中庭みかな先生の同人誌「Sucre glace」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
「中庭みかな」名義活動の記念誌的な一冊です。
これまで出していただいた9作品のSSをそれぞれ収録しています。(書店さん特典SS・イベント等で配布したペーパーSS・書き下ろしなど)
こんな人におすすめ
- 中庭みかな先生作品が好き!!先生の書かれたものは全部読みたい🔥
- 純文学が好き📚
- 言葉選びに個性を感じる作家さんが好き😊💕
ネタバレ感想
①きみはいつか、ぼくの声をきく
・書店特典SS
実波に釣り合うような自分になりたいと背伸びをする真幸を愛おしく思うのと同時に、まずは紙に書いてみるというのがまた彼の慎重な性格を感じさせてかわいらしいです。「やばいくらいすきだぜ」はいつか言われる日が来るのかな。
・無配ペーパーSS
みかな先生の小説の何が好きって、なにげない日常のふとした瞬間を切り取って物語にしてくださるところなんですよね。
この物語から分かるのは、真幸はほしぶどうが苦手、というただそれだけの情報なんだけど、干しぶどうの入ったクッキーを純太が当然のように交換してくれたってことは4〜5歳の頃からずっとそうだったんだろうなとか、美由紀はそのクッキーを普通に真幸にあげてるから、彼女には克服したことを伝えたのかなとか、まだ2人には勝てないと密かに悔しがってる実波にも真幸は気づいてるかなとか、さらなる想像が膨らむんですよね。
そういう意味で、みかな先生は情報を膨らませて優しい物語にする筆力がすごいし、そこからキャラクターそれぞれに物語を生み出させる力が豊かなのだと思います。
あと、真幸の笑顔は何歳になっても好きだと自信を持って言える実波はイケメンですね✨
②むすんで、ひらかないで
・書店特典SS
まったく久弥はドSだなあ…と呆れていたら、律がやられっぱなしではなく、かなり有効な方法で仕返しをしていて笑ってしまいました。まさか久弥もこんな方法で自分が泣かされることになるとは思わなかっただろうなあ。久弥にとってどれほど律が大切な存在なのか、愛すべき存在なのかが改めて分かって、ニヨニヨしちゃいました。10000回死んでも10000回2人は出会って愛し合えるよ。
・無配ペーパーSS
相手に直して欲しいところを言い合うはずが、愛の告白になってる久弥…通常運転ですね💕←笑
それにしても、どんなに好きでも直してほしいところってあるように思うけれど、久弥にとって律はただそばにいてくれるだけでいい、全部が好きなんだなあと改めて知って、なんだかむずがゆい気持ちになりました。そんなロマンチックな久弥に対して、逆に律が現実的だからこそ、2人は凸凹でうまく噛み合ってるのかもしれません。律の頼りなげに見えてしっかり自分という芯のあるところ、大好きです。2人のこういう普通の日々を知られるの、嬉しいなあ。
③黄金のひとふれ
・書店特典SS
じ、神野さん、まさかそのようなプレイにご興味が…!?ご主人様呼び的なプレイ!?
千晶が名前呼びに失敗したものの、即「様」づけ呼びに変えたの、面白くて笑っちゃいました😂機転が効きすぎ!!
