イーライ・イーストン「星に願いをかけるには」を読みました!
本作はシリーズもので、第3弾です。第1弾「月への吠えかた教えます」、第2弾「ヒトの世界の歩きかた」が発売されており、第4弾「すてきな命の救いかた」も発売されました🐺✨
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
人間に変身することができる能力を持った犬たち(クイック)が暮らす町、マッドクリークに数年ぶりに戻り、クイックの遺伝子を研究しているジェイソン・クーニックは、「いたわり犬」として多くの人間の最期によりそってきたクイック、マイロに出会う。
引き受け人が決まらないマイロを見かねたジェイソンは、彼と同居することに。
そんなある日、町に戻ってきたクイックから未知のウィルスの感染が発覚し、保安官・ランスが倒れる―。
こんな人におすすめ
- 月吠えシリーズが好き!!
- 犬が大好き🥺❤️
- 堅物攻め×天真爛漫受けに萌える💪🔥
ネタバレ感想
犬はどうやってクイックになる?
本作ではこれまで謎だった、犬がどうやってクイックになるのか?の原因が科学的に探究されます。
本作の攻め・ジェイソンの仮定としては、「強い悲しみを覚えた時にクイックになる」。
でも、受け・マイロは空で一番輝く星に願いをかけたらクイックになれたと言っていましたよね。私はジェイソンの説も有力ではあると思うけれど…マイロの話をより信じています。
ローマンもたしか犬の姿だった頃にパートナーが亡くなった後、星に願いをかけていましたよね。
天使が教えてくれるのか…そうか…と、マイロが自分がクイックになった時の話を聞きながら(読みながら)ボロボロ泣きました。
マイロはどんな願いを星に託したんでしょうか。
家がほしい、自分をずっと離さず愛してくれる人がほしい、かなあ。孤独に怯えるマイロがかわいそうで、大丈夫だよ大好きだよと抱きしめたくてなりません。
家と愛に飢えた天使、マイロ
マイロは出会った人、犬猫…みんなに惜しみない愛情を与えます。
誰もがマイロを愛さずにはいられません。
でも、マイロはみんなに愛されるのに、誰ひとりとして彼を永遠には愛してそばにいてとは言いませんでした。
マイロはシェルター出身の犬です。つまり保護犬。
生まれた時から周りには虐待を受けて生きることがままならなかったり、誰も引き取り手がなくて殺される犬猫しかいませんでした。
その後、マイロはホスピスに引き取られてセラピー犬となりますが、そこでもマイロが愛した患者達はみんな死んでいきます。マイロを残して。
マイロはずっと”家”が欲しかったのです。
マイロを毎日暖かく迎えて、愛してくれる、そんな居場所が欲しかった…。だから、星に願ったのだろうなあ…。
書きながら、涙がこらえられません。最後はマイロに”家”ができるので、皆さんどうか安心して読んでくださいね。
マイロが愛しくて号泣
リリーに連れてこられてマッドクリークに来たマイロは、ジェイソンに一目惚れ。彼を癒やそうと頑張ります。
でも、ジェイソンは自分の中にいる”犬”を嫌悪し否定していて、ものすごくプライドが高くて、卑屈で、どうしようもない男です。
そして、マイロは命をかけてジェイソンにアプローチしたけれど拒まれ、「またひとり、マイロを置き去りに去っていった。また最初からやり直し。星にかけた願いは叶わなかった」と絶望します。
この様子を見ているのが、本当に辛かった。
マイロは、愛しても愛しても、愛したものはみんなマイロを置いて逝ってしまうことに怯え苦しんでいました。
でも、最後はリリーやランスたちの後押しもあり、ジェイソンが勇気を出してマイロに愛を告白します。
愛に溢れる優しい天使・マイロ、最後は幸せになれて本当によかったです。
マイロが本作を通してずっと願っていた、「病める人を救いたい」という使命感や愛、優しさ溢れる言動に、読みながら私もずっと救われていました。
文章を通してもマイロは病める人を救ってくれる、すごい子です。心洗われました…大大大好きです。
マイロにはもっともっと、幸せになってほしいな。
マッド・クリーク最大の危機?
ジェイソンとマイロの恋は成就しましたが、最後にジェイソンの元上司であるコーガン・レイニアがマッドクリークにたどり着いているようで…ゾッとしました。
コーガンはジェイソンと同じくクイックに興味を持っていて、クイックの謎が解明されれば金になるとジェイソンを誘惑していました。
クイックたちが何世代にもわたって団結し作り上げてきた街が崩壊してしまうかもしれないのが、怖いです。
どうか、どうか、愛するものを失い傷ついた犬(クイック)たちの楽園を壊さないでほしいです。
感染症に関する丁寧な描写
感染症については完全に素人の私ですが、本作中ではクイックだけが罹患する感染症の話が出てきます。
ジェイソンやマイロたちはその病気を治すために奔走するのですが…
ワクチンを作る仕組みや感染症の対策方法など、分かりやすく説明されていてすごく面白かったです。
いわゆるBL小説というよりも、サイエンス・サスペンスのような感覚で読みました。
主人公ごとに、地の文が違って面白い
本作は「月への吠えかた教えます」(通称「月吠え」)シリーズの3冊目ですが、1・2・3巻、それぞれ主に攻め視点で描かれています。
攻めの性格によって地の文の雰囲気が全然違うので、ぜひ読み比べてみてください!
3巻目のジェイソンの地の文が、一番もってまわったような…正確さを求めすぎてくどい感じの難解な文章でしたw
でも、そんなふうに性格がしっかり感じられるのに読みやすさもちゃんとあって、うーん、作者も訳者もすごい…!と感動しました。
1・2巻の「その後」が読める
月吠えシリーズ1・2巻のファン!という人は、絶対3巻も読んでほしいです。
なぜなら、彼らのその後の幸せそうな様子がたくさん読めるから!
ランスとティムにはなんと子供もできており(ランス姉が多産なので、1人引き取って育てている)、ローマンとマットは互いを心底愛しみながらパートナーとして切磋琢磨しています。
4人がそれぞれ愛する人のために死力を尽くし奔走したり、マイロが彼らの不安に寄り添って癒やそうとしたり…本の中で彼らが「生き続けている」ことに感動させられます。
読み終えた時には、歓喜で胸がいっぱいになるはず😌✨
まとめ
「月への吠えかた教えます」(通称「月吠え」)シリーズの最新刊・3巻です。
これまで謎だった、犬がクイックになる原因が少しずつ解明されていきます。
そして受け・マイロの過酷で孤独な過去と彼の限りない無償の愛に涙が止まりません…😭
“家”や”愛”は、人が生きるのにどれほど大切かを痛感します。
不穏な終わり方に、次巻への期待が高まります…!!🥺✨
原作は5巻まで刊行されているので、早く続きが読みたい!!😭
わんこ好き、動物好き、ファンタジー好きにはたまらない、最高のBL小説です!!