風見香帆「脚本のないラブシーン」のネタバレ感想|愛に飢えた二人の凸凹愛

小説

風見香帆先生「脚本のないラブシーン」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ


クールな人気俳優×攻めの熱狂的ファン 兼 付き人 のお話。

<あらすじ>
あるきっかけで幼い頃から時代劇ドラマで活躍していた人気俳優・日暮鷹之の付き人になった令也。
彼の大ファンである令也は、鷹之からミーハーなファンと勘違いされ冷たい態度をとられていたが、鷹之の家に住みながらDVDやビデオ、雑誌の整理などの、他人は嫌がるが令也にとっては嬉しい地味で細かい作業をこなしていた。
そんなある日、酔った鷹之にふざけてキスされたのに反応してしまう自分に令也は…。

 

こんな人におすすめ

  • 芸能人モノが好き🕺
  • 不憫攻め・不憫受けが好き🥺
  • 俺様攻めの意外な優しさ…ギャップに萌える❤️

 

ネタバレ感想

本作は表題作「脚本のないラブシーン」「脚本のないラブシーン2」と、その番外編「そのままのきみだから」の計3編から成っています。

各話のネタバレ感想を、以下書いていきます!☺️✨

脚本のないラブシーン

主人公の令也は、母が再婚した家庭に自分だけが馴染めず学校でも家でも存在意義を失い苦しんでいました。しかしそんな学生時代に、彼はマイナーな時代劇の「俊之丞」という役に出会います。数々の理不尽な困難に耐え、信念を持って生きる彼に自分を重ね、彼を演じた俳優・鷹之の熱狂的なファンになります。

時は過ぎ、令也が芸能人御用達のサパークラブでスタッフとして働いているとたまたま鷹之が訪れ、彼のファンだと吐露したことをきっかけに彼の付き人見習いになることに。

令也は彼の高い演技力や殺陣の技術の素晴らしさを絶賛しますが、鷹之はひどい人間不信に陥っており、おべっかを使うなと冷たい態度を取り続けます。

けれど、どんな時もただ真っ直ぐに鷹之の明るい未来だけを願う、令也の純粋な言動に鷹之は徐々に惹かれていくんです。

一番好きなのは、誰のことも信じられず周囲を傷つけ続ける鷹之に対して

「大好きなのに。俺には自分自身なんかよりずっと、鷹之さんだけが大切なのに」

と令也が心の中で涙するシーン。令也の孤独な人生の唯一の光はあなたなのよ、と鷹之を揺さぶりたくなりました😭

鷹之のためと己の体さえ売ろうとする令也のことを知り、やっと令也の無償の愛に気づく鷹之。

俊之丞だけだった令也の人生に鷹之という愛し合える人が出来たこと、誰も信じられないけどお前だけは信じられると言い切れるような人が鷹之に出来たことが嬉しく、胸がいっぱいになります。

 

脚本のないラブシーン2

鷹之の付き人になるのは、大抵「いずれは自分も芸能人になりたい」と志望している者ばかりです。例えば新進気鋭の俳優・宮岡は鷹之の元付き人でした。

宮岡は令也の顔の良さから、自分と同じく芸能人志望だと勝手に判断しアドバイスをしようとしますが、令也は一生鷹之の付き人がいいと断言。それをきっかけになぜか宮岡に嫌われ、「お前は鷹之さんに群がる虫」と見下されます。

さらに同じく鷹之の付き人である沢村は「今は鷹之さんがより名声を得るチャンスなのに、令也は鷹之さんのそばにいるとうっとりした顔をするから2人ができてるのかとマスコミに勘違いされる。彼の迷惑にならないように近寄るな」と令也に注意します。

それをきっかけに令也はそれまで鷹之とのびのびと愛し合っていた(騎乗位したりしてました❤️鷹之に翻弄される令也、めちゃくちゃ可愛いです❤️)ことが全てできなくなり、2人は破局寸前まで追い詰められてしまいます。

しかし、令也の鷹之への愛が膨れ上がりプチ失踪してしまい、それをきっかけに鷹之と話し合い、互いより大切なものはないと確認することができました😭 2人はお互いを手放せないと言い合い、朝の光の中でキスをするんですが、ここが挿絵も相まって本当に神々しくて素敵でした…😭

