第31話 夢の束縛
<あらすじ>
趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は父である趙心慈(チャオ・シンツー)の言動に疑念を抱き、正体を問い詰める。
父の体には地星(ちせい)人の獐獅(ジャンシー)が共存していた。
地星人との関わりが明るみに出た特調所には非難が殺到する。
趙雲瀾は「ずっと疑ってた。表情や話し方、仕草や癖が以前の親父と全く違う。まるで別人だ」と趙心慈に銃を向けます。「この銃は普通の人間なら問題ないが、地星人なら致命傷になる」と言う趙雲瀾に、「ではもし私が父親として20年間君を見てきたと言ったら?」と趙心慈が返します。
若き日の趙心慈は、地星人の男を追い詰めますが、彼は荒れた家の裏庭でこめかみに穴が開いた状態で見つかります。自殺のようです。趙心慈が高部長と話していると、死んだ男の体から黒い煙が移動し、趙心慈の体に入ります。趙心慈はよろめき、心臓を押さえます。
その後、鏡の前で趙心慈は「お前は何者だ?」と尋ねます。すると、鏡の中の自分は瞳が橙色に輝いており、「私は獐獅だ。悪人じゃないし君を乗っ取る気もない。実を言えば、私はとうの昔に死んでいるはずだった。だが特殊能力で人間に寄生し生き続けてる」と微笑み答えます。「今後は共存しパートナーになる。お前の知識で私を助けろ」「分かった!約束する」、こうして趙心慈と獐獅は共存関係になったのでした。
「彼の変化は予想外だった、妻を無くした心慈は地星人に容赦しなくなった。僭越ながら親父さんの半分は私が演じてきたよ。夜尊に対抗するには聖器を集めるしかない。だから…」と獐獅が趙雲瀾に触れようとすると、「親父を出せ」と趙雲瀾は冷たい反応です。
「地星人との関わりが暴露された今、足枷になる特調所は…」と趙心慈が言うと、「誤った世論に扇動されてるだけだ!俺は部下を絶対に守る」と趙雲瀾は反論します。「特調所の存続は海星艦が決める」と言う趙心慈の肩に自分のそれをぶつけて足音荒く部屋を出ていく趙雲瀾。
夜の公園にまた夜尊が現れます。「特調所にはバリアがあり、関係者以外の力は排除されます。聖器はまだ特調所です」と言う鴉青に、「内部から切り崩せば良い」と返す夜尊。
趙雲瀾が街を歩いていると、後ろから祝紅が付いてきます。一人で解決できると息巻く趙雲瀾は、祝紅に叔父さんが心配しているから蛇族の村に戻れと命じます。そして、連絡がない沈巍の様子を一人で見に行きます。祝紅は趙雲瀾に、「残ってくれと一言言ってくれたら蛇族とは縁を切る」と涙ながらに愛を訴えます。しかし、趙雲瀾は自分のような男では祝紅を幸せにできないと拒否。そこに、鴉青が現れるなり祝紅を攻撃します。趙雲瀾は祝紅を連れて慌てて特調所へ向かいます。
海星艦では、高部長が「世論を抑えろ。なぜ特調所の情報が拡散している?」と電話の先に怒鳴っていました。その後すぐにどこかへ電話をかけ、「これ以上は待てない、動け」と言い放ちます。
祝紅を抱いて特調所に着いた趙雲瀾。強引に看病を郭長城に押し付けます。
趙雲瀾は所長室へ行くと、「趙雲瀾、約束してくれ。何が起きても守りに徹し、安易には動かないと」という沈巍の言葉、「忘れるな、特調所の存続は海星艦が決める」という趙心慈の言葉を反芻します。
海星艦にて、趙心慈と高部長は会談します。「手配しました。彼のことは?」と言う高部長を前に、趙心慈は銃を撫でます。「既に決定したのだ。考慮する必要はない。だが私に免じて逃げ道は残せ」と言う趙心慈。
翌日、郭長城は外出しようとする趙雲瀾を全力で止めます。祝紅が「外に出すな」と伝えたようです。しかし、祝紅が眠ったまま目を覚まさないと楚恕之に言われ、二人は彼女のもとへ。「目覚めない理由を本人に聞くしかないな」と趙雲瀾は困り顔。趙雲瀾は祝紅の手を握り返すと、目をつぶり、彼女の夢の中へと入っていきます。
夢の中で、祝紅は趙雲瀾とともに事件を捜査しており、彼の後を楽しげについて回っていました。そこに今の趙雲瀾が現れ、「目を覚ませ。夢で自分を見失うと戻れない」と彼女を制止します。しかし、祝紅は「起きるもんですか!このままでいいの、夢のままで」と拒絶します。
眠っている祝紅と趙雲瀾の部屋に李が入ってきて、「海星艦が特調所を閉鎖すると。今度は本気です」と、そこにいた郭長城と楚恕之に報告します。「5分後に目覚めなかったらこれを飲め」と楚恕之は仙薬の入った小瓶を郭長城に手渡して玄関に向かいます。特調所の玄関に来た楚恕之は、海星艦から来た職員たちの前に立ちはだかり、室内に入るのを阻もうとします。
天柱に縛りつけられ呻いている沈巍。「趙雲瀾に何か起きている…。意識が不安定になっている。どこだ?どこにいる?」と顔を歪ませながら呟くと、「魘公子の作る美しい愛の夢の中にいる」と夜尊は答えます。「彼に手を出すな!許さないぞ!」と吠えた沈巍は天柱の鎖に締め上げられ、脂汗を流しながら苦しみます。
郭長城は仙薬の蓋を開けると一気に飲み下します。
「彼はレディーが好きだと言ってたわ。ヒール姿を褒めてくれた。慣れなきゃ」とヒールを履き慣れようと練習する祝紅の横で床に這いつくばる趙雲瀾。その場に郭長城も突然現れます。「祝紅に夢だと悟らせよう。一緒に出よう」と言う趙雲瀾。「祝紅さん」と郭長城が彼女に触れようとした瞬間、楚恕之の操る傀儡から出た糸に祝紅が縛られます。
目が真っ赤に変化する祝紅。「お前は周りが見えていない、3日だけやる」と言う叔父、「趙雲瀾、一言でいいの。蛇族とは縁を切る」と言う自分、「お前を傷つける真似はしたくないんだ。お前が幸せならそれでいい」と言う趙雲瀾。それらの言葉を反芻し、祝紅は崩れ落ちます。
「思い出すのは嫌。起きたくない。愛されなくても必要としてくれたら、森には戻らない。なぜ分かってくれないの?あなたと一緒にいたい」「私を大切にするなんて嘘ばっかり。全部忘れられたらどんなにいいか。でも不可能だわ、忘れるなんて」と言いながら泣く祝紅。
「最初に会った時、ヒール姿を褒めてくれた。嬉しくて足が棒になるまで歩く練習をしたわ。普通の人間の女みたいになりたかった。そしたらきっと好きになってもらえる。あなたの理想のレディーになりたかったの」「夢ならいいのに。私を傷つけた言葉は全部夢で、ここが現実なの。私とあなたしかいない」と打ちひしがれる祝紅。
「祝紅、俺はお前が大事だ。特調所の人間は、全員俺の友達で家族だ。俺と帰ろう。みんな待ってる」と趙雲瀾が言うと、「あなたも?」と祝紅は縋るように言います。「俺もだよ」という趙雲瀾の言葉に、花が綻ぶように笑う祝紅。祝紅は「趙雲瀾、好きよ。初めて会った時から」と告げると、涙します。趙雲瀾は彼女の手を握り、目覚めます。
楚恕之の前に進み出た趙雲瀾は、「高部長に伝えろ。俺がいる限り特調所は存続する」と言いきり、男たちは渋々帰っていきます。
李から見せられた今朝の新聞の一面には、大きな文字で”光明路の黒幕”と書かれています。趙雲瀾は「分かった」とだけ言うと、楚恕之を引き連れて所長室へ行き、楚恕之の人形を机に叩きつけます。「傀儡が祝紅を傷つけたらどうする?仲間を危険に晒して平気か?」と激怒。しかし、楚恕之は「ボスこそ最近甘すぎだ!時には心を鬼にしないと後悔する!」と声を荒げます。

祝紅→趙雲瀾の告白回でした。
BLヲタ的には、祝紅が恋敵認定してるのが沈巍ってところに死ぬほど萌え滾りましたね…☺️❤️
祝紅の蛇族っぽいところって相手を洗脳できる能力くらいかと思ってたけど、実際はヒールで歩くのも生肉食べないのも趙雲瀾に好かれる「レディー」になりたくて努力で我慢してたと知り涙が…😭
告白シーンの祝紅の涙が美しくて、言葉があまりに健気で一途で泣いちゃいました。蛇族を捨ててもいいってくらい愛してる人に家族愛しか向けられないの、辛いよな、祝紅…。
地界にいても「趙雲瀾に何か起きている。何があった?意識が不安定になっている。どこだ?どこにいる?」って、愛する人の状況を察知する沈巍マジパねえ…受けのピンチに必ず駆けつける、セコム攻めだ…😭❤️
「夢など必要ない」の力強さには「夢ではなく現実にするからな」というパワーを感じるし、敵に生殺与奪の権を握られていても「彼に手を出すな!許さないぞ!」と吠えられる愛の強さが本当に尊い😭❤️
第32話 過去の弱み
<あらすじ>
ネット上では地星(ちせい)人を匿っていたとして特調所への批判がエスカレートする。
趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は人々に事情を説明すべきだと上層部に訴えるが、海星鑑(かいせいかん)の高(ガオ)部長は取り合わない。
そんな状況に腹を立てた地星人の楚恕之(チュー・シュージー)は、沈巍(シェン・ウェイ)を連れ戻すため、郭長城(グオ・チャンチョン)と共に地界へ向かう。
「仲間と敵の見分けもつかないのか!」「俺なりのやり方だ!」と趙雲瀾の怒りがヒートアップしたところで、所長室に大慶が入ってきて「叢波にネットの情報を削除させてるが、拡散が速くて限界がある」と報告します。
趙雲瀾は「お前達はここで待機してろ。俺は地界へ」と言います。楚恕之は「俺が行く。ボスがいないと所員は不安になる」と言います。
天柱の前で夜尊は、長髪の男の首を黒い煙で締め付け、「聖器を得るために心を征服せよ」と告げます。男は朦朧とし、「心を征服せよ…」と繰り返します。夜尊の背後で沈巍は苦しみ続けています。
特調所に出所した郭長城は、うたた寝した間に、楚恕之に首を絞められる夢を見ます。どうにか目を覚ましますが、楚恕之も大慶も夢を乗っ取られないように眠らないように必死です。
夜尊に殺されかけた長髪男は、特調所を外から見つめています。
パソコンを見ていた郭長城は驚き、一同を呼び寄せます。「”特調所は凶悪な殺人犯を匿っている”」と祝紅がネット記事のタイトルを読み上げた途端、楚恕之の顔色が変わります。
「特調所は特殊な機関で不可解な事件を処理しています。いわゆる地星人が起こした事件です」と海星艦で高部長に詰め寄る趙雲瀾。「今は特調所に対する火消しが優先だ。殺人犯を匿っていた問題をまず解決しろ!」と高部長は聞き流します。「特調所の奴らに手を出すな。楚が罪を犯したのは過去のことだろ。何かしようものなら覚悟しとけ」と啖呵を切って去っていく趙雲瀾。
特調所に帰ってきた趙雲瀾に、「俺は100年も償うほどの罪を犯した。だがその罪は俺1人の責任だ。なぜネットの奴らは俺の仲間まで悪く言う?ボス、一度信じてくれ。あんたのところに沈教授をつれて帰る」と頼む楚恕之。趙雲瀾は「行かせない」と宣言。楚恕之は外出してしまいます。
「郭ちゃん、楚に付いていき離れるな」と趙雲瀾は郭長城に命じます。楚恕之は郭長城を連れて地界へ行き、真っ先に地君殿へと向かいます。
摂政官の前に進み出、「特調所の使いで来た。黒枹使様と連絡を取れ」と威圧的な楚恕之に、摂政官は「黒枹使様は地上におられ、ご安全なご様子だ」と返します。楚恕之は笑い出し、「先の折れた香を使って黒枹使様と連絡が取れるとは。どうせ夜尊の手駒になったんだろ?」と、手のひらから折れた香を手から出します。「黒枹使様は地界にいるのか?」とさらに楚恕之が問いますが、「本当に私は知らぬのだ」と摂政官は知らぬ存ぜぬを通します。
地界の街に出た楚恕之と郭長城。「取りに行きたいものがある」と楚恕之は足早に歩き出すと、土を掘り返し、埋まっていた箱を大切そうに開けます。しかし中には何もなく、彼は驚愕し、全速力で走り出します。そして地君殿に駆け込むと喚き散らします。「なぜなくなってる?念之!!俺のものだ!頼むから返してくれ!」と叫ぶ楚恕之。
「夜尊様よりお前に伝言がある。あの方が弟をかわいがっているそうだ」と言う摂政官。「3年前、俺の弱みを握るためあれを持ち帰らせなかったんだな」と唾を飛ばし怒る楚恕之。
街を歩く楚恕之は、ついて来る郭長城に「俺が人殺しだとさっき聞いただろ!?それだけじゃなく、俺は人を食った悪魔なんだよ!!」と凄みますが、郭長城は泣きながらも離れません。
「俺は罪を恥じていない!贖罪ならとっくに終わってるはずだ!なぜ奴らはまだ弟を苦しめる?」と楚恕之は郭長城を地面に叩きつけます。
「帰ってボスに伝えろ。俺は無力で人に操られるちっぽけな脇役にすぎない。だが、大切なものは取り返す。ことが済んだら、帰ってボスに償いをする」と言い終えると、立ち上がり、目に涙を溜めて歩き出します。郭長城は彼の背を見つめることしかできません。
天柱に縛り付けられ憔悴している沈巍。そこに、「夜尊!出て来い!」と楚恕之が走って来ます。そして沈巍を見つけます。楚恕之は鎖を外そうと闇の力を送りますが、沈巍は苦痛に痙攣するだけで全く解けません。「他人の身より己を案じることだ」と夜尊の声が響き渡ると、楚恕之の身体を黒い塊が通り抜け、そこに楚恕之に瓜二つの男が現れます。
「兄さん」と男が楚恕之に呼びかけると、楚恕之は恐る恐る振り向きます。「故人の姿はお気に召さなかったか?では元の私に戻ろう」といつもの煙の姿になる夜尊。
「夜尊、頼む。俺の大切なものを返してくれ」と懇願する楚恕之。「もし渡さなければ奪い取る気か。私に敵うとでも?」と言うなり、夜尊の姿が念之に変化します。「弟は死ぬ前に、能力で人形の中へ。肉体は滅びたが、この人形の中へ魂を残した。いわば弟の化身だ。弟が恋しいか?」と問いかけてきます。
そこに郭長城が転がるようにやって来ます。「そいつを殺せば返してやろう。他人のためにまた弟を犠牲にするのか?」と夜尊は非情に言い渡します。「できない」と楚恕之が言うと、夜尊は郭長城に一撃を食らわせます。
「ゲームは終了した。受け取れ、ご所望のものだ」と夜尊が言うと、楚恕之の目の前には念之が立っていました。念之の名を呼びながら、楚恕之は天柱の前で卒倒します。沈巍も天柱に縛り付けられたまま失神しています。
「採用通知だ」と男が採用通知の書類を楚恕之に差し出すと、「兄さんおめでとう」と祝う念之。「摂政官様」と巻物を恭しく渡す恕之。摂政官は巻物を受け取り、にやついています。
「おい、起きろ」と楚恕之が趙雲瀾に揺り起こされると、そこは特調所の自分のデスクでした。「沈巍が囚われの身に?」と尋ねる趙雲瀾に、「あ…ああ…」と楚恕之は動揺した物言いをします。楚恕之はふらふらした足取りで書庫に向かうと、傀儡を胸の前で握りしめたままソファーに横たわります。
「楚さん、起きて」と誰かに肩を叩かれ楚恕之が起きると、そこには元気な郭長城がいました。「長城、戻ったのか?無事で?」と困惑する楚恕之。「横になってゆっくり休んで」と郭長城は楚恕之をソファーに横たわらせます。ゆっくり目を閉じる楚恕之。
まだ念之が生きていた頃のことです。
念之は楚恕之の持ってきたパンを頬張ると、「これ、兄さんの手作り?兄さんには敵わないよ。見た目は同じでも性格は全く違う。生まれつきの差なんだ」と言います。「念之、お前が幸せならみんなそれだけで十分だ」と言う楚恕之。「兄さん本当に地君殿で働くの?兄さんの特殊能力が活かせないぞ」「穏やかな暮らしが一番だ」と、兄弟は穏やかに会話をしています。
しかし後日、酒場に胸元を切り裂かれ、血に塗れ、鋭い目で立ち尽くす楚の姿がありました。「判決を下す。念之は酒場で揉め事をおこし人を殺めた。よって…」と摂政官が地君殿で念之(?)を跪かせ判決文を読んでいると、「僕が念之だ!ここに証拠が」と走り込んで、胸の傷を見せます。摂政官は2人とも罰するように衛兵に命じます。
補佐官から鞭で打擲され全身血塗れになりながらも、楚恕之は「念之、大丈夫だ…」と言い、失神。補佐官は焼鏝を胸に押しつけ楚恕之を絶叫させます。
傀儡を握りしめながら、苦しむ楚恕之。郭長城は慌てて楚恕之を揺り起こします。
「弟はやっぱり死んだ」と傀儡を握りしめ、自分の額にあてる楚恕之。
楚恕之はぼんやりと外を散歩していますが、まるで抜け殻のようです。
「楚さんが僕を殺そうとする夢を前に見たんです。でも、現実では生かしてくれました。確かに、夢には現実が投影されていて実生活と関連がある。でも別物です」と郭長城が必死で言うと、楚恕之は「現実と夢が同じならいい。そう思ってるとしたら信じるか?」と静かに告げます。

「ボス、一度信じてくれ。あんたのところに沈教授をつれて帰る」と楚に言われた跡に趙雲瀾の動きがとまるのがめちゃ愛おしいです。趙雲瀾を動かすのはいつも沈巍なのだ…😭
夜尊が長髪の男(魘公子?)に命じた「心を征服せよ」がすごく気になります。あれは楚恕之を攻撃しろってことなのかな?
