲鳴とともに引きずり込まれていきます。

“研究星人”は李に長命時計に手を当てさせ、「マグマみたいに力が湧き出ない?」と尋ねますが何も起こりません。やはり長命時計に触って変化があったのは趙雲瀾だけです。趙雲瀾は「これでも俺は鎮魂令主だからな」と胸を張りますが、関係があるとは思えません。
資料探しを頼まれた郭長城は手間取っており、早くしろと急かす”蛇女”こと紅に謝ります。特調所の図書館にはデータベースがないのです。

その時、“研究星人”が龍城大学でまた学生が殺されたと現場の写真を持ってきます。そこに写っている遺体はまるで老人で、岩のかけらに「3」と書かれていました。
大学構内を歩く沈巍を張が呼び止めます。沈巍は「授業変更のことなら教務室で聞いた。家の事情で急用が出来たんだろ?仕方ない」と返します。ほっと安堵する張ですが、沈巍が持っているケーキ(4組の劉亜東たちに貰った)の箱を見咎めると急に顔色を曇らせます。「私は甘い物は苦手だから君にあげようか」と差し出すと、怯えるように逃げ去ります。

郭長城と共に沈巍の研究室を訪ねる趙雲瀾。ケーキの箱を見つけて「俺も甘党なんだ」と喜ぶ趙雲瀾ですが、くしゃみが止まりません。
「風邪をひいているなら甘い物は控えるべきです」と沈巍は眉をしかめますが、趙雲瀾は無視してケーキの箱を開けます。中から出てきた「工学部 4組 劉亜東」というメモに、趙雲瀾は目を細め、ケーキにかぶりつきます。

事件調査資料を渡された沈巍は、被害者の「張皓が?いつですか?」と驚愕します。
趙雲瀾が「昨日だ。大学側が箝口令を敷いてるが。沈教授、またあんたの生徒だな」と言うので、「私が疑わしいと?」と尋ねる沈巍。

しかし趙雲瀾は「この世で疑うべきは3つ。ベストセラーの帯と、宝くじの当選メールと、事件での偶然だ。全ての偶然は人による必然にほかならない」と言います。沈巍は「しかしこれは偶然です。今学期から受け持ったので人となりも知らない」と言いますが、趙雲瀾は「張皓は工学部の4組だったよな。これは偶然か?」とケーキに添えられていたメモを見せながら言います。

そこに現れた張助教(張若楠)は、沈巍から趙雲瀾を紹介されます。趙雲瀾から「沈教授と俺はいい友達なんだ」と紹介され、思わず彼を見つめてしまう沈巍。趙雲瀾が張助教に「張皓を知ってます?昨夜殺されたんです」と尋ねると、「すみません、答えることは何も」と慌てて部屋から去ってしまいます。

不安、怯え、女、キョロキョロ

趙雲瀾は「張先生はすぐに謝る性質だな。卑下するのが癖になっているのか、もしくは過去に心的外傷を受けたことで自分に自信がないか…」と考察しますが、沈巍は「むやみに勘ぐらないでくれ。彼女は助教で誠実かつ善良だ。事件とは関係ないと保証する」と静かに憤慨します。彼を見送りながらも、部屋の外で男が自分たちの話を聞いていることに気づいていた沈巍は顔をしかめます。
その後、男は大学構内を歩きながら、「行方不明じゃない!死んだんだ!確かに聞いた。あの日俺たち三人で…」と誰かに電話します。

趙雲瀾は生徒たちに聞き込みを開始。まずはクラス長の劉亜東に話を聞きます。「とても信じられません。彼はスポーツが好きで、ときに喧嘩もしましたがまさか殺されるなんて…。クラスで仲がよかったのは王子強でした。彼の無念を晴らすため必ず捕まえてください」と言われ、「他言するな」とだけ言って去ります。
病院の外来に来た趙雲瀾は、王子強の調査は楚に任せます。王子強、張皓、現場に残された3の数字…「一人足りないな」と趙雲瀾は熱に浮かされた頭で思います。

大学構内で張助教とぶつかる王子強。楚が王子強に特調所の手帳を見せ、声をかけます。
薬ができたというアナウンスを聞いて郭長城がソファーから立ち上がると、歩いてきた女とぶつかります。彼女が落とした処方箋を手渡す趙雲瀾ですが、彼女がぶつかられても全く怒らず慌てて去っていったことに不審感を抱きます。

特調所に戻った趙雲瀾は、劉亜東に電話で病院にてぶつかった女について尋ねます。「一珂さんは体が弱く、誰とも付き合いがありません。いつも手袋をして人に触れるのが嫌みたいです。そういえば大学で指紋を採った時も、手袋を外さないのでもめたのを覚えています」と話す劉亜東。

彼女は処方されていた薬は全て貧血の治療薬でした。しかし病院の記録を調べても、診察は受けず薬をもらうだけです。正体がバレたくない…つまり地星人か?と想像を膨らませる趙雲瀾。

王子強も何かを隠しているようです。趙雲瀾は楚に尾行を続行させます。「死んだ張皓と何らかの共謀関係なら必ずボロを出すはずだ。しかし龍城大学、曲者ばかりが潜んでるな。それに張若楠も」と独り言を言う趙雲瀾に、「推理の前に薬を飲んで」と叱る紅。

その頃、大学構内を怯えながら歩く王子強は張皓が死んだあたりの植え込みに膝をつくと、「教えてくれ。お前が死んだのはあのことは原因なのか?だったら夢枕に立ってくれ」と懇願します。そこに劉亜東が表れたため、王子強は慌てて去ります。一部始終を見ていた楚は王子強を追いかけようとしますが、趙雲瀾から「夜は大慶が見張る」と連絡が入り、追跡を中止します。

趙雲瀾は沈巍の教授室におり、「私には情報を提供する義務があるが、何度も仕事を邪魔されては困る」とやんわりと諌められていました。しかし趙雲瀾は「次の犠牲を出さないための苦肉の策だ。4組の王子強と王一珂の印象は?」と沈巍が犯人であるかのように尋問を始めます。
沈巍は「特に何も。クラス長の劉亜東は真面目で親切だ。彼の印象だけはある」と端的に返します。「先生は生物には興味があるが人間にはさっぱりだな」と嫌味を言う趙雲瀾に、沈巍は「人を理解すれば苦しみや失望が減ると思うかい?多くの悲劇は最初から定められてる」と不穏な答えを返します。

王子強は教員宿舎の前で「どうすればいい」と祈るように両手を握り、学生宿舎に戻っていきます。小魚を食べながらうつらうらしていた大慶は学生宿舎の前で眠り込んでしまいます。その間に、張助教がなぜか学生宿舎の前に立っていました。
翌朝、大慶は王子強が死んだと電話で連絡を受けます。またも張皓と同じく老化した姿で見つかります。趙雲瀾は現場近くの石に「2」と書かれているのを見つけます。現場に張助教が来ているのを見つけた趙雲瀾は、現場に楚を残し、大慶と共に張助教の後を追います。

張助教と王一珂、劉亜東が話している現場を見つけ、趙雲瀾は改めて特調所の所長だと身分を明かし、調査に協力するよう要請します。
「王子強は昨晩、教員宿舎をずっと見上げてた。昨夜彼を見たんじゃ?」と言う大慶に、張助教は顔をこわばらせ、「ええ、彼に会いました」とだけ返します。
「先生、反省してます。殺さないで。命だけは助けてください」と王子強は土下座して謝りますが、張助教は妖艶に笑い、「許したりしないわよ。逃げて。できるだけ遠くへ」と言い放ったのでした。
趙雲瀾は「学生たちとの間で何があったか教えてくれないか?」と言い、劉亜東も「そうですよ!隠してないで…」と援護。張助教は「半月前…4組の3人が私の単位を取れず、ある計画を立てたんです」と話し始めます。
3人は「僕たちからのプレゼントです」と箱を差し出し、「夜、誕生会を開くので来てくださいね。広場で待ち合わせを」と言います。張助教はそのとおりに待っていましたが彼らは一向に来ません。諦めて深夜になって帰宅しようとした時、彼らに裏路地に連れ込まれ暴行を受けたのでした。

「犯行現場の数字は3人の生徒のことか。張皓と王子強ともう1人は…」と言う大慶。趙雲瀾はクラス長に「張先生を送り届けてくれ」と頼みます。
趙雲瀾は張助教の事情をそのまま沈巍に報告。「先生の様子が変だったのはそういうことか」と沈巍は納得するも、「なぜ私にそれを言いに来たんだ」と不可解そうです。「当然だろ、あんたは関係者なんだから」と趙雲瀾は沈巍を犯人だと疑い続けているようです。
ペーパーナイフをちらつかせながら「張先生の科目の成績表は手に入るか?」と言われ、冷たい表情で資料を出してやる沈巍。

張助教に温かい飲み物を出してやる劉亜東。「張先生はすばらしい教師です」と言う劉亜東に、「おこがましいわ、優秀な子を前にして…」と張助教は疲れ切っています。張助教が単位を落とさせた生徒の一人はなんと劉亜東でした。趙雲瀾は予想がついていたようで、「やはりな」とつぶやきます。劉亜東は「僕が悪かったんです。どうか許してください」と涙しながら張助教の前に膝をつきます。
張助教は、「許す?じゃあ私はどうなるの?何もかも失ったのに許せですって!?」と激怒します。「あの日はつい魔が差してしまって…主犯はあの二人なんです」と張助教の手を握り泣く劉亜東。張助教は彼の手を振り払い、「では怖がらず堂々と過ごせば?」と突き放します。

「見捨てないで!張皓も王子強も死んだ。次は絶対に僕です。死にたくありません。どうか許してください」と謝る劉亜東の前に、王一珂が鬼の形相で現れ「劉亜東!!」と叫ぶなり手袋を外します。「最後の一人だ。逃さない」と劉亜東を老化させていく王一珂のもとに趙雲瀾が現れます。

「おとなしく来てもらうぞ」と言う彼に手当り次第にファイルを投げつけ、王一珂は逃走。彼女の後を追おうとしますが、張助教が「私が殺したの!自首します!」と趙雲瀾に縋り付きます。

「王一珂が復讐し、君が庇ってる。一体どんな関係なんだ」と呆れる趙雲瀾。
ある日、王一珂はベンチに座り、体を縮こまらせて怯えていました。「助けが必要?」と張助教は声をかけ、そこから交流が始まったのです。
王一珂は地星人で、特別な力を持っていました。張助教のために花束を持っていこうとしても、手からその生気を吸い取ってしまうのです。でも好きな人に花を愛で贈りたいと思う彼女の優しい心を張助教は愛していました。

しかし、張助教が3人に襲われたことを知った王一珂は張皓と王子強を殺してしまいます。「姉さんを怪我した奴らは命で償わせる」と激怒する彼女に、「殺すほどじゃないわ、私が自首する」と懸命に言う張助教。しかし彼女を説得できない間に劉亜東が彼女の手にかかってしまったのでした。

趙雲瀾は紅を呼ぶと、「王徴を除けばお前は唯一の女メンバーだ。女同士のほうが話やすいだろ」と張助教に王一珂との関係などを尋問してもらいます。張助教は王一珂を「家族同然」だと言い、趙雲瀾は「ならなおさら止めるべきだ。過去に彼女が誰かを襲ったことはない。つまり今回のことは全て君のためだ。君が自首したら彼女に行動は意味がなくなる」と趙雲瀾は言います。
張助教のもとに王一珂から電話がかかってきます。「これが最後の電話よ」という彼女に、「今どこにいるの?」と不安がる張助教。“研究星人”が電話を逆探知します。

「実は”3 2 1”の後ろには”0”がいたの。これで本当に全てが終わる」と言って電話を切る王一珂。探知先は大学内でした。
趙雲瀾は直感で「0」が沈巍だと思い、慌てて彼のもとに向かいます。

予想通り、王一珂は沈巍の首に手をかけており、「この偽善者!若楠に下心があったんでしょ!指一本触れさせないわ。あなたには一生分からない…彼女の重みがね!彼女を守れたらこの生命には意味がある!」と能力を使いますが、沈巍は「それで?逃げるだけの一生を終えるのか?」と問いかけます。しかしどれだけ能力を使おうと、沈巍が老化しません。困惑する王一珂。そこに楚が駆けつけ、彼女を沈巍から引き離します。

慌てていた張助教は王一珂の素手を触ってしまい、一気に老化してしまいます。「姉さん!」と悲鳴をあげる王一珂に、趙雲瀾は「吸収したなら戻せる」と言いますが、王一珂は「できない!分からない!」と混乱しています。「王徴を呼べ、データがあるはずだ」と趙雲瀾は叫びますが、張助教は「これで良かったのよ。私のために十分やってくれた。あなたがいたからあの日からもやってこれた…私のことを恩人だと言ってくれたけれど、あなたこそ私の恩人だわ」と王一珂に語りかけます。

「あの日薬を取りに行かずにそばにいればよかった。これは償いなの…。姉さん、この世界で初めて手を差し伸べてくれた。姉さんだけが私を怪物扱いしなかったわ。初めて愛に触れることができたの。誰にも傷つけさせない。殺すことは罪だって分かってる。だから私のこの生命で罪を償うわ」と涙する王一珂。

王一珂は張助教に黒革の手袋をもらい、初めてさまざまなものに触れることができるようになったのです。手袋に頬ずりして喜んだあの日を思い出します。

趙雲瀾は「早く電話しろって言ってるだろ!」ともたもたしている郭長城に激怒しますが、張助教は「これでいいのよ」と王一珂の素手で自分の頬を触らせます。泣きながら微笑む二人。「これで気にせず私の顔に触れられるわね」と言う張助教に、「ごめんね」と泣き崩れる王一珂。「謝ることなんてないわ。私達にとって最良の結末よ」と言い、張助教はがくりと首を落とします。沈巍は微笑み死んだ張助教の肩を揺らしますが、やはり彼女は目を覚ましません。沈巍はまた嫌な予感を感じ取ります。

「情は仇となり得る。実に惜しい。全てを破壊できる駒だったが…しかし王一珂の特殊能力が効かぬとは。大学教授か」と長髪の男が笑います。

年老いた張助教の車椅子を押す沈巍。「一珂のため、ここを去ります。強くなって、罪を償います」と言う張助教。彼女は王一珂が初めてのバイト代で買ってくれたというチェキで写真を撮ってくれと言われますが、自分は撮れないと沈巍は申し訳無さそうに却下します。

「最近の学生は単位が取れないくらいで挫折するのか?」と呆れる“研究星人”。「幸い張若楠は一命をとりとめた、王一珂の力に耐性ができていたのかも」と大慶は返します。趙雲瀾は「そんなに単純な話か?」と口を挟みますが、紅は「あの状況で誰かが命を救ったのでも言うの?」と呆れます。王一珂は黒枹使に連行された後、どうなったのか誰も知りません。
「しかし、沈教授は目撃しても眉一つ動かさないんだからすごいな」と言う“研究星人”に、違和感を覚える趙雲瀾。

その頃、沈巍は大学から遠い場所ながらどこかへ引っ越すようでした。
沈巍は「読めない奴が他にもいたか」と、裏面に「ありがとう」と書かれたチェキを見つめていました。張助教のチェキを撮ってほしいという願いを却下した沈巍でしたが、「力になれる人を知っています」と王一珂に会わせたのでした。王一珂と張助教のツーショットのチェキを燃やす沈巍。

郭長城は「李茜と祖母、張助教と王一珂、命を顧みず愛する人を守った 教授は言った 奪った命は短いと だが誓いは永遠に変わらない 趙所長によれば、守ることは愛や家族の情より尊い 僕も特調所に残ってみんなを守れる人になりたい」と日記を書きます。

“研究星人”林静に女が話しかけます。「ボスから頼まれたアシスタント?」と顔もあげずに答える林静。「龍城一の科学者と働けて光栄です」と言われ、彼女を見るとなんとのっぺらぼう!ハッと目を覚ますと、そこは車の助手席で、趙雲瀾が窓にもたれかかって「どこの女の夢だった?」とにやついていました。
「普通の女子を殺すだけじゃ飽き足らず、顔を剥ぐなんてどれだけの恨みが?」と遺体の写真を見ていく林静。「連続殺人犯は昼は潜んで夜行動する。黒兄さんの言う通りだな。俺たちの管轄は物騒になる一方だ」とぼやく趙雲瀾。

「言っとくけど私は秘書なのよ!」と怒る祝紅に「人手不足だ、仕方ないだろう」と諌める楚。瞬間、楚が何かを見つけ、祝紅が通信機を持っていることを確認し近づきます。
趙雲瀾は「今回はあんたと関係ないよな」とぼやきます。その頃、沈巍は目を閉じ手から黒い煙を出しながら何かを探していました。「1つ現れれば残りも次々と浮かび上がる。一体どこだ?山河錐を捜索中か?」と脳内に声が響きます。

祝紅が「この私から逃げられると?」と高笑いした瞬間、物陰に隠れていた男を楚が縛り上げます。

一方、沈巍が街角で震えうずくまる女を見つけた途端、黒い煙が消えていき、さらに沈巍の足を掴み動けなくします。
間の悪いことにそこに趙雲瀾と林静が駆けつけます。泥のついた男の足跡、形状や大きさもこれまでの犯人と同じだと言う林静。「こちらを向け」と言う趙雲瀾に顔を見せる沈巍。趙雲瀾と林静は瞠目します。

たこわさ
たこわさ

地星人と家族のように愛し合う海星人がいると分かった回。
謎の長髪男がモリアーティの如く悪事の糸を引いてるのは分かるんですが、自ら沈巍を殺さないのには理由があるのでしょうか?🤔
沈巍の回想で趙雲瀾とは知己っぽかったから趙雲瀾が沈巍に敵意を持つ展開が辛いです…😭
次回、どうか沈巍の疑惑が晴れますように。

 