いやあ、しかし神野さんは世俗に疎そうというか、下品そうなことにはあまり興味がなさそうに見えるから、意外と俗っぽいこともご存じなのだなあとニヤニヤしてしまいました。
・無配ペーパーSS
はあ〜〜好き…。みかな先生の特典SSって、未来への明るさ、ほのかな希望を感じさせてくれるんですよ。直接的なえっちなシーンとかがなくても、2人が体の深いところからしっかりとつながり合ってるのが感じられるし、その絆が2人だけでなく、2人の周りの人々をも幸せにしてるっていうのが伝わってくるんです。2人にはもちろん幸せになってほしいけど、2人が大事に思う人たちだって幸せになってほしい。だから、2人だけでなく周りの人も幸せそうな、みかな先生の特典SSって、読むたびすごくすごく嬉しくなるんです。
原作では脇役だったシェフや秘書さん(シェフの奥さん)が、2人の変化を嬉しそうに見守っていて、胸がいっぱいになりました。
そして何より、もじもじする千晶は可愛いし、千晶を祝いたい気持ちが有り余って本人にぶつけまくってしまう(結果的に千晶の喉を枯らさせてしまう😂)神野さんも愛おしいし、もう、世界って美しいなあ…!!と泣きたくなります。
ああ、やっぱりみかな先生の物語をこれまでもこれからもずっと読んでいたいなあと思うのでした。
④きんいろの祝祭
・書店特典SS
ジアがかわいすぎて笑ってしまいました😂でもジアの気持ち、すごく分かります。イルファのことが少しでも好きなら、あんなに心も体も清らかで美しい人に足なんて普段人に触られない場所を大事そうに触られてしまったら、もう心臓が口から出そうなくらい緊張するし、「お許しください」と逃げ出したくなると思います。
カヤ様がジアにも嫉妬した気持ちを隠さずに言ってくれるのも嬉しいし、生真面目すぎるイルファが勘違いしないように実地で分からせちゃうのもまたえっちで最高…という気持ちになります🤤
そして何より、みかな先生の描く「きんいろの祝祭」の世界観が美しすぎる!!イルファのまとう装束や夕食の風景、ジアの足に塗ってあげた花の香油がどんな瓶に入っていたかまで、想像が膨らみます。どれもきっと繊細で美しいのだろうと、書かれていなくても分かるんです。みかな先生の言葉が醸し出す世界観がこれ以上ないほど美しすぎて、自分の拙い語彙力では表現できません。
ああ、本当にこの作品を全世界の人が読んでくれたらいいのに。自分が死ぬまでに1人でも多くの人に本作を読んでもらうのが、私の生きる目標です。
・無配ペーパーSS
本当にカヤ様とイルファの間に子が産まれたなら、それはどんなに幸福だろうと思い、泣いてしまいました。でも、産めないから不幸だとは思いません。なのに、どうしてかイルファが夢の中であれほど感激していた新たな命が彼の腕の中にないことにとても寂しくなってしまいました。
けれど、カヤ様が「俺とあなたの間に、築けるものはそう多くないのかもしれないが。…それでも俺にとっては、生涯、あなた以上のものはない」と言い切ってくれて…涙が止まらなかったです。
カヤ様の目はイルファ自身が見るよりも多くの色彩を伝えてくれる、という部分もとても鮮やかで美しかったです。カヤ様の目はお父様譲りなのだというところ。愛妻家なところ、愛情深いところもお父様譲りですね。
優しいイルファが傷つくことのないように、毎日が幸せであるように、ただただ願う気持ちでいっぱいになりました。
2人が幸せでいてくれたら、ファンの私が望むことはありません😭
・書き下ろしSS「かなたの真白」
・長い睫毛が、面差しに繊細な影を落としていた。はらり、と羽が降って舞うように、その影を震わせ、物憂げなまばたきを一度。
・瞬き一つの小さな仕草にも、もっと近くへと手招きするような、誘う甘い闇の気配が潜んでいる。そんな彼を目の当たりにすると、カヤでさえ、時折、言葉を忘れた。
ああ、なんて美しい表現だろうと書き起こさずにはいられませんでした。イルファの眼差しの美しさが鮮明に描かれていて、うっとりと感嘆のため息が溢れます。
そしてイルファのかわいいこと…!「さわらせてもらえるのでしょうか?」と恥ずかしそうに言うシーンは思わず身悶えてしまいました。自分がカヤ様だったら抱きしめ潰してしまいそう。すぐさま料理長に子羊は出さないようにと言いにいってくれたカヤ様、ファインプレーです!!