それに郭長城が「夜尊の前で死んだふりをした」って言ってたけど、正直ありえなくないですか…!?だって夜尊超強いのに!?もしや郭長城の本物は地界にいて、特調所にいる郭長城は夜尊の手下が化けたスパイ?🤔
最後に楚恕之が言った「現実と夢が同じならいい。そう思ってるとしたら信じるか?」が不穏すぎます。どういうこと?現実の弟はもっとむごい有様で死んだってこと?😨
第33話 夢と現実
<あらすじ>
楚恕之(チュー・シュージー)は自分が起こした事件のせいで弟を失った過去を語る。
そんな彼に郭長城(グオ・チャンチョン)は聖器を使って弟を生き返らせようと提案する。
しかし、それは夢を操る地星(ちせい)人 魘(えん)公子が見せた幻だった。
「信じます。だけど楚さん、夢を見ていた時、苦しそうでしたよ」と言う郭長城に、「俺は夢の中で鞭に打たれ、火で焼かれる。炎の熱さで傷口が引き裂かれる苦痛を味わう。現実の世界では何もできなかった代わりに、罰を受けてるんだ。現実が夢と同じならどれだけいいか。念之を無駄死にさせた」と自嘲する楚恕之。
「僕は楚さんを兄のように慕ってきました。迷惑でなければ僕が代わりに呼びますよ、”兄さん”と」と郭長城は提案し、「”兄さん”、僕と楚さん、それから念之。3人で地界で生活を」と言います。楚恕之は郭長城を抱きしめます。
楚恕之は郭長城を地界へと連れて行き、穏やかに2人で暮らし始めます。
「楚さん、念之がよみがえるなら?僕だって死んだけど生き返ったでしょう?」と言い出す郭長城。楚恕之は「弟はずっとあのままの姿だ!弟が負傷したのは自業自得だ!地君殿に助けに行ったのに、奴らは弟を解放しなかったんだ!俺は助けたかった!」と叫びます。郭長城は「念之は許してくれる。楚さん、僕は生き返らせる方法を知っています聖器を使うんですよ」と言います。
特調所に戻ってきた楚恕之と郭長城。「本で読んだんです。”魂を失わぬものは聖器の力で再び蘇るだろう”と。念之は死の直前、人形の中に逃げた。だからまだ魂は存在してる。”魂を失わぬもの”は、念之のことですよ!」と興奮する郭長城。「だがもし失敗したら?」と問う楚恕之に、「念之は人形のまま!僕と楚さんは地界で暮らすんです。聖器は元の場所に戻しておくだけでいい。所長も分かってくれます」と言う郭長城。
「悪夢から解放されますよ」と郭長城に囁かれ楚恕之が特調所に入ろうとすると、郭長城が「念之は地星人だしバリアを通れない。先にバリアを壊しましょう」と促します。
「長城、全て片付いたら食事でもしよう。激辛料理はどうだ」と楚恕之が言うと、「ええ、大歓迎です!」と笑顔で返す郭長城。楚恕之は「お前は誰だ?」と言うなり、郭長城に向かって力を放ちます。郭長城の体は、ガラスに映った映像のように粉々に砕け散ります。ハッと背後を見ると、どれだけ糸で攻撃しても長髪の男が瞬間移動しながら迫って来ます。
「私は魘公子。ここは夢の中だ。夢の中は美しい。お前の愛する者たちもいる。なぜ外へ出たがる?」と魘公子が吠えた瞬間、楚恕之は彼に再度殴りかかります。空を切った拳の先には、地君殿の採用通知を得た時の映像がぼんやりと空間に浮かんでいます。
「兄さん、1つお願いがある。あの人形は…もう使わないで。僕は力を捨て、地君殿で働くよ。穏やかな暮らしが一番だ」と言う念之。地君殿で働くことになったのも、料理がうまいのも念之でした。楚恕之はポケットから人形を引っ張り出すと、「人形を操るのは止める。俺だと思って持ってろ」と念之に手渡します。
しかし後日、楚恕之は酒場で別の人形を片手に、拳を血塗れにして仁王立ちになっていました。補佐官に連行されていく楚恕之のもとに、「兄さん!必ず助けるよ」と念之が不安げな表情を浮かべながら駆けつけます。翌日、念之は町中で見知らぬ男に「バーで俺を殴った奴だな」と絡まれ、男に顔の形が変わるほど殴られて失神します。
後日、楚恕之は糸を操り衛兵たちを倒します。念之を殴った男を見つけ出すと、楚恕之は「命で償ってもらう」と冷たく言い放ち、彼を一撃で殺します。
楚恕之は手足と首を拘束され、再度地君殿に連行されます。「敵討ちのため脱獄したうえ、人を殺めた罪は重い。100年の刑に処する」と、摂政官は言い渡します。
思い出を映している空間から魘公子の顔だけが浮かびあがり、「兄が起こした事件のせいで犯人と間違えられ、弟は命を奪われたのだ。このままでいいと納得できるのか?」と楚恕之に問うてきます。
楚恕之がハッと目を覚ますと、彼は傀儡を両手で握りしめソファーで寝ていました。そばの椅子に座っていた趙雲瀾に「長城はどこだ?教えてくれ」と問う楚恕之。「つまり俺が、弟の遺品を取りに行ったせいで長城は殺された?」と言う楚恕之は咽び泣きます。
地界の天柱の前で、魘公子は夜尊を前に跪いています。「また失敗したのか」と苦々しく言う夜尊の背後で、沈巍は苦笑します。「彼らの精神力は強い。現実は残酷で悲しいものだが必ず喜びがあり、真の友が待っていてくれる。お前は勝てぬ」と沈巍が諭すように言うと、「兄さん、目を開けて私と己の姿を見ろ。友を信じたところで私たちは闇を抜け出せぬ!希望は捨て、この世が闇に染まるのを見ろ。私がその全てを取り仕切る」と沈巍を攻撃する夜尊。
所長室にいる趙雲瀾と大慶のもとに、窓を突き抜けて突然紙がひらひらと入ってきます。紙には「地君殿 巍より」と書かれています。「出てくる。楚を頼むぞ」と、趙雲瀾は外出してしまいます。
趙雲瀾は早速地界に来ました。衛兵を殴り、制服を拝借すると、地君殿に潜り込みます。なんと地君の玉座そばの柱の陰に、憔悴した郭長城が座っていました。
「所長…長刀を…」と、郭長城は息も絶え絶えに自分の左手先に長刀があることを示唆し、失神。趙雲瀾はすぐにそれを手に取ります。
天柱の前に影の男が現れます。彼は李茜を襲った地星人です。「あの時の影か」と言う沈巍に、「復活した夜尊と戦うため、摂政官は俺たち罪人まで駆り出したんだ」と、影は長刀を懐から取り出します。
郭長城が夜尊の攻撃を受けて倒れた時、沈巍はなけなしの力を使って彼を庇い、「趙雲瀾が来たら私の長刀を渡せ」と暗示をかけていました。「なぜお前が刀を!」と混乱し絶叫する沈巍。「これが結末ということだな、殺せ」と沈巍は納得し目を閉じます。
そこに趙雲瀾が郭長城をおぶって歩きながら近づいてきます。「あんたは俺を連行したあと、減刑を訴え、家族も慰めてくれた。俺も恩仇の区別はつく。夜尊は”地星人に恩恵を”と言いながら海星の支配を目論んでいる。あんたがいないと終わりだ」と影は言います。
趙雲瀾は長刀を両手で握ると全力で鎖に刃を打ち込みますが、跳ね返されます。「趙雲瀾」と沈巍は不安げに彼の名を呼びますが、趙雲瀾はまるで声が聞こえないように何度も何度も鎖に刃を叩きつけます。
「やめろ、それ以上は危険だ!この鎖には夜尊の呪いが。私の長刀でも呪いは解けないようだ」と沈巍は言いますが、趙雲瀾は「呪いなど信じるか」と刃を打ち込み、弾き飛ばされます。「雲瀾、もう止めてくれ!君が深手を負う。郭くんと逃げろ!言うことを聞け!」と叫ぶ沈巍。趙雲瀾が長刀を振りかぶると、影が横から長刀を奪い、鎖を斬ろうと何度も刃を叩きつけます。最後の一撃が鎖に食い込んだ瞬間、鎖が解けると同時に、影は人間の男に変化します。
「黒枹使…地星人を失望させないでくれよ…」と沈巍を見つめ、がくりと首を落とす男。彼のそばで跪いていた沈巍は心臓を押さえ、体を折り曲げ苦しんでいましたが、趙雲瀾がどうにか彼を立ち上がらせます。「敵は討つぞ」と趙雲瀾が沈巍を見つめます。
特調所に、郭長城をおんぶした趙雲瀾と沈巍が帰ってきます。楚恕之は郭長城の介抱を率先して行います。「沈巍も怪我をした、送って来るよ」と祝紅に言うと、趙雲瀾は彼を肩に担いで出ていきます。
沈巍の腕を掴んで離さない趙雲瀾を見て、「1人で歩けるよ」と笑う沈巍。沈巍は「日差しを浴びたい」と珍しくわがままを言います。趙雲瀾は「もちろん」と近くのベンチに彼を連れて行き、一緒に座ります。
空を見上げる2人。沈巍は「特調所の存在が暴露された?魘公子が、楚恕之と祝紅の夢を操ったんだな」と言います。頷く趙雲瀾に、沈巍は「趙雲瀾、特調所の存在が暴かれ、夜尊も自由を得た。より大きな危機が迫っている。もう少し…」と説教をしようとしますが、趙雲瀾は「魘公子には十分注意するよ」と軽くかわします。
特調所では、楚恕之が郭長城に話しかけ続けていました。彼の呼吸は一定ですが顔色は今にも死にそうなほど真っ白です。
「黒枹使が夜尊から郭ちゃんを守ってくれたけど、深い傷を負ってしまったらしい」と大慶が言うと、楚恕之は「絶対に助ける」と断言します。「付き添うのはいいが、聖器は使うな」と釘を刺す大慶。しかし楚恕之は長命時計を手に取ると、決意と共にそれをぐっと握りしめます。
海星艦の研究所にいる林静に電話が入ります。林静の背後で、欧陽教授は一心不乱に研究を進めています。ふと特調所へ異動になった時のことを思い出す林静。
林静を呼んだ欧陽教授は彼に「異動通知 林静」と書かれた書類を手渡します。
「君は自慢の学生だ。特調所を知っているか?地星人を捕まえるためだよ。私達の研究テーマは遺伝子工学だ。地星人のDNAを入手できたら、輝かしい進歩をもたらせる」と欧陽教授に答えられ、林静は「つまり僕にスパイになれと?」と眉を顰めます。「君は地星人の資料やDNAを定期的に提供してくれればいい」と頼んでくる欧陽教授に、「分かりました。でも、科学の道に背く行為は…」と林静は渋々受け入れます。
楚恕之は郭長城の手に長命時計を握らせると、手に闇の力を込めます。長命時計は光りだし、楚恕之は顔が真っ赤になるほど苦しみもがきます。しばらくすると、長命時計は光を失います。楚恕之は倒れ込みそうになりますが、郭長城の容体は全く変化がありません。郭長城の両手を握ると、できることはやったとばかりに微笑む楚恕之。
林静はキーボードを叩きながら急に眠気に襲われ、あくびをします。居眠りを始めると、彼のデスクに置かれた蛍光灯の周りに黒い煙がぼんやりまとわりついていました。
「裏切り者」という趙雲瀾の言葉を聞き、林静ははっと目を覚まします。そこは自分の指定席である、特調所の実験室にある林静のデスクでした。特調所メンバー全員、一人一人から「裏切り者」と罵られる林静。
「この3年間少しは貢献しただろ?許してくれ」と懺悔する林静に、「お前が何の貢献をしたと?」と趙雲瀾は冷たく睥睨します。「例えば、バリアだよ!」と林静は大声で言いますが、趙雲瀾は「もう使えない」と返します。全員の憎しみの視線と祝紅の責めるような視線から逃れようとして、ハッと目が覚めます。
「なぜ眠ってたんだ…特調所の夢を見た」と独り言を呟き、林静は大きなため息をつきます。
天柱の前を歩く若者を息をするように吸収した夜尊は、「兄さん、待ってろよ」と呟きます。

楚恕之が見ていたことは全て彼の贖罪の気持ちが見せた夢だった、というのが無茶苦茶しんどかったです。しかも大慶に止められた長命時計を使ってしまった…どうなってしまうんでしょう。
沈巍を取り戻せてホッとしたのですが、鎖に練り込まれていた夜尊の呪いとは何なのでしょう?沈巍は何度も危険だからやめろと警告していたけれど…。
一人で帰ると言う沈巍を無理やり担いで帰る趙雲瀾の強引さにキュンとしました❤️とはいえ、「妊婦さんと歩いてるみたいだ」発言で頭の中の理性がブチ切れました。に、妊婦さん…だと…?(脳内に駆け巡る趙雲瀾女体化、妊娠パロ)なぜ妊婦…?それだけ沈巍が大切ってこと…?🥺❤️
「あんたを置いて1人で帰れるわけない。仕方ない、つきあうよ」って顔合わせて笑い合うのが平和すぎて愛おしいです😭ずっとこんな2人を見ていたい😭
魘公子は林静の夢の中に入って、特調所のバリアを破る方法を探ってるのかしら…?
第34話 特別調査所の閉鎖
<あらすじ>
地界から助け出された郭長城(グオ・チャンチョン)は楚恕之(チュー・シュージー)が見守る中で目を覚まし、2人は再会を喜ぶ。
しかしその頃、趙雲瀾(チャオ・ユンラン)が殺人犯を匿った容疑で指名手配され、海星鑑(かいせいかん)は特調所の閉鎖を決定する。
一方、研究所では欧陽貞(オウヤン・ジェン)教授が自分の体で血清の実験をしようとしていた。
特調所の実験室で、台に横たわる郭長城のそばに座り、話し出す楚恕之。
「昔ある双子の兄弟がいた。2人は見分けがつかないほど瓜二つだった。だが性格は正反対だった。兄は活発で面倒ばかり起こし、英雄になることを夢見ていた。だが弟は温厚で、内気で礼儀正しく、賢かった。そんな兄が、ある日騒ぎを起こした。相手は兄弟を取り違え、弟を捕らえて監禁し、火を放った」。楚恕之は涙を流します。
「よほど苦しかったのか、弟は能力を使い、肌身離さず持っていた人形に乗り移った。弟の死を知った兄は、警備を破って脱獄した。頭には復讐しかなかった。弟の敵もそうでない者も、罪のない守衛も含め、皆殺しにしたんだ!」。
楚恕之が涙を湛えた目で郭長城を見つめていると、郭長城が目を開きます。
「覚えてますか?地界にいた時、僕を帰そうと、楚さんは嘘をついた。あなたはいい人です。少しも怖くない」と、郭長城は楚恕之の手を握ります。
林静は海星艦の研究室で「海星艦、殺人犯を匿う」と趙雲瀾と楚恕之の顔写真がネットで公表されていることをパソコンで発見してしまいます。するとそこに李茜が現れ、「私も特調所が心配なの。あそこには恩師もいる」と告げます。「以前匿名で長命時計の用法と海星艦での事件についてメールが届いた。君だな?」と林静が推理すると、李茜は欧陽教授を気にしながら頷きます。欧陽教授が「成功だ!ついにやったぞ!」と叫びます。林静と李茜は不安げです。
特調所では、叢波が祝紅のパソコンを借りてキーボードを叩いていました。「特調所関係の書き込みが日に日にエスカレートしてるわ」と横で怒る祝紅。
「祝紅さん、他の人は?」と郭長城がよろよろと彼女に近寄ってきます。「沈教授は療養中よ。ボスと他の2人は海星艦に行ったわ」と祝紅が答えた途端、玄関から複数の足音が聞こえてきます。
そこに現れたのは趙雲瀾ではなく、郭英と彼の部下でした。「退去してくれ。しばらく立入禁止だ。趙所長が殺人犯を匿った容疑で指名手配された」と、所員を見回し、命じる郭英。「特調所は閉鎖される。私と海星艦へ」と、郭英は郭長城を力づくで連れて行こうとします。
叢波から趙雲瀾に、「不意打ちだった、どこも危険だ。祝紅は家に送ったよ。海星艦に行くな。家で落ち合え」と電話がかかってきます。「海星艦の人間が事務所を捜索してる、汪徴に連絡しないと」と趙雲瀾は言うと、黙り込んでいる楚恕之の肩を叩き、「大丈夫だ、俺たちがいる」と励まします。
趙雲瀾は特調所に向かって愛車を走らせています。すると「ドラ猫」からチャットが届き、メッセージを見ると「ラジオを聞け」と書かれています。ラジオのつまみを回すと、「海星艦は声明を発表し、特調所の廃止を決定。所長の趙雲瀾を指名手配しました。趙雲瀾は3年間の在任中に多数の地星人と結託し、社会の混乱を招き、更には犯罪者を…」とアナウンサーが語っており、趙雲瀾は憤ります。高部長は「趙雲瀾を発見しました」と報告を受け、追いかけて捕らえるように指示します。趙雲瀾は追いかけてくる車を発見し、追跡を撒きます。「特調所を見張れ!」と命じる高部長。
龍城大学では、禍々しいステッキを生徒たちの机の上に滑らせながら歩く沈巍がいました。彼は机に腰掛けると、黒板を見つめ、壇上に向かって拍手します。
その晩、普段どおりの服装をした沈巍は、痛む腹を押さえつつもよろよろと街を歩いていました。街角で、海星艦の制服を着た男2人組に「指名手配の被疑者ではないか」と呼び止められ、手錠をかけられそうに。沈巍は男たちを一気に殴り倒し、走り去ります。
「純度が上がっても、今のデータでは増殖因子の安定性が不明です」と試験管に入った血清を見ながら李茜が言うと、「やはり実験せねば」と欧陽教授は頑なに考えを変えません。「血清の実験は時期尚早では?」と林静も反論しますが、欧陽教授は「待てないんだ!私で試そう。失敗しても人類の科学に最後の貢献ができる」と突然興奮します。欧陽教授は血清を注射器に入れます。
特調所に残っていた汪徴と桑賛。海星艦の職員たちをどうにか倒して黙らせると、「聖器を守らなきゃ」と表情を固くする汪徴。そこに、「今戻った」と趙雲瀾が姿を現します。
「お父様からこれを預かっています」と汪徴は趙雲瀾に銃を差し出します。「何か伝言は?」と問われ、「”選んだ道を後悔するな”と」と答える汪徴。
自分に注射を打った欧陽教授は、突然床の上でのたうちまわりはじめ、右手が光り、床に叩きつけた彼の手は硬質なはずの床を粉々に叩き割っていました。
沈巍は裏路地を歩いていました。猫の鳴き声がしたので、あたりを見回すと、大慶が現れます。「ボスを失ったら、僕たちは終わりだ」と項垂れる大慶。
縛り上げた男たちに、「静かにしてて。所長が去れば解放する」と汪徴は言います。
いつの間にか、玄関には沈巍が。「沈教授、来てくれたんですね!」と汪徴は大喜びしますが、それは夜尊の化けた沈巍でした。男たちから生命エネルギーを吸い取った夜尊は、所長室に向かって鷹揚と歩き出します。
「封」の札が貼られた聖器のガラス玉を前に、趙雲瀾は考え事をしています。札を剥がし、趙雲瀾は長命時計を手に取ります。長命時計はまた光りだし、趙雲瀾は倒れそうになりながらも、どうにか地に膝をつきます。
その頃、桑賛は男が死んでいることを汪徴に伝えます。驚く汪徴。夜尊は息も絶え絶えな趙雲瀾を見つけると、「趙雲瀾」と慌てた様子で彼に近づきます。
「いいことを思いついた。聖器と共鳴すると未来を予知できて、時間の流れも動かせる。それなら夜尊の解放前に時間移動すればいい。王向陽の家族が死ぬ前にな。そうすれば状況はひっくり返る」と趙雲瀾が言うと、夜尊は「時間には修正が動く。原因を変えても結果は変わらないぞ」と慌てます。