第4話 深まる謎

<あらすじ>
事件現場で沈巍(シェン・ウェイ)に遭遇した趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は、特調所で祝紅(ジュー・ホン)と楚恕之(チュー・シュージー)に沈巍の取調べをさせる。
だが沈巍は動じないどころか、むしろ2人をやり込めてしまう。
その様子を見ていた趙雲瀾は、沈巍よりも今回の被害者に疑惑を抱き、所員の祝紅、楚恕之、猫の大慶(ダーチン)に被害者を見張らせる。

祝紅と楚恕之が捕まえたのはただの人間でした。
事件現場で沈巍に遭遇した趙雲瀾は、特調所で祝紅と楚恕之に沈巍の取調べをさせます。

「龍城大学は市の北側で事件現場は正反対の方角、夜中に遠出をするのはおかしいわよね?事件現場を見ても動じないなんて度胸がありすぎるわよね?」と言う祝紅に、沈巍は「結論から言おう。現場の足跡を見ただろ?もうひとりの男が真犯人だ。1分ほどの差で犯人は見ていない」「亜獣族人には原始的な能力があるとか。君たち蛇族は潜入などのほか、催眠術も得意なはずだ。それなのに君は不必要な演技をしている。進化の途中か?」と冷静に言います。祝紅は「進化の途中で悪かったわね!」と憤慨して取調室を後にしてしまいます。
次に楚恕之が取調べますが、人形を丁寧に拭く楚恕之に、「まるで命があるようだ」とつぶやく沈巍。「価値ある命もあれば汚れてしまった魂もある。後者は傀儡のように綺麗にすべきだ」と言う楚恕之。「疑われるのもやむを得ないが、君たちは証拠を重視する。私はまだ容疑者だ自白は強要できない」と言う沈巍に、楚恕之は「話し方が知り合いに似ている…しかし足元にも及ばない」と言い、沈巍は「その人はきっと正々堂々とした英雄だろう」と笑います。
次に趙雲瀾が「単刀直入に聞く。あんたは最近の連続事件に関与してるのか?」と尋ねます。「してない」と即答する沈巍。趙雲瀾は笑い、彼を解放します。

大慶は「確かに教授は怪しいが今回は無関係だろう」とつぶやきながら被害者の周りにあった足跡の写真を見つめます。林静は「証拠が少なすぎるよ!被害者の記憶も曖昧だ」とさじを投げます。さらに、祝紅と楚恕之が押収した上着には闇の力の痕跡はなく、服の持ち主は犯人じゃないと断言。「いざとなったら私がおとりになって犯人をおびき出す」と意気込む祝紅。

「被害者の傷口から見て、犯人の力はさほど強くない。ただ、顔面を剥ぎ取る異常さが恐ろしい。犯人の目的が分かるまでむやみに動くな」と話す趙雲瀾は、楚恕之のこめかみが痙攣していることに気づきます。楚恕之は傀儡に尾行させて遠隔操作しているのです。

郭長城は楚恕之と病院に侵入し、「昨夜真犯人が逃げた」「お前に向かない事件」と聞いて怯えます。こそこそと扉を開けようとしていた男を楚恕之が捕まえると、男は「逮捕できないのは職務怠慢ですよ!」と大騒ぎします。

男の名前は、林玉森。平凡な大学生であるはずの彼が極秘事件の情報をどこで知ったのかと趙雲瀾は問い詰めます。「目撃したんです。僕は燕さんが好きでした。あの晩告白しようとしたら悪魔が現れた。あの顔は忘れません。見覚えのある顔だったから、ここへ手がかりを探しに来たんです」と言い募ります。
「犯人逮捕は俺たちの仕事だ。だが、犯行現場の林に案内してほしい。楚たちは特調所に戻って手がかりを探せ」と趙雲瀾は言い、歩き出します。自分は正義感も強いし健康だから捜査に関わらせてくれと頼む林玉森と無視する趙雲瀾の前に、なんと沈巍が現れ、「私もご一緒しても?」と微笑みます。「教授は潔白だから来なくていい」と趙雲瀾は言いますが、「残虐な犯人だから捕まらないと落ち着かない」と駄々をこねられ、仕方ないなと動向を許可する趙雲瀾。

「あの晩、ここで見失いました」と木を指差す林玉森。根本の土に妙な凹みがあります。男は180cmくらいのいい体格で、足のサイズは凹みと同じくらいだそう。

趙雲瀾は解決の糸口を見つけたようで近くの藪をかき分け何かを探し始めます。しかしその瞬間、「助けて!化け物がいる!」と女が趙雲瀾のもとに走ってきます。

男は逃げ、沈巍のもとに来て彼を殴りつけますが、沈巍が怯まなかったためそのまま走り去ります。趙雲瀾が沈巍の腕に傷があるのを見つけますが、その数秒後には傷はなくなって血だけがついており、「大丈夫です、怪我はしていません」と言う彼に違和感を覚えます。

敵を討つ前に命をなくすぞと林玉森を叱る趙雲瀾に、沈巍は、林玉森とは「木は複数で林、林は複数で森。1本の木は目を引くが大風が吹けば倒れてしまう。ご両親はそういう意味を込めたのでは?」と静かに諭します。

男から逃げてきた女・張丹妮に話を聴く趙雲瀾。
彼女は誰かに恨まれる覚えもないただの会社員で、昨夜の気晴らしをしようと散歩に行ったら男に腕を掴まれたのだそうです。

「俺の手も払えないのに君は無事だった。意外と勇ましいんだね」と言う趙雲瀾。「下半身を蹴ったのかも。慌てていて何も覚えていないんです。それに帰りにまた襲われないか不安なので送っていってください」と泣く張。
「あんなか弱い女が、襲われた翌日に郊外で散歩するか?それに昨夜壁には血が飛び散っていた。だが彼女にはそれらしい怪我はなかった」と趙雲瀾と沈巍は話します。

趙雲瀾は沈巍がいちいち危険な場面で怪我をしないことを反芻し、「この世の中には不可解なことが多いようだ」と彼への疑惑を匂わせます。

張丹妮は帰りながら郭長城に色目を使い、「家に寄っていかない?」と誘います。二人を尾行していた大慶は、浮かれる郭長城に釘を差します。
帰宅した張丹妮は自分を襲った(テイの)男に「特調所の奴と無駄話をするな」と諌められますが、逆に「説教しないで!この顔がどれくらい使えるかいい勉強になるじゃない」と男を張り倒します。男は「君が美人じゃなくたって僕は…」と泣き出しますが、張丹妮は「この顔はいいわね、しばらく使いましょう。監視がいないか見てきて。燭九の命令が来てる」と男を顎で使います。

おとり役を買って出た祝紅。なりきる彼女に林静は爆笑します。
趙雲瀾は沈巍と林を歩きながら、「巍」に深い意味があるのかと尋ねます。沈巍は驚いたように趙雲瀾を見つめ、「あるよ。私の大切な人が考えた特別な意味が」と微笑みます。「先祖代々伝わる教訓とか?しかし大学教授が友人だなんて言ったらおふくろは喜ぶだろうなあ」と言う趙雲瀾に、「貴重なのは心を許せる友人だよ。今の君を見ればお母さんも喜ぶさ」と答えます。しかし趙雲瀾の母はすでに他界しているのだそう。「俺に気を使うなよ」と話していると、林に突然林玉森が現れます。思わず追いかける趙雲瀾ですが、沈巍が走り出そうとするとまた足に黒い煙がへばりつき、動けません。

さらに大慶は緑色の霧を吸い失神。楚恕之が女の悲鳴を聞きつけて駆けつけると、そこには悲鳴を流すラジオが。祝紅は死角から出てきた男に拘束されます。

沈巍は手から黒い煙を出し、足元の煙を抹消します。「よく聞け。どこに隠れようと必ず探し出す」と言うなり、沈巍は両手から黒い煙を出します…が、趙雲瀾が「大の男がかくれんぼなんて恥ずかしくないのか」と叫んだため、そちらへ疾走します。それを木の影から見ていた、長髪の男。長髪の男は「面白くなってきたな」と笑います。

地面に罠をいくつも仕掛けている林玉森を見つけた趙雲瀾は「誰かに怪我させたらどうするつもりだ」と怒りますが、「怪我人が出たら僕が責任を取る。犯人は絶対ここに来ます」と断言。趙雲瀾は「まずこれらを片付けろ、家に帰れ。いいな」と言い聞かせます。
沈巍は片付けるのを手伝おうとしますが、趙雲瀾が自分を疑っているのを思い出しわざと怪我をし、患部から血が流れるのを見せます。趙雲瀾は「破傷風になったらどうするんだ」と沈巍を病院に連れていくと言います。沈巍はひとまず疑惑は晴れたと安堵のため息をつきます。

趙雲瀾は特調所に戻りますが、どこまでも林玉森が着いてきます。さらに「僕も龍城の英雄になりたい」と全く引き下がりません。卒業したら面接してやるし合格したら雇ってやる、それまでは君の代わりに敵を討ってやるからと趙雲瀾が約束すると、どうにか林玉森は納得して帰っていきました。

祝紅と大慶が攫われたと聞いた趙雲瀾・楚恕之・郭長城は張丹妮の家を捜査します。しかし、張丹妮は普通の人間で、前科もありません。
おかしいと趙雲瀾が考え込んでいると、何やら部屋のクローゼットから嫌な気配を感じます。クローゼットを開けると、そこには顔が剥がされた死体が入っていました。「前に会ったのはどうやら本物の張丹妮ではなかったようだ。大慶と祝紅は同時に消えた。犯人はきっと複数だ」と言う楚恕之。趙雲瀾も「張丹妮には地星人の強力な共犯者がいる」とつぶやきます。

とその時、林静が慌てて祝紅が身につけた通信機から彼女の居場所を割り出し、趙雲瀾たちに知らせます。投与された薬物が効いているようで、祝紅は力を発揮できません。男は「君は亜獣族人だったんだな。しかし彼女のためなんだ、仕方がない。彼女に使ってもらえれば君はもっと美人になる」と祝紅の首に手をかけます。祝紅が縄を全力で解いて建物の外に出ると、ちょうど趙雲瀾・楚恕之・郭長城が駆けつけたところでした。

「他人の顔の皮を奪うのは、面の皮が厚いからか?」と皮肉を言う趙雲瀾に、「恥知らずはお前らだ!彼女を変えたのは顔で判断するお前たちだ。彼女は俺の宝だ。喜んでもらえるなら俺は全力を尽くす。もう十分喜んでもらえただろう、俺は彼女を守ることに全力を尽くす」と言い、男は風のように祝紅のもとに飛んでいきます。祝紅を身を挺して守る郭長城。どうにか楚恕之が男の首に糸を巻きつけ、捕らえることができました。
しかし何の能力もないはずの郭長城が男を止められたことに趙雲瀾は驚きます。

その頃、沈巍は街中で長髪の男に付きまとわれていました。攻撃しようとすると、「下手くそ!あの有名な黒枹使様も所詮この程度か。いや、やっぱり力を押さえているんだな。特調所を巻き込むのを恐れているのか?独りは大変だな。お前の秘密を趙にバラしてやろうか?」と笑う声が聞こえます。
「警告しておく。彼を巻き込んだらただでは済まさんぞ」と言い、男に攻撃する沈巍。男は「俺を殺す気か?容易じゃないぞ。特調所が心配だろ?奴らに小さなサプライズを用意した」と笑い去ります。

趙雲瀾・楚恕之・郭長城・祝紅が車で特調所へ帰っていると、郭長城が自分は男を殺したのではと喚くので趙雲瀾と楚恕之がイライラし始めます。「黙れ」と楚恕之が激怒したその時、郭長城が車の前を指差し「危ない」と叫びます。車の前には何もありませんが、緑の霧が漂い、趙雲瀾は「何かがいたんだ」とつぶやきます。しかし突然楚恕之の体がくずおれます。
趙雲瀾が驚き彼を支えると、「地界ではみんなが震え上がる傀儡師も、大したことないのね」と張丹妮が現れます。楚恕之が「この毒霧は地星人だけに効くんだ。しばらくは動けない」と言うと、趙雲瀾は相手は女一人だと胸を張りますが、彼女の足元には失神した大慶が。

「取引よ。家輝をよこすならこいつを返すわ」と言われ、趙雲瀾は「そいつは俺たちの大切なペットだが、あいつはお前の大事な人なのか?」と尋ねます。張丹妮は「冗談でしょ!私が女王蜂ならあいつは働き蜂よ」と鼻で笑ったため、趙雲瀾は「なら取引不成立だ」と帰っていきます。

張丹妮は慌てて趙雲瀾を呼び止め、「彼が私に第二の人生をくれたの…せっかく逃げてきたのに、ここでの地星人の生活は地獄だった」と振り返ります。二人はゴミ箱から食べ物を漁っている時に出会い、たがいに能力を使いあったことで地星人だと理解します。

家輝は強力して暮らそうと持ちかけますが、張丹妮は「じゃあ私の顔を見てもそう言える?」とマスクを外します。絶句する彼に「結局みんな顔しか見てないのね」と立ち去る張丹妮。家輝は張丹妮を救いたいと特殊能力で女の顔を剥ぎ彼女に与えますが、徐々に張丹妮は「今の顔は飽きたわ」とゲーム感覚で顔を奪わせ、彼に遺体の始末をさせるようになっていました。

「彼には感謝してるわ。この世界を見つめ直せた。私は世界中の美しい顔を集めて好きな時に使うの!私はこの世界に償ってもらうの!」と言う張丹妮。「顔で判断する世間を憎んでるが、今のお前は外見で腐った内面を隠してる。目を覚ませ」と言う趙雲瀾の言葉を無視し、張丹妮は「彼を解放して」と再び要求します。その時、家輝が目を覚ましてしまい、郭長城は彼に手刀で攻撃されます。

一瞬の隙をついて楚恕之が大慶を取り戻し、張丹妮を攻撃。家輝は慌てて楚恕之に縋り付き、張丹妮に早く逃げろと叫びます。家輝は楚恕之に投げ飛ばされ、張丹妮は転がる家輝の腕に縋り付きます。激怒した張丹妮は「彼を傷つけるなんて」と身体中から毒霧を出し、その瞬間、林玉森が「彼女の敵だ!」と身体中に爆弾を巻きつけて張丹妮もろとも自殺を図ります。

そこに黒枹使が現れ、「林玉森も連れて行く。彼は条例に反して殺人を犯した。地界の地君殿に連れていく。それが私の努めだ。すまない」と黒焦げの死体になった3人を見つめて告げます。趙雲瀾は遅すぎる彼の到着に憤り、「公平無私な黒枹使様に任せる」と怒り去っていきます。悲しみをたたえた瞳で彼の後ろ姿を見送る黒枹使ですが、楚恕之と目で合図を交わし、地界へ帰っていきます。

長髪の男は「立て続けに策を講じたのに失敗するとは…だが、最後の勝負はこれからだ」と手を握りしめます。
黒枹使は楚恕之を呼び出すと、「君も私を冷淡だと思うか?」と尋ねます。楚恕之は「いいえ、きっとご理由があるのでしょう」と即答。黒枹使は怪我をした腕を楚恕之に見せます。「あなた様が怪我を負うとは…」と瞠目する彼に、黒枹使は「林玉森は地星人を殺せる火炎瓶を持っていた。彼は何者かに復讐心を利用され、気づかぬ間に闇の力を得たのかもしれない。闇の力は確かに願いを叶えるが、人間の力とは元来相容れないものだ。この力は人間に取り付いて離れることはない。そして死ねば体が爆発し何も残らない」と話します。楚恕之は「だから連行を…」と納得しますが、「趙雲瀾は情に厚い。林玉森が利用され遺体も残らないと知ったら面倒なことになる。このことは誰にも話すな。巻き込みたくない。今日は警戒を強めるよう忠告に来た」と言い去ろうとする黒枹使を思わず呼び止めてしまいます。
「みんなに釈明もせず、お一人で戦うつもりですか?」と言う楚恕之。

黒枹使は前世を思い出します。「巍々たる山と深い海がつながってる。山あり谷ありの休めない人生と同じだ。だから名前は沈巍」と名付けてくれた崑崙。楚恕之は黒枹使の背に一礼し、去ります。

「何があっても約束は必ず果たす。君に誓った。天下の民と海星の平和のためどんな重荷を負ってでも私はやり抜く」と黒枹使は心の中で呟きます。

たこわさ
たこわさ

もしや地星人は地上に出てきても犯罪に走るしか生きる術がない?😨
黒枹使が一人であまりに多くの憎悪と苦悩を背負いすぎてて辛いです。
楚恕之も秘密を共有してるけど全てじゃない。それに黒枹使は趙雲瀾(の前世 崑崙)との誓いを守るために奔走してるのに、趙雲瀾には嫌われてるのがやりきれない…🤦‍♀️

 

 第5話 浴室の失踪事件

<あらすじ>
政略結婚を前にした御曹司が浴室から姿を消し、特調所の一行は黄(ホアン)家を捜査する。
父親をはじめ周囲の人物全てに疑いを抱く楚恕之(チュー・シュージー)。
趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は冷静すぎる婚約者を怪しんで見張らせるが、彼女も同じように浴室で行方不明に。

ある夜、帰宅した(若)社長である麟奇は「結婚が近いのに遊び回るな」と父に一喝されます。しかし「犬にでも李家の娘と結婚させろよ」と減らず口を叩く彼に激怒する父と呆れる執事。
入浴していた麟奇はなぜか突然浴槽で溺れ、そのまま忽然と姿を消します。

沈巍は「最近続いた事件の影響で龍城大学に悪影響が出ている。学内の噂ではどの事件も沈教授が関わっていると。君を責めるつもりはないが、捜査員と一緒にいる姿が問題になっているんだ。ものは相談だが、教員宿舎を出ては?他の先生と距離を置くんだ。講義と研究のほうは従来どおり頼むよ。大学の評価は君の肩にかかってる。人事部に新居探しを手伝わせよう」と学長に言われます。

その頃、特調所では林静が妙な機械でポップコーンを作っていました。「進化に科学は必要だが危険を冒す必要はない」と笑う林静。長命時計を調べているのかと思った郭長城は拍子抜けしますが、汪徴と大慶は「長命時計は謎のままでいいわよ。検査機器がポンコツなのかもしれないし」「あれには意思があって使い手を選ぶ気がする」と話します。祝紅は「備品を私用で使うのは規則違反よ」と怒りますが、ポップコーンを食べさせられると笑顔になります。

