伊勢原ささら「あの日の君を教えて」のネタバレ感想|記憶喪失の大企業跡取り×田舎の家具屋店主 身分違いの悲恋の行方はー?

小説

伊勢原ささら先生「あの日の君を教えて」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


記憶喪失の大企業跡取り×田舎の家具屋店主 のお話。

<あらすじ>
東雲剣一郎は目覚めると病院のベッドにいた。
事故に遭い頭を強打し記憶を失い、家の前に倒れていた剣一郎を助けてくれたという優しげな青年・三島良は剣一郎を引き取り、回復するまで面倒をみると申し出る。
初めて会ったはずの良に、懐かしさと異常なほどの執着を覚える剣一郎だが…。

 

こんな人におすすめ

  • 愛しさと切なさで号泣したい😭💦
  • 健気で一途な受けを抱きしめたい👐♥️
  • スパダリだけど愛情表現が不器用な攻めの成長に心震わされたい📈

 

ネタバレ感想

1巻

世襲企業の名門・東雲商事の嫡男である東雲剣一郎は、住み込み家政婦の息子に片想いをしていました。叶わぬ恋だと知りながら…。
大人になった剣一郎は、三島良という男の家の前で頭を強打し記憶喪失になってしまいます。良は記憶を取り戻すきっかけになるかもしれないからと、自宅に剣一郎を泊めることにしますが…。

記憶を失った剣一郎は、自分の名前さえも覚えていない状態でした。良の家で世話になるようになって2週間が経っても、記憶が戻る予兆は全くありません。
剣一郎が良の家の前で頭を強打したのはなぜなのか?そして、良は中学時代の剣一郎が片想いをしていた家政婦の息子、その人なのでしょうか?

今のところ、剣一郎は、良が営む雑貨店に材料を卸していた井上という男が彼へ悪質なストーカー化しているのを知り、良のボディーガードを務めるという仕事をしています。しかしどれだけ良と時間を過ごしても、彼と離れ難くなるだけ、好意が増していくだけで、過去のことはさっぱり思い出せないようです。
剣一郎の境遇を考えると、2週間も仕事をしなくて良いというのはちょっと考えづらい(順当に行けば、彼は東雲商事の重役として仕事をしていたのではと推測できるので)ので、記憶を失う前に剣一郎は仕事を辞めていたとか、家族と縁を切ったとか…そういう大きなイベントがあったのではと考えています。良は多分家政婦の息子だとは思うのですが、違ったら結構衝撃かもしれません。ここから新たなヒーローが登場するのか!?

あと、剣一郎の体を診てくれた高崎医師ですが、良とは友だち以上の密接な関係を匂わせてるのが気になります。一体何者なんだ?

あの日の君を教えて
作者:伊勢原ささら
東雲剣一郎は目覚めると病院のベッドにいた。事故に遭い頭を強打し記憶を失い、家の前に倒れていた剣一郎を助けてくれたという優しげな青年・三島良は剣一郎を引き取り、回復するまで面倒をみると申し出る。
初めて会ったはずの良に、懐かしさと異常なほどの執着を覚える剣一郎だが…。

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2巻

物置の整理をしていた剣一郎は、自分のものとおぼしきリュックサックから自宅の住所を知ります。しかし、そこに行っても芽生えてきたのは暗い感情だけ。剣一郎は自分を探す良をひまわり畑で見つけ、夢中で彼にキスをするのでした。

井上はまた出てくるだろうなとは思っていたのですが、よもや元プロレスラーの子分まで連れてやってくるとは思いませんでした。卑怯な奴め!でも剣一郎が以前も良を救うために拳を振るった?記憶を思い出しかけていて、何があったのかなと気になっています。記憶喪失になった原因と関係があるのかな。

あと、衝撃だったのが、良が剣一郎の持ち物を隠していたこと。いくら剣一郎に一緒にいて欲しかったとはいえ、それほどまでに過去のことを思い出してほしくなかったんですね。剣一郎が実家でDV被害を受け監禁状態だったことは分かっていますが、良はそこから救い出したかったのかな…。まだまだ剣一郎と良の間には謎が多いです。