うっとりと聖器を見つめる夜尊は、「人類を守護する君への恩を奴らは仇で返している。守る価値などあるのか?」とつぶやきます。
「私は地星人で、闇の力が自由に操れる。聖器を私に譲ってみては?」と微笑み尋ねてくる夜尊に、趙雲瀾は「いいだろう。聖器をあんたに」と席を立つと同時に、彼の腹に銃口をめり込ませます。
「沈巍じゃないな。奴なら価値の話などしない。俺たちは損得勘定で動かないんだ。夜尊だろ?」と睨みつける趙雲瀾に、夜尊は微笑みます。趙雲瀾は何度も夜尊に向けて発砲しますが、彼は瞬間移動を繰り返し、弾を避けます。
さらに、夜尊は趙雲瀾に手をかざして彼の生命エネルギーを吸いとり始めます。そこに汪徴と桑賛が現れ、必死で盾になろうとします。
夜尊は「目障りだな」と2人からも生命エネルギーを吸い取り、趙雲瀾は必死で銃を構えます。
とその時、3つの聖器が光り出し、それらの上空に光の輪を作ります。沈巍と大慶がそこに駆けつけ、沈巍は夜尊と趙雲瀾の間の黒い煙を長刀で斬ろうとしますが、その一瞬前に、趙雲瀾は聖器の上の光の輪の中に吸収されてしまいます。「趙雲瀾!」と聖器を振り向き叫ぶ沈巍。夜尊は「いずれ決着をつける。勝負はまだこれからだ」とにやつきながら姿を消します。沈巍は光の輪の中に自分も飛び込みます。
宇宙空間のような謎の場所に1人で佇む趙雲瀾は、「ここはどこだ?」とあたりを見回します。次の瞬間、光の輪は光は山の上に突然現れ、趙雲瀾は岩の上に叩き落とされます。
痛みに呻きながら、趙雲瀾が近くから聞こえる怒声の主を見ようと草むらの中を這って移動すると、そこでは黒衣をまとった男が、屈強な部族相手にたった1人で、長刀で戦っていました。フードがとれて顔が見えた途端、「沈巍?」と趙雲瀾は驚きます。彼の顔は沈巍そっくりで、髪は編まれ、長い黒髪でした。
沈巍そっくりな男は2人の部下と共に崖へ追い詰められます。族長らしき男が沈巍を刀で斬ろうとした瞬間、趙雲瀾は銃で、族長と彼の横にいた男を撃ちます。沈巍そっくりな男はハッと趙雲瀾の方を見ます。
沈巍そっくりな男は、自分の傍らにいた部下2人が一斉に崩れ落ちるのを心配しながらも、姿を現した趙雲瀾に「助太刀に感謝する、手当を急ぐためこれで失礼を。またいずれ」と言うなり、去ってしまいます。光の輪から落とされたときに左膝を痛めたようで、趙雲瀾は脚を引きずりつつ、あてもなく歩き出します。
「崑崙、どこだ」と言いながら歩く、1万年前の大慶。趙雲瀾が座り込んでいると、大慶が「崑崙!?」と笑顔で近寄ってきます。「俺を何て呼んだ?」と趙雲瀾が尋ねると、大慶は手に持っていた似顔絵と趙雲瀾を見比べて首をひねります。「人違いか?」と独り言を言う大慶に、「俺を崑崙と呼んだか?どこかで聞いた名前だ」と趙雲瀾は記憶を巡らせます。
特調所の書庫にあった「古代秘文録」に、「大荒山主、その名は崑崙」と書かれていたことを思い出す趙雲瀾。「なんで1万年前に俺の絵が?しかも現代の服装だ。大慶、状況を最初から詳しく説明してくれ」と言う趙雲瀾に、「崑崙は天下の英雄だ!地星人の命を守るため、海星人・亜獣人、地星人が僕を派遣した。反乱軍を制圧して、次の戦争が起こらないようにするためにね」と大慶は言います。
「麻亀様と浮游様から伝言がある。”之に代われ”だってさ」と言うと、大慶は2人に会いに行こうと言い出します。
大慶は洞窟に趙雲瀾を案内し、「ここは三族連盟の本部で最重要拠点だ」と説明します。洞窟の奥に着くと、麻亀と浮游大族長に趙雲瀾を「崑崙」だと紹介する大慶。趙雲瀾は2人に見覚えがあるように感じ、記憶を探ります。
「海星艦の設立から長い年月が経つ」と高部長が話していた時に見つけた、彼の部屋の壁に飾られていた肖像画の男性が麻亀その人です。「久しぶりだ」「やっと会えた」と喜ぶ、麻亀と浮游。
「俺は崑崙じゃないんだが…」と半笑いの趙雲瀾は、「しかし妙だな、知り合いは俺に気づかず、見ず知らずの人が俺を知ってる」とぼやきます。
「時期が合わないだけだ。いずれ君にも分かる」と言う麻亀と、「あなたが何者かより、未来から来たことが重要なの。私たちは近い未来、時を超え再会する。その時、あなたは戦う勇気をくれるの」と言う浮游。「今の状況を教えてくれないか」と浮游に尋ねる趙雲瀾。
「隕石の衝突で大量のエネルギーが発生し、地星人の居住区を破壊した。地星人の過激派のリーダーが人を惑わす特殊能力を使い反乱軍を組織した。その強大な勢力に対抗するために、三族連盟を結成したの。少し前に崑崙との共闘を試みたけど、敵に先を越され崑崙の軍は全滅」と語る浮游。崑崙は、沈巍そっくりの男を追い詰めていた、先ほどの部族長に殺されたようです。
「我々は士気が落ちぬよう情報を伏せた。君には反乱軍の制圧まで崑崙として生きてほしい。それなら時間軸は乱れない」と言う麻亀に、趙雲瀾はやっと「”之に代われ”か」と理解します。
その後、趙雲瀾は崑崙の服と髪型に変えて麻亀と浮游の前に現れます。2人は思わず椅子から立ち上がり、趙雲瀾を見て驚きます。
「実は隕石で聖器を作ったの。でも反乱軍に奪われてしまった。聖器の力が解放されたら大変なことになる」と心配する浮游。「我らも聖器の力を全ては把握していない。大慶が聖器に触れた時は影響があったようだ」と麻亀は言い、「それで長生きなのか」と趙雲瀾は納得します。
そこに黒衣の男が現れ、趙雲瀾は驚きます。「よう!」と黒枹使の腕を叩く趙雲瀾に、「君は、恩人殿!このご恩をどうお返しすれば?」とぱっと笑顔になる黒枹使。「恩返し?簡単だ。仮面を外して笑ってくれ」と趙雲瀾が言うと、黒枹使は困ったように顔を伏せてしまいます。「大事を成せば、どのような望みにもお応えする」と急に頑なになる黒枹使。「そういえば怪我の具合は?」と趙雲瀾が尋ねると黒枹使は動揺し、「かすり傷だ」と冷淡に言います。趙雲瀾は呆れて「1万年前でも変わらないな。いつになったら弱音を吐くんだ?」と、洞窟の外へ歩き出します。
緑豊かな山の夜、外を散歩する趙雲瀾と黒枹使。「何千もの仲間がいたが、もうほとんど残っていない。流血で得た平和だ。犠牲者に対して公平だろうか」と話す黒枹使。「だがこの道しかない。少数の犠牲によって、多くの人間が数千年の平和を得る。実現まであと一歩だ」と趙雲瀾は黒枹使を励ましながら、崖の近くで腰を下ろします。
「その最後の一歩は私が踏み出す。残りの仲間を犠牲にできない」と堅い口調で言う黒枹使に、趙雲瀾は「俺もいる」と笑いかけます。驚くように趙雲瀾を見た黒枹使から仮面をさっと奪い取る趙雲瀾。黒枹使は仮面を取り返そうとしますが、空振ります。
趙雲瀾はしげしげと黒枹使の素顔を見て「いや、やっぱり若いな、だが相変わらず彫刻みたいな顔立ちだ。なぜそんな不細工な仮面を?」と尋ねます。
「…敵を殺す時、怖くなる。仮面があれば、相手には表情が見えない」と、仮面を指先でいじる黒枹使に、趙雲瀾は切なげに笑います。趙雲瀾は自分が舐めていた飴を黒枹使の口に突っ込みます。
黒枹使が驚きで固まると、「甘いか?それは食い物さ、舐めるんだ」と舐める動きを目の前でしてやる趙雲瀾。「人生には酸いも甘いも苦いも辛いもいろんな味わいがある。時間をかけてゆっくり味わえばいい」と趙雲瀾が夜空を見ながら言うと、黒枹使は飴を見つめます。
「教えてほしい。君の名は?」と問われ、「崑崙だ」と答える趙雲瀾。「崑崙!?まさかあの名高い崑崙とは!今日いただいた命は必ずお返しする!」と、黒枹使は興奮して立ち上がります。趙雲瀾は、「返してもらった。何度もな」と告げます。
「時間軸に影響しないかしら」と言う浮游に、「大丈夫だ、結末は分かっているだろ?趙雲瀾なら大丈夫だ。彼を信じよう」と答える麻亀。2人は三族連盟の本部を歩いています。
「そうだ、浮游。この危機を解決したらどこへ?」と問う麻亀に、「亜獣族は平和を愛する一族よ。海星艦人は地上に残り、地星人は地下に帰る。私たちは隠居するわ。遠く離れた美しい場所を捜すの」と返す浮游。
「そういえば、名前を聞いてない」と趙雲瀾が言うと、黒枹使は「名前?」と不思議そうに繰り返します。「まさか黒枹使じゃないだろ」と趙雲瀾が言うと、黒枹使は「私は…」と言い淀みます。

地星人って普通、寿命どれくらいなんでしょう?郭長城が生き返ったってことは、楚恕之の命が削られたってことですよね。一体何年分の、どれくらいの力が削られたの…。
いち早く夜尊を見破った趙雲瀾、すごい!と思ったら次の瞬間、夜尊が強すぎてみんな聖器の光の中に取り込まれてしまって…不安しかないです。しかも麻亀と浮游の間にも何か問題?がありそうだし😨
「恩返し?簡単だ。仮面を外して笑ってくれ」に困ったように顔を伏せる黒枹使がかわいすぎるし、恩返しが笑顔でいいとかどんだけ沈静の笑顔見たいんよ!どういうことなんよ!って脳内がカーニバルでした💃🕺
黒枹使が仮面をつけてる理由は「敵を殺す時、怖くなる。仮面があれば相手には表情が見えない」なのには泣きそうになりました…😭私も黒枹使は怖いもの知らずだと思っていた…。
というか1万年前の沈巍、めちゃくちゃ表情豊かで可愛すぎます!!ショタやん!!(ショタではない)一体何歳なんでしょう。10代…?しかし、自分が舐めてた飴を当然のように沈巍の口に突っ込む趙雲瀾に笑いましたww そんなん普通にキスやないか!!💋
黒枹使の「今日いただいた命は必ずお返しする!」が第23話の「この命は君に返す」発言に繋がっていると分かり、このシーンは涙が止まらなかったです。「この命は君に返す」と言った時、沈巍はどうして涙目だったんでしょう…この後何が起きるっていうの…。
趙雲瀾の「返してもらった、何度もな」って切なげな表情がまた胸が苦しいくらい切ないし、不思議そうに趙雲瀾をみる黒枹使が純粋無垢で可愛くて可愛くて心臓が痛いです。だってこのあと1万年間もの別れが2人に訪れるんですよね…しんどすぎるよ…どんな思いで黒枹使は趙雲瀾を待ってたんよ、記憶を失った趙雲瀾を見守ってたんよ、辛いわ…😭
しかし、絶世の美ショタ×世話焼きヒゲお姉さん♂という新たな性癖を植え付けられてしまったじゃないか😭やめてくれ😭これ以上私の沼を増やすな鎮魂😭(大感謝)
あとずっと沈巍の調子悪いのが不安すぎます。なんであんな体調悪いの?夜尊に何されたの?呪い植え付けられた?趙雲瀾に生命エネルギーあげすぎた?余命どれくらいなの?
普段絶対沈巍がやらない言動をやる夜尊にドキドキしました。白似合うよ沈巍🤍カジュアルも素敵🤍ハァ〜夜尊様の顔面が良すぎて信者になった人絶対いると思います。気持ち分かるもん…こんな彫刻みたいなお顔で天使みたいな笑顔されて「私のために死ね」って言われたら「ハイ!!!!」って即答しちゃうね私なら(駄目です)
ヴァ〜夜尊絶対悪い奴なんだけど顔が沈巍だから2人の違いにドキドキしちゃってもう心臓に悪いです。夜尊表情豊かだからさ…こんな顔もできるんだ沈巍!?みたいな新鮮な感動がありますね…。
第35話 世界の平和を守るため
<あらすじ>
1万年前にタイムスリップした趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は、当時の沈巍(シェン・ウェイ)や大慶(ダーチン)らと出会い、崑崙(クンルン)と名乗って行動を共にする。
一方、沈巍と同じ顔を持つ弟の夜尊(やそん)は、反乱軍のリーダーとして兄たち平和勢力と敵対していた。
沈巍と趙雲瀾はそんな夜尊から全ての聖器を取り戻すことに成功する。
「私は姓が”沈”で、周りの者には”嵬”と呼ばれている。山の民の意味だと」と答えた黒枹使に、趙雲瀾は「この世界は巍々たる山と深い海が繋がってる。山あり谷ありの休めない人生と同じだ。だから名前は…”沈巍”。どうだ?」と提案します。「名前をいただけるとは感激だ。では今日から名乗ろう」と言う沈巍。
「あんたはずっと偉大な戦神として生きてきたんだよな。辛い人生だったろ?」と趙雲瀾が尋ねると、沈巍は静かに微笑みます。「両親は早世し弟と2人で何とか生き延びてきたが、生活が苦しく、兄弟で故郷を離れた。でもその時、海星に巨大な隕石が衝突した。世の中は大きく変わり、海星の資源も枯渇した。人々の心は荒んでいき、それが当たり前に。でも私は違う。良心に背くなら死を選ぶ」と言う沈巍を眩しそうに見つめる趙雲瀾。「それから、罪を犯すものには制裁を加えてきた。そうするうちに少し有名になり、人々はこの黒い衣を見て私を黒枹使と呼ぶように。それが今までの人生だ」と微笑みかけてきた沈巍に、趙雲瀾は苦笑します。
趙雲瀾は「やっぱり想像どおりだよ。いつだってあんたはデキる男だ」と褒めます。「本当は強さなどいらない。違う道があれば…」と言う沈巍ですが、「結局平和のために刀を握ってるさ。あんたは弱き者を守るために戦うことを選ぶ」と趙雲瀾は微笑みます。
沈巍を殺し損ねた族長らしき男は、「聖器を奪うだけでかくも時間が?力も覚醒していないクズめ!」と族長は聖器が入った箱を掲げる夜尊を蹴り倒します。「どうすれば聖器の力を使える?手段を教えろ!」と叫ぶ族長に、夜尊は「私めはまだ闇の力を使えず、聖器の力を呼び起こせません。でもあなた様は卓越した力をお持ちです。その強大な力で聖器を刺激してみるというのは?」と提案します。族長は闇の力を聖器ー鎮魂灯に注ぎ込みますが、何も起きません。
「愚策を講じたな!だから親は死に、兄に捨てられる!」と族長は夜尊を罵倒します。「でも安心しろ。お前の兄もお前も俺が八つ裂きにしてやる」と言う族長に、「黙れ!兄さんは、僕がこの手で殺す!」と夜尊は叫びます。その瞬間、夜尊の口へ族長の生命エネルギーがみるみる吸収され、族長は跡形もなく消えてしまいました。
夜尊の髪は黒から銀に変化します。力を使いきり、その場に膝をつき咳き込む夜尊。刀を掲げた族長の部下たちに怯えて後ずさりする夜尊ですが、部下たちは突然手のひらを返し、「何なりとご用命を」と夜尊に跪きます。闇の力が覚醒したことを理解した夜尊は微笑みます。
「感謝する。君は私を理解しようとしてくれる。私を敬ったり恨む者はいるが、こうして話を聞いてくれる人は初めてだ」と沈巍は嬉しそうに告げ、趙雲瀾は切なげに顔を歪めます。「…もしいつか俺が姿を消しても恨むなよ。忘れるな。必ずまた会える」と趙雲瀾は言います。
そこに大慶が慌てて駆け込んできて、「反乱軍が兵を送り込んでくる!聖器を持ってな」と焦ります。「聖器だと!?」と驚く趙雲瀾の横で、「今度こそ必ず取り戻す」と沈巍は顔を強ばらせて言います。
三族連盟の本部へ早足で向かう趙雲瀾。足を踏み出した沈巍は、趙雲瀾からもらった飴の包み紙を踏んだことに気づき、それを懐にしまいます。
夜尊は部下たちを引き連れ、森の中を歩いており、部下の1人は聖器を入れた木箱を持っています。そこに趙雲瀾と沈巍が奇襲をかけます。趙雲瀾は銃で、沈巍は長刀で次々と夜尊の部下を殺し、聖器が入った箱を見つけた沈巍は箱を趙雲瀾に投げ、趙雲瀾は見事にキャッチ。そこからは沈巍と夜尊の一騎討ちです。夜尊は沈巍刀を手のひらに込めた闇の力で易々と受け止めますが、当初の目的だった「聖器の奪還」が叶ったため、趙雲瀾と沈巍は夜尊を置いてすぐさまその場から走り去ります。
木箱の包みを解き、蓋を開ける趙雲瀾。中には聖器が入っていました。
「全ての聖器か。功徳筆、長命時計、山河錐、鎮魂灯」と、一つ一つ聖器を出しながら沈巍がそれらの名を教えてくれます。趙雲瀾は沈巍から全ての聖器を手渡してもらい力をこめますが、何も起こりません。
「時の扉が現れない」と呆然と言う趙雲瀾に、「時の扉とは何だ?私に開けるか?」と不安げに尋ねる沈巍。「気にするな。一仕事終えたし帰るべき時だ」と言う趙雲瀾を、沈巍は縋るような目で見つめます。
そこに大慶が現れ、「なんだって?どこへ行く」と趙雲瀾の言葉に噛みつきます。「大慶、従い守りたいと思う者に必ず出会う。人であれ猫であれ、心惹かれる偉大な者に。会えば分かる。俺とも再会できるさ」と言う趙雲瀾。趙雲瀾の言葉を聞いて大慶は笑顔になり、懐から鈴のチャームがついたネックレスを取り出し、趙雲瀾に贈ります。
そのネックレスは、浮游から「いつかこの鈴は主と認める人に渡して」と贈られたものでした。当時の大慶は「僕には自由が一番だ。主はいらない」と笑っていましたが、今は違います。趙雲瀾はそれを大慶の首につけてやります。
趙雲瀾と沈巍を目掛けて、夜尊が部下たちを引き連れて全速力で走ってきます。夜尊は沈巍と一騎討ち。趙雲瀾は夜尊の部下たちを次々銃で下していきます。
戦いの最中、夜尊は沈巍に仮面を真っ二つに切られ、顔があらわになります。夜尊の顔を見た沈巍は驚愕。
「まさかお前が反乱軍の首領か?」と言う沈巍に、「誤解だよ。僕は首領に使われて戦ってるだけだ。ずっと兄さんを捜してた」と跪く夜尊。
夜尊の部下を殺し終えた趙雲瀾は2人の方を振り向きます。泣きじゃくる夜尊に沈巍は「悪かった、弟よ」と語りかけます。「弟?あんたの?」と驚く趙雲瀾。
「死んだものと」と静かに涙する沈巍でしたが、夜尊は突然沈巍を睨みあげ、「死ぬのはお前だ!」と沈巍の顔面に闇の力を全力でぶつけます。趙雲瀾が何発も夜尊に銃弾を撃ち込みますが、夜尊は趙雲瀾を吹き飛ばします。沈巍は目を見開いたまま地面にどうと仰向けに転がります。
聖器を入れた木箱を脇に抱え、大慶は沈巍にとどめを刺そうとする夜尊に走り寄ります。夜尊は大慶に攻撃し、聖器は木箱から全てばら撒かれてしまいます。夜尊が沈巍に攻撃しようとした瞬間、全ての聖器が輝きながら空に舞い上がります。
青空はどんどんとどす黒い曇天へと変わっていきます。困惑する夜尊。聖器は空でぐるぐると回り始め、それと同時に趙雲瀾は聖器が放う光にすさまじい力で引き込まれていきます。
「沈巍!いいか!覚えておけ!」と趙雲瀾が目を閉じ倒れている沈巍に向かって叫ぶと、沈巍の瞼がゆっくり開きます。「どんな決断でも後悔するな!沈巍!」と、呻きながらも光の中に消えていく趙雲瀾。沈巍は目を見開き、「崑崙!」と悲痛な声で叫びます。