次の事件は、政略結婚を前にした御曹司・黄麟奇が浴室から姿を消したという事件です。彼の父親は龍城機械の会長で大富豪の黄朝陽。趙雲瀾が呉執事に会長の趣味が独特だと目につくところに飾られた絵画を見ながら指摘すると、「それは御曹司がお描きになったんです。それに会長が40歳の時の子ですから溺愛しているんです」と説明されます。

趙雲瀾は会長に息子のことを質問しようとしますが、「呉以上のことは知りません。お前の方が詳しいだろう」と席を立ってしまいます。「黄会長!麟奇が失踪したと!?婚礼はどうなる!?」と男が怒鳴り込んできます。会長が捜査員を帰すように言ったため、男は「どうなっているんだ。なぜ捜査員を帰す?」と困惑。しかし会長は「下手に話せばやぶ蛇だ。あの時も大騒ぎになった」と男を言いくるめます。

本当に親子仲がいいのか疑わしいと言う趙雲瀾に、呉執事は「会長はいつも息子のいいなりでしたよ。しかし彼の言動に傷つかれていることもありました」と話します。「2人の間にトラブルが?話せば解決の手がかりになるかも」と言われると、「家庭内のことですから、使用人の私には言えません」と戸惑いつつも「会長は若社長のために縁談を組んだんです。あの李社長のご令嬢と。若社長は自分が会社の犠牲になったと考え、毎日口論をなさっていました」とため息をつきます。二人の視線の先には、その令嬢・李佳琪がいます。

ふと趙雲瀾が呉執事の肩に手を回そうとすると、彼は武術を会得した者特有のなめらかな動きでそれをかわします。「情報が入り次第お知らせください」と伝え、趙雲瀾・楚恕之・郭長城は家を後にします。林静はまだ事件現場で証拠を探していました。

趙雲瀾に意見を求められ、「全員怪しい。事件関係者全員が冷静すぎる」と楚恕之は言います。郭長城には李佳琪を見晴らせることに。楚恕之はこっそり彼女の乗ってきた車に追跡機を取り付けます。

沈巍は早速引っ越します。本当にこの部屋でいいのかと何度も確認する不動産屋。沈巍は良いのだと微笑みます。

李佳琪は父から黄麟奇のことはもう忘れろと言われていました。周家の息子と会ってみないかと言う父にうんざりし、風呂に入ろうと湯をためていると、突然浴槽から引っ張られ、またも忽然と姿を消します。祝紅と郭長城と大慶が李佳琪の家を見張っていましたが、彼女が失踪した夜、外部からは何者も侵入していません。

趙雲瀾は現場を保全してくれと林静に怒られながらも、湯を出します。鏡に「戻ってきたぞ」という文字が浮かび上がります。楚恕之曰く、追跡機の情報を見ても黄家からまっすぐ帰宅しており、犯人は李親子ではないと推測されます。

李佳琪の父は深夜に慌てて黄家に向かい、娘が行方不明になったと告げます。呉執事は黄麟奇が失踪した日、鏡に浮かび上がる「戻ってきたぞ」の言葉を見ており、李佳琪失踪の報を聞き凍りつきます。
森の池に向かい、「お前だろう!戻ってきたのか!お願いだから返事をしてくれ」と叫ぶ呉執事。そこに林静と楚恕之が現れ、「正体を現したな」と連行します。林静は池の水を採取。

趙雲瀾は呉執事に尋問。「黄家で働いてもう20年以上になります。当時龍城を転々として絶望のどん底にいた私は会長に救われたんです。命を助けてもらうより大きな恩はありません」と言う彼に、「なぜ捜査を撹乱しようとした?」と問い詰める趙雲瀾。呉執事は「何をおっしゃりたいか分かりません。今回の件と私は無関係です。池にいただけなのに、私を疑うなら証拠は?」と主張します。実際、林静が池の水を調査しましたが、何も出てこなかったのです。
趙雲瀾が「地星人の話は?」と尋ねると、呉執事は怯えたように窓の外を見ます。何者かが窓の外を通っていきました。「いえ、知りません」とやはり頑なな態度を崩さない呉執事。

「誰だ?店の外で見たぞ。何の用だ?」と尋ねる呉執事は、瞬間移動し背後にいた男に攻撃を仕掛けます。
沈巍は「瞬間移動は100歩が限界だったな。今はそれ以下だ。年を取れば動きは鈍る。無理をするな」と眼鏡を外しながら言います。呉執事は膝を付き「再びお会いできるとは」と涙ぐみます。「もう私に跪く必要はない」と沈巍は言いますが、「私ごときにこのような幸運が…」と咳込みます。
「私の件でいらしたので?」と尋ねる彼に、「ここは地上だ。私は特調所に介入できないため、警告に来た。何があろうと趙雲瀾には手を出すな」と答える沈巍。「趙所長になにか問題でも?」「知る必要はない。お前には十分な時間をやる。悔いを残すな」と会話し、二人は別れます。「だが私の残り時間は?」とひとりごちる沈巍。

「データを調べたけど、水系の能力は86種類ある。照合は難しいわ」と祝紅が言います。「地星人の証拠はまだ何も出てないよ。黒枹使を呼ぶ?」と大慶は言いますが、趙雲瀾は嫌そうに「だめだ」と即却下。林静が調べたところによると、浴槽の水は水道水ではなく川の水でした。

呉執事が怪しいと睨む特調所の面々。趙雲瀾は沈巍の大学の固定電話に電話をかけ、「今日はずっと大学に?」と疑います。「あなたを外で見かけた」とかまをかける趙雲瀾ですが、沈巍は「では潔白を証明しよう。私の力が必要なら声をかけてくれ」と答えます。趙雲瀾はもし事件の容疑者が沈巍なら謎を解くのが大変そうだと笑いつつ、沈巍の手を借りたいと願い出ます。

その頃、呉執事は突然「息子の暁君が戻ったんです」「まだ姿は見ていませんが、会える予感がするんです」と会長に言い、黄家を出て行こうとします。しかし会長は「予感など当てにならん。20年も経っていれば目の前にいても息子と分かるまい。それに居場所は分かるのか?」と反論します。思いつめた表情の呉執事は、「もちろん。今から迎えに行きます」と鞄一つ持って去っていきます。

20年前、出張から帰った呉執事に会長は「暁君は数日前から行方不明だ。一人でどこへいったのか全くわからない」と言いました。まだ幼い暁君がどこに行ったのか誰にも分からず、会長は新聞社のつてを使って紙面に尋ね人の広告を出してくれました。息子の面倒まで見てもらって…と恐縮する呉執事。

呉執事は池に来ていました。それを見つめる楚恕之・郭長城と謎のスーツの男達。
「かくれんぼが好きだったな。お前らしいよ、数日前にお前の夢を見た。母さんもいたよ」と呼びかけると、池の中から人型が飛び出し、「しつこいよ、父さん。今頃嘆きに来たのか。俺が憎くて見殺しにしたくせに。よく今更会いに来れたな」と人間の形になり、父を罵倒します。「違う!死んだと聞いていたんだ。墓もあった。毎年墓参りしたよ」と言う呉執事に、暁君は「奴らが俺を山に捨てた時、なぜ捜さなかった?」と言われ、「奴ら…?」と呉執事は顔を曇らせます。

その頃、会長と李佳琪の父は「呉が息子を探しに行ったぞ。尾行させたよな?二人共始末せねば」と話をしていました。実は呉執事が留守中、暁君は一人で水を操って遊んでいました。それを見た会長と李佳琪の父は「あの子は怪物だ」と恐れ、山に捨てたのです。「なぜ私たちを助けた会長が殺そうとするんだ」と言う呉執事に、それは「奴らが父さんも化け物だと知らないからさ。知っていれば助けたことを後悔した」と暁君は指を突きつけます。

その指先にかつて自分が贈った指輪がはまっているのを見た呉執事は、「父さんを忘れていない証拠だ」と喜びます。暁君は「こんなもの」と眼の前で指輪を池に投げ捨てます。

「私や会長たちを憎んでもいい。けれどお子さんたちに罪はないんだ」と庇います。それを聞いて、「自分の息子はどうでもいいのか。これきりだ。二度と合わない」と言うと暁君は池の中に戻っていきます。池には黄麟奇と李佳琪が水で縛られていました。

 

「僕のことが嫌いだったろ。巻き込んで悪かったな。君だけは生きろ」と言う黄麟奇に、「あなたと一緒なら平気よ。結婚が嫌なの?」と目を伏せる李佳琪。「僕を嫌がってたんじゃないのか」と彼女の手を握る黄麟奇。

暁君は二人の前に現れると、「仲がいいことだ。思い知れ。死を前にすればどんな勘定も消え失せる。親子の愛も男女の愛も例外じゃない」と二人を池に沈めていきます。瞬間移動で暁君を止める呉執事ですが、「この20年間俺がどんな思いをしたか!」と泣きながら父を殴り倒します。
呉執事は「彼らに罪はない。頼むから私を恨んでくれ」と膝をついて謝ります。

父の説得に心動かされ、「なぜ?どうしてなんだ」と泣きじゃくりながら暁君は呉執事に抱きつきます。しかしそこに黄家のボディーガードたちが現れ、毒の銃弾を暁君に打ち込もうとしますが、呉執事が息子を庇ってしまいます。銃弾に倒れる呉執事。なおも自分を殺そうとするボディーガードに、暁君は水を噴射して応戦。呉執事は特調所のメンバーが駆けつけるのを見て「お前だけは逃げろ」と彼を池に逃します。

「役立たずが。逃しただと?」と豪邸の庭で電話の向こうの者を叱りつける会長。
その時、目の前のプールの水面がうねりだし、暁君が会長に襲いかかろうとしますが、電気のバリアのせいで人型に戻ってしまいます。暁君に「馬鹿め。私が丸腰でいると思ったか?」とボディーガードに殴らせます。指にはめていた父の形見の指輪を「安物だな」と投げ捨てた会長に激怒し殺そうとしますが、趙雲瀾が「こいつらの犯した罪は法で裁く。父親の心配をしろ」と割って入ってきます。

父を助けてくれと涙する暁君ですが、呉執事は虫の息です。郭長城は居ても立っても居られず、長命時計で助けてくれと趙雲瀾に懇願。趙雲瀾は使おうとしますが、全く反応しません。「命が懸かってる」と趙雲瀾が力を込めると長命時計は反応しますが、突然黒枹使が現れます。
「趙所長、分かっているのか?長命時計を使って死者を蘇らせれば、自分の寿命が縮まるぞ。その価値が?」と尋ねる彼に、「まだ死んでない。見殺しにするなら俺は死者と同じだ」と言う趙雲瀾。暁君を始めとして、特調所のメンバーたちは口々に「お願いします」「お力添えを」と懇願。
趙雲瀾は「俺たちも地星人も同じ人間だ。救ってやってくれ」と言い。黒枹使は「特調所は以前とは違うようだ…」と心の中でつぶやくと、呉執事を生き返らせます。

長髪の男は「役立たずの親子め。次の手を討つぞ」と木の駒らしきものを手で握りつぶします。

暁君と呉執事を連れて地界に戻った黒枹使は、2人の男たちから、地君が「罪人を渡せ」と命令じていると言付けられます。「地君殿に送らなくて良いと?」と彼らの書類を確認する黒枹使。男たちの興味が暁君と呉執事に逸れた瞬間に黒枹使が男たちを攻撃。男たちは煙になって消えます。「地星人が仲間を襲うなんて」と言う呉執事に、「地星人には悪事を企む者もいる。口を塞ぐ気だ。地君殿に着く前に尋ねたいことがある。かつて聖器の捜索部隊が突然連絡を絶った。一体何があったのだ?」と尋ねる黒枹使。呉執事は緊張した面持ちで口を引き絞ります。

長命時計を見つめる趙雲瀾は、「君は命しか見ていない。次に聖器を呼び覚ませばどうなるか」と黒枹使の言葉を思い出しため息をつきます。その瞬間、長命時計が光りだし、新たな聖器の形を空中に浮かび上がらせます。驚愕する趙雲瀾。

「あの日何が起きたのかまだ話せないのか?」と問う黒枹使に、呉執事は「いえ、隠す気などありません。恥を忍んでお話します。あの夜、私の隊は森を通過中に幽獣に囲まれたのです。私は襲われて気を失い、気づくと隊は全滅していました」と語ります。「やはり何も知らぬようだな…」と言う黒枹使。「隊長は生き延びた。地上に潜み、罪を重ねていたが私が見つける前に殺されたのだ。残念だがこれで手がかりは途切れたな」と呟きます。「そういえば隊長が言っていました。夫人が身ごもったと」「では子孫が生きているのか?」と目を見張る黒枹使。

恋人と同棲しているとある女。バスルームに入り、鏡を見るとなぜか自分が写っていません。そしてそのまま彼女はバスルームから忽然と姿を消します。

「僕は猫界の覇者だぞ!朝ランなんて…」とぶーたれる大慶に、「猫の時はどうしようが勝手だが、人間の時は鍛えておけよ。沈教授を見習えよ。なんでも即答だぞ」と話す趙雲瀾。「本心ですか、それ?最近教授がらみの事件ばかりですよ」と大慶が返していると、なんと沈巍とばったり会う趙雲瀾。「どうしてここに!?」と驚く趙雲瀾に、「越してきたんです」と微笑む沈巍。「大学から遠すぎないか?」と聞かれますが、「定時出勤じゃないからね。距離より費用重視です」と笑います。「荷解きを手伝おうか」と趙雲瀾は申し出ますが、沈巍は「単身なのでもう済みました。用があるので私は失礼」と去っていきます。
「どういう意図だと思う?わざわざ近所に越してきて、住所を言わないなんて。面白い奴だよな」と大慶の肩を叩く趙雲瀾。大慶は「調べてやる」と好奇心の炎を燃やします。

楚恕之の後をつける郭長城。街には女の写真が貼られた「尋ね人」の紙が転がっています。楚恕之は郭長城の前に現れると「不合格だ。尾行で相手を見失うな。見失ったが最後、尾行されるのはお前だぞ」とベンチに座らせます。そこにはいつの間にか趙雲瀾が座っており、「郭ちゃんは7回連続で落第か〜。感想を言ってみろ」と睨めつけます。趙雲瀾に電話が入り、「密室で失踪した」という事件を追うことになります。

「彼女は一人で外出しません。特に晴れた日は。日光を避けていました」と話す恋人(男)。事件当時の状況を聞く大慶。浴室に異様な点はありません。「また暁君君の仕業ですかね?」と郭長城は言いますが、「罪人が簡単に舞い戻るようでは、摂政官がさぞかし嘆くだろう」と趙雲瀾は皮肉を言います。「地界には摂政官がいるんですか?黒枹使様だけかと」と言う郭長城に、「古今東西、どの世界のどんな種族にも群れる生き物には階級差がつきものだ。だからこそ殺戮や迫害が耐えない」と楚恕之はつぶやきます。
すると突然、床に謎の虫型機械が登場。機械を手に「室内と同じだ。窓の外に指紋はない。争った形跡や血液反応も」と言う楚恕之に、「手がかりはそれだけですか?」と焦る郭長城。「手がかりは逃げない。見つけるかどうかだ」と言う趙雲瀾。

趙雲瀾は再度事件の日の最初から最後までを話すよう男に迫ります。自分たちは普通の事件は取り扱わない、怪事件だから我々が派遣されたのだと続けます。大慶が「恋人が失踪する前に何か妙なことは?」と男に質問すると、「どこから話せば?」と頭を抱え始めます。

男は回想します。帰宅して「薇薇」と恋人の名前を呼びますが、寝室に彼女はいませんでした。
最初に妙なことが起きたのは浴室です。恋人の首を謎の女が締めており、慌てて男が引き離し女を振り返ると、そこには誰もいなかったのです。

 

第6話 鏡の向こう側

<あらすじ>
結婚間近の周薇薇(ジョウ・ウェイウェイ)が失踪し、恋人の季小白(ジー・シャオバイ)が行方を捜していた。
その後、薇薇は何事もなかったように戻ってくるが、小白は不信感をぬぐえない。
その夜、趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は沈巍(シェン・ウェイ)に捜査協力を要請していた。親しげに意見を交換し合う2人。

結婚間近の周薇薇が密室のはずの浴室で突然失踪し、恋人の季小白は行方を捜していました。

困る、男、悩む

最初に妙なことが起きたのも自宅の浴室でした。女が周薇薇の首を絞めており、慌てて女から彼女を救ったものの、振り返れば誰もおらず…緊張で見間違えたのかとその時は気にもとめませんでした。しかし周薇薇は日に日に情緒不安定になっていきます。
結婚式の写真と撮る時、メイクが終わった自分の顔を見て悲鳴を上げたのです。慌てて駆けつけると、「私の顔を見て。全ては嘘じゃないって言って」と不安げに言うのです。

ただのマリッジブルーですよね?と季小白は趙雲瀾に縋り付きますが、大慶は趙雲瀾たちにだけ聞こえる声で「愚かな人類め…戻ってくるのもほぼ不可能だろう」とつぶやきます。

楚恕之から季小白と周薇薇のツーショット写真を受け取った趙雲瀾は、「意見を聞きに行ってくる。郭ちゃんと残って彼の記憶を掘り起こせ」と命じます。
気分転換に散歩しましょうと言う郭長城に釣れられ、季小白・楚恕之・郭長城の三人は公園に向かいます。郭長城は幼い頃遊んでくれる友達がおらず、一人で公園で遊んでいたそうです。「家族は?」と季小白に尋ねられ、「優しい叔父と叔母がいますが、忙しいので一人で遊んでいました。両親はいません」と困ったようにうつむく郭長城に、申し訳なさげな季小白。楚恕之は下戸だと言う季小白に酒を差し出し、「景気づけだ。恋人は君を待ってる」と勇気づけます。
「カササギが鳴いてる!吉報が舞い込む予兆ですよ!願い事を言えば必ず叶います!」と騒ぐ郭長城。季小白は「薇薇戻ってきてくれ!君が恋しい」と叫びます。楚恕之が郭長城に「お前の願い事は?」と尋ねると、「皆が幸せになること」と笑います。その瞬間、楚恕之は「弟よ、お前の願いごとは?」と尋ねたときに弟から返ってきた言葉と同じだと気づきます。もう一度言ってくれと乞い、思わず涙しそうになる楚恕之。