そして早速翌日子羊デートに行くのもよすぎる…美しい山々と緑の草原が目に見えるようです。イルファの腕に抱かれた子羊の気持ちよさそうな表情まではっきり見えます。
子羊に自分を投影するカヤ様にほっこりしましたが、最後にまさかのイルファからのお誘い!!興奮で頭が爆発するかと…慎ましいイルファからのお誘いなんてかなりレアケースでは!?
イルファの瞳にも美しい自然やかわいらしい子羊の姿が、カヤ様の言葉を通して伝わっているのだろうと思うと嬉しくなります。
・書き下ろしSS「冬の贈り物」
みかな先生の作品で描かれる冬は、感動で涙が出てきてしまうくらい美しく描かれています。私が生まれ育ったのは暖かい地域なので、冬の訪れは嫌で仕方ありませんでした。ずっと暖かければいいのにと思っていましたが、その気持ちは、みかな先生の作品に出会って大きく変わりました。雪の積もった地面が、朝日に輝いて光るさま。長く続く寒く厳しい季節のために、人々が力を合わせて家に籠る準備をするさま。それぞれがあたたかく、力強く、美しく、「生きている」ことを感じさせます。
決して繊細で優しく弱々しいだけの存在ではないイルファ。意外と好奇心旺盛で冒険心があり、度胸もある。そこにイルファの「生」を感じて、私は美しいなあとしみじみと感じます。
カヤ様の「美味しい」という顔、私も見てみたいなあ。どれほど幸せそうな表情をしていたのだろうとにこにこしてしまいます。
⑤リトル・ホーリー・プレイス
・書店特典SS
都倉さんー!!!愛おしさでにこにこが止まりません!!そしてえっち!!!「お父さんに言ってみなさい」て!!!お父さんって単語がめちゃくちゃ卑猥に感じてしまう…ふふ…。綾斗が反省してる都倉さんに付き合って起きてるのもまた愛だなあと思ってにこにこしちゃいます。本当に可愛いカップル(夫夫?)だなあ。
・無配ペーパーSS
あったかいお話なのに、なぜか涙が止まらない。みかな先生のお話を読んでいるとよくあることなのですが、今回もそうでした。
家族のいない綾斗にとって、「家族にお土産を買って帰る」という体験は、生まれて初めてのこと。都倉以上に嬉しそうな綾斗の表情がまるで見えるかのようで、思わず泣いてしまいました。
都倉も綾斗がたった三日間いないだけで寂しくなってしまうなんて愛おしすぎる…凛くんが綾斗のお土産を早速つけてたのも可愛すぎました。可愛い親子だなあ。
2人がおじいちゃんになった時、いつか「綾斗が初めて私に買ってきてくれたお土産の箱だよ」って都倉は出してきてくれそうですよね。ああ、好きだなあ。
⑥キャンディーカラーの世界できみと
・書店特典SS
キスのことを「周がくれるキャンディ以上に甘いものがあると初めて知った」と表現するのは、あまりにきゃわゆすぎて胸がキュンキュンしてしまいます。
キスしたときに初めて感じた、あのリボンが解けていくような、自分が消えていきそうな幸福感に胸がいっぱいになる。でも今は、周の腕がつかまえていてくれるから、細かくなって消えていく心配はしなくていい。だから恋人同士って抱き合うのかな、と、そんなことを思いながら、智紘も手を回して、周の大きな体を抱き返した。大切な人が、しゅるんと解けて、この世界をすり抜けて消えてしまわないように。
これですよ…これぞみかな先生の魅力の一つ…キスについて書いてくださいって言われてこんなふうに自分は書けるだろうか?いや書けない…って感嘆しちゃいます。キスしたら「消えていきそうな幸福感」でいっぱいになるから「つかまえて」もらう。「だから恋人たちは抱き合う」って、ロマンチックでありながらそれぞれの気持ちや行動がパズルのピールのように組み合わさっててすごいですよね。大切な人が世界をすり抜けてしまうって表現も素敵。大切な人ってふといなくなりそうな気がして不安になるけれど、そういう気持ちを的確に表してくださってますよね。
・書き下ろしSS 「セーラー服と夏野菜」
はじめてのキスを「その甘さに酔って自分がほどけてなくなりそうだった」って表現する智紘の繊細な感受性よ…。