趙雲瀾はいつの間にかまた宇宙空間に戻っており、服も現代のものに戻っていました。傍らには沈巍が立っていました。「また戻ってきたのか?」と趙雲瀾が言うと、沈巍は驚いた顔で立ち尽くしています。
沈巍は「1万年捜してようやく会えた」と微笑みます。「どれぐらいここに?」と問う趙雲瀾に、「時のはざまは特殊な場所だ。どれだけ長くいようとも、出れば原点の時はほぼ推移していない。今回時の扉は聖器の力が乱れて開いた。確率からすると億万分の一で現れるかどうかだろう」と沈巍は話します。
「ここには長くいるほど危険だ」と言う沈巍に、趙雲瀾は「大慶たちが心配だ。結末を見たい」と頼みます。
趙雲瀾が消えた後、夜尊は「兄さんの中では僕より他人が大事なのか。だが僕の中では兄さん以外のものはただの塵にすぎない。兄さんが去った時から面をつけ始めた。兄さんと同じ、この顔を見たくないからだ」と心の中で呟きます。
沈巍が夜尊と対峙しようと起き上がると、夜尊の周りに突然黒い煙が立ち込めます。夜尊がどんなにもがいても煙は払うことができません。
「兄さん!助けて!」と悲痛な声で沈巍に手を伸ばす夜尊。彼を煙の中から彼を引き出そうとする沈巍。しかし、夜尊の立っている場所を中心に地面が割れ始め、2人の手は離れてしまいます。
地面は割れ、底には赤く燃える炎が見えます。沈巍は底へ落ちていく夜尊に必死で手を伸ばしますが、夜尊は恨みと絶望のこもった目で沈巍を睨みつけながら落下します。呆然とする沈巍。
すると突然、沈巍の身体が何かの力に侵されます。沈巍の部下たちが「黒枹使様!」と駆けつけますが、沈巍の身体を取り巻く黒い煙と、彼の身体から立ち上る白い煙に恐れをなして近づくことができません。「後は頼んだぞ!」と沈巍が叫ぶなり、彼の足元の地面が割れ、夜尊と同じように地下へ落下していきます。
三族連盟の本部にて、「鎮魂令」の協定書に判を押す三部族の長たち。「聖器は地界で保管を」と沈巍の部下が言うと、麻亀は「きっと聖器の力は地界を潤してくれるだろう。それに夜尊の力を封じ込め続けるためにも聖器の力が必要だ。承諾してくれ」と同意し、浮游を見ます。頷く浮游。「では聖器を地界に持ち帰ろう。今後は互いに干渉しない」と沈巍の部下は言います。「今後もこの天下太平の世を守るのだ」と麻亀は言い、浮游は「元気でね」と見送ります。「黒枹使様に代わり、礼を。あの方の願いが叶った」と言う沈巍の部下に、2人は寂しげに顔を見つめ微笑み合います。
「全ては終わった。亜獣族も穏やかに暮らすわ」と浮游は笑って去ろうとする浮游に、「浮游、ずっと考えていたが」と麻亀が何かを告白しようとします。しかし浮游は彼を振り返ると、「頑張らなきゃ。使命があるでしょ。種族の主に自由などない」と寂しげに笑い、2人は見つめ合って無理に笑顔を作ります。
「行くわよ、大慶」と浮游が大慶に声をかけると、大慶は「僕は残る。また会いに行くよ」と断ります。「1匹で放浪の旅を?」と不安げな浮游に、「気づいたらなぜか首にこの鈴をつけてた。それに事の顛末を思い出せない。秘密のようだし、記憶を捜すよ」と大慶は答えます。亜獣族の大移動が始まりました。大慶は麻亀と拱手し合い、その場を去ります。
時のはざまでその一部始終を見ていた趙雲瀾と沈巍。
「当時隕石でできた空洞こそが今の龍城の礎だ」と言う沈巍に、趙雲瀾は「だから地界に通じる扉は龍城にあり、地界人が騒ぎをおこすのも龍城ばかりなのか」と頷きます。「当時あんたも穴の中に落ちたんだろ?」と趙雲瀾が尋ねると、「だが死んではいなかった。聖器の力が原因かもしれない。もしくは夜尊の言うように、奴自身のおかげか」と沈巍は独り言のように言います。
沈巍が復活した時のことです。
地君殿では、丁頓が「地界の資源が枯渇し始め、多くの民が地上に逃げております」と摂政官に報告します。「聖器が地界から消失したことに関係があります」と言う補佐官。「近頃、夜尊が怪しい動きをしている。地上の監査機関から人を派遣して調査する許しを得た。丁頓、行ってこい」と摂政官は命じます。さらに、補佐官には「今から天柱を見に行き、夜尊の様子を観察しろ。あの者が逃げ出せば地界に災いが降りかかるぞ」と命じます。
緑豊かな草地を歩く丁頓と部下たち。すると突然砂地の地面の一部が盛り上がります。砂の下からは両手が出て来、起き上がった沈巍の上半身があらわになります。
復活した沈巍は地君殿に訪れ、珍しげにあたりを見回します。「まさか黒枹使様にお会いできるとは、感動です」と歓声をあげる摂政官。「世が変われば旗を振る者も変わる。私のことは気にするな」と言うと、沈巍は地上に行こうとします。「地星人が地上で力を使うことは許しておけない。それに聖器の在り処も不明だ。だからしばらく地上に身を置く」と言う沈巍に、「では海星艦に連絡を取り、人間界での身分をご用意しましょう。地上でのお名前はどうします?」と摂政官は媚びへつらいます。沈巍は「沈、巍」と言います。
その後、沈巍は天柱に足を向けます。「天は兄弟喧嘩がお好みらしい」と鼻を鳴らす夜尊に「天柱の中で1万年が経つ。改心する気は?」と沈巍は尋ねます。しかし夜尊は「正しいのは私だと証明する日が来た。聖人ぶっても世を制する力には勝てない」と飄々と言います。「地上へ行く。私がこの世と地界の平和を守る」と言う沈巍に、「お前はどこへ行っても孤独だ。お前は黒枹使で、地上の奴らには異人種だ」と吐き捨てる夜尊。「友が言っていた、地星人は愛し慈しむ気持ちがあり、人間と同じであると」と沈巍は夜尊に言うと、その場を去ります。
「俺にとって俺たちの初対面は1万年後で、あんたにとっては1万年前か。不思議だな。1万年前の物語の続きが今から始まる」と言う趙雲瀾に、「ここから出るぞ。まだ決着をつけるべき因縁が目の前にある」と沈巍は言います。「そうだな。汪徴、桑賛、罪のない者たち…この敵は討つぞ」と決意を固くする趙雲瀾の横で、沈巍は険しい表情で彼を見つめます。
大慶は特調所の林静の椅子で寝こけています。すると聖器が置かれていた場所の上空から光が差し、突然趙雲瀾と沈巍が床にしゃがむようにして現れます。驚く大慶。「ここを離れてから2日しか経ってないな」とスマホを確認する趙雲瀾に、「事態は悪化したぞ。地星人が人間に宣戦布告した。指揮をとっているのは黒枹使だと噂されている」と大慶は言います。
地君殿では、黒枹使の格好をした夜尊が民衆の前に立っていました。彼の隣には、地君と摂政官もいます。
「鎮魂令は1万年前に私が締結した協定だ。だがこれはただのまやかし物だ。この協定のせいで地星人は暗闇の下に追いやられ、生活にも困窮している」と言う夜尊に、ざわつく人々。「黒枹使様は平和主義者だ。急に気が変わったのか?」と不思議がる男。
「地君と摂政官に感謝する。私に指揮を任せてくれた」と言う彼に、摂政官が礼をします。「今こそ立ち上がり宣戦布告をする時だ!こんな協定は破棄する!同胞たちよ。武器を手に、怒りの炎を燃やせ!我らが海星を統べる時がやってきた!」 と言うなり、協定書に火をつける夜尊。人々は「人間を倒せ!」と大声で叫び始めます。
夜尊が黒枹使に化けて地界の人々を扇動している話を大慶から聞き、沈巍は困惑。
海星艦では、郭長城が郭英に連れられ入所しようとします。しかし荷物検査所でスマホも提出しろと強要されます。
「僕の仲間たちは…」と郭長城は特調所メンバーの安否を尋ねようとしますが、「今は何も言うな」と郭英はぴしゃりと言い切ります。鞄の中に妙な物体(林静から貰った電気棒)を見つけた職員は、「林教授、検査場へお越しを」と林静を呼び出します。
趙雲瀾と沈巍は特に変装もせず街を悠々と歩いています。「私は地界にあまりおらず、地君と摂政官も夜尊に寝返った。もう本物の黒枹使を判別できるものはいない。今の夜尊には全ての地星人を惑わすほどの力はない。だから汚い方法で民衆を欺いた」と重々しく呟く沈巍の肩を趙雲瀾が叩きます。「思い詰めるな、いいか。あんたは人で、刀じゃない」。「だが私の名が平和な世に亀裂を。当時弟を生かした私が悪い」と余計に己を責める沈巍に、趙雲瀾はふと天を仰ぎます。
「あんたの弟は天が生かした。だが俺たちは天にも勝てる。夜尊には俺たちが何のために戦うのか理解できない」と趙雲瀾は沈巍を見つめて熱っぽく語ります。沈巍は「ありがとう」とぽつりと言います。
「今からどこへ?」と尋ねる沈巍に、「地星人も戦う準備に時間がかかる。今警戒するべき相手は人間たちだ。戦争を控えて海星艦が何をするかも予測不能だ。あえて危険の中に身を投じる。奴が必要だ」と、趙雲瀾は笑います。
海星艦の検査所に、固い表情の林静が現れます。郭長城を無視して電気棒を職員から没収する林静。郭長城が立ち去ろうとすると、林静に「新入りさん、頑張れよ」と不自然に呼び止められます。

「兄さん以外のものはただの塵にすぎない」と言いきる兄強火担の夜尊、なぜ「愛してほしい」ではなく「殺したい」方に思いが向いてしまったんでしょうね…。愛と憎しみは紙一重ですが、それにしても殺意が強すぎませんか…?沈巍が夜尊は死んだと勘違いした理由が知りたいです。
あと、特殊能力覚醒前のよわよわ夜尊がいたいけで可愛い…全身真っ白なので蚕みたいで守ってあげたくなりますね…🥺
突然沈巍と夜尊が復活したのにも何か裏がありそうな…夜尊が「沈巍が復活したのは私のおかげ」って言ってるのが謎です。どういうこと?🤔
趙雲瀾の「奴が必要」の「奴」って一体誰なんでしょうねえ。林静かな?ワクワク。
第36話 巻き返し
<あらすじ>
海星鑑(かいせいかん)に現れた夜尊(やそん)は、趙雲瀾(チャオ・ユンラン)と沈巍(シェン・ウェイ)を引き渡せと高(ガオ)部長を脅す。
それを知った趙雲瀾は危機感を高め、世界の人々にメッセージを配信する。
その中には特調所の仲間に向けた暗号が隠されていた。
林静に「新入りさん頑張れよ」と言われた郭長城は、ふと林静が自分の鞄に何かメモを入れたことに気づきます。
趙雲瀾と沈巍は叢波の家にいました。趙雲瀾に指示され、叢波がパソコンを操作すると、「高部長、血清の使用許可を」と懇願する欧陽教授の声が聞こえ始めます。
「今度の血清の実験は間違いなく成功に近い。もう他に選択肢はない。大戦も近いしこれが唯一の道なんだ。一体何をためらっている!」と吠える欧陽教授は、高部長の机に置かれていた物を破壊します。高部長は動揺し、彼を宥めます。
すると、そこにはいつの間にか夜尊がおり、「お前達人間が我々地星人に対抗できるなどと思っているのか?大戦を避けたいなら教えてやろう」と2人に言います。「ここへ来たのは2つの世界に友情の橋を架けようと思ったからだ。特調所の趙雲瀾と沈巍を引き渡すなら即時の撤退を考えてもいい」と言うと、夜尊は消えます。高部長は「欧陽教授、血清の使用を認めましょう」と言い渡します。その瞬間、一部始終を盗み聞きしていた郭英が「部長、ご再考を」と入室してきます。高部長は「副部長を監禁しておけ!」と職員に命じます。「郭英だけでなく海星艦や上の星督局にもこの研究に反対するものが多いが、いざとなったら私も責任を取る」と欧陽教授の後押しをする高部長。
郭長城は郭英を廊下で待っている間、林静に渡されたメモ「会って話そう、夜10時にトイレで。合言葉は”静さんはイケメンだ”」を盗み読みます。すると、廊下の先から郭英が職員たちに連行されのが見え、困惑する郭長城。
「今後は海星艦とも連絡を取れないな。叢波、世界に配信を」と言う趙雲瀾。
「修理中」の立て札が立てられたトイレに夜10時に来た郭長城。郭長城が「静さんはイケメンだ」とおずおずと言うと、林静がトイレの個室から笑顔で現れます。
叢波のパソコン画面には「全世界ライブ配信の準備中」と大きく表示されています。
龍城病院では、成医師がカルテを見ながら廊下を歩いていました。するとスタッフステーションから突然、「マイクテスト」と趙雲瀾の声が聞こえてきます。
変装して街を歩いていた大慶と祝紅は、街角の大型ビジョンに趙雲瀾が映っているのを見て驚きます。
「教授が血清を打ってる。ちょうどいいチャンスだ」と白衣から郭長城のスマホを取り出した林静に、郭長城は「どこでそれを?」と目を丸くします。
「このままでは人類は滅びる。地星人は何者か?ネットの噂を信じるな。教えてやる。彼らも人だ。他の星から来て異なる能力があるという理由で危険とみなすのか?みんな仲間だ。つまりみんなが自分勝手で互いに理解がないから悪の勢力につけこまれ、今の状況を招いた。だから能力のある奴は協力してくれ。みんなで力を合わせれば戦争は避けられるはずだ」と趙雲瀾は語ります。
楚恕之は、地界へ繋がる門の近くに佇み、スマホで趙雲瀾の動画を見ています。動画を見ている楚恕之のもとに野火が駆けつけ、「楚さん」と笑いかけます。
祝紅の叔父の家では、祝紅の叔父が迎春と共に趙雲瀾の話を聞いていました。
その頃、海星艦の職員たちは特調所内を歩き回り、捜索を続けていました。
大慶と祝紅は笑顔で大型ビジョンを見つめ、楚恕之もスマホを見つめ続けます。沈巍はずっと趙雲瀾の横顔を、目を赤くして聞いています。
「誤解されても裏切られたり犠牲になったとしても、俺と特調所は最後まで戦い抜く。俺たちはこの時のために生まれたからだ」と言う趙雲瀾。
林静は「欧陽教授の留守中にやらないと。ボスの言葉の意味が分からないのか?重要なのは最初の文字だ」と言い、郭長城はハッと気づきます。
「かつて特調所を去った仲間に俺は伝えたい。”盗”人は隠れてろ。”血”気は危険な尊厳だ。”清”い目でこれを認識すればお前らの決定を許そう」と趙雲瀾は言っていました。「盗む、血、清」と郭長城は呟きます。
林静が海星艦、欧陽教授のスパイだと判明した日、趙雲瀾は林静に芝居を続けるように指示し、林静はそれを受け入れたのでした。
高部長の部屋では、趙心慈と高部長が「目的のためならたとえ傷ついてもやり続ける。もう少し時間をくれ」と言う趙雲瀾の配信動画を見ていました。
「IPアドレスが特定される」と焦る叢波に急かされ、趙雲瀾は電源を落とします。
IPアドレスは海星艦の職員が特定したものの、駆けつける頃には趙雲瀾たちは逃げた後でしょう。「血清の実験の状況は?」と趙心慈が尋ねると、高部長は「進展は順調です」と力強く返します。
林静と郭長城は実験室に駆け込みます。林静は指紋で金庫を開けると血清を取り出し、郭長城はそれを見て「早く」と共に外に出ようと急かします。しかしその時、エレベーターで欧陽教授と李茜が降りてきてしまいます。
「血清の研究は成功だ!」と大興奮する欧陽教授に、「また血清の注射を打つのですか?」と李茜は怯えながら尋ねます。「血清の効果をもっと上げるためだ」と高笑いする欧陽教授。李茜は入室するためセンサーに手をかざしますが、なぜかセンサーは反応しません。扉が開かないことに苛立った欧陽教授は雄叫びをあげながら扉を素手でこじ開けます。
欧陽教授は林静の異変に気づき、彼の首を絞めあげて激怒。「今の段階では副作用があるはず!教授、目を覚ましてください」と林静は苦しげに反論します。「私は生物学の歴史に残る英雄だ!血清をよこせ!」と欧陽教授は彼の首を絞め続けます。
郭長城は欧陽教授に電気棒で殴りかかりますが、逆に首を絞め上げられてしまいます。林静を逃がし、「早く逃げて!みんなに知らせるんです!」と叫ぶ郭長城。林静から血清を奪い返した欧陽教授は、血清を郭長城に注射します。欧陽教授は「麻酔薬を!数日観察しろ」と李茜に指示すると、研究室を出ていきます。郭長城の意識は朦朧としています。
林静は海星艦の外に白衣のまま出ると、どこかへ電話をかけますが、繋がりません。その時、近くから「やめろ!助けてくれ!誰か頼む!」と悲鳴が聞こえます。思わず声の聞こえた方角へ走り出そうとすると、彼の背後で鴉青がほくそ笑んでいました。
欧陽教授は「こいつをどうするかは後で考えよう」と李茜に言うと、研究室を出ていきます。
麻酔で眠ったふりをしていた郭長城は、李茜の合図を受けて目を覚ますと、特調所のメンバーのもとに戻ろうとします。李茜は海星艦が押収した3つの聖器が入ったアタッシュケースを郭長城に渡します。
林静は近くの公園に連れられ、鴉青に突き飛ばされて地面に倒れ込みます。鴉青の隙をついて、林静は隠し持っていた注射を彼女に打ち込みます。
そこに突然、黒い煙とともに現れる夜尊。夜尊は林静の生命エネルギーを吸い込み、彼を跡形もなく吸収し消し去ります。
夜尊は呆れながらも、黒い煙で彼女を治療してやります。「地星人は地上に?」と恐縮しながら尋ねる鴉青。夜尊は「まだその時ではない。準備の間に地上と地界を行き来する全ての通路を封鎖しておいた。次の行動に移れ」と指示します。
「米露」と夜尊が呼ぶと、近くの木の陰から女が出てきて跪きます。「地星人以外は裏切るかも」と言う米露に、夜尊は「手始めに人類を滅ぼすが、然るべき時が来たら亜獣族も始末しよう。この清らかな海星は、地星人だけのもの!」と言います。
「お前は鴉青の助手となり、亜獣族の権力を奪うのだ。ついでに余分な道もしっかり塞いでおけ。もし奴が誰かに情けをかけたら…その場で殺せ」と言うなり、夜尊は消えます。公園には、林静の持っていた丸い機械が土の上に残され、点滅していました。
郭長城はアタッシュケースを抱きかかえ、追手がいないか何度も後ろを振り返りながら街中を走ります。「静さんは?一体どこへ?」と不安げな郭長城の前に、趙心慈の車が止まります。「乗れ」と言われ郭長城は戸惑いますが、彼の指示に従い乗車します。
地界に繋がる門の前に立つ楚恕之と野火。「ここが地界への入り口だ。地星人の先鋒部隊はきっとここに現れる。地星人の部隊や鴉族の兵がいたら、捕まえて君らに渡す」と言う野火。地星人なのに特調所に協力してくれてありがとうと感謝する楚恕之に、「手分けして巡回しよう」と野火は力強く言います。