とその時、季小白のスマホが鳴ります。なんと周薇薇からの電話です。

教員宿舎の前でうろつく沈巍。「当時敗戦した地星人は追放された。だが戦争の際、亜獣族は中立を保ち続けたため、海星人と平和共存できた。森に住む蛇族や探し当てにくい鴉族よりよく見かける花族のようが親しみがある」と傍らの黄色い花を見つめる沈巍。「私たちを知ってるなんて何者?」と女は姿を現します。「沈巍。生物工学科の教授だ」と言う彼に、「毎日見てるからそれは百も承知よ!別の顔を持っているようね。正体は?」と尋ねます。沈巍が手から杖を出すと、「黒枹使様でしたか。とんだご無礼を。ただ争い事には加担できません」ときっぱり言われます。「亜獣族の情報網は広く、博識だと聞く。君たちに探してもらいたい人がいる」と言う沈巍名前で、女は瞬時に花に戻ります。バイクに乗った男ー趙雲瀾が沈巍を尋ねてきたのです。

季小白は家で周薇薇を抱きしめます。「たった半日で大げさよ。親友の家に行って返ってきたらあなたは出かけてた」と周薇薇は言いますが、彼女が失踪していたのは半日どころではありません。季小白は困惑します。「彼らはどなた?」と楚恕之と郭長城に話を振られたため、季小白は「友人だ」ととっさにごまかします。
「君が周さんか?季小白、改めて話を聞きに来る」と言う楚恕之。「何のお話です?」と彼の腕に絡みつき笑顔の周薇薇。郭長城は「お邪魔ですよ。帰りましょう」と慌てて場を後にします。季小白は言いしれぬ奇妙さ、不安感を覚えます。

沈巍は「私を疑わず純粋に意見を聞きに来たのは初めてだね」と趙雲瀾を揶揄します。「俺になにか言いたいことがあるのか?」と上目遣いで聞いてくる趙雲瀾に、「ないよ。でも何度も疑われては抗議もしたくなる」と穏やかに返します。そして趙雲瀾が持ってきた資料を見て、「前代未聞というほどの案件ではない、これは君が選んだ資料だろ。君は私にある疑念を示そうとしている。どの状況においても共通点がある。それはー」と言うと、趙雲瀾のもとに周薇薇が戻り平然としているという電話がかかってきます。

「どこに行ってたんだ?友達って誰?」と尋ねる季小白に、「取り調べみたい。あなたの知らない人よ」と周薇薇は冷たい態度です。「その人に食事をご馳走したい」と言っても、「結婚式を済ませるのが先でしょ」と淡々としています。
「覚えているか?左手の薬指に指輪をはめる意味を。その指が心臓につながっているからだ」と彼女の左手を見ると、指輪がありません。「薇薇、指輪は?」と驚愕する季小白に、「指輪って?」と心底意味がわからないと言いたげに返す周薇薇。季小白の困惑した表情を見て焦ったのか、「思い出した!私って馬鹿ね、洗面所にあるはずよ」とごまかします。しかし季小白が探してくれても洗面所に指輪はありません。「ないぞ」と季小白が言うと、「鞄の中かも、明日探すわ」と布団をかぶって答えます。

季小白はふと「このホットミルクがないと眠れないの。おばあちゃんになっても毎晩作ってね。約束よ、分かった?」と言ってくれた自分のホットミルクを飲まない周薇薇を見て、違和感を抱きます。

沈巍は「気づいてるだろ?メイクルームと更衣室、どちらにも存在するものがある。それは…」、「鏡だ」と声を合わせる趙雲瀾と沈巍。

翌日、郭長城は何者かに追われていました。相手を撒き、逆に捕らえようとしたところ、それが季小白だと分かります。季小白は「彼女のことを助けてくれ。今の彼女は別人だ」とすがりついてきます。「この鏡です。彼女はこの中なんです」と何の変哲もない三面鏡を指差す季小白。

周薇薇は「とぼけないで。指輪じゃどこなの?何のつもり?鏡を割って彼を見られなくしてやる」と鏡の中の自分を脅し、その後鏡の中の彼女は煙のように姿を消したのだそう。

 

「こんな話馬鹿げてる。でもこうやって鏡の中に入ったんだ」と無理やり鏡に入ろうとする季小白。「ここが出入り口だな」と言う趙雲瀾。
「女が戻ったそうだ」と沈巍に話した時、真っ先に彼は「それは本物か?」と返しました。「ならどんな方法で鏡を通じてもう1人の自分に?」と意地悪く尋ねる趙雲瀾に、「君も言ったとおり、鏡の中の自分が別人だとは誰も考えまい。鏡は光の反射で姿が映る。鏡には凹面鏡と凸面鏡があり、それぞれ垂直に当たった光は各各の軌道で反射する。鏡の中と外が別世界だとしよう。光が反射した時 起きる反応が両世界を繋げるのかも」と言います。
そのとおりに鏡に光を当てていた趙雲瀾は、突然光が反射しなくなった時を見逃さず、「今だ」と鏡に手を突っ込みます。するすると体ごと鏡の中に入り、彼に続いて季小白・楚恕之・郭長城も鏡に入ります。

鏡の中は鏡の外と同じ間取りになっていますが、なぜかいろんな物が浮遊しています。
「諦めてよ。指輪を渡しなさい。どうせ結ばれない。渡しなさい!出して!」「これだけは記念に残しておきたいの」と言い合う二人の声がどこからか聞こえます。

季小白がふと宙を舞う指輪を掴むと、それは二人の結婚指輪でした。「薇薇」とつぶやいた瞬間、周薇薇が「小白!」と叫びながら縋りついてきます。どちらが本物の周薇薇なのか。遠くに立ちすくむもう一人の周薇薇。周薇薇に「分からない?」と見つめられ、季小白は縋りついて来なかった方の周薇薇に近づき、「君か」と告げます。

写真を撮るのが好きな季小白はよく周薇薇の写真を撮っていましたが、「撮影は終わり!写真は苦手なの」と彼女はよく困っていました。けれど、季小白は「たくさん写真を撮って、二人の大切な時間を分かち合いたいんだ」とよくキスしたものでした。
しかし趙雲瀾が制止します。「その女には影がない」。ひっと悲鳴をあげ後ずさる季小白に、「私があなたの愛した薇薇よ」と彼女は涙します。「怖いわ!怪物よ!」という人間の周薇薇に、季小白はうなずいてしまいます。
それを見た影のない周薇薇は、「怪物…そうね…」と手に炎のような煙を巻き上げます。突如、部屋の中に突風が吹き荒れます。鏡の中では傀儡は使えないため、楚恕之は何もできません。

「いいわ!みんな私と一緒に死んで!」と周薇薇が叫んだ途端、黒枹使が登場。「新鮮な空気を求め地界を出るのは軽罪だが、君は人を殺めようとした。それは許されない」と黒枹使は彼女を拘束。季小白は泣きながら「教えてほしいの。全ては嘘じゃないって」と言っていた彼女を思い出します。「ようやく立派な指輪を君に贈れるよ。あとは君が最高の花嫁になるだけだ」と彼女を抱きしめた日々。周薇薇の部屋の鏡が全て凍りつきます。

「地星人引き渡し証明」書に判子を押す黒枹使。「彼女は人間界に残された地星人の子で、我らも見落としていた」と言う黒枹使。「地星人には人間界で能力を使わないでほしいだけだ」と言う趙雲瀾に、「力の乱用はたしかに間違っている。だが心に留めておいてくれ。万事万物には陰と陽、善と悪がある。海星人と地星人はただ種別が違うだけだ。人の心は種別で判断できない…話しすぎたか、失礼」と去っていく黒枹使。

ほっこり、男、ハート

趙雲瀾は周薇薇のもとを訪ね、捜査で借りた写真を返します。「漏れがないか確認を」と言う彼に、「きっとないわ」と写真から目をそらす周薇薇。「美しい背景の写真だな。一体どこで撮影を?」「このしゃれた服は?恋人に買いたい」と趙雲瀾は写真を取り上げ次々尋ねますが、周薇薇は「忘れたわ。近くの公園だったかしら」「近所よ」と苛立ったように答えます。
「周さん、記憶障害でも起きたのか?実は何も知らないのか?本当に彼が愛したのは君なのか?間違いなく君は人間だ。だが彼が結婚相手に選んだ薇薇は君のほうじゃない」と趙雲瀾は言い切ります。周薇薇は立ち上がると、「よく見て!私には影があるでしょ!全部私のものになって当然よ!彼女は偽物なんだから!」と激怒する周薇薇。

かつて「私の恋人を奪っておいて捨てたのね。美人は勝手すぎる。ブスは惨めだわ。勉強ができる女より美人が得するの。こんな私にはうんざりよ」と周薇薇が鏡に向かって愚痴っていた時、「本当に?」と鏡の中の自分が話しかけて来ました。
「怖がらないで。鏡の中にいるから外の世界に出てみたかったの。私と代わって」と言われ、周薇薇は彼女を信じて1年間入れ替わりました。その間、鏡の中で自分も楽しむつもりだったのです。
鏡の中の周薇薇は鏡から出た途端、大喜びしますが、自分に影がないことにもすぐに気づきます。最初は2人でイメチェンの方法やどう実家から出るかを話し合っていましたが、鏡の中の周薇薇は垢抜けた途端恋人を作りました。「本来私が得るべきものでしょ?」と言う周薇薇。

鏡を見るたび周薇薇が怯えていたのは、鏡の中に人間の周薇薇がおり、恨めしそうに彼女を見つめているからでした。
鏡の中の周薇薇が季小白と愛し合っている姿を鏡の中から見ながら、「愛を実らせ私を鏡の中に閉じ込めて、私の全てを奪った!怪物に人間の生活は不相応よ!私は何か間違ってる?」と周薇薇は憎しみを吐き出します。

「俺には分からないが、君と同じ考えの人間がいる」と言い、趙雲瀾は季小白を部屋に引き入れます。「あの時、どちらが愛した人か分かってたはずだ」と言う趙雲瀾にうなずく季小白。

「あの時、実はすごく戸惑ってた。みんな本物は君で彼女を偽物だと言う。でも愛おしいのは彼女だった」と言う季小白。「でも受け入れる勇気がなかった!違うか?」と趙雲瀾は言葉を突きつけます。「僕は普通の人間なんだ。彼女は…」と言う季小白に、「真相ははっきりしたし、幕を引く時だ。そうだ、おせっかいかもしれないが後悔しない選択をしてほしい。もう彼女は戻ってこられないからな」と趙雲瀾は言い置いて部屋を去ります。

季小白は周薇薇と撮った写真をふと見つめます。かつて、「見てくれ!いい写真だと思わないか?この表情も…」とカメラを見せる彼に、周薇薇は「私がブサイクになったら写真は撮らないでね」と困ったように言いました。季小白は「ありないよ!これからは僕たちの記念日と誕生日には写真と撮ろう。一緒に人生の記録を残していくんだ。僕たちが年老いたら、孫たちに写真を撮ってもらえばいい」と言いました。これまで彼女と撮った写真たちは壁一面に飾られています。
郭長城が連れ出した公園で、季小白は周薇薇に「決意表明を!僕は君の王子になる!護衛もするし影にもなる。僕にその機会をくれるか?」と、彼女の前にひざまずき、約束したことも思い出します。

季小白は結婚指輪を指から抜き、机に置くと部屋から去ろうとします。周薇薇は彼の背に縋り付き、「待って!私が本物なのよ」と言いますが、季小白は「でも彼女じゃない」と言って去ります。部屋に1人取り残された周薇薇は、恨めしそうに鏡野中の自分を見つめます。

「人の心は人の心によって傷つけられる。君と彼は異なる世界の存在だ」と言う黒枹使に、「分かっています。全ては私の妄想だったと」と言う周薇薇。「一生鏡の中に住み、能力を使わなければ存在を隠しきれた。だが君は父親と同じ道を歩み、華やかな世界と愛を求め、自ら災いを招いたのだ」と黒枹使が言うと、「父のことをご存知なんですか!?」と周薇薇は勢い込んで尋ねます。
「彼は重責を担う部下だった。だが彼は…重大な秘密をすぐに私に報告しなかったのだ」と言葉を濁す黒枹使。「父の口癖でした。”山河は鎮まり、天地を分かつ” どういう意味でしょうか?」と言う彼女の言葉を反芻する黒枹使。

郭長城は「季さんと薇薇は別れた。疑問だ。2人は心から愛し合っていたはず。所長は”大人になれば分かる”と言う。紅さんは憤慨してた。”壁を乗り越える勇気のない季小白のような男は真実の愛を得られない”。どんな人なら紅さんのお眼鏡に叶うのかな。こんな話、紅さんにバレたら怒られる」と日記を書きます。

趙雲瀾は大慶に意見を求めます。「教授は地界と関係がある。もし否定するのならボスは操られてるな」と言う大慶に、「どこに俺を操れるやつが?」と鼻で笑う趙雲瀾。「あいつが地星人だとしたら?どうする?捕まえるのか?」「捕まえる?悪いことは何もしてない。それは”やぶ蛇だ”」と話す2人。大慶は「地星人なら誰でも捕まえる主義だったよな。結局気になるんだろ?なら地星人か確かめよう」と趙雲瀾に詰め寄ります。

趙雲瀾は林静に沈巍の部屋を探し出させ、大慶と共に侵入。「同じ地区とは聞いていたが、真向かいの家とは。でもいつから?」と言いながら部屋をうろつく趙雲瀾。大慶は物をひっくり返してみたり、書類をチェックしたりとせわしなく動き回ります。

「近くにいても相手に出会わないことはある。でもある日から頻繁に会うように。それが運命ってやつだ」と言う大慶。「なんだよ、ドラ猫は詩人だったのか?」「なんでかな、昔の飼い主の言葉かも」「ウソつけ。年で物忘れが激しいくせに。その飼主の名前も覚えてないだろ?」「愚かな人類め。心に刻まれた言葉ってのは色褪せないんだよ」と2人は言い合います。

趙雲瀾は沈巍の机の上で本の下敷きになっていた特調所の調査書類を見つけます。
沈巍は帰宅すると、戸とベランダの鍵が空いていることに気づきますが、微笑み、あえて見逃します。

「摂政官との連絡用のお香は?」と趙雲瀾は大慶にお香を焚かせます。「鎮魂令主様 何なりとご用命を」と言う煙に向かって、「沈巍という男が地界に詳しい。龍城大学生物工学科の教授だ。地界に情報があれば知りたい」と伝えると「摂政官様に伝えます」と返ってきます。

翌日、龍城大学の沈巍の部屋に楚恕之がやってきます。「所長からあなたに贈り物が。日頃のお礼だと」と楚恕之が渡したのは、「沈巍教授は学界の良心 趙雲瀾」と書かれた謎の旗。「感謝を伝えてくれ」と言う沈巍。旗には隠しカメラが仕込まれています。大慶は「細工で教授を探るのか?ダサいやり方だ」と笑います。

「老いぼれ摂政官め、回答が遅すぎる」と文句を言う大慶に、「なら自分で動くまでだ」と趙雲瀾は即答。「直接対決するつもりか?俺は出ていかないぞ」と大慶が言うと、「馬鹿言うな。教授とは友好関係を保つ。楚だ。敵に思惑を知られないためだ。楚が怪しまれても構わん。敵が動かないなら動かしてやるまでだ」と言う趙雲瀾。「楚の困惑した顔が目に浮かぶよ。教授を探るふりをして楚で遊んでる?」とふざける大慶に、「何か引っかかる」と趙雲瀾はため息を尽きます。
しかし大慶は「なんでそんなに疑問が多いんだ?教授は協力者だろ」と首をひねります。「俺にさえそっけない楚だが、1人にだけは敬意を払う。黒枹使だ」と言う趙雲瀾に、「なぜ黒枹使の話を?」と不思議そうな大慶。「さあな、なんとなくだ」「ふうん、黒枹使様!ボスが恋しいそうです!」とじゃれる2人。

沈巍の部屋を見張る趙雲瀾。学長が「休学は李茜の意思なんだ。自ら手続きも済ませてる」と言うと、「退学する方向で?家庭状況が複雑です。彼女の精神的サポートをした上で…」と食い下がる沈巍。しかし学長は「彼女は複雑な状況だ。だがこのまま学習を続けられる状況ではない」と断言。そこに趙雲瀾が現れます。「李茜の悩みに気づいてやれなかった」と沈鬱な表情で言う沈巍に、趙雲瀾は「何でも背負い込みすぎじゃないか?」と軽口を叩きます。「師である私の過ちだ…いや、この話はやめよう」と沈巍が言うと、「あんたの生徒は幸せだな。今彼女は何を?」と尋ねる趙雲瀾。「事件後、日は浅いし落ち着くのは無理だろう。家で休養してる」「1人で過ごすのもいい。元気になるといいな。落ち着いた頃に会いに行ってみる」「しばらくは静かに過ごさせてやりたい。授業の時間だ。行くよ」と会話する2人。趙雲瀾は去っていく沈巍の背中を睨みつけます。

長髪の男は、また将棋盤の前に座っており、「次は…お前だ」と駒を動かします。

帰宅していた沈巍は、「兄ちゃん、金を貸してくれよ」とゴロツキたちにカツアゲされます。沈巍は無表情に財布から金を出して与えますが、ゴロツキたちはニヤつき、鞄を奪います。「携帯はどこにある?」「ない」と会話すると、沈巍の体を無遠慮に触り始めるゴロツキたち。彼の時計を見つけ、「ブランド物なら1万元はするぞ」と外しにかかります。「自分で外す」と彼らに時計を渡すと、「帰っても?」と冷静に問いかけます。
「は?たかりに遭ってるのに何をスカしてる?”ごめんなさい”と謝れ。ビビってるくせに」とさらにゴロツキに絡まれる沈巍ですが、顔色一つ変えません。