7/25が二人にとってなんらかの因縁がある日のようなのも気になります。わざわざ良は剣一郎を7/25にひまわり畑へと連れて行って彼の反応を確認していましたが、剣一郎が今までで一番激しい拒絶反応を起こしていたことからして、そこで記憶喪失になるきっかけの出来事が起こったのかなと推測しています。

剣一郎は溢れる思いに抗えず、「俺はどこにも行かない。ずっとここにいる。お前のそばにいる」「ずっと欲しかったものをやっと手に入れた」と良にキスしていましたが、良がさほど衝撃を受けていなかったことからして、そもそも記憶喪失前も二人はキスをするような間柄だった…のかな?🤔💭
剣一郎にずっと良のそばにいてほしいけれど、彼に記憶が戻ったらどうなってしまうのでしょうね…。不安です。

あの日の君を教えて2
作者:伊勢原ささら , 加賀美炬
記憶をなくし、助けてくれた良と共に暮らしはじめた剣一郎。いつまでたっても何も思い出せず焦るばかりの毎日の中、何かしなければと、剣一郎は良が経営している小さなインテリア雑貨店を手伝うことにした。良との生活は穏やかで心地いい。

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3巻

剣一郎の異母兄兼教育係であり彼の父の秘書である名坂が、良と剣一郎のもとに訪ねてきました。名坂は良が東雲家の住み込み家政婦だった母が亡くなったことで家を追い出されるのではと危惧し、剣一郎を性的に篭絡しようとしたために東雲家を出禁になったのだと説明します。良もそれに意を唱えず、剣一郎は実家に戻り、仕事に忙殺されます。

衝撃だったのが、名坂に「剣一郎くんを性的に篭絡して東雲家に居座ろうとした」と指摘された時に、良が一切反論せず、さらには「剣一郎が気を許したら、裏切って傷つけてやりたいと思っていた」と告白し、「他のことは全部思い出せたのに自分のことだけ思い出せなかったのは、自分のことが本当は嫌だったからでは」と剣一郎に突きつけたことです。
剣一郎を遠ざけるためだけにしては、あまりにも殺傷力の高すぎる言葉たち…。いや、これほど言わなければ剣一郎は実家に戻らないと思ったからあえてなのでしょうか。良の「剣一郎と一緒にいたい」という気持ちは間違いないはずですが、それよりも剣一郎の社会的立場や名声を慮ったということかしら…。

剣一郎は実家で心を殺して仕事に勤しみますが、息子を厄介者扱いする父から、最低3年間のアメリカ赴任を命じられます。
しかし引っ越すために部屋の片付けをしている際、過去の自分が興信所を使って良を探し出していたこと、7/25が自分の誕生日だということに気づきます。慌てて良に会いに行く剣一郎ですが、良はしばらく留守にしているようで、代わりに高崎に事情を聞くことに。しかし逆に「良のことは俺に頼まれてくれ」と恋敵宣言をされてしまいます。

高崎先生は前からやけに良に親密な態度だなとは思っていましたが、とうとう…恋のライバル宣言をされてしまいましたね…。
しかし良本人が不在な中、攻め(?)同士でその座を争っている図はちょっと面白いです。

剣一郎は結局、記憶喪失になる原因となった思い出はまだ思い出せていません。良に関わることだとは分かっているのですが…。良はなぜこれほどまでに頑なに口を閉ざしているのでしょう?剣一郎のためを思って身を引こうとしているのはなんとなく分かるのですが…次巻でその全てが明らかになるのでしょうか?気になります。

あの日の君を教えて3
作者:伊勢原ささら , 加賀美炬
人間的な感情を排除し、東雲家の跡継ぎとしてまるで監禁されているような生活を送っていたことを思い出した剣一郎。自宅へ戻ることもできたが、剣一郎にとって帰る場所は優しい良の元しかありえなかった。家路を急ぐ剣一郎だったが、今度は良が姿を消していた。

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4巻

アメリカ行きの飛行機を待っていた剣一郎に「忘れ物」と届けられたのは、血で汚れた小さな木彫りのゾウ。それを見た瞬間に剣一郎は記憶を取り戻し、今度こそ良と幸せになるのだと走り出します。会社は正式に嫡男となった名坂が継ぎ、剣一郎は両親からは勘当されたものの、良と幸せな生活を送れるようになったのでした。