それにしても、智紘の「おとむらい」という感覚だったり、人生で関わった物やこと、ひとつひとつへの感謝や丁寧さには本当に感動してしまう。こんなに心を砕いていたら生きるのが苦しくないだろうかと不安になってしまうくらい…。
夏野菜のカレーを頬張る周と智紘を思うと、幸せな気持ちになるなあ。いろんな細々したものを送りたくなる周の両親の気持ちが分かります。
このお話を読んだから、ゴーヤを見るたびに私は智紘の自称似合わないセーラー服姿(周曰く「それがいい」←惚気〜💕)を思い出しそうです😏💕
・無配ペーパーSS
「付き合って何年もたつのに、毎日、彼に焦がれている。きっとそんな日々がこれからも続くのだと、いまは疑いもなくそう思える」だなんて、なんて殺し文句だろう…素敵すぎる。
周はどんな声で歌うのか気になるなあ。アニソンをチョイスしたのは智紘の作品イメージに寄せようとしたのかな?いじらしいなあ。
カラオケは行かんと言いつつこっそり練習してるのがかわいすぎますね。
あと声優さんの話を読みながら、中庭みかな先生作品はドラマCD化してないなあと切なくなってしまいました。自分が死ぬまでに「きんいろの祝祭」と「沈まぬ夜の小舟」はドラマCD化してほしい。もしくはアニメ化でもドラマ化でも映画化でもなんでもごされです!!全部見る/聴くので!!出版社さん頼むー!!!
周と智紘がカラオケに行くお話もぜひ読みたい…☺️💕
⑦片恋のスピカ
・書店特典SS
「しっぽは大事な部分だから、大事な人にしか触らせないのだ」は可愛すぎる!可愛すぎるよ乙矢!!柊吾さんがついついいじわるしちゃう気持ちがちょっと分かるな…。だって、大事な人にしか触らせないしっぽ(エプロンの長い方)を、プライベートでもどれだけでも触っていいよって差し出してくれてるようなものだし…はあ、可愛すぎて頬がでろでろに溶けてしまいそうです。可愛い黒猫の乙にゃん!🐈⬛💕
・書き下ろしSS「ハートミーム」
「欠けた何かを持っている人だから、心がそれを教えてくれたのかもしれない」に、不思議なくらい泣きそうになっちゃいました。この2人は、お互いの欠けたところに惹かれあって愛し合ったんだなってしみじみと感じて、嬉しくなって。香りも姿形も考え方も何もかも違うのに、違うから、惹かれ合う。それが愛なんだなあ。
乙矢から桃やミルクの香りがするの、めちゃくちゃ解釈一致です!可愛すぎる〜!!!!そんな香りの柔軟剤ないかな!?と思わず探してしまいました。うーん、見つからない。乙矢の香りを嗅いでみたかった…🍑🍼 柊吾さんは石鹸の香り!フローラルサボン(IR◯KAの洗濯用洗剤でこの香りがあったので即買いしちゃいました。柊吾さんの香り…☺️🫧)とムスクの香りは「しそう!」と思わず思い切り頷いちゃいます。柊吾さんってただいい人!なだけじゃなくて、どこか危険でセクシーな男の香りがしそうだと思ってたんですよね。なので、ムスクの香りはめちゃめちゃ「理解る」…。
2人のイメージ香水とか洗剤とか発売されたらいいのにな。絶対買いたい…!!パッケージは黒縁メガネをかけたモフ吾さんとしっぽの長い黒猫の乙にゃんでお願いしたいです🐕🐈⬛💕
⑧ディアレスト
・書店特典SS
ロシェルはキオに自分の髪はどんどん切らせるし、自分でもバッサリ切っちゃうのに、キオの髪は切ることができないというところに、切ないくらい胸がギュッとしめつけられました。
「たとえ髪一本でもそれはお前の一部なんだ」というロシェルの言葉が、どんな表情で絞り出されたのか眼に見えるようで…。きっと言葉を出すだけで痛い、辛いとロシェルは思ったのではと感じました。それくらい繊細な人だろうから…だから、余計にキオは自分もロシェルの髪も切る時はとても気を使うだろうなと思いました。キオの髪はキオのものでありながらロシェルのものでもあるという感じです。
最後に2人の切られた髪がリネンの上で交わっている様子がすごく素敵できた。額と額を合わせたら短くなった前髪同士が触れて重なった描写も。ざりっ、と切られた前髪が擦れ合う音、感触、触れた肌の温かさが手に取るように感じられます。金と黒が交わる様は美しかろうなあ。