たこわさ
たこわさ

地星人なら誰でも捕まえる主義の趙雲瀾が、黒枹使の「海星人と地星人はただ種別が違うだけだ。人の心は種別で判断できない」に影響されてて胸熱です。
大慶の「心に刻まれた言葉ってのは色褪せないんだよ」が趙雲瀾と沈巍の前世を示唆するようで苦しい…。
不良にカツアゲされていた沈巍の行方が不安です😨

 

第7話 模倣殺人

<あらすじ>
ゴロツキから沈巍(シェン・ウェイ)を助けた趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は、沈巍に特調所の顧問にならないかと持ち掛ける。
だが沈巍は首を縦に振らない。
翌朝、沈巍を襲ったゴロツキの1人が同じ場所で凍死体となって発見される。

ゴロツキに絡まれる沈巍。「翡翠なら悪くない」と首から下げているネックレスを奪われそうになり、沈巍は初めて「触れるな」と怒りをあらわにします。

相手を倒そうとしますが、背後から趙雲瀾が来たため沈巍は反撃を控えます。ゴロツキから鉄パイプで殴りかかられた時に腕を怪我した趙雲瀾を案じ、自分の部屋に連れ込み手当する沈巍。まるで図ったように自分の背後から現れた趙雲瀾に、沈巍はゴロツキを雇ったのは趙雲瀾なのではと訝しみます。

趙雲瀾は沈巍に特調所の顧問にならないかと持ち掛けますが、「授業が多くて掛け持ちは無理だが、資料が必要な時はいつでも言ってくれ。実質顧問も同じなら肩書きは不要だろう」と即拒否。

「家は真向かい。こんなに近所なのに部屋にも呼んでくれないなんて他人行儀だな」と文句を言う趙雲瀾に、沈巍は「後日招待するよ」と戸惑いながら微笑みます。

「教授は手当も上手だな」「広く知識を学ぶと自然と身につくんだ」「そういえば寝室の窓の外を見たか?龍城市最大の公文書館が目の前だ。きっと気に入る」「そうか、今度見に行くよ。でもなぜ間取りを?」と沈巍は趙雲瀾を強い視線を射抜きます。趙雲瀾はごまかして帰りますが、沈巍はずっと胸のあたりを押さえて立ち尽くしています。

「うまくいってたのにあいつが余計な真似を…兄貴、仕返しは諦めよう。ただものじゃないよ。眼鏡の奴も妙だったぜ。何度も刺されたような心地がした」と通路に座り込み話すゴロツキたち。何かの気配を感じ「かかってこい」と叫びますが、二人は恐ろしいものをみたようで慌てて走り去ります。

林静にネット小説の受け売りの怪談を披露され、怯える郭長城。「暇なら長命時計の実験でもすれば?」と祝紅は呆れます。林静は「実験は何百回もしたけど、呉さんの時光ったっきりだ」と嘆息。同じくネット小説好きの大慶に「今のは「8月8日の怪談」最新章だ。人気作家・来蘇の大傑作…この怪談にはある噂が…」と熱弁を振るいます。
趙雲瀾は特調所に到着すると「最近の天下泰平を祝ってパーッとおごるぞ!」と言いますが、汪徴に「事件です」と言われ落胆。

事件現場に向かうと、現場保存は良好。遺体は見たところ凍死です。

趙雲瀾は現場に監視カメラを発見し、ちょうどゴロツキたちが何者かに襲われたところを動画で確認します。死亡推定時刻は23時、誤差は1時間前後。映像と一致します。事件前の映像をチェックする楚恕之と郭長城に、「ボスと沈教授、あんな深夜に2人で何を?」と問われ、「お前の餌を買いに行ったんだよ」と苦しい言い訳をして冷たい目で見られます。

龍城大学にいた沈巍は祝紅から「所長からよ」とパソコンを手渡されます。画面を見るとドアップの趙雲瀾が。「驚かす気か?」と珍しく驚く沈巍。「ゴロツキ相手にも平然としてたのに?」とからかう彼に、「一般人だから怖くて固まってたんだ。君たちが頼りだよ」と返します。すると大慶と郭長城が「僕らのことも頼りにしてます!?」と楽しげに画面に写り込んできます。
「コディアックヒグマじゃないかな。11〜12月は食いだめの時期だ。ヒグマの腕力なら一撃で肋骨を折る」「違う」「チベットヒグマは?体型が人間に近い。被害者の傷と近い位置に傷痕が残る。噛む力が強いのが特徴だ。成獣の平均体重は400キロ以上」「クマじゃない。教授、分かってるのに話を逸らすな。現場に大型動物の痕跡があればとっくに動物園に捜査を依頼してる!測定器で調べたら、現場に闇の力の気配があった」「申し訳ない。地星人の研究はしているが、手元の資料は限られてる。前回は幸運だったんだ」「今回は通常の操作資料が役に立たない。それなのに情報提供する気はないのか?強制はしないがアドバイスくらいくれよ」「私の立場は分かっているはずだ。君の求めに応じられない時もある。だが周囲に危険が迫れば絶対に傍観しないし隠し事もしない」「じゃあ情報をよこせよ」と言い合いになる趙雲瀾と沈巍。
大慶が「もしかして幽獣じゃないか?」と言うと、沈巍は資料を取り出し、「人のようだが背が湾曲して頭にこぶがある」「攻撃的でかつて龍城近郊に現れ、住民をパニックに陥れた。当時、地界の黒枹使が手を尽くして禁地に封じ込めた。今となっては痕跡すら残ってないはずだ」と沈巍の仮説を却下する趙雲瀾。
「なら出現したのは?」と訝しむ郭長城。趙雲瀾に電話が入ります。

犯人を逮捕?様子が変だと?呼び出しだ。続きはまた後で」「待ってくれ、被害者と彼の仲間には地星人の特徴がなかった」、焦ったように趙雲瀾を呼び止める沈巍に、趙雲瀾が眉をぴくりと動かします。
”地星人の特徴”とは?無理に答えなくていい。俺にも多少の知識はある。大方は悪い奴らだが、相手を見て判断する」「趙所長、君の捜査を信じてる。逮捕したら連絡をくれ。私も知りたい。あんな残酷な事件の犯人が何者なのか」。会話を終えると、趙雲瀾は林静と共に犯人に会いに行くと郭長城に告げます。幻覚症状が出ているそうです。
「任務完了よ」とさっさと帰っていく祝紅を呼び止めようとする沈巍。宙を睨んで何か考え込みます。

外来へ行くと、ゴロツキの一人が「怪物だ!恐ろしい!」と繰り返します。林静は「俺の専門は科学で心のケアじゃない」と楚恕之に文句を言います。「騙せると思うな。この男を知っているか。昨夜の11時、どこにいた?写真をよく見ろ!生きながら凍死したんだぞ」と、楚恕之は遺体の写真を見せながら男に詰め寄ります。
林静は写真を奪うと「まさか!嘘だろ!「8月8日の怪談」と同じだ。第29章の内容だよ。しかも前にもあった。まさかネットの噂が本当だったとは」と大騒ぎします。

「この小説の連載は今年始まった。最初は投降サイトに載ったんだ。作者はネット小説の新人で、名前は来蘇。短編ながら今までにない小説だった。主人公が犯人で、新奇な方法で人を殺す殺人マニアなんだ。俺たちは目新しさに飛びつかないしエンタに飽きるのも早い。でも来蘇の作品は本物だった。荒唐無稽なストーリーでも細部が入念に描かれーすごくリアルなんだ!」「読者でファンクラブを立ち上げた。俺が運営者だ。最近ある噂が流れた。小説の事件が実際に起きていると!例えば第1章、主人公は外国から海を渡って帰国し、到着した大都市で凶行に及んだ!上陸した彼は自分をだまして酷使した船員を殺害する。すろと小説の発表後に龍城の川辺で霜に覆われた船員の死体が発見された!まだある。最高のアクセス数を稼いだ話だ。そう、第19章。バーに行った主人公はある人物と再会する。昔彼をいじめたチアリーダーだ。主人公は相手をホテルに誘い込み、殺害した。その後、噂では半月前にホテルで同じ事件が起きたと…偶然にも事件の被害者はバーのダンサーだった。5日前に更新された最新章では、主人公はゴロツキに顔を攻撃される。彼は目撃者を置い続けて、最後は相手を生きたまま凍死させる。今回の事件と同じだよ!小説の人気が出たのは噂の影響が大きい。その後、事件に関する情報は規制された。以来何も聞かない。俺はずっとデマだと思ってたけど、今は…」と熱弁を振るう林静。「”事実は小説より奇なり”と知ったわけだ」と呆れたように言う趙雲瀾。

趙雲瀾が汪徴からの電話に出ると、「殺人と小説の内容が一致した件で、上層部から捜査の指示がありました」と連絡が。

楚恕之が「来蘇はどこに?」と尋ねると、「分からない。小説は3日ごとに更新されてたけど、5日経つのにまだ更新がない。ファンからも不満の声が上がってるんだ」と返す林静。趙雲瀾は「来蘇を探せ」と指示。しかし「ネット作家は基本覆面だよ?どうやって?来蘇は名が売れて金持ちになったはずだけど、目立つことはしないんだ。ファンとの交流もないし、性別もどんな人物かも分からない」と言う林静に、「投降サイトを使うならIPアドレスが分かるだろ。ネットに痕跡が残ってる。優秀な捜査員で熱烈ファンのお前なら探せるよな?」と圧力をかける趙雲瀾。
「やれるけど…時間が必要だ」「念の為行っておくが、急げよ。もうすぐ月末だ。早く解決しないとボーナスは…」「やるよ!今すぐ!」と、いつものようにボーナス減給をちらつかせて去っていく趙雲瀾。林静は「神作家を疑いたくない」と楚恕之に不満をこぼします。

趙雲瀾は1人でとある豪邸へ向かいます。ベルを押しますが何の反応もないので、茂みに隠れさせていた楚恕之・大慶・林静・郭長城を呼び出します。

屋根には不吉にカラスが鳴いています。「祝紅も呼べばよかった。亜獣族人は郊外の自然が大好きだろ」と皮肉る林静を、「女子が文句を言わず外勤するのにお前は文句ばかりだな」とどつく趙雲瀾。「開けてこい。給料をカットするぞ」と、家の鍵を林静に開けさせる趙雲瀾。郭長城はカラスに怯えます。

一同は堂々と家に侵入。空振りかと思われましたが、楚恕之曰く「ホコリはないし、足跡も新しい。近くにいる」。大慶は「近くどころか家の中だ。匂いが新しい」と鋭い嗅覚を使って探し始めます。
「分からないか?羽振りのいい人気作家なのに、デスクがない。どこで書くんだ?」と趙雲瀾が問うと、林静が「俺の出番が来たようだな。最新発明の生命探知機だ!半径25km内であらゆる生命活動の痕跡を探知し、見逃さない!」とホログラムを出しますが、なぜか突然壊れてしまいます。
「肝心な時に使えない奴だな」と呆れる趙雲瀾。

楚恕之は「隠し部屋か?細工は?」と本棚を調べ始めます。「足跡が多いな。このあたりだ」と本棚を調べていると、なんと郭長城が適当に手をかけた照明が動き、本棚が変形。隠し部屋が現れます。

「ホラー作家の頭の中は理解不能だよ…ドラ猫と林静は残れ。あとは俺と来い」と部屋に入っていく趙雲瀾。そこにはパソコンは一台置いてありました。椅子は温かく、部屋の隅には不自然に毛布が動いていました。楚恕之が毛布を取ると、怯えきった中年男が鈍器を持ち殴りかかって来ようとしますが、一撃で失神させられます。

「林静、確認を」と趙雲瀾が指示すると、林静は早速ネットの身分証明書画像と照合。「本人だ!犯人じゃないですよね!?おいたわしい…」と来蘇の手を握る林静に、趙雲瀾が蹴りを入れます。「ファンか!?続きに興味は?開放してくれればすぐに更新する」と言う来蘇に、「どうやら誤解があるようだ」と趙雲瀾は特調所の手帳を見せます。

来蘇は「更新の催促じゃないのか?」と目をパチクリ。「最近起きた殺人事件のことで来たんですよ。法律上、今のところは容疑者だ。何があったのか詳しく話してほしい」「私を犯人だと?私は想像力に恵まれただけだ。頼む。助けてくれ。奴は小説を模倣し、私を陥れようとしている!私は無実だ!」「助けるさ。だが先にこれまでの敬意を話してくれ」と趙雲瀾は来蘇に話を促します。

「今まで私は何もなし得なかった。誰にも好かれず、相手にされず、ただ一人で家にこもって妄想していたよ。とりとめのない文章をネットに描いていたが、見せる気はなかった。だがある日突然奇妙な訪問者が現れたんだ

”後ろにいる”
“臆病だな”
“自分より読者を怖がらせろ”
“文才があるぞ”

「私に文才が?でもこれでは稼げない」

“書くだけでいい”
“富も名誉も尊敬のまなざしもお前のものだ”

「君は誰だ?」

“私を信じて想像を解放しろ。願いは全て叶う”

「分かった」

そんな経緯で、来蘇は取り憑かれたように文章を書き始めました。「本当なんだ。小説を書くと奴は筋どおりに人を殺した。罰当たりだろ!最初は偶然の一致だ、忘れようと思った。私は何もしていない!自力で手にした成功で、事件とは関係ない!」と言う来蘇に、「だがそいつの予言どおり、全てを手に入れたわけだ」と趙雲瀾は指摘します。来蘇は林静に「上司にとりなしてくれ。君はファンだろ?毎日コメントをくれたよね?私を助けてくれたら君を登場人物にしよう」とすり寄りますが、林静は「あんたなんか知らない!模倣殺人が起きると知りながらよくも連載を続けたな!事件が大きくなってから慌てだすなんて、身を隠せばすむと思ったのか!作品に責任が持てないなら作家とは言えない。人でなしだ!」と激怒。林静の取り乱した姿に趙雲瀾は慌てて制止。

「あんたも今回はやりすぎたようだな。楚と大慶は24時間態勢で見張りを頼む。本当に黒幕がいるなら最後の標的は来蘇だ」と言う趙雲瀾。来蘇は怯えきっています。「やっぱり私が悪いのか?私のせいか?私の…。パソコンを!いいかな?」と言う来蘇に、呆れたように許可を出す大慶。

「裏があるな。他に犯人がいるなら、条件に合う被害者をどうやって見つけた?犯人の狙いは?来蘇の話を誰も照明できない」「でも嘘をついているようには見えませんでした。まるで多重人格ですね」と話す趙雲瀾と郭長城。「ありえるな」と趙雲瀾は目を輝かせます。

「頼む、もう殺さないでくれ。もう何もいらない。もう終わりだ。全部返すよ」とメッセージを送る来蘇。
趙雲瀾たちと車に乗っていた林静が「来蘇の小説が更新された!話の途中で主人公の犯人が死んだぞ」と言ったため、慌てて来蘇の家に引き返す3人。

「これで良かったんだ。全て終わった。あとは身を潜めていよう。もとに戻るんだ。大丈夫」と来蘇がひとりごとを言った瞬間、チャットルームが自動で開きます。

“手遅れだよ”
“エンディングをありがとう”
“また会おう”

パソコンから怪物が出てきて、来蘇は慌てて隣部屋の大慶のもとに走ります。怪物は楚恕之に緊縛されるも、糸を抜け出します。来蘇はショック死していました。

来蘇の家を外から眺める長髪の男。来蘇に送っていたチャットのアカウントを削除します。「哀れな奴だ。お前の下劣で利己的な魂を忘れないよ」と微笑みかき消える男。

来蘇の遺体を確認する林静は、「カテコールアミンの過剰分泌による心停止だ。ショック死だな」と断言。「教えてくれ。小説の最後、主人公はどうなった?」と問う趙雲瀾に、「悪行を重ね怪物になり、自分の姿に驚いて死んだ」と答える林静。メンバー全員が何も言えません。
「ショック死だな。犯人は代償を払ったわけか」とつぶやく趙雲瀾に、「どういう意味です?」と不思議そうな郭長城。

李は特調所で、彫り物に精を出していました。警報が鳴り外へ出ますが、そこには誰もいません。「変だな」とつぶやき家の中に戻る瞬間、長髪の男が室内に滑り込もうとしますが、バリアが張ってあり弾かれてしまいます。「特調所か、何かあるな。長命時計は預けておく。だが山河錘は俺がもらう」と内心でつぶやき去っていく男。

「ネットの仮想世界で名利を得られると思い込み、利己心から他人の死も顧みず、結局身を滅ぼした。人は堅実に生きるべきだ。自分の才能を信じ堂々と進もう」と日記を書く郭長城。

沈巍の教授室にはまた趙雲瀾が訪ねてきていました。「それで君の意見は?」「来蘇は自業自得か?」「難しいな。今から考えると、来蘇は地星人のDNAを持っていた。彼の能力は自分の書いた文章で自己催眠をかける力だ。つまり、彼と怪物は同一人物だった。最後に自分の生んだ怪物を滅ぼそうとしたが、逆に飲み込まれた」「可能性はある。だが彼が死んだ今、証明は難しい」「たとえ能力があっても、使いすぎなければ死なずにすんだ。惜しいよな。ホラー作家になったばかりに欲望と執念で自己催眠を続けて、自分を失った。よく言うだろ、筆を動かした瞬間から登場人物は自分の生命と意志を持つと。人生は芝居の如し。俺たちも役を演じているだけかも」と話す趙雲瀾と沈巍。

沈巍は目にうっすらと涙を浮かべ、「そんな言葉を君から聞くとは。ましてや君が地星人を思いやる日が来るとはね」とつぶやきます。「確かに考えたこともなかった」と笑う趙雲瀾。

「どうやら龍城に嵐が来そうだ」とつぶやく趙雲瀾をこわばった表情で見つめる沈巍。

 