4巻、怒涛の展開でしたー!!
剣一郎が忘れていた良の記憶の一つは、良が東雲家を追い出されるまでの一連の事件でした。ひまわり畑で剣一郎の誕生日を祝った二人は付き合い始める→良にからんできた不良を剣一郎が叩きのめしたため学校から停学処分を受ける→東雲両親に喧嘩の理由を聞かれ、交際を報告→良は東雲家を追い出される という経緯でした。
名坂の説明では「良の母が亡くなったから、良は東雲家を追い出された」とのことでしたが、たまたま時期が重なっただけで、実際は剣一郎にとって良が悪影響だと東雲両親が判断したから家を追い出されたのでしょうね。

剣一郎が興信所を使って良の居場所を探し出し、会いに行った時のことを回想するシーンが好きでした。
「黙って行かせたことを許してほしい。今も良だけを愛していると伝えたくて、思い出の木彫りのゾウを握りしめて会いに行った」という独白が、あまりにも剣一郎の良への無垢で一途な想いを表していて、胸が張り裂けそうになるほどで…。剣一郎は、人生で最初で最後に好きになった人のために無我夢中だったんですよね。良を守るために必死だった剣一郎のことを思うと、胸がいっぱいになります。

二人が両想いになってからのお互いの覚悟のセリフも、すごくすごくよかったです。
剣一郎は「人を愛するのに地位や財産は必要ない。本物の想いと覚悟さえあれば、それだけで大切な人を幸せにできる」、良は「僕ももう逃げない。勇気を出すよ。ケンちゃん(剣一郎の愛称)が僕を選んでくれたことを後悔させたくないから。ケンちゃんを全力で幸せにしてあげたい」。
地位や財産こそが良を守るために必要だと信じて家に縛られていた剣一郎がこう思うに至ったことが嬉しいです。たしかに誰かを愛するのに地位や財産があれば相手を守ってあげられる力は強くなるけれど、それがなくても精一杯愛することはできます。
そして、あれだけ後ろ向きで弱気だった良が、「剣一郎を幸せにしてあげたい」と言っているのにも感動しました。本当は良の心にずっとあった想いだと思うんですが、学生時代は何の力もないのにしがらみばかりは多くて「幸せにしたい」なんて言えなかっただろうし、それ以降も剣一郎への想いを引きずっているのは自分だけではと不安になっていたと思うんです。だからこそ、愛して、愛されていることに今の良は自信を持てているんだなと嬉しかったです。

あの日の君を教えて4
作者:伊勢原ささら , 加賀美炬
高校時代の二人を知る剣一郎の異母兄・名坂があらわれたことで、離れ離れになってしまった剣一郎と良。傷付き、かつての機械的な日常を再び送るようになった剣一郎だったが、アメリカ支社に渡る前日、いてもたってもいられず良の家に向かった。そこで高崎に、「今のお前には良を任せられない」と言われてしまう。

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まとめ

世襲企業の名門・東雲商事の嫡男である東雲剣一郎は、三島良という男の家の前で車に轢かれ記憶喪失になってしまいます。良は乗りかかった船だからと自分の名前さえ思い出せない剣一郎に同居を持ちかけます。

仕事はできても感情をうまく表に出せず、ぶっきらぼうな剣一郎。対して、情に厚く、お人好しで優しい性格のせいで、悪人につけ込まれがちな良。
全く正反対の二人ながら、一緒に過ごす日々はまるでピースががっちりとはまったように穏やかに幸せに過ぎていきます。それでも、時間が経つほどに不穏さは増していき…。

人生で最初で最後の大恋愛。その人を幸せにする、守るためだけに生きてきた攻めの渾身の愛の重さと深さに感動が溢れます。一見、控えめで受け身なように見える受けも、実は相手の幸せを願って大胆な言動に出る勇気があり、お互いがお互いを愛するあまりすれ違ってしまう苦しさが丁寧に描かれています。

不器用な攻めが一歩一歩、受けを愛するために努力する姿を見たい方、お人好しな受けが攻めのことに関してだけは人が変わったようになる姿を見たい方、長年の両片想いを叶えるお話が読みたい方…BL小説を愛する多くの方に読んでいただきたい良作です📚✨