楚恕之は黒枹使に助けられた時のことを回想します。
楚恕之は地君殿で何度も鞭に打たれ全身血塗れになっていましたが、怒りと憎悪の表情を全く隠しません。反省の色が見えないと摂政官は呆れ、「楚恕之の処罰を重くし、終生監禁とする」と言い渡した瞬間、「罪は許しがたいが、同情の余地はある。どうせなら私に任せろ。長く続く傀儡師の血筋を途絶えさせるな」と黒枹使が現れます。
「君の目から弟に対する執着が見える。その執着を他の場で試してみないか?」と言う黒枹使に、「兄さん、地上で一旗揚げてくれ。兄さんは僕の英雄だ」という弟の言葉を思い出し、楚恕之は黒枹使の背を睨みつける目に力を込めて、「喜んで」と答えます。
郭長城が特調所にやってきて、楚恕之とペアを組んだ当初のことです。
特調所の書庫で本を読んでいる郭長城に、「お前の指導係にされたが俺は嫌だ」と喧嘩腰に言う楚恕之。しかし、郭長城は突然泣き出します。
「世界を救おうとする黒枹使はすごい人なんですね。僕みたいな役立たずには穏やかな暮らしが一番です」と泣く郭長城の中に、楚恕之は念之の面影を見て驚いたのでした。
緑豊かな林の中の開けた場所で、アタッシュケースを抱きしめた郭長城は趙心慈と一定の距離を置いて対峙していました。
「なぜ僕を助けてくれたんです?」と訝しむ郭長城の質問には答えず、「聖器が数十年間行方不明だったのは、そのうちの1つ、鎮魂灯の火が消えたからだ」と獐獅は説明します。これまで見てきた趙心慈との違いに困惑する郭長城ですが、獐獅は夜尊を倒すために必要な聖器の説明をしてくれます。「鎮魂灯に再度火を灯すには、最も純粋なエネルギーが必要になる。天下の重責は君が担うのかもしれん」と言う獐獅に、郭長城は驚き彼を見つめます。
するとその瞬間、獐獅は苦しげに顔を歪めます。「いかん、彼が出てくる」と呻き、「いいから行け!早く!」と命じます。
郭長城は走り出そうとしますが、その瞬間、「止まれ!」と趙心慈から銃口を向けられます。憎悪の感情を隠さず近寄ってくる彼が先ほどの彼とはあまりに違い、驚く郭長城。
「聖器まで奪うとは!勝手は許さない」と言う趙心慈ですが、銃に糸が巻きついたため体勢を崩します。その隙を逃さず、 楚恕之は郭長城を抱いて走り出します。
趙心慈に電話が入り、彼はすぐさま車でどこかへ去っていきます。「静さんと離れ離れになったんです。僕も血清でどう変わるか」と不安げな郭長城に、楚恕之は「聖器は手に入れた。ボスを探そう」と慰めます。その時、「夜尊の先陣が来たようだ」と呟く楚恕之。
地界に繋がる門から、魘公子と3人の地星人の男たちが現れます。楚恕之と郭長城は彼らの後を追います。
魘公子たちは人がすっかりいなくなった龍城の街を闊歩します。楚恕之は「長城、隠れてろ。奴らの目を見るな」と言うと、たった1人で魘公子たちの前に進み出ます。魘公子は連れてきた地星人3人に「相手をしてやれ」と命じますが、男たちはすぐさま楚恕之に叩きのめされます。魘公子は自らの手を下すことにします。
郭長城が戦いの様子を見つめていると、誰かが肩を叩きます。それは祝紅と大慶でした。2人は加勢しようとしますが、魘公子に見つめられて2人とも眠り込んでしまいます。
楚恕之まで魘公子に眠らされそうになり、郭長城は慌てて楚恕之にタックル。楚恕之は糸で魘公子の首を縛ります。そこに趙雲瀾と沈巍が現れ、趙雲瀾は銃で魘公子を射殺します。郭長城は趙雲瀾にアタッシュケースを渡します。
祝紅と大慶を起こすと、趙雲瀾は「久しぶりだな」と万巻の思いを込めて全員を笑顔で見回します。沈巍は「大慶。まだ聞いていなかったが、あの後一体何があった?」と、自分と趙雲瀾が聖器の光に取り込まれた後の状況について尋ねます。
特調所で趙雲瀾と沈巍が時のはざまに強制送還時、大慶は最も近くからそれを見守っていました。2人が光に吸い込まれ呆然としていると、3つの聖器がまたも光り始めます。
大慶は「特調所から聖器を持ち出そうとした」と回想します。
大慶が聖器を入れているガラスに触れようとした途端、ガラスに手が触れる前に弾かれます。階下から「仲間が2人殺された!犯人はまだ中だ!」と海星艦職員の男の声が聞こえてきたため、大慶は慌てて猫に変身し、逃走しました。
「3つの聖器が揃えば夜尊に勝てるってことね」と祝紅は言いますが、「4つ目の聖器・鎮魂灯が見つからない」と沈巍が返します。「もう出現してる可能性はないか?俺は1万年前に夜尊の闇の力と聖器の力が衝突して戻ってこられた。だが夜尊はどうやって移動してきたのか?」と趙雲瀾は沈巍を見ます。「鎮魂灯は特調所の近くに存在すると?」と沈巍が言うと、趙雲瀾は頷きます。
突然郭長城が呻きはじめ、地面に倒れそうになります。沈巍は「郭くん、君はもう変異しているようだ。力を感じないか?」と険しい顔で告げます。魘公子の足につまずいた途端、郭長城の視界に白いもやがかかったように揺らぎ始め、朦朧とし始めます。
天柱の中に閉じ込められていた夜尊は「私に力を貸せば夢を叶えてやる」と魘公子に話しかけます。魘公子は「私の夢で世界を征服してみたいものだ」と夢想します。夜尊と魘公子が話している映像が浮かんだ後、ハッと目を見開く郭長城。「さっきまで虫の息だったが、今やっと死んだ」と、楚恕之は魘公子の遺体を見ながら言います。楚恕之は郭長城を支えながら趙雲瀾たちの後を追います。
魘公子の手下の男たちが特調所へ行くと、扉の前には海星艦の職員の男2人が銃を持ち仁王立ちになっていました。男たちと職員は戦闘中でしたが、楚恕之が魘公子の手下たちを糸で拘束します。そこに黒枹使の服装に着替えた沈巍が現れます。
「黒枹使様?近いにいるのは?」と後ずさり混乱する手下の男に、黒枹使は「私の偽物が同胞を惑わしている。今降伏するなら罪に問わない」と告げます。男たちが「降参します!地界に戻って偽物だと伝えます!」と叫ぶと、黒い煙となって消えます。
夜尊の笑い声が天から響き渡ります。「もう手遅れだ」という声に、趙雲瀾と黒枹使は「本体は地界にいるようだ」と言い合います。「奴は最初から手下を捨て駒にしてたんだ」と楚恕之は呟きます。
趙雲瀾たちは全員で、封じられていた特調所内に入ります。入室した途端、趙雲瀾と大慶が何かを見つけ、「李さん!」と驚愕の表情で叫びます。

夜尊の全身真っ白な燕尾服姿、めちゃくちゃかっこいいです。黄金をあしらった杖も仮面も最高〜!!キラキラで王子様みたいだ〜!!見た目だけだと、夜尊の方が正義の味方っぽいのが面白いですよね。
米露が何者なのか気になります。夜尊は米露を亜獣族に食い込ませ、人類を滅ぼした後に亜獣族も滅ぼすと言っていましたが…どんな計画なんでしょう?米露も鴉族の一員なんでしょうか?🤔
亜獣族の未来のためと夜尊復活を後押ししてきた鴉青が、彼に裏切られどんな最期を迎えるのか気になるところです。努力の方向は間違ってたけど、亜獣族のために頑張ってきた鴉青のことを思うと憎むに憎めない感覚があります。
獐獅が言っていた、鎮魂灯に火を灯すのは郭長城かもしれないというのも謎です。そもそもなぜ、いつ火は消えたのか?
そして、「夜尊はどうやって移動してきたのか?」→「鎮魂灯は特調所の近くに存在する?」という仮説への繋がりがいまいちよく分からない…🌀夜尊移動してなくないですか…?うーん?原作読めば理解できるのかなあ。
厄介な魘公子が退場してくれたので一安心です。
第37話 最後の聖器
<あらすじ>
仲間たちと最後の聖器 鎮魂灯を捜す趙雲瀾(チャオ・ユンラン)。
鎮魂灯は特調所の隅で眠っていたが、肝心の灯心がない。
手がかりを求めて蛇族の森を目指す趙雲瀾たち。
流血している李は「君たちが戻ってくると信じていたから、あの鴉どもを追い払った」と息も絶え絶えに言います。「いやだ、また小魚を作ってよ!」と、震える李の手を自分の頬に当てて叫ぶ大慶。李は絶命します。
郭長城が李の手を握ると、映像が見えます。楽しげに小魚をフライパンで炒める李。「李さんの人生が全部見えた。もう一度小魚を炒ってあげたいって…」と、郭長城は涙を浮かべて言います。
李の死にショックを受けた特調所メンバーたち。沈巍は郭長城に、「特殊能力が芽生えたようだね。臨終前の者に触れると、その者の一生が見え遺言を聞ける。死にゆく者の願いを聞き、救ってやれる」と告げます。郭長城は動揺しながらも自分の能力を受け入れます。
「李さんと汪徴と桑賛の敵は何があろうと必ず討つ!」と両手を握りしめ震える大慶。隣に座る趙雲瀾は「必ず敵を討とう。一刻も早く聖器を見つける!鎮魂灯は特調所のどこかで存在を忘れられているんだ」と立ち上がります。
趙雲瀾は鎮魂灯の形を思い出し、ハッとします。「以前特調所はガラクタだらけで、俺が所長になってから整理とリフォームをした。整理してる時に古いランプを見つけ、布に包んでおいたんだ」と段ボールの山から次々とガラクタを出していると、そこには布に包まれた鎮魂灯が。「鎮魂灯だ」と沈巍は呟きます。
埃を被っていた鎮魂灯を掃除すると、沈巍が「鎮魂灯の炎は永遠に消えない。灯心に火をつけるだけでいいんだが、その灯心がないんだ」と言います。「灯心の材質は不明だ。ただ、可能性として聖器は地界から人間の手に戻った。灯心は地界にあるのかも」と言う沈巍。「だが地界は夜尊が牛耳ってる」と彼を見ながら趙雲瀾は鎮魂灯をテーブルに戻し、「戻るなら俺も行く」と主張。しかしすぐさま「地界への唯一の道は彼の監視下だ。君を連れて突破するのは難しい」と沈巍に反対されます。
「敵が地上に出てこないように何とか食い止めないと」と大慶が言うと、趙雲瀾も沈巍も黙り込んでしまいます。
すると祝紅が「林静よ!」と自分のスマホの通知を見て叫びます。同時に、全員のスマホが鳴ります。特調所メンバーのスマホに届いたのは、林静が海星艦のトイレでこっそり自撮りした遺言動画でした。
「みんながこの映像を見る時には俺は死んでるだろう。俺は特調所の人間として生き、特調所のために死ぬ。悔いはない。このまま見て」というメッセージの後、彼が死ぬその瞬間の様子が、彼が公園に落とした機械を通じて映し出されます。動画の中で夜尊は「お前は鴉青の助手となり、亜獣族の権力を奪うのだ。ついでに余分な道もしっかり塞いでおけ」と米露に指示していました。
「思い出した!麻亀様は地界への入り口を2つ作った。1つは槐の木の下に。もう1つは亜獣族が守ってる!」と祝紅を見る大慶。
「まさか聖器が地界への入り口?今すぐ叔父に会ってくる!鴉族を阻止しなきゃ!」と慌てる祝紅に、趙雲瀾は「一緒に行く」と宣言。「亜獣族と人間は支え合ってきた。灯心と入り口の話をおじさんに確認したい」と言う趙雲瀾。
「私はいつもの入り口から地界へ戻る」と沈巍は言います。「僕は犠牲になった人のためにここに残って遺言を聞くよ」と郭長城は提案し、「俺も残る。長城を守りたい」と楚恕之は言います。
テーブルを囲んで、特調所メンバー全員で円陣を組みます。「今回の任務が最後の勝敗を決める。全員揃ってここで再会を」と重々しく言うと、全員が「おーっ!」と気合を入れます。
郭長城は祝紅に「以前、鴉青に貰いました。見せれば願いを聞くと。交渉にこれを使って。彼女はまだ引き返せる」と羽のチャームがついた銀のペンダントを差し出します。祝紅は無言で頷きます。
楚恕之と郭長城が街に出ると、そこはまるで戦場でした。あちこちで火事が起こり燃え続けており、建物などは崩壊。既に死んでいる者・死にそうな者たちが車道・歩道の区別なく転がっています。まだ息のある人を捜す2人。
「みんなじきに息絶える。言葉すら発せられない状態だ。だがお前の能力で声を聞いてやれ」と楚恕之に言われ、郭長城は泣きながら人々の最期の思いを聞いていきます。
沈巍は地界に繋がる門を開けようとしますが、沈巍の力が弱まっているようで、力を込めても門が開いたり閉じたりと安定しません。やっとの思いで門を開くも、彼は吐血してしまいます「この決戦で…勝敗が決まる。人々を守らねば」と沈巍は決意を固め、門の中へ入っていきます。
祝紅の叔父・蛇族の青年たち・迎春は、鴉青と銃を構える地星人の男たちに囲まれていました。
「弱き者は淘汰される。3ヶ月後に族長を選ぶと約束したのを忘れたとでも?」と言う鴉青に、迎春は「族長を選ぶのになぜ地星人が一緒に?鴉青、あなたは亜獣族の反徒よ!」と叫びます。「2人を傷つけぬよう捕らえて」と鴉青が男たちに指示すると、そこに米露が現れます。「計画の遂行よ!よく聞きなさい。亜獣族人を全員殺すのよ!」と叫ぶ米露ですが、客が来たからと鴉青を見て立ち去ります。
濃霧の中を必死で歩く趙雲瀾・大慶・祝紅。「同じ場所を巡ってる」と言う大慶に、趙雲瀾は「罠にはめられたか」と空を見上げます。米露は木の陰から3人を見ていました。
「みんな亜獣族の復興のために長老に従ってきた。蛇族たちとの紛争は亜獣族の問題なのに、なぜ地星人の言いなりに?」と鴉族の青年は鴉青に提言します。「その2人を殺し、あの方への忠誠を示せ!」と言う地星人の男に、鴉青は「殺す前に聞きたい。亜獣族に代々伝わる神木はどこにある?」と祝紅の叔父に尋ねます。祝紅の叔父は迎春とともに無言を貫きます。
「ボス!祝紅!どこにいる?」と濃霧の中を1人歩く大慶。やけくそになり目の前の木を蹴ろうとしますが、大慶の身体は木をすり抜けてしまいます。
大慶は殴って本物の木を見つけると、木に登って上から森を見下ろします。濃霧は木の中腹から根本にかけて充満していることが確認できました。
米露が手から霧を撒き散らしながら舞い踊っていると、偶然にも趙雲瀾が彼女に遭遇します。「この迷いの森では、私だけが本物か幻覚かを見分けられる」と言う米露の首を祝紅が締め上げ、絶命させます。
祝紅の叔父たちは鴉青の手下に身体検査されています。鴉青は「浮游は蛇族だった。聖地の扉を開ける神木は蛇族が持っているはず」と2人を睨みつけます。
地星人の男が「特調所で働く蛇族の女がいる。その女を捉えれば在りかが分かるはずだ」と口を挟みます。「神木を地星人に渡す気はない。夜尊の言いなりにはならぬ!」と鴉青は地星人の男たちを失神させます。
「命は取らない。欲しいのは神木と族長の地位だけよ。だがシラを切り続けるなら…」と鴉青が祝紅の叔父を睨みつけていると、鴉青の横から祝紅が殴りかかり、弾き飛ばされます。祝紅の突然の行動に驚く趙雲瀾と大慶。「その救命符はあの若造から?愚かな男ね」と鴉青は祝紅の首にかかっている羽根のペンダントを見て言います。
祝紅の叔父は「神木は姪に渡してある。代々伝わる掟では神木を芽吹かせた者が族長の地位に就ける」と告白します。祝紅が鞄から出した神木と叔父を交互に見る趙雲瀾。「鴉青、掟に背き神木を奪うつもりか?」と問う祝紅の叔父に、鴉青は「私が選ばれし者かどうか試してみるわ」と神木を奪い取ります。神木は何も反応しませんでした。
「悪にまで手を染めたのに!まだ努力が足りないと?」と悲痛に叫ぶ鴉青。「こんな枯れ木、誰が試しても無駄よ!偽物で私を騙す気ね?」と激怒し始めた鴉青に呆れる趙雲瀾。
趙雲瀾は鴉青の手から神木を奪うと、「祝紅はこの神木に命を吹き込むことができる」と祝紅に渡します。祝紅は回想し始めます。
趙雲瀾が1万年前にタイムスリップした時のことです。
麻亀は、ある種子を水につけて発芽させようと試行錯誤していました。
「浮游が好きなんだろ?堂々と思いを伝えろよ!贈り物なんかに頼るな」と趙雲瀾が言うと、麻亀は「この種は浮游にとって大切な故郷の宝だ。3種族が激しい闘争を繰り返し、浮游は傷ついてる。気持ちは伝わらなくても笑顔が見られれば満足だ」と彼女への想いを吐露します。
祝紅は鴉青も含めた亜獣族の人々が見守る中で神木を手に取り、その上からまんべんなく透明な液体をかけます。そして、”突然石が苔むし、急に水が凍り、木が枯れ、鉱石が金になる。これは全て不可能で、説明がつかぬ”と言い、きつく目を閉じて強く祈ります。
また1万年前の話に戻ります。
趙雲瀾が試しに種子に酒を注ぎ、麻亀と一緒に経過を見つめていると、種子は神木へと一瞬で変化します。「成功だ!酒とは驚いた」と笑顔の麻亀。そこに浮游が現れます。「浮游、これを」と麻亀は神木を差し出します。浮游は感極まり、「ありがとう、この神木を代々子孫に継承させるわ!」と神木を抱きしめます。
「君の支えに感謝してる。世界平和のためこれからも努力を」と、告白できなかった麻亀ですが、浮游は嬉しそうです。
祝紅が念じていると、神木から突然いくつもの芽が出ます。祝紅の叔父は興奮し、「天に選ばれし亜獣族の族長だ!」と喜びます。鴉青以外の全員が「族長に拝謁を」と何度も叫び、跪きます。鴉青は唐突に膝をつくと、「私の負けね」と祝紅を睨みあげます。鴉青は立ち上がると、「頭を下げたのは、今悟ったからよ。人間と協力することこそ正しい選択だとね」と淡々と告げます。
「亜獣族と人間の和睦にお前の父親は全てを捧げた。神木に従うのがお前の責任で好機でもある」と真剣な叔父を前に、祝紅は決意を固めます。「ここに宣言する!今日より亜獣族の族長は祝紅である!」叫ぶ祝紅の叔父。蛇族と迎春、趙雲瀾と大慶は笑顔で拍手します。嬉しそうに手を掲げる祝紅。鴉青は悔しげに、でもふっと微笑みます。祝紅コールは森中に響き渡ります。
街では郭長城が瀕死になり、壁にもたれかかって荒い呼吸を繰り返していました。心配する楚恕之に、平気だと繰り返す郭長城。そこに野火が駆けつけます。3人は一緒に行動することにします。
地界の街では、ある男が「聞いたか?黒枹使様になりすました不届き者がいる。見つけたらすぐに通報だ」と言い、沈巍はそれを横目に通り過ぎます。
すると突然、「黒枹使様!」と沈巍のもとに駆け寄ってくる呉天恩。「俺も戦いましたが、夜尊を倒せませんでした。父さんまで奴の毒牙に。敵を討ってください」と血の滲んだ傷だらけの顔で泣き、跪きます。「黒枹使様、この後の計画は?」と問われ、「ある物を捜す。恐らく地君殿の収蔵庫にあるはずだ」と言う沈巍。彼を見つめる呉天恩の目は、どろりと濁っています。