第8話 新たな敵の出現

<あらすじ>
晴れて本採用となった郭長城(グオ・チャンチョン)に林静(リン・ジン)は特製の武器をプレゼントする。
一方、事務の汪徴(ワン・ジェン)のもとには差出人不明の手紙が。不安になる汪徴。

特調所では趙雲瀾が郭長城に試用期間中の働きを見て晴れて本採用だと言い渡し、祝紅からは花束を贈られ、他のメンバーたちも笑顔で拍手します。

「海星艦には報告した。内部手続きに入る」と言うと、趙雲瀾は汪徴に声をかけます。汪徴は郭長城に本採用通知を渡すと、彼の手の甲にスタンプを推します。「今は普通の人間でも特殊能力を身につけることがある。これで入り口のバリアを超えられるわ」と言われ、「バリアのことは初日に聞きました!静さんの発明だとか」と笑顔を見せる郭長城。

自慢げな林静に、「聖器を保管してるんだし当然だろ?悪党に侵入されたら一大事だ」と言う大慶。「僕は特殊能力もないし足手まといになるかも」と不安がる郭長城に、林静は実験室に彼を連れていき、特製の武器をプレゼントします。
郭長城はいまいち使い方が分からず振り回すと、恐怖心の大きさに比例して電流が流れる棒だと分かります。「お前に合わせて作った特注品だ!」と言うと「電気なんて怖いから嫌です」と言われ、呆れる林静。林静のプレゼントは実は趙雲瀾の提案だったようです。

趙雲瀾のもとに、「趙さんですか?うちの古典の購入を?」と電話がかかってきます。楽しげな趙雲瀾ですが、祝紅は顔をこわばらせます。
「女だったぞ!それも会おうって!」と大慶が祝紅に言うと、彼女は「珍しくもない」と怒ります。
「龍城大学生物工学科の沈巍教授のデスクですか?俺は沈巍教授の友人です。ではよろしく」「携帯電話を買ってくれよ。不便だ。この間、古典を集めてると貼り紙してただろ?俺たちその件で縁があるみたいだ」と心底楽しそうに電話をする趙雲瀾。「沈巍?最近べったりね。彼があんなに誰かを気にかけたことが?いつもと何か違う。知らない間に深みにハマるかもしれない」「うちで雇う気なのかも。でも所長はあの性格だからな。腹の中は真っ黒だ。気にされてもロクなことない」と話す祝紅と大慶。祝紅は少し不安げですが、大慶は鼻で笑います。

「高値だから売るのは諦めてたの。あなたのような人が文化財を守るのね。正しい人の手に渡って私の祖父も浮かばれると思うわ。ありがとう」と話す女に、「古典を愛するのは人として当然だ」と本を受け取り、金を支払う趙雲瀾と大慶。「分からないな。物で教授のご機嫌とりか?」と言う大慶に、「野良猫と遊ぶなって言っただろ。口が臭いぞ」と文句を言う趙雲瀾。
「沈巍って奴はガードが硬い。苦肉の策だ。まずは取り入ってから相手の素性を探る」「その口ぶりだと作戦があるようだな。でも何のボロも出てこなかったら?」「林静に調べさせても問題点はなかった」「その可能性もあるだろう。もし教授が本当に無害な存在なら、仲間にしよう。彼と組むのは楽しい」「海星艦は人の出入りに厳しいんだ。責任を取れるのか?」「俺を誰だと?」と話す趙雲瀾と大慶。

龍城大学へ向かうと、趙雲瀾は沈巍の前で古典のどっさり入ったトランクを開けます。「ようやく正しい人の手に渡るよ。俺の祖父も浮かばれるだろう。早く教授の部屋に運ぼう」と臭い演技をする趙雲瀾に、沈巍は微妙な表情を浮かべます。
本は君の祖父が残したものだと?変だな。私が寄付した本だ」「似たような表紙の本じゃないか?」「(本の裏表紙を見せながら)私のつけた印だ。本は知識を広めるための物だ。龍城大学の学生が読めるよう図書館に寄付した。君のご先祖様は龍城大学の在学生か?」「それは図書館の…」と、しどろもどろに説明しようとする趙雲瀾に、沈巍は呆れて無言で去っていきます。

「身から出たさびだな。まだ続けるか?」「一杯食わされた」「本は?」「特調所の奴らにじっくり読ませるさ。俺はお偉い方のところへ移転先の相談を」と立ち上がる趙雲瀾。大慶はトランクの蓋を閉めます。

特調所では李が玄関の扉に挟まれていた、汪徴宛の差出人不明の手紙を見つけます。
手紙には新聞を切り抜いた文字で「お前の過去を知っている」という文章と謎の印が書かれていました。汪徴の脳裏に次々浮かぶ図案と何かの部族。汪徴は苦しげに顔をしかめます。

李は汪徴を心配しますが、「何かの図案と短い文章だけよ。差出人不明の文章は受け取れないから、まずは保管を」と李に頼みます。しかし干物を焼いていた李は焦げていることに気づくと慌ててしまい、手紙をゴミ箱にうっかり捨ててしまいます。汪徴は「私の過去って?」と不安がります。

郭長城が楚恕之に荷物運びを手伝ってもらっている(?)(郭長城だけが大量の荷物を運んでいる)と、道端で黒い手袋をした男とぶつかります。「怪しい」と楚恕之が追いかけようとした時には、彼はこつ然と消えた後でした。

黒枹使曰く、男はお尋ね者の地星人で、丁頓といいます。地君殿で記録係をしていました。先日地君殿に何者かが侵入しましたが、未解決のままです。丁頓は裁きを恐れて人間界へ逃げました。丁頓の能力は”触知”。物にふれると前に触れた者の記憶が読めます。殺傷力はない能力ですが、相手を精神的に追い詰めることができます。

黒枹使は一通り説明した後、特調所のメンバーが黙りこくっているので「諸君、どうした?」と尋ねます。「何でもありません。じきじきに来られてご下命とは急ぎの任務ですか?」「重要な事柄に関わる任務だ。この者と私の甥続けている者が結託している。この者を捕らえて敵の素性を暴きたい。私に代わり何とか探してくれ」と言うなり、消える黒枹使。

使命感を募らせる楚恕之。「ボスを呼び戻すか?」と言う大慶に、「急を要する。闇エネルギー測定器を」と言う楚恕之。「測定にはタイムリミットがある。地星人が能力を使った直後までだ。精度も低くて、黒枹使様が来た時すらも光らない」と言う林静。祝紅は所長用の人参茶を用意しようと汪徴にありかを尋ねますが、汪徴は不安げにぼうっとしています。

丁頓が町中を歩いていると、長髪の男が「地上は最高だろ?」と声をかけます。「いずれ手に入る。例の物は?」と言う丁頓に、男は書類を渡します。丁頓は手袋を取り、書類を受け取ると汪徴の記憶を探ります。「やはり汪徴は内情を知っているようだ。刺激を与えれば全て思い出す」「計画は順調に進むということは?それは何よりだ。準備のために低俗な人間どもと接し続けて我慢も限界だ」と興奮する男。「次はどうする?地星人だからと隠れていてもしかたない」と言う丁頓に男は近づくと、「特調所だ!」と叫び彼の気を逸らせると一撃で彼を殺害します。

「場当たり的に探す気ですか?無駄ではありませんが、所長なら策を考えてから動くはずです」と言う郭長城に、「策が全てじゃない。いちばん大切なのは経験とカンだ。黒枹使様の任務はやり遂げる」と楚恕之は意気込みます。「黒枹使様に特別な感情でも?」と尋ねられ、睨みつける楚恕之。
その時、「誰か死んでる!」と女が悲鳴をあげます。慌てて走る楚恕之と郭長城。そこには丁頓が木にもたれかかって死んでいました。遺体を連れ帰る楚恕之。長髪の男は近くの公衆電話の中からその様子をじっと見つめ、「悪かったな。山河錘を手に入れたら、勲章でもやるよ」とつぶやいていました。

沈巍はまたしても教員宿舎前の黄色い花に話しかけていました。「丁頓は死んだが、誰に殺されたのか見当もつかない。前から私が追っている者は狡猾で隠れるのがうまく、外傷は与えたがまだ引きずり出せないでいる。傷が癒えた後では手こずるだろう。すまない。先日も世話になったのにまた邪魔をした」と言い終えた瞬間、長髪の男が沈巍に殴りかかって来ます。

「おかげで半月も休養できたよ。ケリをつけよう」「勝てると?」「当然だろ。正体がバレるかと恐れてるヘタレめ」と、男は沈巍を挑発します。構内にはまだ学生がおり、沈巍は十分に力を発揮できません。花が加勢してくれ、どうにか五分五分に。
男はかき消え、「お前ごときに我らは止められない。分をわきまえて静かにしてろ」と言い残して去ります。
「感謝する」「離れます。前はあなたの熱心さに協力しました。でも今この地は危険で、争い事ばかりです。花族は紛争には関わらない。それこそが種族の生き残る道です」「そうか。最後に一つどうか教えてほしい。私が捜していた物の在り処は?」「知っていたら何だと言うのです?1人で捜しに行く気ですか?何かあればあなたが守るべき人は危険にさらされます」「だが、捜さなければ諦められない。一度失った。二度としたくない。あんな思いは…」と沈巍は花に懸命に言葉を尽くします。

恐ろしい仁王像の祀られた黒一色の宮殿の中、「我が言葉を鎮魂令主に伝えよ」と男が煙を球状にして宙に飛ばします。

「よく聞くんだ沈巍よ。とがめる気はないが、君は進歩が見られない。酒は才人のたしなみだぞ。酒を飲むというのは…喜びだ」「でも私は酒が飲めないんです」と泥酔した老人を車に乗せ、見送る沈巍。すると趙雲瀾が道端で座り込んでいるのを見つけます。

困る、男、悩む

「所長、何を?病院に連れて行こうか?」と声をかけると、趙雲瀾は苦しげに首を横に振ります。「毎度の胃痛だ。家に帰りたい。薬がある」というため、沈巍はタクシーを広い、彼を載せてやります。一緒に帰宅する趙雲瀾と沈巍。趙雲瀾は何度沈巍が態勢を直そうと、彼の肩にもたれかかるようにくず折れます。
趙雲瀾を彼のベッドに運んでやる沈巍。「薬は?」「覚えてない。冷蔵庫の中かも」と言われ、沈巍は冷蔵庫を開けますが中の食べ物は腐りまくっており異臭が。「いつも食事は?」「おとといは火鍋、昨日は友人と大酒を飲み、今日は午後に茶を飲んだくらいだ」「死んでも文句は言えないな」と沈巍はどうにか薬を見つけ出し、趙雲瀾に渡します。
「(薬を飲むための)湯を沸かす」「ツバで飲むからいい」と言う趙雲瀾に怒り、薬を取り上げ湯を沸かす沈巍。

夜中、警官が田舎道で靴紐を結び直していると、長髪の男が「あの…瀚噶族の廃墟は?」と地図を見せながら声をかけてきます。「瀚…何だ?」「では別の質問を。谷のあたりで奇妙の噂のある場所は?」「どこのよそ者だ?さっさと帰れ!痛い目に遭いたいか?」「なら遠慮なく」と、男は警官を殺害。「チンケな奴らだ。まあ少しは使えるけどな」と男は姿を消します。

食器を洗い、白湯と薬を用意してやる沈巍ですが、趙雲瀾は深く眠ってしまって起きません。沈巍は趙雲瀾の靴を脱がせてやり、布団を整え、脱ぎっぱなしの服を畳んでやります。ふと沈巍が鋭く目を上げると、そこには一枚の紙が窓を通過して現れます。「冷主様、地界90万人の名簿の中に”沈巍”の名前はなし。誠に残念です。ただ書物を見たところ、かつてある高位の者が”沈巍”と名乗っていたようでした」と告げる紙。沈巍は紙に黒い煙をかけます。紙には「令主様 何なりとご用命を」という言葉だけが浮かび上がっています。

沈巍は趙雲瀾が自分を探っていることを知り、顔を硬直させます。

長髪の男は洞窟に来ていました。汪徴に届いた手紙に書かれていた紋章と同じ紋章がついた、先端の光る岩があります。岩は腐りで縛られており、男が力を岩に与えると、吹き飛ばされてしまいます。

「ネズミめ!なぜ…ここへ来た?」「族長、100年間でまともに話せないように?あんたの行いは知っている。こんな所で敵と共に幽閉され続けて死人も同然だ。気の毒でならない」「貴様、一体何者だ?」「何者かはすぐに分かる」と謎の声に猫なで声で会話する男。

男の頭上から岩が降り注ぎますが、男は華麗に全てを避けきります。「なるほど。洞窟と同化しているから身動きが取れないのか。そうだろ?大丈夫だ。すぐに楽にしてやる」と男は再度光る岩に力をぶつけますが、バリアのようなもののせいで吹き飛ばされてしまいます。
「誰にも俺を制することはできない」と男が言った途端、洞窟のあちこちから獣の唸り声が聞こえてきます。
「山河錘は得られずとも、サプライズがあった。こんなつまらぬ場所に収穫があるとはな。お前たちが俺の計画を盤石にする」と男は力を洞窟全体に行き渡らせます。

鼻歌を歌いながら出勤した汪徴は、「北西山地、山崩れで文字が出現」「奇妙な文字」という新聞の見出しと写真(差出人不明の手紙に書かれていた紋章)を見て、突然頭痛に苦しみ始めます。汪徴の脳裏に、紋章と、「私は誰?」「お前は英雄を誘惑した」「ここは?」「妖術を学び…」「やめろ!!と叫ぶ英雄の姿」が次々と浮かび、「桑…」と言ったきり失神してしまいます。

趙雲瀾が起きると、ベッドサイドには沈巍が温かい粥をよそった状態で静かに本を読んでいました。驚きベッドの上で後ずさる趙雲瀾は、「一晩中看病を?」と言った後、綺麗になった部屋を見て言葉を失います。沈巍は「前にゴロツキから助けてくれたんだ(からお礼をした)」と説明します。

「お礼なら特調所の仲間になってくれ」「悪いが断る」「お粥だ。食べたら薬を飲め」「勘弁してくれよ沈巍。ますますあなたが手放せなくなる」と拗ねる趙雲瀾に鼻で笑う沈巍。

「お粥ならいつでも食べに来い。規則正しい食生活を心がけろ。道で倒れられては困る」「俺の食生活を知りたいなら特調所へ入っては?」「特調所には保育士が必要だったのか」「あんたが俺を拒むから、俺は人生最大の挫折を味わってる」「出張へ行く。離職した張先生の学生と実地調査だ。入所の話は帰ってから聞くよ。私が出張の間、何を聞いても龍城から出るな」「それはどんな話を聞いたかにもよる」「聞く耳を持たないことは分かっていた」「何が怒るか知ってるような口ぶりだ」「私には第六感の働く時があるんだ。当たらないことを願うよ。とにかく薬を飲め。授業に行く」と沈巍が席を外そうとした時、大慶が部屋に飛び込んできます。

「沈教授?こんな朝っぱらに…どうして?」「昨夜彼が胃痛を起こしてね。普段も気にかけてやってくれ」と穏やかに言われ、毒気を抜かれる大慶。「また胃痛か?電話に出ろよ」「早く用件を言え」「汪徴が倒れたんだ。女ってのは精神的に弱いもんだろ?小説で感動して失神しただけかも」「部下が心配なら急ぐだろ!」と趙雲瀾は大慶を乗せて車を走らせます。
「実は教授に見られたくなかった」と趙雲瀾は大慶に紙を見せます。「摂政官の回答?」「わからん。朝起きたら文字の書いてある紙が。俺はメモを取ることもないから」と、2人で紙を開くと、そこには「令主様 ご用命を」とだけ書かれており、狐につままれたような表情で顔を見合わせます。

楚恕之に糸を投げてもらい、戦闘訓練をする郭長城。しかしやみくもに振り回しているだけで全く練習になっていません。楚恕之は電気棒を使わないこと、手加減しているのに全く上達しないことに激怒します。郭長城は「僕の手には負えない武器なので、棒きれから始めます」と反論。
「楚さん、僕は役立たずですね。丁頓の捜査の時もそうだった。静さんのくれた武器さえ使えない…」「自虐に何の意味が?一人で戦う覚悟はあるのか?肝が小さすぎる、俺の弟よりも」と楚恕之は悲しげな目をしてその場を後にします。

汪徴は新聞を握りしめたままの状態でやっと目を覚ましますが、「目は覚めました。この上なくはっきりと。これまでお世話になりました。使命のためにここを辞めます」と突然言い始めます。「どうしたんだ。全ての記憶が戻ったのか?君は北西山地と何か関係があるのか?」と趙雲瀾が言うと、彼女は目に涙を浮かべ何も言いません。
「所長、汪徴を拾ったのも龍城の北西山地じゃ?」と言う大慶。2人は汪徴を拾った時のことを思い出します。汪徴は透けており、「ニュータイプの地星人か?」と言う趙雲瀾に、「エナジー体ですよ。光を嫌う」と大慶は返していました。
「記憶が止まっている場所です」と言う汪徴。

その時、長命時計が光り始めます。「ボスが触れた2回を除いて眠っていたのに、急に光りだした」と興奮する林静。「黒兄さんは聖器同士は共鳴すると。片方の聖器は?」と尋ねる趙雲瀾。林静は慌てて検索し、「北西の果ての高山地帯にある」と言い当てます。

「また北西か」とつぶやく趙雲瀾。

 

第9話 西北山地の異変

<あらすじ>
汪徴(ワン・ジェン)の故郷、北西山地に怪しい動きが確認される。
故郷に帰りたいと言いだした汪徴を送るため、北西へと旅立つ所員たち。
同じ頃、沈巍(シェン・ウェイ)もまた、調査のために北西へ向かっていた。

趙雲瀾が林静に北西山地の歴史を調べさせていると、汪徴が泣きながら「故郷に帰らせて」と懇願してきます。「事情はわからないが俺たちも手伝うぞ。送り届ける」と胸を叩く彼に「お願いしても?」と汪徴はほっとしたように返します。