めちゃくちゃイケメンで恋に慣れてそうな鷹之が、実は真剣に付き合うのは令也が初めてで

「(令也に振り回されるのは)嫌じゃない。だがこんなにエネルギーの要ることは、一生に一度、1人に対してしか無理だな」

と、仲直りした後に令也に笑うシーンが私は大好きです…🤦‍♀️

一生に一度、1人に対してしか無理と断言する鷹之がかっこよすぎて泣いてしまいます…😭なんて純愛だ…😭

 

そのままのきみだから

鷹之はもともと時代劇をやりたいと熱望していましたが、彼の甘いマスクを生かすには恋愛ドラマが最適だと、社長からは本人の意に望まない仕事ばかりを与えられていました。しかし徐々に仕事で成果を上げ、人気が出てくるにつれて、鷹之自身で仕事を選べることも増えてきました。望んでいた時代劇ものだけでなくハリウッドからのオファーもあり、鷹之の仕事の幅はどんどん広がっていきます。

たまの休日に令也と他愛無い話をしながら公園で寝転びホットドッグを食べるのが鷹之の一番の癒しです。

しかしそんな中、鷹之が売れるほど、彼の名声に乗っかりたい不埒な輩が出てきます。詐欺グループが販売していた商品のPRを鷹之がしていたという報道が突然流れ、鷹之は追い詰められます。

鷹之は名声を得ながらも、ずっと苦しんでいました。

自分は何も変わっていない。ただ自分のできることを、必死にやってきただけなのに。でもそれならどうして、俺は必死になっているんだ。いくら仕事に打ち込んでも、親さえ幸せにできなかったじゃないか!

鷹之の両親は、鷹之が子役として成功したことで金遣いが荒くなり離婚しました。それを鷹之はずっと自分のせいだと苦しんできたのです。父が詐欺に遭い借金を作ったのが原因で離婚したのに、自分が詐欺の手伝いをするはずないと憤慨する鷹之。

そこで鷹之オタクの令也が大活躍します。音声を書き直し、「これは○年○月○日の、○○に関する番宣ラジオに鷹之さんが出演された時の音声の切り貼りです!」とばっちり特定するんです。

鷹之は好きで仕事をしているはずなのに、その仕事に打ち込むほど苦しみを感じていました。けれど、令也は家族からの愛に飢える鷹之も、仕事に打ち込む鷹之も、全ての彼を真っ直ぐに愛しているとてらいなく言ってくれます。

オタク知識が役立ちましたねと照れる令也を見ながら愛しさが込み上げる鷹之。

私も幸せそうな2人を見ながら、互いを愛しているとしっかり信じあっているさまに胸が熱くなりました😭

 

まとめ

人間不信な俺様人気俳優・鷹之×お人好しで純朴な鷹之オタクの付き人・令也 という、家族の愛を十分に受けられなかった孤独な者同士のラブストーリーです。

あっと驚く展開があるわけではないのに、不思議と作品の世界観に引き込まれます。それはきっと鷹之と令也の丁寧な心理描写が理由だと思います。

鷹之は順風満帆に見える人生の裏でどんな苦悩を背負ってきたのか、また、天真爛漫に見える令也がその笑顔の裏にどれほどの苦労を重ねてきたのか。それがしっかり描かれているからこそ、2人が決して架空の人物とは思えず、読者は感情移入するのだと思います😢

まばゆい芸能界に生きる、愛に飢えた男と彼の心を癒そうと懸命な奔走する男の凸凹な恋の物語、ぜひ読んでみてほしいです🥺❤️

脚本のないラブシーン
作者:風見香帆
あるきっかけで幼い頃から時代劇ドラマで活躍していた人気俳優・日暮鷹之の付き人になった令也。彼の大ファンである令也は、鷹之からミーハーなファンと勘違いされ冷たい態度をとられていたが、鷹之の家に住みながらDVDやビデオ、雑誌の整理などの、他人は嫌がるが令也にとっては嬉しい地味で細かい作業をこなしていた。そんなある日、酔った鷹之にふざけてキスされたのに反応してしまう自分に令也は…。

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