林静はあたり一面真っ赤でどくどくと鳴動しているどこかに突然放り出されます。
「夜尊に飲み込まれたはずだよな?まだ生きてる?」とポケットからスマホを取り出し、懐中電灯機能であたりを照らして探索し始めます。そこにはいろんなものが落ちていました。「ここは夜尊の体内なんだ。ゆっくり消化されるわけか」と呟く林静は、ある物を見つけて驚き、慌てて駆け寄ります。それは沙雅の愛用しているギターでした。近くには、林静が彼女に贈った指輪も残っていました。電気屋で彼女を抱きしめた最初で最後の瞬間を思い出し、林静は「沙雅」と指輪を握りしめ泣き出します。
地君殿では、摂政官が地君の前に書類を置いた瞬間、沈巍の長刀が彼の顔の真横に差し出されて悲鳴をあげます。地君の頬には、呉天恩が刀を突きつけます。
「夜尊に寝返り悪事を働いた者がなぜまだ地君殿に?」と言う沈巍に、「戦時にあっても私はここで民のために働かねばならない。さもなくば地界は混乱に陥る」と摂政官は言い返します。「その言葉に免じ、命は取らぬ」と刀を下ろす沈巍を見て、摂政官は「情けをかければ身を滅ぼす」と笑います。その時、呉天恩は地君の机を飛び越え、沈巍の首の後ろに手刀を一発入れ、彼を気絶させます。
「夜尊こそ俺のボスだ」と言い、沈巍を見下ろす呉天恩。沈巍は気絶したふりを続けます。

号泣してもう一度見返したシーンは、真亀が「この種は浮游にとって大切な故郷の宝だ。3種族が激しい闘争を繰り返し、浮游は傷ついてる。気持ちは伝わらなくても笑顔が見られれば満足だ」と自らの溢れる思いに言葉を詰まらせながら言うシーンですね…なんて健気すぎる告白なんだ…。浮游は麻亀をどんな風に見ていたんでしょうね?麻亀ほどは愛していなかったのかな。それとも体のいい言い訳ではなく、本当に亜獣族長でさえなければ麻亀の愛に応えたかったのかな。謎です。
米露の「迷いの森」が登場した時は永遠にここから出られないんじゃ!?と思いましたが、意外とあっさり死んでしまいましたね。夜尊の腹心、意外と小物…。
「見せれば願いを聞くと。交渉にこれを使って。彼女はまだ引き返せる」という郭長城と、祝紅が新たな族長として嬉しそうにしていたシーンはアツすぎました。しかし神木に芽が生えるのは選ばれし者だからではなく、「神木に酒をかけてしばらく待てば良い」という事実を知っている者であれば誰でも良かったんですかね?そうなると鴉青がその事実を知った時にまた反乱が起きそうだなあ。
あと夜尊の体内で林静が生きてる展開は笑いましたwどういう構造なんだ夜尊の体内はww
第38話 混乱の街
<あらすじ>
郭長城(グオ・チャンチョン)は犠牲者の言葉をライブ配信し、冷静になるよう人々に訴える。
同じ頃、趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は地界への通路にいた。そこは1万年前とつながっていたが、灯心がないために通信は途切れてしまう。
そんな時、変異した欧陽貞(オウヤン・ジェン)教授が襲ってくる。
「街はパニック状態だ。これでは地星人の襲撃前に人類は滅びるな」と言う野火。そこに叢波が現れ、海星艦のネットワークをハッキングしたと報告します。郭長城は「彼らの遺言を家族に伝えなきゃ」と固い決意を込めて言います。叢波のノートパソコンの画面には「全世界ライブ配信の準備中」と表示されています。
蛇族の森では、各族長たちと特調所メンバーが地界への入り口に向かいます。祝紅の叔父は外で見張ることにしたようです。
洞窟に入る趙雲瀾・大慶・祝紅の3人。神木を鍵穴に差し込むと、扉はあっさり開きました。洞窟の壁にはびっしりと文字が書かれていました。「”ここが地界への通路であり、聖器を使うための場所でもある”と。正しく配置すれば聖器の力を融合して時空を越えて通信ができるわ」と祝紅が解説します。趙雲瀾はリュックから4つの聖器を取り出し、配置します。
郭長城はマイクを付けると、話し始めます。「特調所の郭です。託された言葉を、ご家族の方に伝えたいと思います。この言葉が届く頃にはその方は亡くなっています。お悔やみを」。
その頃、龍城病院では患者たちが「出て行かせろ」「避難指示だぞ!地星人が来襲する」と暴動を起こしていました。
その時、院内放送で「19歳の葛小倩から、大好きな兄さんへ」と郭長城の声が流れます。「俺の妹だ!」と叫ぶ患者の男。「ちゃんと病気を治してね。また会いにいく」。郭長城は死にゆく人々の遺言をノートに書き綴っており、それを一つ一つ読み上げていきます。落ち着き始めた患者たちを誘導する成医師と看護師たち。「36歳の湖亮から同僚の皆さんへ…」と郭長城の言葉は続いていきます。
洞窟の中で、趙雲瀾が聖器を設置すると、鎮魂灯が光りだし、空中に映像が映ります。そこには、「成功だ!聖器を使って時空を越えられた!」と喜ぶ麻亀が映っていました。
「自己紹介するよ。俺の名は趙雲瀾。鎮魂令主で…1万年後の継承者だ」という趙雲瀾の言葉に、麻亀は目を見張ります。「あんたたちの理想を求める戦いはしっかり実を結んだよ。1万年の平和に感謝する」と続けると、「私たちやり遂げたのね!」「良かった」と浮游と麻亀は笑い合います。
「趙雲瀾。聖器を融合させ、その力を得る方法を教えよう」と、麻亀が本題を切り出します。
「以上55名が本日の犠牲者です。どうか命を大切に。力強く生きてください。そして特調所を信じてください。我々は皆さんを守ります、必ず」と郭長城が言い終えると、叢波と野火と楚恕之は彼を静かに見つめます。
龍城病院にて、成医師は「現場で救急活動をさせてください」と院長に懇願していました。熱心な彼女に根負けし、院長は頷きます。
聖器から溢れる光が点滅し始め、「鎮魂灯の灯心がないんです。灯心はどこに?」と祝紅が言うと、「捜しても無駄よ。あれは…」と浮游が言いかけたところで画面が消えてしまいます。
森に車を止め、その地に降り立った欧陽教授は明らかに苛立っています。
聖器に趙雲瀾たちが近づいた時、洞窟の外から「鴉族の長老よ、手を引け!さもなくば…」と地を震わせるような恐ろしい声が響き渡ります。趙雲瀾は「早く聖器をしまえ」と大慶と祝紅に指示します。
三族長たちとその部下たちが声のもとに駆けつけると、そこには仁王立ちの欧陽教授がいました。
「特調所は地星人を匿った上、夜尊の徒党と結託していたのか!」と激昂する欧陽教授は、手から赤い力を放ちます。趙雲瀾は欧陽教授に向かって発砲しますが、全く効きません。趙雲瀾は欧陽教授に血清を打たれそうになりますが、すんでのところで、駆けつけた趙心慈が投げつけてくれた銃を彼に何発も発砲。趙雲瀾も欧陽教授も地面に倒れ込んでしまいます。
街角に座り込んでいる郭長城と叢波のもとに、楚恕之と野火が近づいてきます。「みんな平静を取り戻した。もう大丈夫」と報告を受け、郭長城と叢波はホッと笑顔に。楚恕之と郭長城は蛇の森で趙雲瀾たちと合流し、街の治安維持は叢波と野火に託すことに。叢波は最初は嫌がっていましたが、医療支援に来た成医師に一目惚れし、彼女を助けようと努めます。
なぜ趙心慈がここに来たのかと訝しむ大慶の前で、彼の目の色が黒と黄金と何度も変わり始めます。獐獅は「ある人に頼まれてきた。鎮魂灯の秘密について話がある。改めて名乗ろう。私は獐獅。9900年前に生まれ、地上にいる唯一の地星人変異体だ。師の名を麻亀という」と話し始めます。
沈巍は地君殿の柱にくくりつけられた状態で、夜尊に鞭で打たれていました。傍らには摂政官が立っています。夜尊は「勝敗は決した。私は主で、お前は奴隷」と鞭で沈巍を指差します。
「兄さんには心から感謝しているよ。長年にわたるお前への恨みがなければ天柱の中で私はとっくに死んでいた!1つ教えてやろう。鎮魂令主が地界に向かっているぞ」と夜尊が笑いながら言った途端、沈巍は絶叫。「手を出したら許さない!」と激怒する沈巍に、夜尊と摂政官は思わず怯みます。
「我々と人間は決して相容れない!」と言う夜尊に、沈巍は「そうとも、お前は正しい。私の力は闇の色だ。私の目も私の髪もそして魂さえも全てが黒い。だが流れる血は彼らと同じ赤い色だ」と言い返します。すると夜尊に「第2陣の準備が整いました」と部下から声がかかります。
「摂政官、下手な小細工はするな。露見すればどうなるか分かっているな?」と夜尊は微笑みながら彼に鞭を預け、その場を後にします。
趙雲瀾は獐獅・大慶・祝紅と共に洞窟へ戻ります。洞窟の奥の壁には、地界への門が開いています。「沈巍のためにも、灯心を捜すためにも、地界に行く必要がある」と趙雲瀾が言うと、「この通路はまだ不安定だ。通れるのは2人まで」と返す獐獅。ちょうどそこに楚恕之と郭長城が到着します。郭長城は「兵士の遺言がある。家族に伝えると約束しました」と真剣な表情で告げます。趙雲瀾・獐獅・祝紅はその決意を重く受け止めます。
獐獅は突然、手から白い光を出し、それは郭長城の頭上でしばらく輝くと消えてしまいました。
「彼と行け。この子は恐らく世界を変える鍵になる」と獐獅が郭長城を指名したため、趙雲瀾は驚きます。大慶は「白い力?存在するとは」と呆気に取られます。「力の色ではない、心の色だ」と獐獅は言います。
楚恕之は「持っていけ」と傀儡を差し出します。郭長城の首に、楚恕之は紐を通した傀儡をかけてやります。「危険が迫ればお前を守る。いいか、なくすなよ」と言う楚恕之に、郭長城は何度も頷きます。
「万一の場合は、約束どおり頼む」と緊張した面持ちで言う趙雲瀾に、獐獅は「分かった」と頷きます。趙雲瀾は獐獅を抱きしめ、獐獅は息子の背中を何度も優しく叩きます。「よし行くぞ」と郭長城に声をかけると、趙雲瀾は門に歩み出します。2人が門に入ると、門は消えてしまいます。
獐獅は趙心慈と心の中でひっそりと交信します。「息子を抱きしめた感想は?20年かかったな」と趙心慈を揶揄う獐獅。「海星艦に戻るぞ」と趙心慈はぶっきらぼうに返します。
「奴は間違ってる!長年摂政官を務めよく分かっているはず。我ら地星人の血の一滴一滴がどれほど尊いか。今、我らの同胞は次々地上に送られ残酷なやり方で戦わされている。それが正しいと?」と問う沈巍に、摂政官は「あなたの言葉に耳を貸し情けをかかければあとで夜尊に責められます。ですが、老人は逃げ道を残すことを好むもの。黒枹使様、いつか運が好転しお立場が逆転した際には、今日の私の行いをどうぞお忘れなく」と、鞭を床に捨てます。
海星艦では、高部長が「欧陽教授は失踪か?」と電話の向こうに怒鳴っていました。そこに趙心慈が現れます。
「今回地星人を抑えられなければ私は破滅です!私の決定が数千万の命に影響する!」と哀れっぽく叫ぶ高部長に、「今回の敵はあまりに強大だ。種族を越えて団結せねば生き残れない。お前も私も欧陽教授も間違っていた!」と言う趙心慈。
「星督局にお前の異動を指示しよう。執行権も停止する。お前はしばらく休め」と言う趙心慈に、高部長は突然タックルします。趙心慈は高部長を殴り、失神させます。
「高部長はすでに応援部隊を要請しています。撤回にはパスワードがないと。監禁されている郭副部長を捜してきます」と言う李茜。李茜は監禁されていた郭英を解放し、海星艦が異常事態だと告げます。
地界では、街の人々が逃げ惑っていました。「地界に来るのはこれが最後だな。とにかく全力を尽くすぞ」と趙雲瀾が気合を入れると、またも傷だらけの呉天恩が「趙雲瀾所長!あなたも地界に?」と笑顔で声をかけてきます。
「応援部隊要請を取り消し、謝罪も添えた」と高部長のデスクでキーボードを叩く郭英。「これで良かったのか?」と不安げな郭英に、「趙局長の指示です。特調所との共闘を決意されたのでしょう」と答える李茜。「高部長はどうすれば?」と郭英が両手を手錠で拘束されたままソファーで眠っている高部長を見遣ると、李茜は「見張りましょう」と返します。
「黒枹使様が地君殿でお待ちです。お2人と今後について協議されるかと」と呉天恩は趙雲瀾と郭長城を案内します。「じゃあ夜尊は?」と郭長城が言った瞬間に呉天恩が睨んだため、趙雲瀾は違和感に気づきます。趙雲瀾に目配せされ、郭長城は彼の意図を理解します。呉天恩が隙を見せた瞬間に、彼を殴打する趙雲瀾。
「黒枹使はどこだ?問いに答えなければ夜尊には二度と会えない」と趙雲瀾が脅すと、呉天恩は「光明を求める者、まず闇夜を尊ぶべし!」と絶叫。
呉天恩は力を出そうとしますが、沈巍が趙雲瀾と彼の間に割り入り、呉天恩を叩きのめします。血だらけの沈巍を、趙雲瀾は慌てて抱きとめます。「沈巍」「趙雲瀾」と見つめ合う2人。「ここを離れよう」と沈巍は自分の腕を握りしめていた趙雲瀾の手から腕を抜き、彼の手首を握り直します。
地君殿から去る3人の後ろ姿を、摂政官は柱の陰からそっと見ていました。「北へ行ったか」と呟くと、「囚人は南に逃げたぞ!早く追え!」と叫びます。
街中を逃げている途中、沈巍は突然吐血し足をもつれさせて倒れ込んでしまいます。身体中の傷口を見て、「沈巍、どうした?なぜ傷が治らない?」と困惑する趙雲瀾。「趙雲瀾、いいから逃げろ!」と半狂乱でもがく沈巍を、趙雲瀾は彼の服を掴んでどうにか押しとどめます。
沈巍と視線を合わせ、「あんたを傷つけた奴は生かしておかない」と怒りをあらわにする趙雲瀾を驚き見つめる沈巍。
「…もしこの傷で世の人々を救えるなら?」と沈巍に静かに問われ、趙雲瀾は戸惑います。趙雲瀾が戸惑い笑い飛ばそうとすると、「君にも時が来れば分かるはず…」と沈巍は呟きます。
するとそこに郭長城が戻ってきて、「巡回兵です!」と叫びます。趙雲瀾は沈巍に「囮になる。出口で会おう」と言い聞かせると、郭長城と共に走り出します。沈巍は長刀を出すと、それを杖代わりにしてどうにか立ち上がります。
楚恕之「あなたが怪我をするとは」
黒枹使「人の力と闇の力は相容れない」「この力は人間に取り付いて離れることはない。そして死ねば体が爆発し何も残らない」
楚恕之と自分自身の言葉を回想する沈巍。兵士たちが次々と沈巍を包囲し始めます。「趙雲瀾、君なら理解してくれるはずだ」と沈巍は呟くと、「うわあああ!」と絶叫し、戦い始めます。
1人で街を駆ける郭長城。郭長城を見つけた趙雲瀾は聖器を入れたリュックを渡し、「お前も今は能力者だ。俺たちは地界で監視されてる。俺が全ての聖器を持つのは危険だ、分担しよう」と言います。
しかし郭長城は突然立ちくらみ、宙の一点を見つめ続けながら呻き、もがき始めます。
銃を構えた兵士たちに囲まれ満身創痍で地面に伏せる沈巍のもとに、摂政官が近づいてきます。「逃げる時間を与えたのに、そんなに英雄になりたいとは。夜尊も戻り、私も自分を守るのがやっとだ。それに鎮魂令主を守れば何とかなるとでも?」と言う摂政官。沈巍は「趙雲瀾、趙雲瀾…」とうわ言のように呟き、目を見開いたまま砂利を懸命に何度も掴みます。
趙雲瀾が困惑しながら郭長城を抱いていると、呻いていた郭長城は「夜尊、万歳!」と突然絶叫します。とっさにリュックを掴んで逃げようとした趙雲瀾の脚に全力でしがみつく郭長城。そこに夜尊が現れ、「私からの贈り物は喜んでもらえたかな?危険な駒だったが潜ませた甲斐があった」と笑います。
郭英に連れられて海星艦に来た郭長城は、トイレの洗面台の前で「僕1人だけ役立たずだ!」と苦しげに呟きます。ふと郭長城が洗面所の鏡を見上げると、トイレの個室の扉に寄りかかり立っている夜尊が見えます。夜尊は郭長城を見つめただけで彼を簡単に支配してしまいます。郭長城の目の色が変わり、「どうぞご命令を」とロボットのように言い始めます。
「私のことは忘れろ。だが私の言葉は全て深く心に刻むのだ。趙雲瀾が地界へ行くとき、同行を願い出ろ。時が来たら奴を捕らえよ。それまで普通の人間として振る舞え。分かったな?」と、郭長城の心臓に闇の力を注ぎ込みます。郭長城は苦しみ自我を取り戻そうと戦いますが、最終的に洗脳され、目の色を変えたまま「はい」と答えます。
「だがこいつの意思は想像以上に固く、私の暗示は効力を失ったと思っていた。それが突然特殊能力を得た上、頻繁に力を使い始めた。能力を使うたびに私の暗示は強化されたのだ。これこそ…天意だろう」と微笑む夜尊に笑う趙雲瀾。趙雲瀾は聖器を夜尊に投げつけ、降参するように両手を上げます。
大慶が荒廃した街を歩いていると、突然彼の目の前に大吉が現れます。「どうしてここに?」と大慶が尋ねると、「いつもそばにいるわよ、それに龍城を守らなきゃ」と大吉は嬉しそうに返します。
地君殿では、趙雲瀾は首に縄をかけられ、柱に拘束されています。彼の目の前には、血塗れの沈巍が転がっています。そして、洗脳され棒立ちの郭長城と、その隣に控える摂政官。
「見ろ、お前が守ろうとして選んだ結果がこれだ。結局全て失敗したな」と夜尊は沈巍に言うなり、夜尊は力を使って沈巍の体の中を確認し始めます。
「思ったとおりだ。人間に命を分けるようなおろかな真似を!力が急減している」と、夜尊は趙雲瀾を指差し激怒します。沈巍は趙雲瀾を見上げ、「悔いはない」と微笑みます。「まだ私と戦えるはずが…犬のように横たわり飲み込まれるのを待つだけ!恥知らずめ!情けない奴だ」と夜尊は怒りを抑えるように天を仰ぎます。
怒りのあまり目に涙を湛え、夜尊を睨みつける趙雲瀾。夜尊は悔しげな表情をした後、微笑み、「郭長城」と呼びつけます。郭長城は聖器を盆に載せて運んできます。趙雲瀾は「平和を乱したのは聖器から力を得るためか」と鼻で笑います。
夜尊は聖器を空に飛ばし、両手に力を込めると、「今こそ聖器の力を全て吸収し、私の望みに一歩近づくのだ!」と叫びます。聖器は反発しあいます。しかし聖器は3つしかありません。
「鎮魂灯は?どこだ!?」と怒声をあげる夜尊に、趙雲瀾は「予想どおりだ、聖器は4つ揃わないと力は発揮されない。あんたもー生聖器の力を吸収できない」と笑い出します。。その瞬間、夜尊が趙雲瀾の首を締め上げながら「鎮魂灯はどこだ!?」と叫びます。意識は朦朧としつつも、「さあな」と笑う趙雲瀾。