命ある限りずっとこんなやりとりをするんだろうと想像するキオにも泣かされます。老いた2人が同じやり取りをするところを、私たち読者も見つめていたいです。
・書き下ろしSS「憂いの庭」
言葉をうまく選べず、いつだって誰かを戸惑わせ、怒らせてしまう。人と触れ合うことが苦手なロシェルでも、もしかしたらキオだけは守ることができるのかもしれない。そうであってほしい、と、心の中で強く願った。自分の小さな手のひらは、たったひとりのために作られていて欲しかった。
号泣です。
私が「ディアレスト」を好きな理由が全部ここに詰まっていると感じました。
不器用なロシェルの手のひらは、キオのために作られていたんだ…小さなロシェルがそう願ったという事実だけで、愛おしさと苦しさで胸が張り裂けそうになります。愛する母を失って、さらにその悲しみさえ根こそぎ奪われて、ひとりでずっと苦しんでいたロシェル、ようやく愛する人を見つけられたんだよね。その小さな手のひらで慈しむ相手を見つけたんだね。
そして、花を刈り尽くして真っ暗だったロシェルの庭に、キオという希望と愛の小さな白い花が咲いた瞬間。キオにおやすみのキスをされた場所に「小さな光が灯っているよう」という表現が美しくて、息を呑みます。
キオを励ましているようで、その実、ロシェルも救われていたのだということに、切なくなるほど感動しました。ロシェルがずっと暗い夜に囚われたままでなくてよかった。キオという愛と幸福と光を見つけられてよかった。そして、キオもロシェルという道標を見つけられて、よかった。2人が出会えてよかったとただただ涙が溢れます。
日が沈むと、心に開いた暗い穴が夜の闇に呼応して大きく広がっていく気がした。目を凝らして自分の中にある暗い部分を見張っていなければ、いつか、心すべてがその闇に食いつくされてなくなってしまう。ロシェルは物心ついた時からずっと、そんな不安にとらわれ続けていた
ロシェルの心に開けられた暗い穴。それは消し去られた愛する母の記憶。その穴の闇から自分が食い尽くされてしまう…ロシェルがそんな苦しみを抱えていたなんてと、この気持ちを噛み締めた上で、改めて原作を読み返したくなりました。
・無配ペーパーSS
生きているものは失われるから怖いと、向き合うことすらできなかったロシェルが、絵に描くことでその恐れと向き合おうとしている…。ロシェルが懸命に殻を破ろうとしているのが感じられて、まるで泳ぎを会得しようと羽を必死で羽ばたかせる雛鳥を見ているような気持ちになりました。
かつて愛しい人を亡くし、その悲しみごと無理やり葬り去られたからこそ、失われるのも、悲しむことそれ自体も恐ろしくなってしまったロシェル。根源的で巨大なその恐怖によく向き合えたねと強く抱きしめたいです。でもきっとそれはキオの爪があったから勇気を出せたのだと思いました。キオの爪だからこそ、ロシェルは残しておきたいと思ったのでしょう。やはりロシェルにはキオがいないと。2人でいるから前を向いて歩き出せるんだよねと嬉しくなりました。
⑨沈まぬ夜の小舟
・書店特典SS(上巻)
高野先生、回っているお寿司が好きだったのか!知らなかった!可愛いな…🍣
そして創ちゃんの優しさよ。高野先生と両思いになっても、高野先生を好きだと言う人が他にいたら譲ってしまいそうな危うさがあるけれど、高野先生がそれを許さなさそうだから安心できます。高野先生へのアプローチかは分からないけど、多分そうだよなあ…。
最終的に、創ちゃんと高野先生のかわいいメッセージのやり取りになってほっこりしました♨️
創ちゃん、高野先生とおでん食べられたかな?🍢 あったかくて柔らかいお布団でゆっくり眠ってほしいです。
・書店特典SS(下巻)
いちごが好きな創ちゃんが可愛いし、いちご狩りのいちごがなくなってしまいそうでしょんぼりしてるのも可愛いし、高野先生にジャムにしたらと提案されて早速瀬越先生にプレゼントできるくらいたっぷり作ってるのも可愛いしでもうニコニコが止まりません☺️🍓創ちゃんに美味しいいちごをいっぱい食べさせたい…!
