中庭みかな「きんいろの祝祭」のネタバレ感想|小国の寡黙な武人×国を富ませる力を持つ「きんいろ」 の、切ない両片想い異世界ファンタジーの名作

小説

中庭みかな先生「きんいろの祝祭」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人におすすめなのかなど、ネタバレ感想とともにご紹介します。

登場人物とあらすじ


小国の寡黙な武人×国を富ませる力を持つ、外れ者の「きんいろ」 のお話。

<あらすじ>
金色の瞳を持つ「きんいろ」は、契る主にのみ瞳を許してその国を豊かにし、災厄から守る存在。

イルファは自分が”できそこないのきんいろ”と知っていたが、そんな彼も花嫁として辺境の小国へ遣わされることに。

しかし、頑なな心を解いていくイルファがやがて愛し愛されたのは、契るべき王ではなく王の忠実なる侍従―優しく生真面目なカヤで…!?

 

こんな人におすすめ

  • ファンタジーBLが好き
  • 色彩豊かな情景描写が好き
  • 中庭みかな先生の作品が好き

 

ネタバレ感想

「惹き込まれるファンタジー作品」とは、「衣食住の描写からからその国の歴史や文化が感じられること」だと思うんですが、本作は完璧でした。

金色の瞳を持つ稀少な人間とそれを崇めながらも蔑む、歪な歴史と文化。道具として政治利用される人種の、「幸せ」とは何か?を問いかけられる、素晴らしい物語でした😭✨

本作で一番好きなところは、ガロという国の風光明媚さと人々の朗らかさ・穏やかさ、豪勢な食事、「きんいろ」が纏う煌びやかな衣服…まるで物語全体が金色に淡く発光しているように感じるところです。読後もずっと心に金色の霞がかかっているよう。

読者にそう感じさせる描写力の高さにうっとりです🥺💕

細やかな世界観設定が本当に素晴らしかった…と、読み終えてすぐの今、余韻に浸っています。

大好きな設定は数え切れないほどあるけれど、一番心動かされたのは「国の守り神である竜の見ている夢が映し出される鉱石」。

なんて美しいのか、よくぞこんなに素敵なものを生み出してくださったと、読んだ瞬間泣きそうになりました😭💎

読後、純粋な感動と幸せで胸がいっぱいで…不思議な浮遊感がずっと続きます。嬉しい。あったかい。ずっとこの世界に浸っていたいです。

普段はしばらく余韻に浸ったら次の本を読み始めるんですが、本作は読後のこの気持ちを薄めたくなくて何も読む気がしませんでした。

そのくらい、感情を動かされる名作でした🥺📖✨

一生何も見えなくなってもいいから、愛するカヤの瞳を見たいと乞うイルファに、号泣しました。

「世界のどんな色よりあなたが欲しい」、なんて苛烈な愛の告白でしょう。イルファのカヤへの愛はそれほどまでに重く深い…😭

暁の描写は凄まじかったですね。色の洪水。冷たい朝の空気と風の圧と流れを、読みながら痛いほど感じました。

カヤと共に暁を見た後の言葉、「だから瞳を閉じることは、少しも、怖くなかった」に涙。

イルファ…あれほど自由を愛したイルファは、王を愛したために故郷の空さえももう見ることはできない…残酷です。

そしてイルファの目の状態は変わらぬまま幸せになる展開が本当に素晴らしいと思いました。

何かを得るには、何かを捨てなくてはならない。

その非情な現実をファンタジーだからとご都合主義にせず、真っ直ぐにイルファたちに立ち向かわせたところに、生身の人間を描ききる、という中庭先生の信念を感じました。

 

まとめ

傑作!!

この言葉しか似合わない作品です🏆

中庭先生らしい透明感あふれる色彩表現、繊細で濃密な心理描写は圧巻。

そして感動のラスト。読後何日間も幸福感が抜けません。

全人類読んで!!😭✨

きんいろの祝祭
作者:中庭みかな
金色の瞳を持つ「きんいろ」は、契る主にのみ瞳を許してその国を豊かにし、災厄から守る存在。イルファは自分が”できそこないのきんいろ”と知っていたが、そんな彼も花嫁として辺境の小国へ遣わされることに。しかし、頑なな心を解いていくイルファがやがて愛し愛されたのは、契るべき王ではなく王の忠実なる侍従―優しく生真面目なカヤで…!?

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