夜尊は趙雲瀾の頬を張ります。沈巍は夜尊を信じられないものをみるような目で見上げます。「鎮魂灯はどこにある?」と再度夜尊は尋ねます。趙雲瀾が吐血したのを見た瞬間、沈巍は震える両手を叱咤し、体を起こします。
「もう一度聞く、在り処を白状しないならお前を殺す」と夜尊は脅しますが、趙雲瀾は彼に血を吐きかけます。夜尊は一旦彼に背を向けて気を鎮めようとしますが、苛立ちのあまり、振り返りざまに渾身の力を趙雲瀾にぶつけます。しかし、その攻撃を咄嗟に立ち上がった沈巍が庇ってしまいます。沈巍は朦朧としながら激しく吐血。趙雲瀾は衝撃の表情で沈巍を見つめ、抱きとめようとします。

沈巍⇆趙雲瀾の愛が深過ぎて涙が止まらないです…。お調子者の趙雲瀾がズタボロの沈巍見て、「あんたを傷つけた奴は生かしておかない」って静かに激怒するのがもう…最高すぎて…🤦♀️ 趙雲瀾が怒ることってほんっとうになかなかないと思うんですけど、沈巍が傷つけられた時は別なんですよね。趙雲瀾にとっての沈巍は特別な存在なんだなってことがよく分かります。
我が身を犠牲に愛する人々を守る沈巍の生き様もそんな自分も、「趙雲瀾、君なら理解してくれるはずだ」って信じて戦う沈巍がまたしんどいです🤦♀️ やめてくれ…私たち視聴者は沈巍に生きてほしい、生きて雲瀾と共に生きてほしいんだよ(嗚咽)
「人間に命を分けるような愚かな真似を!まだ私と戦えるはずが犬のように横たわり飲み込まれるのを待つだけ!恥知らずめ、情けない奴だ!」と激怒したり、自分は主人で沈巍を奴隷と言いきったり、夜尊は沈巍という名の自分の一側面への嫌悪感が凄まじいですよね。沈巍も言っていましたが、なぜそこまで沈巍を憎む?🤔
あと犬をまるで卑小なもののように言うな夜尊😡全愛犬家を代表して許さん😡
第39話 希望のための戦い
<あらすじ>
趙雲瀾(チャオ・ユンラン)をかばって倒れた沈巍(シェン・ウェイ)は、夜尊(やそん)に飲み込まれてしまう。
夜尊は趙雲瀾への攻撃を緩めない。
だが趙雲瀾は海星(かいせい)に希望を取り戻すと叫ぶ。
趙雲瀾の胸に背を預けながら、床に倒れ込む沈巍。「沈巍!」と趙雲瀾が絶叫する前で、夜尊は沈巍の背に足を置き、「どうして私に敵対する?」と激怒します。怒りに震え、夜尊を睨みつける趙雲瀾。沈巍は「鎮魂灯を持つ資格はない」と夜尊を見上げて言い放ちます。夜尊は沈巍の首の後ろに足を置き直し体重をかけると、沈巍はさらに大量に吐血。
「実に口惜しい。本来ならばお前を最後まで生かそうと」と言う夜尊。「やめろ」と趙雲瀾は震えながら言いますが、夜尊は沈巍を蹴り、仰向けにします。趙雲瀾は怯え、「よせ」と夜尊を止めようとしますが、夜尊は右手に氷の杭を作ると、沈巍の心臓を目掛けて思いきり突き立てます。
「やめてくれ!」と吐血しながら絶叫する趙雲瀾。夜尊はよろめきながら立ち上がります。
「沈巍、沈巍…」と名を呼び続ける趙雲瀾を見つめて、微笑む沈巍。
「愛する兄さん、腹の中で弟が偉業を成し遂げるのを見ていてくれ」と夜尊は天を仰ぎます。号泣する趙雲瀾。夜尊が力を込めると、沈巍は黒い煙になっていきます。趙雲瀾は絶叫しますが、沈巍はあっという間に夜尊に飲み込まれてしまいます。
夜尊の体内では、まだ生きていた林静が「また誰かが?」とぼやきます。そこに血塗れの沈巍が降ってきます。
夜尊は沈巍を飲み込み、恍惚としていました。 「俺を殺せ!早く殺せよ!」と絶叫する趙雲瀾を、今気づいたとばかりに見遣る夜尊。趙雲瀾は憎しみに満ちた目で夜尊を睨みつけます。「たった今お前をこの手に落とす良策がひらめいた。待ってろ」と笑顔で趙雲瀾を指差す夜尊。
林静はよろめきながら沈巍に近づき、「沈教授、しっかり」と声をかけます。沈巍の鼻の前に手を当てると、まだ息があると分かります。目を開けた沈巍に、「なぜこんな怪我を?外で何が?」と問う林静。沈巍は「林静、君が生きていると趙雲瀾が知ったらきっと喜ぶだろう」と痛みを堪えながら微笑みます。
楚恕之が街に戻ると、野火・叢波・成が一緒にいました。「状況は?」と尋ねてくる野火に「落ち着いた」と返す楚恕之。そこに談嘯と鄭意が現れ、「趙所長と沈教授には恩が。俺たちも助太刀する」と決意に満ちた表情で告げます。
すると突然、空に映像が現れます。それは夜尊が趙雲瀾から生命エネルギーを吸っている映像で、楚恕之たちは慄きます。満足げな夜尊。趙雲瀾は朦朧としています。
その映像は、全世界の空に流れていました。「全世界がお前を見ている、大英雄として何か伝えたいことは?」と楽しげに言う夜尊ですが、趙雲瀾は夜尊を睨みつけたまま何も言いません。苛立った夜尊は「鎮魂灯の在りかを言わねば生き地獄を味わうぞ」と片手で攻撃し続けます。「お前だけじゃない。世界中の民、お前たちも同じ末路を辿る!」と夜尊が攻撃の手を下ろすと、趙雲瀾は意識を失ったまま吐血。夜尊は楽しげに映像先の様子を見つめていました。
「俺は大英雄じゃない。だが命をかけて戦う。海星に希望を取り戻すためにな!」と趙雲瀾が叫んだ瞬間、夜尊は映像を切り、攻撃する手に力を込めたため、趙雲瀾は苦しみ呻きます。
趙心慈は亜獣族長たちを振り返り、「蛇族は地星人の動きを抑えろ。花族と鴉族は私とともに前線で戦う」と指示します。
「年々君は頑固になり、私は口うるさくなった。お互いに協力するのは久しぶりだ」と言う獐獅に、「未来は若者のもの、お前の言葉は正しかったのかもな」と返す趙心慈。「言っただろ?雲瀾は特別な子だと」と獐獅は言います。
“覚書 趙心慈”と書かれたノートを、趙心慈が入院するベッド横で読む幼き日の趙雲瀾。「父さんが捕まえた地星人って全員悪者なの?」と問う趙雲瀾に、「この世には”絶対”などない。だが自らの便宜のために他者の平和を奪うものがいる。その者たちは罰を受けねばならん」と返す趙心慈。
「なぜ自分のために他人の平和を奪う必要があるの?争いはたくさんの死を生むかもしれない。誰もが誠意を持って向き合えばみんなが幸せになれるはずだ」と縋るように言う趙雲瀾に、「だからルールが必要なんだ。ルールを破る奴らには制裁を下す」と突き放す趙心慈。
「今こそお前の理想を実現してみせろ、息子よ」と趙心慈が呟いた途端、地界人の男が殴りかかってきます。しかし獐獅が咄嗟に後ろ手で彼を殴打。「背後は私に任せておけ」と笑う獐獅に、「もちろんだ、頼んだぞ」と笑う趙心慈。
夜尊は穏やかな表情でお猪口に酒を注ぎます。「さあ、飲もう」と、夜尊は小さな卓を挟んで、目の前に座る趙雲瀾に酒を勧めます。摂政官と郭長城は夜尊の近くに控えています。趙雲瀾は無言で徳利を掴み、一気に酒を煽ります。
「趙雲瀾、お前は面白い男だ。平凡な人間が次はどんな波乱を起こす?」と面白そうに言う夜尊を趙雲瀾は無視し、「もっとくれ」と酒を求めます。
「なぜか黒枹使はずっとお前だけに執着していた。今になってその理由が分かったよ。敬意を表そう。お前には勇気と度胸がある。目的のために手段を選ばない。私と同類だ」と言う夜尊に、趙雲瀾は笑います。「間違ってる。あんたが動くのは私欲のためだが、俺はそうじゃない。あんたと俺は同類にはほど遠い」と言う趙雲瀾に、夜尊は「手を組む気はないと?」と微笑みます。趙雲瀾は無言で夜尊を睨みつけます。
「誰にでも欲はある。何が望みだ?全て叶えよう」と言う夜尊に、「なら死んでくれ」と趙雲瀾は即答。「よく考えてから言え」と言う夜尊に、趙雲瀾は「やはり死んでくれ」と繰り返します。笑い出す両者。夜尊は卓をひっくり返すと、「賭けをしよう。先に滅びるのは人類か、それとも私か」と言うなり、足音荒く地君殿を出ていきます。
趙雲瀾は摂政官に手招きします。「何を企んでおられる?」と尋ねる摂政官に、「少し体を借りるだけだ」と返す趙雲瀾。
趙雲瀾は街の中で摂政官の首を締め上げながら、「来るな!こいつを殺すぞ」と衛兵たちを脅します。「こやつは本気だ。銃を下ろせ!」と叫ぶ摂政官。趙雲瀾は道の曲がり角に着くと、衛兵に摂政官を投げつけ、走り出します。「撃つな!…令主、健闘を祈りますぞ」と衛兵たちに文句を言いつつ、趙雲瀾の背に向かって呟く摂政官。
地上では鄭意がその声を使い地星人を次々倒しています。そこに祝紅も合流。野火は「地上は一段落したが地界が心配だ」と呟きます。「槐の下の門は夜尊に封じられたから、亜獣族の聖地から行くしかないわ」と言う祝紅の言葉に、郭長城の身を案じる楚恕之は考え込みます。
趙心慈、祝紅の叔父、迎春は地星人の男たちと槐の近くで戦っており、そこに鴉青も参戦します。「私も罪滅ぼしをするわ」と鴉青が言うや否や、槐下の門から華玉柱が走り出してきます。
華玉柱は天柱の前で沙雅と共に夜尊と戦っていました。しかし戦況は明らかに悪く、沙雅に「逃げて、林静にお詫びの言葉を伝えて」と訴えられ、華玉柱は逃げたのでした。
「沈教授、俺に出来ることは?」と林静が心配そうに尋ねると、沈巍は「時が来たらこれを…(沈巍の胸に刺さった)氷柱を完全に私の体に突き刺してくれ」と指差します。林静は「死んでしまいますよ!」と悲鳴をあげますが、沈巍は「そうしないと私の力が全て解き放たれない」と懇願します。林静は渋々了承します。
地星人と人間の死体だらけの道を、楚恕之たちは車で移動します。車から降りた、楚恕之・祝紅・野火・叢波・成。楚恕之と祝紅・野火は手分けして地星人を探しに行き、叢波と成はその場に残されます。
大慶と大吉は地星人と戦っていました。大吉が地星人に殺されかけるのを見て、慌てて助ける大慶。目を覚ました大吉に、「命は9つあるもんな」とホッとする大慶ですが、大吉は涙しながら「今回はもう駄目みたい…」と儚く微笑みます。
大吉は大慶の腕に抱かれながら、「いつかは終わりがくる。大ちゃん、猫族は1匹だけになるけど…きっと大丈夫よ」と彼の頬に手を添えます。
大吉は「変よね、何でもない命が…こんなに愛おしい」と笑うと、ゆっくりと目を閉じ、表情を失います。「大吉!」と彼女の頭を抱きしめて号泣する大慶。
地君は淡々と業務を行い続けています。摂政官は「悩みがない様子で何とも羨ましい限りだ。お前を変えたのは私に他ならぬがな」と呟きます。するとそこに夜尊が煙とともに現れ、「趙雲瀾は?」と問います。摂政官は「あの者は私を脅して逃げました」とうそぶきますが、夜尊は嘘を見抜いて摂政官を攻撃します。
「確かにわざと逃しましたが、あの者を泳がせばあなた様の欲する物が手に入るかと」と摂政官は言い、夜尊は「奴を完全に見失ったときは覚悟をしておけ」と吐き捨てると姿を消します。
叢波が大慶と楚恕之と祝紅を載せた車を運転していると、海星艦の車を見つけ、慌ててその場に停止します。海星艦の車からは趙心慈と降りてきます。
「地上に来た地星人は退けた。だが今は暫定的な勝利で、これから状況は更に厳しくなるだろう。次の段階に入るぞ。これから地界に援護に行け」と楚恕之と祝紅に告げる趙心慈。
趙雲瀾はこっそりと、かつて騒ぎを起こしたあの酒場に裏口から入っていきます。夜尊は趙雲瀾の背を見つめていました。
「黒枹使様は地界の守護神で俺たちの星だ」と世間話をする男たちを横目に、趙雲瀾はバーテンに合図します。バーテンは頷くと、「悪いが今日は店を閉める」と客を速やかに追い出し、趙雲瀾は店の奥に歩みを進めます。
亜獣族の聖地の洞窟で、趙心慈は「地界は危険だ。気をつけろ」と大慶と楚恕之と祝紅に忠告します。大慶は足を踏み出そうとしますが、「亜獣族と人間を頼んだぞ」と趙心慈に託します。趙心慈はポケットから注射器を取り出し、「改良済みの血清だ。李茜が精製したもので、純度が高く効果が大きい。制限時間の中で100倍の力が出せるが副作用も強い。これは万一の時に…」と大慶に手渡します。3人の後ろ姿を見送る趙心慈。門は消えます。
趙雲瀾はバーテンから包みを受け取り、「助かった」と感謝します。
趙雲瀾がふと酒場の入り口を見ると、黒枹使がゆっくり歩いてくるではありませんか。驚愕する趙雲瀾の首を黒い煙で拘束する黒枹使。彼の手の中にある包みを奪って解き、その中に入っていた鎮魂灯を手に取ります。
「ひどく失望した。鎮魂令主たる物がこの程度の人物とは」と笑う黒枹使。バーテンは怯えながらも、「偽物だな!真の黒枹使様こそが英雄だ!」と黒枹使を指差します。
黒枹使はバーテンに、「教えてやろう。お前の英雄は私の腹の中だ。奴が築き上げた平和とやらは私が握りつぶしてやる。覚えておけ、人間や亜獣族に加え、私に楯突く地星人も全て排除する」と告げます。趙雲瀾はその演説を、近くにあったマイクで拡声します。
「聞こえたか」「みんなに知らせよう」と街中を走り出す地星人の男たち。
趙雲瀾は拍手し、「見事なスピーチだ」と褒めます。趙雲瀾を振り返った黒枹使は、「それは何だ」と趙雲瀾の手の中にあるマイクを見ます。「現代の玩具さ。あんたの演説を地界中に流すことができる」と趙雲瀾が言った途端、黒枹使は慌ててマイクを趙雲瀾の手から弾き飛ばします。
「分かってたよ。正義は常連客と同じで待てば必ずやってくるものだ!」と叫ぶバーテン。黒枹使は「虫けらが私の計画を否定するとは」と激怒。
「夜尊殿、あんたの魂胆は地界中にバレたぞ。あんたの力じゃ全ての地星人を惑わすことはできない」と趙雲瀾が言うと、黒枹使は動揺し、鎮魂灯を抱きしめます。
「排除する?」「許せない」と外から声が聞こえ、趙雲瀾は笑います。「聞こえたか?人々の声が。いつまで虚勢を張れる?」と言う趙雲瀾の首を黒枹使は黒い煙で締めつけると、「放っておこう。鎮魂灯も手に入れた。4つの聖器は私の手中にある。どんな大軍が来ようとも恐れるに足りぬ」と笑います。趙雲瀾は意識が朦朧としてきました。
地君殿で、郭長城は洗脳された自分と体内で戦っていました。郭長城が「摂政官様、早く逃げてください」と訴えると、摂政官は「夜尊の洗脳術に抗える者は初めて見た」と驚きます。そこに突然、鎮魂灯を片手に持った夜尊が空間から現れ、趙雲瀾も一緒に床に放り出されます。摂政官は趙雲瀾が捕まったことに顔をしかめ、郭長城はまた洗脳された自分に人格を乗っ取られます。
「鎮魂灯、お前の力を我が身に捧げよ!」と鎮魂灯を空中に放ると、笑いながら力を吸収しようとする夜尊。しかし夜尊は級に顔色を青ざめさせます。夜尊が力を込めるほど鎮魂灯が震え、ガラスの部分が今にも割れそうになっているのです。
実は、趙雲瀾はあらかじめ、鎮魂灯の灯心部分に地星人を殺すための銃弾を忍ばせていました。夜尊が力を鎮魂灯に注ぎ続けると、突然膨大な力が溢れ、そこにいた全員が吹き飛ばされます。
林静や沈巍も夜尊の体の中で揺れていました。沈巍の体に覆いかぶさり、彼を守る林静。
鎮魂灯の力の衝撃で夜尊の仮面が中心から真っ二つに割れ、逃げ出そうとした摂政官は正気を取り戻した地君に引き戻されます。「なぜ意識が戻った?離せ!」と叫ぶ摂政官に、「恨みは晴らす!」と憎しみに満ちた目で叫ぶ地君。
怒りに震える夜尊の額には傷がつき、額の中央からは鮮血が流れ出しています。摂政官と地君を見た夜尊は、怒りに任せて2人を吸収します。
「地界の案内は俺に任せろ」と地界の街を先導する楚恕之。歩いていると、「教えてやろう、お前の英雄は私の腹の中だ。奴が築き上げた平和とやらは、私が握り潰してやる。覚えておけ。人間や亜獣族に加え、私に楯突く地星人も全て排除する」と夜尊の演説をスピーカーで流すバーテンとその周りで困惑する人々に遭遇します。「戦う日が来たぞ!続け!」と拳を天に突き上げるバーテンを見て、「もちろん行きましょう」「騙された」「本当ね」と地界人は次々賛同。楚たちも彼らに続きます。
林静は沈巍を庇っていましたが、新たに地君と摂政官が近くに現れたので驚きます。喧嘩をする摂政官と地君に、沈巍は「(我々は)一度死んだも同じ。抱えていた恨みは全て捨てるんだ。私達には今共に戦うべき敵がいる」と諌めます。
「恐れ入ったよ…あれでももう回復したのか?」と地面に臥しながら朦朧と言う趙雲瀾。「私も恐れ入った。だがここまでだ。聖器は全て揃った。黒枹使の力も少しずつ吸収している。もう邪魔者はいない!」と夜尊は笑います。
「…浮かれるのは早いぞ。灯心のない鎮魂灯を持っていても4つの聖器は融合せずお前は力を得られない」と趙雲瀾が笑うと、夜尊はそれを聞き、「灯心ならある」と笑います。予想外の事態に、真顔になる趙雲瀾。「このガキを生かしておいたのは何のためだと?こいつの心は純粋で明るく輝いている。闇の力に侵食されぬ心は何とも誂え向きだ。だが本人は知りもしないだろう。己の心が鎮魂灯の灯心に最適だということを!」と、夜尊は郭長城の首を片手で掴みます。夜尊は郭長城の顔を掴み、力を奪っていきます。
「我が身を守るため地君殿に乗り込むぞ!悪を倒し未来を勝ち取れ!」と街の人々に拡声器で呼びかけるバーテン。その背後には楚恕之たちがいます。
しかしその時、地君殿から白と黒の2色の光が空を突きます。「黒いのは聖器の力だろ。白いのは…」と大慶が言い淀み、楚恕之は目を見張り光を見つめて叫びます。「長城!」。
聖器を空中で回しながら、郭長城から力を吸収する夜尊。
「1万年も待ち、雪辱を果たす時が来た!」と歓喜する夜尊を前に、趙雲瀾は「郭ちゃん、お前は人と違う。本当に俺や楚のこと、特調所のことを忘れるのか?」と必死で叫びます。その声が郭長城の耳に届きます。
「楚さん!」と郭長城は叫ぶなり、夜尊の腕を両腕で掴みます。驚く夜尊。「僕は絶対に…人を傷つける凶器にはならない!」と夜尊の力に抗おうとする郭長城。
「私の力からは逃れられぬ!」と夜尊がふと聖器を見ると、4つのうち2つから光が消えています。「あと少しだったのに…!煩わしいガキだ」と夜尊が力を集め始めた時、楚恕之たち3人がその場に到着し、夜尊と乱闘になります。真っ先に趙雲瀾のもとに駆けつけ、彼の周りにバリアを張って守る大慶。夜尊は楚恕之と祝紅と戦います。