「試用期間が終わって任務がもらえなくても皆さんのように貢献したいです」と不満をこぼす郭長城に呆れる楚恕之。趙雲瀾はエナジー体である汪徴は長時間の外出が難しいため、関節可動な人形を至急捜してくれと郭長城に指示します。ほっとする汪徴。
沈巍は黄色い花からの忠告を反芻しつつも、「もう待てない。だがすぐに動けば趙雲瀾が危険だ」と悩んでいました。

翌日、祝紅は荷物を受取る際に配達員の目を凝視します。催眠術の練習をしたらしく、配達員はしばらく呆然とした後、動き出します。
郭長城はラブドールを購入してしまい、趙雲瀾は激怒、汪徴は涙目で沈黙しています。祝紅は「私がいるから安心して」と彼女を慰めます。

北西に向けて旅立つ趙雲瀾・林静・楚恕之・大慶・郭長城・祝紅・汪徴の7人。汪徴はずっと険しい表情です。

一方、沈巍も学生たちと北西に向けて旅立つ荷造りをします。学生たちは教授と一緒に行けるなんてと皆に羨ましがられましたよと大喜びです。

目的地へ向かう途中、沈巍の車が故障したようで立ち往生しており、趙雲瀾は林静に修理させます。趙雲瀾はなぜこんなところで会うのかと訝しみ、「俺に発振器をつけてないよな?行く先々で出会う」と沈巍にふざけて尋ねますが、「実地調査の話はしたはずだし、私の方が先に来ている」と微笑みます。

同行している女学生の佳佳から北西に調査に向かうと聞いて、趙雲瀾はますます沈巍を怪しみます。「北西は道が悪いし地震も起きたと聞く」「ええ、目的地が震源地の近くで心配です」と2人が話す横から、沈巍が「日差しが強いから車に戻りなさい」と指示。「聞き出すのが上手だ」「学生の行き先は俺たちも把握しておいた方がいい。目的地も一緒だし、助け合えて便利だろ?」「何を聞いても龍城から出るなと言ったのに」「約束はしてないぞ。どんな話を聞いたかによる」「修理が終わったら別行動にしよう」「だめだ、危険なんだろ?俺たちも一緒に行く。教授のカンが当たったらどうする?」と、軽口を叩く趙雲瀾に渋い顔の沈巍。

困る、男、悩む

車の修理を終えた林静。趙雲瀾は学生に「山道だし車も修理したばかりで危険だ。ベテランの俺が運転しよう」と丸め込みます。沈巍は顔をしかめますが渋々乗車。郭長城は汪徴に「お菓子でも食べませんか」と声をかけますが、彼女は無言。お菓子は祝紅が勝手に食べていました。

「所長は何を考えてるのかしら。修理だけでなく運転までしてやるなんて。教授って一体何者?結婚もしていないし研究熱心みたいね。所長は情熱家に見えても実は冷めてる。なぜ教授だけをあんなに気にかけるのかしら」と不可解そうな祝紅。「あの若さで教授になれたのは欧陽教授以来だそうだ。しかし見かけによらず祝紅はよく観察しているんだな」と揶揄う林静。

その頃、趙雲瀾はすっかり学生たちの心を掴んでいました。「君たちは何の研究をしに?」と尋ねる趙雲瀾に、「まだ公にできない」と突き放す沈巍。

現地に近づくほど、汪徴は呼吸が荒くなり、泣き始めます。「つらいの。もうすぐ着くはず…」と彼女は言いますが、目の前には検問所が。「特調所だ」と林静は名乗りますが、「入山は無理だ。許可がなければ通せない」と言われます。しかし趙雲瀾が出てきて「そろそろ責任者が来るぞ」と数を数え始めた途端、「趙所長」という看板を持った男・朗さんが歓待してくれます。

長髪の男は岩場に座り、「海星人と地星人の世界で身を隠す場所もない。居心地が悪いだろう?お前たちに憂さ晴らしをさせてやる。準備は整った。時期を待つだけだ。俺を失望させるなよ」と4体の幽獣に語りかけます。

趙雲瀾は「なぜか最近しょっちゅう風邪を引く」とくしゃみを連発していました。「もうだめだ、仮眠させてくれ」と言うなり、沈巍の肩にクッションを起き、寝始めます。困惑する沈巍ですが、車を運転する林静は霧が晴れないことに不信感を抱いていました。

沈巍は「北西の山地ではよくあることだ。山頂に近い証拠だ」と言います。あまりにくしゃみを繰り返すので、沈巍は「薬を飲むか?」と趙雲瀾に尋ねますが、「薬を飲んで熟睡したら仕事にならない」と駄々をこねます。

林静が「車輪が心配だ」と言った途端、タイヤが砂地にハマります。さらに電波も通じません。「もう1台の到着を待とう。少し見てくる」と沈巍は丘に登り手から黒い煙を出し周囲を探ろうとしますが、趙雲瀾の気配を感じて収めます。「”両岸の高い山 生い茂る樹木”、いい景色だ」とわざとらしく笑う趙雲瀾に「風邪を引いているのだから車に戻りなさい」と命じます。「俺に命令するなんて教授が初めてだ。教授がこれを着たら俺は戻ってもいい」とジャンパーを脱ぐ彼に「君は病人なんだから…」と言いかけますが、「いいから!唇の色が悪いぞ。着ろ」と趙雲瀾は沈巍に無理やり着せます。

一番近いのは清渓村か。あれを越えたら着く。到着前に教授が凍えたら2人の学生が悲しむ。特に女子が」と笑う趙雲瀾。その時、女学生が「あそこに誰かいるわ!」と悲鳴をあげます。たしかに何者かの気配がありました。林静は「言い伝えでは天気が悪い時に冥土から兵がやってきてこの世をうろつくそうだ。越えも顔つきも当時のままで」と怪談を言い始めます。「そんな迷信を広めてどうする。死人は見慣れてるだろ」と怒る趙雲瀾と、「兵士の正体は磁性酸化鉄によるものだ。雨や雪と飯能市、一瞬残像ができる。だが、今のは絶対に違う」と言う沈巍。
「人でも怪物でもないなら”あれ”か?」と言う趙雲瀾の電話が鳴ります。電話は楚からで、清渓村に着いたとの報告でした。「途中で会った捜索隊の話では…」と言った瞬間、男が飛び出してきたため林静は瞬間的に彼を叩きのめします。「…村長が迎えに来ると」と趙雲瀾が言ったため、「こいつが村長?」と地面に伏せる男を見ながら林静は顔を歪めます。

清渓村にはたしかに先に楚恕之・郭長城・汪徴・祝紅の4人が先に着いていました。”報葬鳥”に怯える郭長城。「お年寄りの話では大きな鴉のことらしい。吉報は伝えず、大きな災いが来る前に現れる。俺は科学者だから信じないが。しかし郭ちゃん、お前って悪運が強くないか?お前が来てから妙なことが増えた」と話す林静。祝紅は「この子の悪口はやめて。疫病神は他の誰かさんかもよ」と沈巍を横目で見て刺々しく言います。

村長は「都会の人はやることが荒い」と文句を言いますが、後日お詫びに参りますので…と趙雲瀾が腰を低く謝ると快く許して招待所へ案内してくれます。
うっかり汪徴にぶつかった佳佳が「お姉さん身軽ね、まるで体重がないみたい」と言ったため、趙雲瀾は「いつも言ってるだろ!まったくダイエットのしすぎだ!」と慌てて繕います。

郭長城が地面に埋まった頭蓋骨につまずき悲鳴をあげると、村長は「この前の地震で出てきたのかも。清渓村は村人だけで招待所は使ってない。地震で倒壊しなくてよかった。条件はよくないが一晩だけだから我慢してくれ」と言うなり慌てて帰ろうとします。「一服していかないか?」と趙雲瀾が誘うも、「い、いややめておく!ぐっすり寝て、何があっても外に出ないように」と愛想笑いをして去っていきます。

沈巍は学生たちの荷物を持ち、先に建物に入ります。大慶は「この場所、何か臭うぞ」と訝しげです。林静は頭蓋骨を調べ、汪徴はその場にひざまずき祈り始めます。佳佳は「あの人、ふわふわしてて重量がなかったわ」と気味悪げに言いますが、沈巍は「私達は調査と研究のためにここへ来たのだ。超常現象は彼らに任せよう」と言います。学生たちを部屋に入らせ、1人、祈る汪徴を凝視する沈巍。

林静は土室や頭蓋骨の色から判断して100年は経っていると判断。「山崩れした所に雨が降り出てきたのかも」と言う楚恕之に、「たしかに昔何かあったようだ。今日はもう遅いしここに泊まるしかない。ひ弱な学生や教授に野宿をさせたら命が危ない」と趙雲瀾は言います。「おかしいだろ!かわいい部下には気を遣わないのに」と文句を言う大慶。その横で、汪徴はひたすら祈りを繰り返しています。その異様さに特調所メンバーたちも言葉を失います。

招待所に入ってきた趙雲瀾に「所長、何か分かったか?」と勢い込んで尋ねる沈巍。「まず彼女から話を聞こう」と汪徴を指差す趙雲瀾。
汪徴は祝紅に支えられながら話し始めます。「最初に言っておくけど、この話はあくまでも噂よ。ここは昔龍城の管轄下ではなく文化も異なったの。辺鄙な所で人口が少なく気候も厳しくて情報も入ってこなかったから、時を経てある民族が生まれた。それが瀚噶族」。沈巍は考え込みます。「ここが昔瀚噶族がいた所か?」と尋ねる趙雲瀾。「この近くよ。瀚噶族には奴隷制があった。奴隷たちは男女ともに恐ろしい仮面をつけていて、普段は戦場に送られていたの。だけど祭事の時はいけにえとして捧げられた」と話す汪徴に、「どんな仮面?」と佳佳が尋ねます。
汪徴は水を指につけ机に描きますが、「妙な仮面ね。民族名も初めて聞いたわ」と佳佳は不思議がります。

掟も多く、他民族と婚姻を結ばなかった。一番重要なのは、ずっと前に民族が消滅している点よ。だから誰も知らない」と言う汪徴。「なるほど。何百年もの近親婚で民族が絶滅したんだ」と男子学生が納得すると、汪徴は「そうかもね」意味深に目を伏せます。
林静が「外の人骨は?」と尋ねると、汪徴は「いけにえよ。瀚噶族はいけにえや罪人を縛り首にしたの」と即答。

「もういい、大昔の習慣で俺たちとは無関係だ。気にする必要はないさ。それに死者は俺たちを追い出さない」と趙雲瀾は言いますが、その瞬間、「出ていけ!よそ者はお断りだ!」と叫ぶ男の声が聞こえます。さらに窓から仮面の男が「命を返せ!俺を生き返らせろ!」と叫んでいます。

趙雲瀾はすぐに男をひっ捕らえますが、仮面を剥ぐと謎の男が怯えていました。
「俺たちを出迎えておいて出ていけとは?村長!これが客のもてなし方か?」と趙雲瀾が叫ぶと、村長が現れ、「誤解だ。俺は皆を止められなかっただけだ」と笑います。「村長、この期に及んでまだ嘘を?」と沈巍が加勢すると、村長はため息をつきます。

「あれほど苦労したのに氷柱の中の男は連れ出せず、お前たちが出てきた。お前たちをどう使うか考える必要がある」と長髪の男は色とりどりの布を体に巻いた人型の者たちに森の中で呼びかけます。

村長は懐中電灯を片手に「気をつけて、もう少しだ」と趙雲瀾と祝紅を外に連れ出し、「地震の前にここで村の見張りが殺された。この村の人間はみんなおとなしい。よそ者の仕業だと思ってたらあんたらが来た。だから村人はあんたたちを疑ったんだ」と弁解します。

趙雲瀾と祝紅は現場の土を確認すると、「責めちゃいない。人を驚かすのも下手だもんな。心配するな。俺たちはおとなしくない。正体不明のものに正攻法は使わない。俺たちがいる。安心しろ」と笑います。愛想笑いをする村長と祝紅ですが、ふと趙雲瀾の目が何か光るものを捉えます。

「興奮するな。お前らの家族は氷柱の中だ。命令に従わねば永遠に出られないようにしてやる」と長髪の男は目の前の者たちを脅します。光っていたのは彼らでした。興奮が収まると光らなくなった彼らに、「幽獣より従順だな。お前らを怪物もどきにした女がそこにいる。まずはあの女で肩慣らしをしてこい」と満足げに指示する男。

趙雲瀾と祝紅は夜道を調査します。すると突然趙雲瀾が持ってきていた長命時計が反響し始めます。「地震の時にも反応した。別の聖器がこの近くにある。地星人の手に渡ったら面倒だ。だからこっちから積極的に動かないと」「全力でいくしかないわね」と好戦的な2人。

その頃、招待所の前に仮面をかぶった者たちが勢揃いしていました。「何してる。もうバレてるんだぞ。村長の野郎、いつもよそ者にいい顔しやがって」と先ほど招待所を襲撃した村人が言うと、後ろから郭長城がかつらを持って「忘れ物ですよ」と出てきます。郭長城は目の前の仮面の者たちに怯え、絶叫。仮面の者たちと戦う楚恕之。林静は慌てて招待所の扉を締め切ります。

「お前が悪いんだ、汪徴。俺を恨むなよ」とつぶやく長髪の男。

汪徴は「行かせて」と林静に懇願。「わがまま言うな」「みんなお目当ては私よ。私が行けば…」「馬鹿言うな!俺たちは全員一緒に帰るんだ!教授、ここを頼む。絶対に出るな」と林静も武器を片手に戦闘に参加。しかし彼の武器はエナジー体には効きません。「所長の銃もないしどうしたら」と大慶は焦り始めます。
汪徴はなおも沈巍に「私が出れば済むことなの」と言いますが、沈巍は「所長が許さない」と拒否。

とその時、趙雲瀾と祝紅が騒ぎを聞きつけて到着。趙雲瀾は銃を構えますが、女の悲鳴と爆発の妙な残像が過ぎり、発砲出来ません。祝紅は素早く趙雲瀾から銃を奪うと、仮面の者の1人を撃ち殺します。「銃を撃つ勇気もなくしたの?」と言う祝紅に、「次は手を出すな」と忠告する趙雲瀾。

 

長命時計はいまだ北西に向けて強く反応しています。

「さっきの紋章は君と何か関係あるのか?」と尋ねる沈巍に、汪徴は怯えて振り返ります。「ここへ来たのは謎の紋章が発見されたからだ。興味があって調べていたが、君の話を聞いて瀚噶族の紋章だと確信した。一体何が原因で滅亡したんだ?」と尋ねる沈巍。

「龍城で最近地星人がのさばってる。対処しなければ俺たちは臆病者だ」「明日の夜またきっと来る」「しつこそうだからな」と話す趙雲瀾・大慶・楚恕之に怯える郭長城。「楚たちは村人を調べろ。あとでホールに集合」と趙雲瀾は招待所に戻ります。長髪の男は幽獣を従え、招待所を見つめながら不服そうな表情です。
男子学生は「トイレが中にないから乱闘騒ぎで漏れそうだった。変なものが来ませんように」と祈りながら用を足します。「勝手なことは許さない。俺の邪魔をしたら永遠に閉じ込めるぞ。洞窟に戻れ。お前らのいるべき場所に」と長髪の男が凄むと幽獣はすごすごと去っていきます。

汪徴は沈鬱な表情でコップに水を注ぎます。「ここには酒がないから、水で乾杯だ。明日の成功を祝して」と趙雲瀾はメンバー全員で乾杯します。

そこに楚恕之と郭長城が帰ってきます。村人は落ち着いたようです。
「今日は早く休め。明日は山頂を目指す」と言う趙雲瀾。

消灯を確認した長髪の男は、「汪徴、早く来いよ。”贈り物”を準備して待ってるぞ」と笑います。その夜、汪徴は1人で、ある岩壁に向かいます。「やっと来たか。お前の不在に趙雲瀾と沈巍がいつ気がつくか、奴らが慌てる様子を早く見たいものだ。長命時計も山河錘も、俺のものだ」と汪徴を見つめる長髪の男。汪徴は壁に手を当てると、壁の中に吸い込まれていきます。

汪徴は洞窟内を進んでいきます。「分かってる。罪人は結局、罪を貸した場所に戻るのよ」と言う彼女の脳裏には、十字架にくくりつけられ「桑賛」と叫ぶ自分と、同じくくくりつけられ「お前ら何してる!一体どうするつもりだ!」と泣き叫ぶ男の姿が映っていました。「族長はこの女の妖術に惑わされた。まずは落ち着くがよい。処刑が済んだら族長の座に戻してやろう。お前の地位は保証する」と言う長老。「罪人 格欄(ゴー・ラン)、前族長の汚れた血を曳き、妖術を学び英雄を惑わした。1000年に1人の悪人だ。刑に納得しようがしまいが、結果はこの箱の中だ」と長老たちは箱の中に入った、文字が書かれた紙切れ2枚を見せつけます。

 

第10話 瀚噶族の悲劇

<あらすじ>
趙雲瀾(チャオ・ユンラン)が目覚めると汪徴(ワン・ジェン)の姿がない。
彼女はかつて自分が処刑された場所に向かっていた。
恋人の桑賛(サン・ザン)との幸せだった日々を思い出す汪徴。

趙雲瀾は頭痛に悩まされつつも祝紅に叩き起こされると、「薬を盛られたのよ。蛇の私以外はみんな熟睡してる」と言われます。人形を残して招待所から汪徴の姿が消えており、薬は汪徴のせいだと分かります。「身内に裏切られるとは」「でもなぜ?」「彼女は瀚噶族。裏切ったのではなく自分を犠牲にしてみんなを守ったんだ」と趙雲瀾と祝紅の会話に入ってくる沈巍。祝紅はなぜ沈巍が無事なのかと訝しみます。「私は汪徴の水を飲んでいない。秘密は承知だが、危険な状況でもある。ここに来た目的は?」と趙雲瀾に尋ねる沈巍。