おうちナイトクラブにくまさんのぬいぐるみが出てくるだけで悶絶級に可愛かったのに、しょんぼりしながら自分のせいで高野先生が癒されてないんじゃと落ち込む創ちゃんがかやいそ可愛くてもうめちゃくちゃに抱きしめたくなります。
高野先生と寄り添ってたら、「自分の中の弱った部分や傷んだ部分が、少しずつ修復されていくよう」だったというのも、愛おしい。光に照らされた魚を見ながら水族館みたいって感動し合える2人の感性がみずみずしくて優しくて大好きだ…。高野先生と創ちゃん、ずっと寄り添って元気でいてね😭
・書き下ろしSS「can’t let go」
瀬越先生視点のお話は何度読んでも泣いてしまうのですが、本作もそうでした。ただ切ないだけではない、複雑な愛の感情を教えてくれます。
「文字だけじゃない。瀬越にとって、創のすべてが特別だった。それは好きや嫌いで区別する感情ではない。創は単純に、瀬越の心の中にある他のすべてと隔離された場所に置かれた何かだった」、この文章の中に、瀬越先生の複雑な思いがぎゅっと閉じ込められていますよね。瀬越先生にとって、創ちゃんは、創ちゃんという形の存在として心の中にある。どんな区分もできないそのままの存在。愛とか未練とか恋とか、そういうもので分けられない、特別な存在。それが哀しくて、切なくて、愛おしくて、尊いです。2人の間に起きた出来事を知っているからこそ、余計にそう思います。瀬越先生、大好きだよ。
瀬越先生が、創ちゃんの文字からまるごと全部、創ちゃんのことを愛おしく思う気持ちが少しだけ分かるような気がします。特別すぎる創ちゃんの字、いつか失われてしまうかもしれないその癖。苗字が高野になっても、いつまでも忘れないでいたいと私も思いそうです。創ちゃんからもらったメモ、瀬越先生はおじいちゃんになっても大事にしていそうだなと思いました📝
まとめ
中庭みかな先生ファンにはたまらない、大ボリュームの作品集でした!!
本編は後から追いかけて読めても、書店特典などは買うのが間に合わず手に入らなかった、読めなかったというものが多かったので、この機会に読めたことがとても嬉しかったです。
また、本作のために書き下ろしてくださったSSもたくさんあったので、それもまた嬉しく…。「あの作品の世界をまた違う角度から体験できるんだ!」と心が湧き立ちました。
ああ、全てのSSが、みかな先生らしい繊細な言葉選びと世界観で、ときめきが止まりませんでした!まるで無限の色にきらめくダイヤモンドを一つ一つ丁寧に見せてもらえたような、そんな気持ちです。
みかな先生ファンはもちろん、みかな先生作品が気になっている方も、BL小説を愛するすべての人に、絶対絶対絶対手に入れてほしい神本です!📚✨