「ボス」と大慶は転がっている趙雲瀾を抱き起こしますが、趙雲瀾は夜尊を睨み続けており大慶が目に入っていません。楚恕之たちは夜尊に押され始めています。
大慶が胸元から血清を取り出すと、趙雲瀾は素早くそれを奪うと自分の胸に躊躇なく打ち込みます。
「死ぬぞ!」と悲鳴をあげる大慶の腕の中で、趙雲瀾は「この趙雲瀾、今日という日をずっと待っていたのかもな…」と変わらず夜尊を睨みつけながら呟きます。

夜尊→沈巍の「なぜだ?どうして私に敵対する!?」「残念だ。最後までお前を生かそうと…」が意味深です。沈巍が夜尊に敵対してきたのは明白なのに、夜尊はずっと沈巍が自分を支持してくれると期待して癇癪を起こす。兄に愛されたい想いが歪な形で暴走している感がありますよね。強くなければまた捨てられる、的な。
趙雲瀾の「よせ、やめてくれ!!!」でもう大号泣でした。沈巍が傷つけられる方が自分が傷つくよりずっと、何百倍何万倍も辛そうな趙雲瀾が痛々しくて…。沈巍の穏やかな笑みもまた辛いです。
それにしても、沈巍はなぜ氷柱を押し込めと林静に頼んだんでしょう?氷柱を解けば沈巍の能力である「見た能力を吸収する」が発動して夜尊が無力化されたりするのでしょうか🤔
「この趙雲瀾、今日という日をずっと待っていたのかもな」はかっこよすぎました🤦♀️即血清を打つ趙雲瀾の迷いのなさ、すごいですよね。それほど沈巍を助けたかったってことかなあと泣きそうになりました。
あと、今回も含めて大慶は愛する人を次々失っていますね…つらい。「何でもない命がこんなに愛おしい」という大吉の言葉が真理すぎて何度も反芻してます。変でも何でもないよ大吉…。
あと林静が結構ずっと生き延びてますが、夜尊はどれくらいで吸い込んだものを消化するんでしょうね?🤔
第40話 海星(かいせい)を守れ
<あらすじ>
夜尊(やそん)と戦う力を得るため、趙雲瀾(チャオ・ユンラン)は危険な血清を自分の体に打つ。
一方、胸に氷柱を刺された沈巍(シェン・ウェイ)は、残る力を振り絞って林静(リン・ジン)たちを助け、最後の戦いに挑む。
兄である沈巍から少年時代の真実を聞かされた夜尊は、誤解が解けて安らかな表情に。
夜尊は楚恕之と祝紅を吹き飛ばし、大慶は単身、夜尊に挑みます。大慶も夜尊に弾き飛ばされますが、それと同時に夜尊の額の傷から力が漏れ出します。
夜尊の体内では、沈巍が「夜尊は吸収するという欲望を抑えきれなくなっている」と呟いていました。沈巍の予想通り、夜尊は周囲から力を吸収し続けます。
「夜尊の目的は海星の支配だ。地星人も人間も亜獣族人も、捨て駒に過ぎない」という林静の言葉を、摂政官と地君は静かに聞いています。
叢波と成医師はカメラを設置中。すると、叢波が空の異変に気づきます。「心研、あれを見ろ」と叢波に言われて成医師が空を見上げると、そこには鮮やかな青と黒の煙が真っ暗な空の中をうごめいており、次の瞬間には叢波も成医師も突然空から降りてきた黒い煙に囚われてしまいます。成医師は失神し、叢波は「心妍!」と彼女を抱き込み自らも失神します。
「黒枹使様のおっしゃるとおりです。奴が世界を飲み込む前に阻止せねば、全ての希望が絶たれる」と言う摂政官に、沈巍は「大丈夫だ。私は彼を信じる。趙雲瀾なら必ず夜尊を倒してくれる。林静、忘れないでくれよ。必ず約束を守れ」と洗い呼吸をしながら頼みます。頷く林静。
夜尊は、床に這いつくばりもがく趙雲瀾から力を吸い取ります。そのさまを見つめるしかない、大慶・楚恕之・祝紅の3人。趙雲瀾は夜尊の力で立たされ、夜尊は額の傷口を押さえます。
「どうせ全員あんたに殺される。その前に教えてくれ」と言う趙雲瀾。「この1万年の間、人間たちを苦しめ、亜獣族人を陥れ、仲間である地星人さえ傷つけた。目的はなんだ?」と問う趙雲瀾に、夜尊は「よく聞いてくれた!この世界のどの種族にも欺瞞や陰謀、裏切りが溢れている。汚れた世界なのだ!だから全てを壊して、新しい世界を作り直す。あらゆる秩序をこの私の手で作り変えるのだ」と語ります。
「あんたは憎しみの中で滅びる。希望を生み出せぬ者に、歴史が微笑むはずがない」と趙雲瀾が言うと、夜尊は「歴史は勝者が切り拓いてきた。勝者が王となるのだ。お前は安心して黄泉へ旅立て」と言い放ちます。
夜尊はすぐさま力を吸い始めます。趙雲瀾の心臓の鼓動がひどくなり、彼は夜尊を殴り始めます。地君殿像を倒しながら戦う2人。大慶と郭長城は山河錘を掴み、力を吸われている趙雲瀾に投げつけます。趙雲瀾は、夜尊の額の傷に山河錘を突き立てます。
「林静、今だ!」と叫ぶ沈巍。林静は絶叫し、氷柱を押し込みます。すると沈巍が手に力を込め、林静・摂政官・地君の3人を夜尊の体外に押し出します。
突然夜尊の体から吐き出された林静に、「沈巍は!?」と叫ぶ趙雲瀾。林静は辛そうに顔を逸らします。趙雲瀾は絶望し、思わず涙。夜尊は両手に力を込め、絶叫。そこにいる人々は恐怖で後ずさります。
沈巍は傷口に力を込めると、氷柱をもう一度出現させます。夜尊は周囲から力を吸い込みますが、ハッと驚愕し、「黒枹使、謀ったな。お前の力は闇の力ではなかった!」と叫びます。趙雲瀾は驚き、夜尊を見ます。
趙雲瀾が失明した時、沈巍は自分にナイフを突き立てたり、長命時計で治そうとしていました。
趙雲瀾「正直に言え。目を治す時何をした?」
沈巍「体内のエネルギーがダメージを。力を入れ替えないと」「もしこの傷で世の人々を救えるなら?」「謝る。隠している事はいつか必ず話す」
趙雲瀾は微笑み、「沈巍、ずっと隠していたのか」と呟きます。「鎮めよ。悪しき者の心を、高めよ善者の徳を…」と呟くや否や、一気に氷柱を引き抜く沈巍。夜尊は絶叫し、沈巍は失神。夜尊は床に膝をつきます。
「なぜだ、どうして」と、夜尊は静かな地君殿の中で四つん這いになっていました。
彼の前に進み出たのは仮面を被っていない黒枹使。「全て終わった。家に帰ろう」と言う沈巍に、「家だと?どこに家がある?お前に見捨てられたあの時に…帰る家は失った」と言う夜尊。
夜尊は回想します。
「大丈夫か、しっかりしろ」と言う沈巍に掴まりながら、幼い夜尊は激しく咳き込みます。「兄さん、もう歩けないよ」と弱音を吐く夜尊に、「心配ない、僕がそばにいる」と励ます沈巍。
するとそこに、屈強な部族長らしき男が現れます。「なかなか立派な体格だ。オレの手下にならないか」と、男は沈巍に話しかけます。しかし沈巍は彼の手についた血を見て、「人殺し」と吐き捨てます。「隕石の墜落で世は混乱してる。人殺しが何だ」と開き直る男をよそに、病弱な夜尊は倒れてしまいます。沈巍は慌てて「しっかりしろ」と昏倒した彼に声をかけます。
失神していた夜尊が目を覚まします。「兄さんは?」と夜尊が問うと、「お前を捨てて行っちまったぞ。お前の世話は俺に任せると言ってた。お前は俺の手下だ」と男は言います。その日から、夜尊は男に奴隷のように扱われる日々が始まったのです。
黒枹使は夜尊の前にしゃがみ込みます。「それで私に恨みを?間違っている。お前を捨ててはいない」と真っ直ぐな目で夜尊を見つめる黒枹使。
「しっかり」と夜尊に声をかける沈巍。「体が弱い。役立たずだな。見せてみろ」と男が無遠慮に夜尊に触れようとしたため、沈巍は「弟に触れるな!」と男の手を叩き落とします。すると男は激昂し、沈巍を近くの崖から突き落としたのです。
どれくらいの時間が経ったのか、身体中ぼろぼろの沈巍は崖の下で目覚めます。沈巍は支えを探して近くの土を掘ります。すると長刀が見つかり、それを杖代わりにして必死で崖の上に戻ります。「どこだ!返事をしろ!どこにいる?」と夜尊を探し叫ぶ沈巍。しかしそこには、男の姿も夜尊の姿もありませんでした。
黒枹使の記憶を聞き、夜尊は大粒の涙を目に溜めて、笑い出します。じっと夜尊を見つめる黒枹使。「私を見捨てていなかったのか…捜してくれたと?」と言う夜尊に、沈巍は手を伸ばします。「弟よ。帰ろう」。夜尊は沈巍の手を取ります。沈巍は夜尊の手を握りしめ、地君殿の階段を手を繋いだまま上っていきます。
「沈巍…沈巍…」と声が聞こえ、振り向く沈巍。先ほどまで夜尊がいたはずのそこには、趙雲瀾が横たわっていました。趙雲瀾のもとに、沈巍が大事に毎日つけていたペンダントのヘッドが転がってきます。趙雲瀾がその宝石を開けると、その中には、1万年前に趙雲瀾が沈巍にあげた飴の包み紙が綺麗にしまってありました。「鎮めよ、悪しき者の心を。高めよ、善者の徳を…」とそれを見て涙する趙雲瀾を振り返り、沈巍は微笑むと夜尊と共に階段を上っていきます。
目を覚ました叢波と成医師。空はまだ暗いままですが、道に転がっていた人々は起き始めています。成医師たちは人々に駆け寄り、起き上がるのを手伝います。
鎮魂灯を持つ趙雲瀾に肩を貸しながら、地界の街を走る林静。「夜尊は死んだけど、地界のエネルギーを吸収した。亀裂が広がれば海星は爆発する!」と焦る林静。趙雲瀾は突然吐血し、地界の地震のせいで林静から弾き飛ばされます。
「楚たちを呼んでくる」と走り出す林静を見遣りながら、朦朧とする趙雲瀾。彼が鎮魂灯に手を伸ばすと、急に麻亀たちと映像が繋がります。
「やっと繋がった。一体何が?」と不安げな麻亀に、趙雲瀾は「大丈夫だ。それよりお願いだ。俺にやらせてくれ」と頼みます。「話を聞いたか」と言う麻亀に、頷く趙雲瀾。
趙雲瀾は獐獅との会話を思い出していました。
「鎮魂灯の秘密を教えてやろう。鎮魂灯は正のエネルギーで悪の魂を鎮めるランプだ。それには犠牲が強いられる。灯心が見つからなければ、自らの生命エネルギーを燃料として捧げる勇者が必要だ。そうすれば力が発揮される」と言う獐獅。
趙雲瀾は浮游を見ます。「手で持ち、目を閉じる」と生命エネルギーを燃料にする方法を説明する浮游の横で、「君が死んでしまうんだぞ!?」と麻亀は叫びます。趙雲瀾は吐血しながら笑います。「大事な人を守りたくて聖器を作ったんだろ?」と趙雲瀾が言うと、映像が乱れ、消えてしまいます。
「勇者はどうなる?」と趙雲瀾が獐獅に尋ねると、「前例がなく不明だ。だが断言できるのは、勇者となった者は死んだ後も鎮魂灯の炎に焼かれ続け、強烈な苦しみから永遠に逃れられなくなる」と獐獅は告げます。趙雲瀾は「勇者になる奴はバカだな」と笑います。
趙雲瀾は会話を思い出して笑います。「趙雲瀾、すごいじゃないか。思ってもみなかった。光栄なことだよな。自らの体を燃やして…世界を照らせる」と言いながら、ポケットから沈巍のペンダントヘッドを出す趙雲瀾。
「君にも時が来れば分かるはず」という沈巍の言葉を思い出し、趙雲瀾はそれを握りしめ、笑いながら涙します。地界の街は、どんどん崩壊していきます。
「準備はできた」と趙雲瀾が鎮魂灯を両手で持つと、鎮魂灯は光りだし、灯心が点った途端、彼は意識を失い、その手から鎮魂灯が滑り落ちます。
「こっちだ」と林静が楚恕之たちと駆けつけた時には、趙雲瀾は既に死んでいました。趙雲瀾の死を悟った特調所のメンバーたちは、硬直します。
地界の時計台が、鐘を鳴らします。地界はあの惨状が嘘のように平和になり、空には青空が広がっていました。酒場にたむろう人々は、窓からさしこむ光に驚きます。「あれは何?」「光よ」「きれいね」「明るいぞ」と歓喜に叫ぶ人々。
街に出た摂政官と地君も笑顔で顔を見合わせます。
祝紅の叔父は、槐下の門の前で祝紅たちの帰りを待っていました。
するとそこに、林静が趙雲瀾の遺体を背負って帰ってきます。特調所メンバーが門から出ると、門はすぐに消えてしまいました。
「聖地にあった道は消えた」と祝紅の叔父は、楚恕之に報告します。「今日から地界と地上は二度と行き来できない別世界になった」と言う楚恕之。楚恕之は「ボスが世界を救った」と言葉少なに言います。郭長城は趙雲瀾の手を握り、遺言を聞こうとします。大慶と祝紅は号泣。「所長を私に任せ、市内の様子を」と祝紅の叔父が言うと、林静も目に涙を浮かべます。
街では叢波と成医師が人々を避難所に誘導していました。そこに特調所一行がやって来ます。「やっぱり無事だったか!」とはしゃぐ叢波の横で、「沈巍と所長は?」と成医師はこわばった表情で尋ねます。「会いたければ…案内します」と言う郭長城の後ろから、「必要ない」と趙心慈が声をかけ、全員が趙心慈を振り返ります。
龍城第一病院では、「何回入院したら気が済むの?そろそろ退院して」と成医師が呆れたようにベッドの上にいる叢波に文句を言っていました。「先生、オレは仮病なんかじゃない。戦いの後遺症だ」と不敵に笑う叢波を、困ったように見る成医師。
海星艦では、郭英と高が部長のデスクで荷物を整理しています。
「郭部長」と趙心慈が郭英のそばに寄ると、郭英は「趙局長」と歩み寄り握手します。趙心慈は高を見上げると、「高よ、秘書の仕事には慣れたか?」と尋ねます。「ご心配なく」とぎこちなく笑う高。そこに李茜が現れます。
「李所長」と趙心慈が呼びかけると、李茜は「最近顔色がいいですね、発作も起きなくなったみたいだし」と言います。
郭英はどこか心ここにあらずな様子。「今日甥が見合いをする予定でしてね」と笑います。郭長城は女性と見合い中です。
「特調所で働いてるそうね。街の英雄だわ。でも、特調所は危険よ。辞めるつもりは?どうなの?」と突然女性が郭長城に迫ってきます。戸惑う郭長城。
すると近くで本を読んでいた楚恕之が突然席を立ち、「辞めない」と女性に言います。怪訝な表情の女性をよそに、2人の間の机に紙幣を叩きつけると、楚恕之は郭長城の背中を押し、立ち上がらせます。
「お前は夜尊が認めた鎮魂灯の最適な燃料だ!強い意志も持ってる、自信を持て!特調所を辞めろとはなんて女だ」と、怒って立ち去る楚恕之。郭長城は思わず笑い、彼の後を追いかけます。
蛇族の森にある叔父の家で一緒に暮らす祝紅。喧騒を聞きつけて家の外に出ると、祝紅の叔父・迎春・鴉青の3人が言い争っています。祝紅は「亜獣族の平和と発展を願う建設敵な交流会をここに開催する!」と手を挙げ叫び、彼女の叔父は「いいぞ」と嬉しそうに声をあげます。
特調所の玄関前にはたくさんの報道陣と市民が駆けつけ、趙雲瀾がカメラの前で礼をします。老若男女が花束を持ち寄り、「趙所長は龍城の英雄です」と、口々に彼を褒め称え拍手します。「あの事件から1年…これからも特調所は全力で龍城を守ります」と趙雲瀾が言うと、「素晴らしい」と市民から再度歓声が上がります。
「勇者になる奴はバカだな」と言う趙雲瀾を、獐獅は見つめています。獐獅が去ろうとすると、趙雲瀾は「…本当にその時がきたら俺は覚悟を決める。もし万一そうなった時は、俺の代わりに生き、親孝行をして、友を愛し、人々を守ってくれ」と頼みます。驚きに目を見開く獐獅。「龍城には守り神が必要だ。俺がやり残したことをあんたに託せる」と涙をたたえて訴える趙雲瀾。獐獅は「約束する」と微笑み、彼を強く抱きしめます。
大慶は趙雲瀾の部屋を自分好みに改造し、林静は沈巍の、大慶は趙雲瀾の写真を持ってソファーに横に並んでいました。
「この1年は穏やかだったな」と世間話をしかけた大慶は、「お前はなぜ海星艦に戻らない?」と林静に問います。林静は「特調所でもっと経験を積みたい」と返します。「”本物の”ボスが見守ってくれてる気がする」と宙を見つめる大慶。林静も同じように宙を見ます。
特調所には新しいメンバーが10人以上加入しました。郭長城は日記を書こうとページを開きます。「何を書こう、新しい物語がここからはじまる…」と彼は真っ白なページを前に考え込みます。
趙雲瀾は時空のはざまで沈巍の後ろ姿を見つけます。「来たのか」と言う沈巍。
「行くのか?」と趙雲瀾が尋ねると、沈巍は「どんな命もいつかは消える」と静かに告げます。
「私たちの選択には意味がある」という沈巍の言葉を聞き、趙雲瀾は言葉を失います。振り向いた沈巍の目には今にも溢れそうなほど涙が溜まっていました。
沈巍は微笑み、「賭けないか?」と誘います。趙雲瀾は笑い、「何を?」と尋ねます。「趙雲瀾、何年経とうと、どこへ行こうと、きっとまた会える。必ずな」と言う沈巍に、趙雲瀾は切なげに「分かった」と頷きます。沈巍は涙しながら微笑みます。

「私を見捨てていなかったのか。捜してくれたと?」「弟よ。帰ろう」。
沈巍のたったこれだけの言葉で夜尊の憎しみは霧散しました。夜尊はずっと沈巍の愛が欲しかったんだよね…夜尊、大好きなお兄ちゃんに見捨てられたと思って世界を滅ぼしたくなるくらい辛かったんだね…😭ヴヴッ…
しかし、よもや雲瀾の中に獐獅が入って生き続けるとは!獐獅との抱擁シーン、泣いちゃいました。獐獅は趙雲瀾にとってもう1人の父親みたいなものですしね。
最後、趙雲瀾と沈巍のお別れシーン最高だったな…。でもまさか沈巍が死ぬとは。地君殿から手を繋いで消えていくのは、夜尊と一緒に死ぬって暗喩だったんでしょうか。
趙雲瀾と沈巍、沈巍と夜尊、どうか来世で何事もなく幸せに再会できますように…。
まとめ

正直に言ってもいいですか?
最後らへん、沈巍と趙雲瀾よりも沈巍と夜尊の兄弟愛に目が行き過ぎて、2人が手をつないで階段を上っていくシーンはヴァージン・ロード!?って大騒ぎしてしまいました…ごめん(?)
でも最後の最後、沈巍と趙雲瀾が時空のはざまで泣きながら再会を約束するシーンはエモかったな…沈巍の泣き顔はズルいよ…。

沈巍と趙雲瀾、沈巍と夜尊、楚恕之と郭長城という3組のカプが楽しめました。しかもBLという関係性抜きにしても単純に物語がファンタジー×輪廻転生モノとして十二分に面白い!!こういう骨太なBL、日本にも増えてほしいです。

脇役カプとは分かっていますが、楚恕之と郭長城のカプが個人的に大好物でした。体格差萌えなんですよね♡
ただ、楚恕之と郭長城は原作とだいぶ外見やキャラが違うらしいので、原作を読むのが楽しみです!
今回3人が見た「鎮魂」は、Amazonプライムビデオで無料視聴できます。
ぜひチェックしてみてくださいね〜☺️✨