汪徴は洞窟の中で、氷柱の中にいる桑賛から「ネズミめ!罪人たちを解き放った上、またやってくるとは」と罵倒されます。
「刑に納得しようがしまいが結果はこの箱の中だ。刑を執行する。善は急げだ。始めよ」と紙きれを人々に見せる長老。「格蘭!」「桑賛!」と叫び合う2人。「やめてくれ」と桑賛は絶叫しますが、格蘭の首は確実に締められていきます。

氷柱の中の桑賛と汪徴の目が合った途端、地震が発生。趙雲瀾と祝紅は沈巍を置いて走り出します。
汪徴は泣きながら氷柱に近づいていきます。桑賛も氷の中で号泣します。恋人の桑賛と睦み合った幸せな日々を思い出す汪徴。
氷柱を抱きしめて「やっと会えた」と泣く汪徴に、「来てくれたのか」と言う桑賛。

村人たちは混乱に陥り、村長は「前回と同様に落ち着け!広場に集まれ!」と叫んでいました。
「地震?違うな。ここは地震が頻発するような場所じゃない」と言う趙雲瀾に、「君も何か違和感が?突然の地震のエナジー体の攻撃…闇の力のせいか、地星人のせいかもしれない」と言う沈巍。「お遊びを始めておいて身を隠したままとは。何を企んでる?」と趙雲瀾は訝しみます。

地震、家、崩れる、崩壊

泣きじゃくる汪徴の前に、長髪の男が現れます。桑賛は「早く逃げろ!」と忠告しますが、汪徴は「嫌よ!離れないわ!」と氷柱により強くしがみつきます。「恋に溺れた愚か者たちめ」と男は汪徴を洞窟の壁に叩きつけます。

突然趙雲瀾が頭痛に苦しみ始め、心配する沈巍。叩き起こされた楚恕之と郭長城も加わり、汪徴を捜しに行くことに。祝紅を置いていこうとする趙雲瀾ですが、「こんな時にも彼の心配を!?」と激怒されます。「見張れ」と耳打ちする趙雲瀾の命に従い、共に行こうとする沈巍を「学生たちがあなたを必要としているわ」と静止する祝紅。

汪徴は長髪の男に「逃げる?できるとでも?ここがお前の居場所だろ?」と嘲笑されます。「いいかげんにしろ怪物め!彼女を放せ!」と叫ぶ桑賛に、「こんな所で生きながらえてるあんたの方が怪物だ。吠えるなら助けてみろよ」と馬鹿にする男。
「安心しろよ。まだ消さない。大物を釣るための餌だ」と笑う彼は、幽獣に「奴らを連れてこい」と指示します。

趙雲瀾は楚恕之・郭長城と共に山頂を目指します。招待所を出ていこうとする沈巍に祝紅は「出ていかれると困るの。所長の指示よ。大切に思われていることは分かるでしょ?」と席を勧め、茶を飲ませます。

歩きながら「僕たち迷ってませんか?」と怯える郭長城に、呆れる2人。「汪徴の過去を探るため、瀚噶族の資料を読んだ。瀚噶族は山に住む。山崩れの威力を知る彼らは山には魂があると信じ、”山魂口”に祭壇を作った。”山魂口”は山頂の光の届かない所だ。彼らの信仰する羅布拉禁術の教えでは、三角形を組成すると深い谷ができると言われていた。その谷は深く、誰も入れない」と地図を前に説明する楚恕之に、「じゃあ祭壇は3箇所あるってことか。近場で標高が同等な場所を選び、三角形を作る。目指す場所はその中のどこかか?」と言う趙雲瀾。

「清渓村にも祭壇があることは分かっている。祭壇ある所に集落あり。瀚噶族の古巣も3箇所の中にあるはずだ」「あと1箇所はどう探すんです?」「適当な三角形だと思うか?」「羅布拉禁術の三角形は均等な三角形。清渓村と山魂口の2つを結ぶともう1箇所はーどちらかだ」「拾ったものを出せ。何だと思う?」「ビニールでは?」「ここは山中なのになぜそんなものがあると思う?汪徴が俺たちに残していった目印だ」「それを拾ったのがこのあたりだからここになる。迷ってないことが分かったか?」「出発するぞ」と、趙雲瀾は郭長城にビニールーラブドールのかけらを握らせたまま出発します。

祝紅はろうそくの炎を沈巍に見るよう言います。「この火を見て。揺れていて美しいでしょ?さあ、私の目を見て。あなたはただ眠りたくなる。眠るの」と沈巍に催眠術をかけます。

目的地に着いたものの、中に入るには岩をどけなくてはなりません。郭長城は怯えすぎて趙雲瀾を電気棒で攻撃してしまいます。
楚恕之が岩をくり抜くと、幽獣の気配が。趙雲瀾はまたしても銃を握った途端、女の悲鳴と爆発の映像を反芻してしまい、戸惑います。
2体の幽獣に襲われますが、楚恕之が郭長城を引き受け、趙雲瀾を汪徴のもとへ向かわせます。「ヤバかったら逃げろ」とだけ言い残し、洞窟の奥へ入っていく趙雲瀾。

幽獣はまだ2体残っており、1体は趙雲瀾の気配に気づいてしまいます。洞窟内で一対一で戦う事になってしまいますが、どこからか「危険 追うな 戻れ」と書かれた紙と風が吹いてきて、幽獣は怯え始めます。「黒兄さんからの手紙だな」と理解しながらも幽獣に向けて銃を嫌々撃とうとしたその瞬間、黒袍使が前に出てきて幽獣を一撃で退治。

「怪我はないか」と問う彼に「今回はタイミングが良い。俺にもツキが回ってきたのかな」とふざける趙雲瀾。「礼は不要だが私の忠告を無視すべきではない」と言われ、「幽獣がいるとは思わなかった。あんたは想定内かもしれないが、俺は特調所の奴らを守らなきゃいけない」と趙雲瀾はきまずげに言い訳します。

「忠告を聞き入れないことは分かっていた。私も同行させてもらう。君に危険が及ぶかもしれない」と黒枹使が言い終えた途端、洞窟の奥から声が聞こえます。「まずい、何か起きた」と走り出す趙雲瀾。

「叫べ!もっとだ!」と汪徴を痛めつける長髪の男に、桑賛は「彼女を放せ!」と絶叫。
洞窟が揺れて立ち止まる趙雲瀾に黒枹使は「ここにいる幽獣が起こした地鳴りだ。逃げ出せば唸り声で山崩れも起こせる。急ごう」と背中を押します。

「忌まわしい女め。だが、手荒すぎではないか?」と言う仮面の男たちに、「ここに家族が閉じ込められてるんだろ?解き放てるのは闇の力。誰のためだと?残念だな。仲間が助けに来なくて。所詮他人事なんだ。昔も同じだったろ。お前は捨てられる運命さ」と汪徴を見ながら返す長髪の男。

黒枹使と趙雲瀾は3体の幽獣に囲まれますが、黒枹使が一撃で殲滅。「幽獣は凶暴だが光と火には弱い、頭のこぶが奴らの急所だ」と説明する黒枹使は、「さっきの銃は父君から受け継いだ物か?」と尋ねます。

「幽獣を驚かそうと思って取り出しただけだ。自分の道は自分で切り開かないとな」とうそぶきますが、黒枹使は胸に何か異常があるようで趙雲瀾に背を向けます。心配する趙雲瀾。

「私は人間界で地星人を長く追跡することができない。地上では体に負担がかかるゆえ、力も半分しか発揮できないからだ」「だから特調所がある!ところで俺たちはどこへ向かってる?」黒枹使は両手に力を込めると、洞窟内を探索します。しかし聖器の力に阻まれ、捜すことができません。
「聖器のくせに俺たちより悪人の味方をするのか」「私の予想だとここにある聖器は山河錘だ」、趙雲瀾は長命時計を懐から出し「山河錘」とつぶやくと、長命時計は共鳴し始めます。黒枹使は「趙所長、聖器を多用するな。闇の力が体を蝕む」と忠告しますが、趙雲瀾は「黒兄さん、俺の知り合いに似てるよ」と全く相手にしません。途方に暮れる黒枹使。長命時計に導かれる2人。

絶望に叫ぶ桑賛に、「待ってろ。次はお前の番だ」と言う長髪の男。「彼はやめて。私を苦しめて構わないから、お願いよ。手を出さないで」と泣く汪徴。「彼女を放せ!危害を加えるのはやめろ!」と叫ぶ桑賛を見て男は笑います。

2人が汪徴のもとにたどり着くと、彼女は「所長も黒枹使様も来ないで!」と叫びます。汪徴は氷柱に黒い煙で縛り付けられていました。
「いつまで隠れてるつもりだ?俺たちを呼び寄せたのは話があるからだろ!」と叫ぶ趙雲瀾に、桑賛は「彼女を…助けてほしい…彼女を連れていってくれ!」と返します。「あの氷柱が山河錘だ。気軽に近づくな」と黒枹使に言われる趙雲瀾。「ならばなぜ姿を現さない?汪徴に罠を仕掛けた可能性もある」「ここは妙だ。彼女の話も容易に信じるな」「もう以前の汪徴じゃないと?」「念の為だが。ここでは私も力を思うようには使えず、確かめる術がない」「どうしたら?」「試そう」と言葉をかわします。

「調べはついている。君は100年と7ヶ月前に亡くなった。瀚噶族が滅びた年と同じだ。ではなぜ特調所で働いている?」と質問する黒枹使に、「汪徴は記憶を失ったあとの名前で、瀚噶族時代の名前は格蘭でした」と語る汪徴。

「走らないで!私が族長に大目玉を食らいます。お嬢様!」と叫ぶお付きの男に、「どうして女が男みたいに走っちゃだめなの?父には叱らないように伝えておくわ」と楽しげに返す格蘭。するとそこに仮面を被った青年が現れます。
「無礼者!」とお付きの男が叫ぶと、「誰なの?ここは私の土地よ。何をしてるの?」と格蘭は青年に無邪気に尋ねます。「花が”自分たちは誰の物でもない。みんなの物だ”と。きれいな色の花だ。お詫びに」と青年は格蘭に花を差し出します。
「何をしてるの?」と再度尋ねる格蘭に、青年は「兄が族長の息子に殺され、母の薬代を稼ぐため鳥を捕ってる」と淡々と答えますが、格蘭は「嘘つき!じゃあなぜ族長に味方してもらわないの?」と青年を嘘つき呼ばわりします。青年はムッとして、「当然息子をかばうだろうし、族長は人でなしだ。族長は俺の妹を殺し、抗議した兄も殺した」と言いますが、格蘭は「でたらめよ!」と怒り繰り返します。
「族長なんてのは人間じゃない。瀚噶族では族長だけが決定権を持てる」と言い返す青年に、付き人の男が「口を慎め!どこの奴隷だ?こちらは族長のご令嬢だぞ。面を外せ!」と青年から仮面を奪ってしまいます。悔しげに唇を噛み去ろうとする青年を呼び止める格蘭。
「整ったお顔をしてるのね。奴隷は醜いから面をしているのかと思ってたわ」と傲岸不遜に言い放つ格蘭。離れてくださいとお付きの男に言われても、「邪魔よ、下がって」と聞く耳を持ちません。

青年が怯えたように「さっきその人が君は族長の娘だって」と言うと、格蘭は「族長は私の父で、お兄様を殺めた人が私の兄よ。でも私は信じられないわ。父と兄はとても優しいもの」と言い返します。青年は激怒。「娘や妹には優しくて当然だろ!裏の顔を見せるものか!…しかし、生かしてくれて感謝を」と、再度立ち去ろうとする青年を格蘭は呼び止めます。
「そんな話を聞いたのは初めてだわ。温室育ちの花なんて嫌よ!部族のことをもっと教えて」「教えても無意味だ。何も変えられないだろ」「いいえ、まずはお友達になりましょ。私も自由に決めていいなら、あなたと友達になりたい」「俺は奴隷だぞ。友達になれると思うのか?君の名前も知らない」「格蘭よ、あなたの名前は?」「桑賛だ」「桑賛、一輪の花は綺麗だけど寂しげよね。でも束にしてみると違う美しさが現れる。受け取って」格蘭は近くに咲いていた花を摘むと花束にして、桑賛に笑顔で差し出します。

「彼は無口だけど、胸に多くを秘めてた。私は探らなかった。ただ私は彼のそばにいたかっただけだし、父と兄を許してほしかっただけ。でも悲劇は起きた」と汪徴は語ります。

「野郎ども、ここに!生来の奴隷などいない。貴族の座など不要だ。自由を手に入れろ!」と腕の内側に入った瀚噶族の紋章を一瞥し、桑賛は貴族を刀で殺害。すると桑賛に一本の矢が飛んできて、彼は胸を射抜かれます。

「事態は悪化し、桑賛も傷を負った。そして桑賛は父たちに追われたわ。でも隠れ場所はない」

桑賛と格蘭が格蘭の天幕の中で睦み合っていると、突然彼女の父が「格蘭よ!いるんだろう!」と怒鳴り込んできます。桑賛は慌てて天幕の外に逃亡。
「お父様、戦場にいるものと」と素知らぬ顔をする格蘭に「しらを切るでない。奴は?」と父は渋い顔。「逃げたと思われます」と言う側近に、「すぐに追え」と指示します。
「お前は私の娘だ。悪いようにはしない」と言う父に、格蘭が「お父様、私…」と言いかけたその瞬間、桑賛は格蘭の父の背後から飛び出し、彼を刺殺します。

「お父様!傷つけるつもりはなかったの…彼と話し合ってほしかっただけよ…」と泣き崩れる格蘭に、「こいつと話すことはないと言っただろ!俺の妹を殺し、兄をも死なせた奴だ。その恨みを忘れろと?」と憎しみに満ちた目を向ける桑賛。
「じゃあ私は?私を思う気持ちはないの?」「君は君だ!君が優しくても父親の罪は消えない!」「でもね、私はお父様の娘なの。私のことも殺しなさい!」「俺は君を傷つけない。これからも絶対にだ!」、桑賛は格蘭のことは深く愛していましたが、瀚噶族の貴族制も自分の家族を手にかけた格蘭の父と兄も同じほど憎悪していました。

桑賛は誓いどおり族長になると全員に発言権を持たせました。「今日をもって瀚噶族に貴族はなし。奴隷もいない。誰しもが尊厳を持って生きる!」と叫ぶ桑賛を讃えるように、桑賛!桑賛!と人々が唱和します。

「私の愛した人は実の父と兄を殺しー私が唯一頼れる人になった。随分と皮肉な話ですよね。でも彼は私を守り続けた。部族のみんなの目に余るほどにー」

桑賛は人々から再三、格蘭を殺すよう乞われていました。
「あの女を早く処分してください。あなたを慕った我が娘は死んだ。あの女の妖術だ。全ての女子があなたのものなのに、なぜ罪人の娘と懇意に?納得できない」「格蘭は特別なんだ」「皆の者が彼女を忌み嫌っている。確かに特別だ。今日中に結論を出してください。さもなくば、新しい族長を選ぶことになる」と嘆願され、桑賛が自分の天幕に戻ろうとした時、彼は格蘭が今の話を聞いていたことに気づきます。

 

格蘭と桑賛は2人が初めて出会った野原に訪れます。
「久しぶりに来たわね。あの時、あなたは向こう見ずな奴隷だった。でも瞬く間にお父様の座についたわ」と遠い目をする格蘭。「本当は、俺…」と言いかける桑賛の言葉を遮る格蘭。
「全部夢みたいなもの。それはいい夢かも悪夢かもしれない」「格蘭」「でも夢からは覚めなければならない」と寂しげに言う格蘭に、桑賛は彼女の体を後ろから強く抱きしめます。
「一緒に逃げよう。やるべきことは追えた。心残りはない。これからはこの世の片隅で君と暮らせればいい」
桑賛の言葉に歓喜し、格蘭は喜びのあまり彼に抱きつきます。

「幸せだった。でも幸せと不幸は隣り合わせなものです。その夜、天幕に荷物に取りに行った彼を私は待っていました」

格蘭は桑賛を野原で待っていましたが、背後から何者かに殴られ、気絶。気づくと十字架に縛り付けられていました。「ここはどこなの?」と朦朧としながら辺りを見回すと、遠くで桑賛が両手を鎖で拘束され叫んでいました。

「その時ようやく、みんなの私に対する恨みの深さを知りました」

「善は急げだ。始めよ」と言う長老の言葉を聞いた瞬間、「やめてくれ!ああああああ!!!!」と桑賛は絶望のあまり絶叫。鎖を引きちぎり、必死で格蘭の処刑台に走ります。格蘭の遺体を攫い、偶然手に入れた聖器を取り出すと、「聖器というなら命を救えるはずだ」と彼女にかざします。聖器は輝きましたが、彼女は生き返りません。

「格蘭!格蘭!」と涙する桑賛。格蘭の遺体を横に、「役立たずめ…生き返らなかった…」と桑賛は聖器を握りしめます。

黒枹使は「長命時計とは違う。山河錘の能力は肉体からエナジー体を強制的に剥がし、固めること。エナジー体はすぐに形を成すことはできない」と汪徴の昔語りに口を挟みます。

桑賛は泣きながら格蘭の遺体の周りに花を植え、横たえます。

「彼は私を思い出の地に聖器と共に埋めました。私はそばにいましたがー彼は二度と私を見ることができなかったー」

「格蘭、仇を討ってやる」とつぶやく桑賛。

「その日から…」と汪徴が言いかけると、趙雲瀾は「彼は変わった」と断言します。
「なぜそれを?」と汪徴が訝しむと、「俺も知ってる。強い意志を持った聡明な男を。彼の尊厳は誰にも傷つけられない。男の誇りってのは大切な人を守り抜くことだ。自分が守ってきた民衆の手で愛する人が殺されたら、彼らを深く恨むだろう」と言う趙雲瀾。

黒枹使は聞こえないほどの小声で「そのとおり」とつぶやきます。そして今度ははっきりと、「相手を切り刻んでも恨みは消えない」と同意するのでした。