柏枝真郷「厄介な連中」シリーズのネタバレ感想|ライトなミステリーBL短編集

小説

柏枝真郷先生「厄介な連中」シリーズのうち、今回は「雨かもしれない①」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


ドSなマイナーミステリー作家×自殺常習犯の美青年 のお話。

<あらすじ>
自殺志願の美青年・宮城篤史は、異色な作風で知られる超マイナーミステリー作家・遠野遼一郎に時にはサディスティックにもてあそばれながらも、彼の館に居候し続けていた。
……そんなある日、遼一郎の友人・伊藤が殺人事件の参考人として警察に連行されてしまう。
しかもそれは死体の存在しない殺人だった!?

 

こんな人におすすめ

  • テンポの良い短編ミステリーBLを読みたい📖✨️
  • 美中年×美青年のイチャイチャが見たい👨‍❤️‍👨
  • 耽美なカップルに惹かれる💀🩸

 

ネタバレ感想

本作は表題作+2作の合計3作品が収録されています。各話の感想を書いていきます!

雨かもしれない

死体描写が大好きという薄気味悪いマイナーミステリー作家・遠野遼一郎(攻め)と、彼の家を空き家と勘違いして自殺未遂した、自殺未遂常習犯の美青年・宮城篤史(受け)が3作品のメインカップルです。

本作では遠野の親友の医者・伊藤が看護師誘拐殺人(?)事件の容疑者として逮捕されかけますが、遠野が華麗に謎解きをします。

妻が元夫とその恋人に嫉妬して、その恋人が死んだように見せかけたのですが、結局は誰も死んでおらず、殺された(と見せかけられた)看護師は殺されたテイで無断欠勤し、交際している男の家でのんびり暮らしていたという平和なオチでした。

誘拐殺人未遂事件が起きる前に篤史がまたも自殺未遂で手首を切るのですが、その縫合箇所がまだきちんと治っていないのにわざと遠野は傷が開くようにセックスしたりする描写があるので…「それって”ドS”ではなくDVじゃ…」って血の気が引いてしまいました。血が苦手な方は要注意です。

ホームドラマの日々

遠野の息子と名乗る美雪が、遠野と篤史の家に後輩からの不安な手紙を持って現れるお話です。

遠野の書いた本とほとんど同じように現実が進んでおり、美雪はどうしたらいいか分からないと泣きついてきます。しかし美雪が後輩のもとに駆けつけ事情を聞いてみると、殺人をしようと思うきっかけになったさまざまな恨みつらみは彼の勘違いだったことが分かり、事なきを得ます。

美雪という美少年に迫られ翻弄される篤史、それに不満をあらわにする遠野が面白いです。

番外編 異聞・四谷怪談

遠野の担当編集・薄井さんの苦労話です。

どんなイラストレーターに頼んでも遠野から山のようにクレームが入るので、心身共に疲弊している薄井さん。しかしはじめて遠野からイラストレーターとして篤史が推薦されたので、絶対に絵を描き上げてもらわねば困ると鬼気迫る勢いで頼みます。

ここから篤史は遠野専属のイラストレーターになっていきます。前日譚という感じですね。

 

まとめ

ドSなマイナーミステリー作家×自殺常習犯の美青年 のお話でした。

短編が3作収録されているのですが、1話1話がテンポ良く進むので読みやすかったです。

明確な濡れ場はなく、匂わせ程度。さらにエロいというより篤史の傷跡を遠野が面白半分に抉るような描写があるのでちょっと「痛い」感じです。

物語のメインは2人が殺人未遂事件に巻き込まれ、華麗に解決していくストーリーです。

表紙と挿絵の如月七生先生の絵がしみじみと色っぽく、素敵です!

26年前に出版された少し古いご本なのですが、文章のリズムやキャラ設定に時代を感じます。(ギャグセンスや言い回しがやや古い)(そこがいい)

「JUNE」を愛読していた方々、昔のBLを感じたい方、ストーリーの面白さをじっくり堪能したい方にはたまらない一作だと思います!!

雨かもしれない 厄介な連中①
作者:柏枝真郷
自殺志願の美青年・宮城篤史は、異色な作風で知られる超マイナーミステリー作家・遠野遼一郎に時にはサディスティックにもてあそばれながらも、彼の館に居候し続けていた。……そんなある日、遼一郎の友人・伊藤が殺人事件の参考人として警察に連行されてしまう。しかもそれは死体の存在しない殺人だった!?

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続編もあります♥️

イミテーション・サマー 厄介な連中 2
作者:柏枝真郷
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